電線とケーブルの違いを、導体・絶縁体・外装の構造で整理します。絶縁電線(IV)、ケーブル(VVF・VVR・CV)、コード、キャブタイヤケーブルの名前の読み方と、どの工事に使うかを、電気設備に関する技術基準を定める省令と電気設備の技術基準の解釈の条文で確認します。線の太さの表し方(直径と断面積)の計算例と、第二種電気工事士の学科での使われ方も示します。
目次
結論:電線は「電気を通す線」の総称で、条文の上ではケーブルも電線に含まれます。ふだん使い分ける言葉は4つです。絶縁電線は「導体を絶縁体で包んだ線」(IVなど)、ケーブルは「絶縁した線の外側を、さらに外装(シース)で守った線」(VVF・VVR・CVなど)、コードは「やわらかく、電気器具につなぐ線」、キャブタイヤケーブルは「移動して使う、丈夫な外装のケーブル」です。第二種電気工事士の学科では、名前(IV・VVF・CV・コード)と最高許容温度、配線図の電線の種類、線の太さの表し方が出てきます。
「電線」と「ケーブル」は、日常では同じ意味で使われますが、電気工事の世界では、構造と使う場所で呼び分けます。この記事は、省令と電気設備の技術基準の解釈(以下「解釈」)の定義、電気技術者試験センターが公表した直近5回の学科問題の名称の出し方を根拠に、名前の読み方と使い分けを整理します。管(電線管)や配管材料は電線管・配管材料の記事、EM-EEFとVVFの違いはEM-EEFとVVFの記事で扱っています。
試験センター非提携:本サイトは一般財団法人 電気技術者試験センターと一切関係ありません。試験の出題・資料は、出典を示して内容を紹介しています。製品名やメーカーは扱いません。
解釈の版:電気設備の技術基準の解釈は、令和7年11月20日改正の版が経済産業省のページに掲載されています。条文の番号や数値は改正で変わることがあります。最終確認日:2026-10-08。出典:経済産業省 電気事業法 告示・内規等、電気設備の技術基準の解釈(PDF)。
電線とは:条文での意味と範囲
省令第1条第七号は、「電線」を「強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体」と定義しています。この定義には3つの形が並んでいます。
| 省令第1条の言い方 | 形 | 呼び名の例(当サイトの整理) |
|---|---|---|
| 電気導体 | 被覆のない金属線 | 裸電線 |
| 絶縁物で被覆した電気導体 | 導体+絶縁体 | 絶縁電線(IVなど) |
| 絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体 | 導体+絶縁体+外装 | ケーブル(VVF・VVR・CVなど)、キャブタイヤケーブル |
つまり、条文の「電線」は、裸の線・絶縁電線・ケーブルを全部含む広い言葉です。ふだん「電線とケーブル」と並べて言うときの「電線」は、このうち絶縁電線のことを指す場合がほとんどです。
なお、電気を使う場所(電気使用場所)の電線に、裸電線を使うことは原則できません。解釈第144条は、がいし引き工事の一部の場合など、六つの場合を除いて、裸電線を使用しないことを定めています。
電線・絶縁電線・コード・ケーブルの違い(構造で見る)
次の表は、4つの線を、構造と条文の根拠で並べたものです(当サイトの整理)。
| 名前 | 構造 | 解釈の根拠 | 主な使いどころ |
|---|---|---|---|
| 絶縁電線 | 導体を絶縁体で被覆した線。外装はない | 第5条第二号が「絶縁物で被覆した電気導体」と定める | 電線管(金属管・合成樹脂管)の中に通す。分電盤内の配線など |
| ケーブル | 絶縁した線(心線)の外側を、外装(シース)で保護した線 | 第9条第二号が「絶縁物で被覆した上を外装で保護した電気導体」と定める(低圧のもの) | 壁・天井・床下の配線。ケーブル工事 |
| キャブタイヤケーブル | 絶縁した線の外側を、丈夫な外装で保護した、移動して使う電線 | 第8条第二号が「絶縁物で被覆した上に外装で保護した電気導体」と定める | 移動電線。工事の方法によっては、ケーブル工事にも使える(第164条の表) |
| コード | やわらかい線を絶縁体で包んだ、電気器具につなぐ線 | 第7条は「電気用品安全法の適用を受けるものであること」と定める | 電球線(第170条)、移動電線(第171条) |
表の第5条・第8条・第9条の構造の規定は、電気用品安全法の適用を受けるもの以外の電線が満たす性能として定められたものです(第9条第二号には、低圧水底電線路のケーブルに関するただし書があります)。
