電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度下期 電力 問11|送電(電気的特性・計算)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

直流送電に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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正解は 3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

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解説

電験三種「電力」の直流送電に関する正誤問題(令和5年度下期 問11)。正答は(3)です。

交流は電流が半サイクルごとに自然にゼロを通過するため、そのタイミングでアークを消弧でき、遮断器の構造が比較的簡単です。一方、直流は電流が自然にゼロにならないため、強制的に電流を転流・遮断する特別な回路(直流遮断器)が必要で、交流より遮断は難しくなります。したがって「直流の遮断の方が容易」とする(3)が誤りで、正答は(3)です。

【直流送電の特徴と遮断の難しさ】(令和5年度下期 問11)

各選択肢を順に検討します。

(1) 直流送電で交流系統と連系するには、整流(AC→DC)と逆変換(DC→AC)を行う交直変換所が両端に必要です。正しい記述です。

(2) 直流送電には交流特有の同期安定度(発電機間の位相のずれによる脱調)の制約がなく、非同期系統どうしの連系や長距離・海底ケーブル送電に適します。正しい記述です。

(3) 交流は電流が1サイクルに2回自然にゼロを通過するため、そのゼロ点でアークが消え遮断が容易です。直流には自然な電流ゼロ点がないため、電流を転流させる回路や半導体素子を使った特別な直流遮断器が必要になり、同じ電圧・電流条件なら直流の遮断の方が交流より困難です。よってこの記述は誤りです。

(4) 直流は電磁誘導を利用する変圧器では昇圧・降圧できず、電力変換器(コンバータ)を介する必要があります。正しい記述です。

(5) 交直変換器(サイリスタ・IGBT等のスイッチング動作)は電流・電圧波形をひずませ高調波を発生させるため、交流側・直流側双方にフィルタが必要です。正しい記述です。

以上より、誤っているのは(3)です。

【直流送電(HVDC)の遮断技術と採用理由】(令和5年度下期 問11)

直流送電が「遮断しにくい」のは、交流の遮断器がアーク消弧のタイミングとして電流の自然なゼロ点(1サイクルに2回)を利用できるのに対し、直流にはこの性質がないためです。直流で電流を止めるには、①機械式遮断器に転流回路(LC共振で強制的に電流をゼロに振動させる)を組み合わせる方式や、②IGBT・IGCTなど自己消弧形の半導体素子を多数直列にしたハイブリッド遮断器(電流を半導体側に迂回させてから高速で遮断する)が使われます。いずれも交流遮断器に比べて構造が複雑で、電圧・電流容量が大きくなるほどコストと技術的難易度が上がります。

それでも直流送電(HVDC)が採用される理由は、(1)(2)(4)(5)で挙げた特徴の裏返しです。同期安定度の制約を受けないため、周波数の異なる系統どうし(例:50Hz系統と60Hz系統)や、交流のままでは安定度上送電できない超長距離・海底ケーブル送電が可能になります。また交流ではケーブルの静電容量による充電電流が大きく、長距離になるほど送れる有効電流が減りますが、直流では定常時の充電電流がほぼ流れないため、長距離海底ケーブルでの送電効率が交流より優れます。

日本国内でも北海道・本州間連系設備(北本連系)や紀伊水道直流連系などでHVDCが使われ、異なる系統間を電気的に切り離したまま電力を融通する役割を担っています。直流系統を多端子化するほど事故区間だけを切り離す直流遮断器が必要になるため、(3)の「遮断の難しさ」は直流送電の普及を左右する技術課題です。(5)の高調波も、交直変換器が電流を切り替えて変換する以上避けられない現象で、変換所には交流フィルタなどの設備が必要になります。

この問題の根拠出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。