電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度下期 電力 問10|送電(地中ケーブル)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

我が国の地中送電線路に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 3
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  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

電験三種「電力」の地中送電線路に関する正誤問題(令和5年度下期 問10)。正答は(3)です。

電力ケーブルの電力損失には、導体に電流が流れることで生じる抵抗損・シース損と、絶縁体に電圧がかかることで生じる誘電体損があります。誘電体損の大きさは絶縁体の誘電正接(tanδ)で決まり、CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁)はOFケーブル(絶縁紙+絶縁油)よりtanδが小さいため、誘電体損はCVケーブルの方が小さくなります。選択肢(3)は「OFケーブルの方が小さい」と逆に述べているため誤りで、正答は(3)です。

【地中送電線路の布設方式とケーブル損失】(令和5年度下期 問10)

各選択肢を検討します。

(1) 地中線は架空線より建設費が高いが、用地制約・保安・景観の面から都市部で採用される、という記述は正しいです。

(2) CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁)とOFケーブル(絶縁紙+絶縁油、油通路から絶縁油を加圧給油してボイド発生を抑制)の説明は正しいです。

(3) 抵抗損・シース損が導体電流に起因し、誘電体損が電圧に対し絶縁体に流れる同位相電流成分に起因する、という前半は正しい定義です。しかし後半の「誘電体損はOFケーブルの方が小さい」は逆で、CVケーブルの絶縁体(架橋ポリエチレン)はOFケーブルの絶縁体(絶縁紙+絶縁油)よりも誘電正接tanδが小さいため、誘電体損はCVケーブルの方が小さいのが実際です。この記述は誤りです。

(4) 直接埋設式は安価・短工期だが外傷リスクが高く増設が難しい一方、管路式・暗きょ式(洞道式)は外傷リスクが低く増設しやすく、暗きょ式は熱放散・保守に最も優れる、という記述は正しいです。

(5) 地絡事故にはパルスレーダ法とマーレーループ法、断線事故にはパルスレーダ法と静電容量測定法が使えるという故障点位置標定の説明は正しいです。

以上より、誤っているのは(3)です。

【ケーブルの誘電体損と布設方式の総合比較】(令和5年度下期 問10)

誘電体損Wdは、角周波数ω・静電容量C・印加電圧V・絶縁体の誘電正接tanδを用いてWd=ωCV²tanδで表されます。CVケーブルの絶縁体である架橋ポリエチレン(XLPE)はtanδも比誘電率も小さい材料で、誘電損失が少ないのが特長です。一方、OFケーブルの絶縁体である油浸紙はtanδ・比誘電率ともにXLPEより大きく、同じ電圧・静電容量条件なら誘電体損はOFケーブルの方が大きくなります。したがって本問(3)の「OFケーブルの方が小さい」は実際と逆の記述です。なお電圧が高いほどWd∝V²で誘電体損の影響が相対的に大きくなるため、超高圧ケーブルでは低損失なCVケーブルが広く採用されています。

地中送電の布設方式にも、この損失の話と並んで重要な設計上のトレードオフがあります。直接埋設式は工事費・工期で優れますが、周囲の土壌がケーブルの熱を直接吸収するため放熱条件自体は悪くなく、外傷リスクと増設性の低さが弱点です。管路式は管内の空気層が断熱材となるため直接埋設より熱放散で不利になりがちで、暗きょ式(洞道式)はコストは最も高いものの、ケーブルが空間に露出しているため熱放散に優れ、保守・増設・複数回線の同時布設にも適しています。

また、OFケーブルは絶縁油を加圧して絶縁破壊の原因となるボイド(気泡)の発生を抑える給油設備が不可欠で、油漏れ時の環境影響や保守コストの観点から、近年の新設線路では給油設備が不要なCVケーブルへの置き換えが進んでいます。一方でCVケーブル特有の劣化現象として水トリー(絶縁体中の水分と電界が組み合わさって樹枝状に絶縁劣化が進む現象)があり、長期使用時の絶縁診断が重要な保守項目になります。選択肢(5)の故障点標定も、マーレーループ法が導体と健全相を使うブリッジ測定であるため断線(導体が途切れた)事故には使えず、断線には静電容量測定法を使う、という組合せで覚えておくと整理しやすくなります。

この問題の根拠出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。