シース(sheath)は、ケーブルの一番外側の保護の層を指す言葉です。この外装があるから、ケーブルは管に通さずに、そのまま配線に使えます。絶縁電線は外装がないため、壁の中などで直接使えず、電線管などに通して守ります。
名前の読み方:IV・VVF・VVR・CV
試験に出る線の名前は、材料と形を並べた長い名前を、アルファベットで略したものです。次の表は、センター公表の学科問題で使われている名称と略号をまとめたものです。
| 略号 | 名称(試験問題の表記) | 構造 | 表記の読み方(当サイトの整理) |
|---|---|---|---|
| IV | 600V ビニル絶縁電線 | 導体+ビニルの絶縁体 | 外装がない絶縁電線。ビニル絶縁電線の略号 |
| VVF | 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 | 導体+ビニルの絶縁体の心線を並べ、ビニルのシースで平たく包む | 絶縁体もシースもビニル。最後のFは平形 |
| VVR | 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形 | 同じ材料で、断面が丸い | 最後のRは丸形 |
| CV | 600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 導体+架橋ポリエチレンの絶縁体+ビニルのシース | 絶縁体が架橋ポリエチレン、シースがビニル |
| EM-EEF | 600V ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 | 導体+ポリエチレンの絶縁体+耐燃性ポリエチレンのシース | 絶縁体とシースの材料がVVFと違う(詳しくはEM-EEFとVVFの記事) |
「600V」は、使える電圧の目安(定格電圧)を表します。名前に「ビニル」が2回出てくるVVFは、1回目が絶縁体、2回目がシースの材料です。
出典:センター公表の学科試験問題(令和6年度上期、令和6年度下期、令和7年度下期)の名称と略号。
絶縁物の最高許容温度は、絶縁物の材料で決まります。センター公表の学科試験問題と解答によると、600V ビニル絶縁電線(IV)は60℃、600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)は90℃です。
太さと心数の表し方:直径と断面積
配線図や名称には、「VVF1.6」「VVF2.0-3C」「CV 5.5-2C」のような数字が付きます。数字の意味は、次のとおりです(当サイトの整理)。
| 表記 | 数字の意味 | 例 |
|---|---|---|
| 単位がmmの数字 | 導体の直径(単線) | VVF1.6 は直径1.6mm |
| 単位がmm2の数字 | 導体の断面積(より線) | CV 5.5-2C は断面積5.5mm2 |
| 数字+C | 心線の数 | 2C は2心、3C は3心 |
解釈第146条第1項は、低圧配線について、「直径1.6mmの軟銅線若しくはこれと同等以上の強さ及び太さのもの又は断面積が1mm2以上のMIケーブル」であることを求めています(ただし書で、使用電圧が300V以下の場合の例外が定められています)。同じ条文の中に、直径と断面積の2つの表し方が出てきます。
直径と断面積の関係(当サイトの計算)
円の面積は 半径×半径×円周率 で求めます。
- 直径1.6mm(半径0.8mm)の導体の断面積:0.8×0.8×3.14=2.0096、約2.0mm2
- 直径2.0mm(半径1.0mm)の導体の断面積:1.0×1.0×3.14=3.14、約3.1mm2
- 直径が1.6mmから2.0mmへ1.25倍になると、断面積は 1.25×1.25=1.5625、約1.56倍になります(3.14÷2.0096=1.5625 とも一致)
直径が少し太くなっただけで、断面積(電流を通す面積)は大きく増えます。線の太さは「直径」と「断面積」のどちらで書かれているかを、名前の数字の単位(mmかmm2か)で見分けます。
どの工事にどの線を使うか
使う線の種類は、工事の方法で決まります。次の表は、解釈の条文を整理したものです(当サイトの整理)。
| 工事・場面 | 使う線 | 解釈の条文 |
|---|---|---|
| 合成樹脂管工事 | 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)。より線、または直径3.2mm(アルミ線は4mm)以下の単線(短小な管に収めるものを除く) | 第158条第1項第一号・第二号 |
| 金属管工事 | 同上 | 第159条第1項第一号・第二号 |
| ケーブル工事 | ケーブル。キャブタイヤケーブルは種類と場所により使える | 第164条第1項(164-1表) |
| 電球線(造営物に固定しない白熱電灯に至る線) | コード、キャブタイヤコード、キャブタイヤケーブルなど。断面積0.75mm2以上、使用電圧300V以下 | 第170条 |
| 低圧の移動電線 | コード、キャブタイヤコード、キャブタイヤケーブルなど。断面積0.75mm2以上 | 第171条 |
| ショウウィンドー・ショウケース内の低圧屋内配線(外部から見えやすい箇所に限る。乾燥した場所・使用電圧300V以下などの条件つき) | 断面積0.75mm2以上のコードまたはキャブタイヤケーブルを、造営材に接触して施設できる | 第172条第1項 |
出典:電気設備の技術基準の解釈第142条・第158条・第159条・第164条・第170条〜第172条。電線管の種類と配管材料は電線管・配管材料の記事、工事の方法の全体は第二種電工 工事の方法の記事に整理しています。
使い分けの考え方は、次の3つです。
- 管に通すなら、絶縁電線(IVなど)。 管が外装の代わりに電線を守ります。
- 管に通さず、そのまま配線するなら、ケーブル(VVF・VVR・CVなど)。 外装(シース)が電線を守ります。
- 移動するもの・器具につなぐものは、コードやキャブタイヤケーブル。 造営物に固定しない電線です。
試験での使われ方
次の表は、センターが公表した直近5回(令和6年度上期〜令和8年度上期)の学科問題から、電線・ケーブル・コードの名前や性質にかかわる問題の例を、問いの型で分けたものです(当サイトの整理。問題文の引用はしていません)。
| 問いの型 | 該当する問題(回・問番号) | 解くときに見るところ |
|---|---|---|
| 絶縁物の最高許容温度 | 令和6年度上期 問12(IV)、令和6年度下期 問12(CV)、令和7年度下期 問12(ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形) | 線の名前と、絶縁物の材料ごとの最高許容温度 |
| ゴムコードの許容電流から、使える電熱器具を選ぶ | 令和7年度上期 問12、令和8年度上期 問12 | コードの断面積(1.25mm2・0.75mm2)と、100Vで流れる電流(消費電力÷100V) |
| 写真に示す材料の名称 | 令和6年度下期 問16 | 表面に記された文字から、ケーブルの名称を読み取る |
| 配線図で示された電線・ケーブルの名称 | 令和6年度下期 問34、令和7年度下期 問35 | 絶縁体とシースの材料の組合せ、平形かどうか |
| 配線図の注記 | 5回とも | 屋内配線の工事が、特記のある場合を除きVVFを用いたケーブル工事であるという前提(回によっては動力回路の扱いも注記される)を読み取る |
出典:センター公表の学科試験問題と解答。令和6年度上期、令和6年度下期、令和7年度上期、令和7年度下期、令和8年度上期。出題範囲:電気技術者試験センター 第二種電気工事士の学科試験のポイント。
センターは、学科試験の科目として、「電気工事用の材料の材質及び用途」と、「配線工事の方法」「コード及びキャブタイヤケーブルの取付方法」を挙げています。電線の名前と性質は、材料の科目と工事の科目をまたいで問われます。
ゴムコードの許容電流の問いは、「許容電流と消費電力の関係」を使います。たとえば、100Vの電熱器具の消費電力が600Wなら、流れる電流は 600W÷100V=6A です(当サイトの作例)。このようにして、コードの許容電流を超えない最大の消費電力を選びます。
間違えやすいポイント
- ケーブルも、条文の上では電線です。 「電線とケーブルは別のもの」と決めつけず、問われている言葉が絶縁電線なのか、電線全般なのかを見ます。
- IVは外装がなく、VVFは外装があります。 IVは、管などに収めるか、がいし引き工事で造営材から離して施設します(解釈第157条〜第159条など)。VVFはケーブル工事でそのまま配線できます。
- VVFは平形、VVRは丸形です。 「ビニル絶縁ビニルシースケーブル」までは同じ名前で、最後の「平形」か「丸形」で区別します。
- 数字の単位を見ます。 「1.6」はmmなら直径、mm2なら断面積です。「2.0」と「2.0mm2」は別の太さです。
- 「2C」は心線の数です。 太さの数字と取り違えないようにします。
- コードは、造営物に固定しない電線です。 固定する屋内配線にコードを使えるのは、解釈が認める場合(たとえばショウウィンドー内の配線)に限られます。
- 最高許容温度は、材料ごとに違います。 IVは60℃、CVは90℃と、名前ごとに値が決まります。
まとめ
- 条文(省令第1条)の「電線」は、電気導体・絶縁した電気導体・絶縁して保護被覆で守った電気導体のすべてを含む。ケーブルも電線の一種
- 絶縁電線(IV)は導体+絶縁体。外装がないため、主に管に通して使う(解釈第158条・第159条)
- ケーブル(VVF・VVR・CV)は、絶縁した線の外側を外装(シース)で守る。ケーブル工事で、そのまま配線できる(解釈第164条)。VVFは平形、VVRは丸形
- コードは電球線・移動電線の電線(解釈第170条・第171条)。断面積は0.75mm2以上
- 太さは、単線は直径(mm)、より線は断面積(mm2)で表記される。直径1.6mmの導体の断面積は約2.0mm2(当サイトの計算)
- 試験では、名前と最高許容温度(IVは60℃、CVは90℃)、ゴムコードの許容電流、配線図の電線の種類が出る
関連:EM-EEFケーブルとVVFの違い・電線管・配管材料・第二種電工 工事の方法・配線図問題の出題パターンと図記号。第二種電気工事士の試験全体は第二種電気工事士の学習ページから確認できます。
よくある質問
Q電線とケーブルは、何が違いますか?
日常の言い方では、電気を通す線全般を電線、外側を丈夫な外装(シース)で包んだ線をケーブルと呼び分けます。条文の上では、電気設備に関する技術基準を定める省令第1条が、電線を「強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体」と定めており、ケーブルもこの意味の電線に含まれます。電気設備の技術基準の解釈は、電気用品安全法の適用を受けるもの以外の電線が満たす性能として、絶縁電線(第5条第二号)の構造を「絶縁物で被覆した電気導体」、低圧ケーブル(第9条第二号)の構造を「絶縁物で被覆した上を外装で保護した電気導体」と定めています(第9条第二号には、低圧水底電線路のケーブルは外装を有しないものとすることができるという、ただし書があります)。出典:電気設備に関する技術基準を定める省令第1条、電気設備の技術基準の解釈第5条・第9条。
QIVとVVFの違いは何ですか?
IVは「600V ビニル絶縁電線」で、導体をビニルの絶縁体で包んだだけの線です。VVFは「600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」で、絶縁した線(心線)を複数本(2心・3心など)並べ、その外側をビニルの外装(シース)で包んで平たくしたケーブルです。IVは主に管(金属管・合成樹脂管など)の中に通して使い、VVFは外装があるため、そのままケーブル工事で配線できます。名前は、センター公表の学科問題の表記によります。出典:令和6年度上期 学科試験問題、電気設備の技術基準の解釈第158条・第159条・第164条。
QVVFとVVRは、どこが違いますか?
Qコードとケーブルは、どう使い分けますか?
電気設備の技術基準の解釈は、電球線(第170条)や低圧の移動電線(第171条)に使える電線の種類として、コードを挙げています(キャブタイヤコードやキャブタイヤケーブルなども並びます)。電球線も移動電線も、造営物(建物など)に固定しない電線です。電線の断面積は、電球線は0.75mm2以上、低圧の移動電線も0.75mm2以上と決められています(移動電線は、第181条の小勢力回路の規定によるものなどを除きます)。壁や天井に固定して施設する屋内配線は、ケーブルや絶縁電線を、解釈第156条以降の工事の方法に従って使います。出典:電気設備の技術基準の解釈第142条第五号・第六号、第170条、第171条。
Q「VVF1.6」と「CV5.5」の数字は、何を表していますか?
電線の太さです。「VVF1.6」の1.6は、導体の直径が1.6mmであることを表します。「CV5.5」の5.5は、導体の断面積が5.5mm2であることを表します。「2C」「3C」は、心線(中の線)の数が2本、3本であることを表します。センター公表の学科問題では、配線図の注記や図面中の表記に、直径(mm)の表し方と断面積(mm2)の表し方の両方が出ています。解釈第146条も、低圧配線の太さを「直径1.6mmの軟銅線」「断面積が1mm2以上のMIケーブル」のように、直径と断面積で書き分けています。出典:電気設備の技術基準の解釈第146条。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月8日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

