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フリップフロップとは?SR・D・JK・T型の動きと順序回路基本情報

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

フリップフロップは、二つの安定した状態をもち、1ビットの値を保持できる回路です。順序回路と組合せ回路の違い、SR・D・JK・T型の動作表、全加算器の真理値表と半加算器からの組み立て方を、自作の検算つきで整理。IPAの公開問題(フリップフロップ・SRAM)の解き方も載せています。

目次
  1. フリップフロップとは:1ビットを保持する回路
  2. 組合せ回路と順序回路:出力が何で決まるか
  3. SRフリップフロップ:セットとリセット
  4. D・JK・T型:入力の使い方を変えた型
  5. メモリとの関係:SRAMの記憶セル
  6. 全加算器:半加算器2個とORで作る
  7. フリップフロップで間違えやすい点
  8. まとめ
結論:フリップフロップは、二つの安定した状態をもち、1ビットの値を保持できる回路です。出力が「いまの入力」だけでなく「それまでの状態」にも左右されるので、順序回路の基本構成要素とされます。SRAMの記憶セルに使われ、基本情報技術者試験の公開問題では、平成22年度 春期 午前 問25と平成31年度 春期 午前 問21が、この関係を問いました。IPAのシラバス Ver.9.2では、ハードウェアの電気・電子回路の用語例に「フリップフロップ」が挙がっています。

当サイトに収録している基本情報技術者試験の公開問題520問のうち、フリップフロップ・順序回路・加算器・ラッチの語を問題文か選択肢に含むものは5問でした。フリップフロップそのものが主題なのは、平成22年度 春期 午前 問25と平成31年度 春期 午前 問21の2問で、残る3問(平成21年度 秋期 午前 問22・平成27年度 春期 午前 問22・平成30年度 秋期 午前 問21)は、メモリの説明の選択肢にこの語が出てくる問題です。IPAの科目A・科目Bの公開PDF(サンプル問題と令和5〜8年度)の全文にも、この語を使った問題の記載がありません(2026-10-21 時点)。午前の問題冊子は画像のため、午前は当サイトの収録分に限った集計です。数は語を含む問題の数で、出題の多さを示すものではありません。

シラバスの版:基本情報技術者試験は Ver.9.2。最終確認日:2026-10-21。出典:IPA 試験要綱・シラバスについて。

フリップフロップとは:1ビットを保持する回路

通常の論理回路(ANDやOR)は、入力をやめると出力も消えます。フリップフロップは、入力を変えて「0にする」「1にする」と指示すると、そのあとは指示をやめても、その値を出力し続けます。二つの安定状態(0を出力している状態と、1を出力している状態)をもつので、1ビットの記憶として使えます。

IPAの平成22年度 春期 午前 問25は、これをそのまま問うています。「二つの安定状態をもつ回路で,SRAM の記憶セルに使用される順序回路の基本構成要素はどれか。」で、選択肢はア ANDゲート、イ 加算器、ウ キャパシタ、エ フリップフロップ。IPAの解答例の正解はエです(IPA 問題PDF・解答例PDF)。ANDゲートと加算器は、入力だけで出力が決まる回路(次の節)で、状態を保持しません。キャパシタは回路を構成する部品の一つで、問題文の「順序回路の基本構成要素」にはあたりません。

組合せ回路と順序回路:出力が何で決まるか

種類出力の決まり方例(当サイトの整理)
組合せ回路いまの入力だけで決まるAND・OR・NOT・半加算器・全加算器
順序回路いまの入力と、それまでの状態で決まるフリップフロップ、それを組み合わせたカウンタなど

シラバスの位置は次のとおりです。「順序回路,組合せ回路,NAND回路」は、大分類2 コンピュータシステム/中分類3 コンピュータ構成要素/1. プロセッサ/(6) プロセッサの動作原理/① 演算の仕組み(半加算器・全加算器が基本の論理回路の組合せで実現されると理解する項目)の用語例です。「フリップフロップ」は、中分類6 ハードウェア/1. ハードウェア/(1) 電気・電子回路の用語例(NAND回路,フリップフロップ,論理式,正論理,負論理,真理値表)です(IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2 PDFのページ 17・29)。ANDやORなどの真理値表は、論理回路の記事にまとめています。

SRフリップフロップ:セットとリセット

もっとも基本的な型が SR(セット・リセット)です。NOR回路2個を互いにつないで作る形で、入力 S(セット)と R(リセット)を使います。当サイトで、NOR回路2個のモデルを Python で計算して作った動作表です(これはシラバスの用語例にない一般的な説明で、IPAの定義ではありません)。

SR出力 Q(直前の Q が 0 のとき)出力 Q(直前の Q が 1 のとき)動き
0001直前の値を保持
0100リセット(0にする)
1011セット(1にする)
11両方の出力が0両方の出力が0使わない入力

S と R がどちらも1のときは、Q と、Q の反転を出すはずの出力がどちらも0になり、反転の関係が崩れます。その後、S と R を同時に0に戻すと、結果が不定になるので、この入力の組は使わないのが一般的です(当サイトの説明)。

D・JK・T型:入力の使い方を変えた型

クロック(時刻をそろえる信号)に合わせて動く型が、一般によく説明されます。次の表は、クロックの1回の区切りでの、入力と次の出力 Q' の関係です(当サイトの計算で、全行をPythonで出力)。

型入力動き(Q' = クロック後の Q)
DDQ' = D。入力の値をそのまま取り込む
JKJ=0, K=0Q' = Q(保持)
JKJ=0, K=1Q' = 0
JKJ=1, K=0Q' = 1
JKJ=1, K=1Q' = Q の反転
TT=0Q' = Q(保持)
TT=1Q' = Q の反転

JK型は、SR型で使えなかった「両方が1」の入力を、反転の動作に割り当てた形と見ることができます。T型で T=1 のまま、クロックごとに出力が反転すると、Q は 1、0、1、0 と変わります(Pythonで8回分を出力)。出力の変化の周期が、クロックの2倍になるので、周波数は半分になります。この性質は、カウンタ(数を数える回路)の部品として使えます。

メモリとの関係:SRAMの記憶セル

フリップフロップ1個は1ビットを保持します。8個並べれば8ビット(1バイト)です(ビットとバイトの記事)。

平成31年度 春期 午前 問21は、「メモリセルにフリップフロップ回路を利用したものはどれか。」で、選択肢はア DRAM、イ EEPROM、ウ SDRAM、エ SRAM。IPAの解答例の正解はエです(IPA 問題PDF・解答例PDF)。平成22年度 春期 午前 問25の「SRAMの記憶セルに使用される順序回路の基本構成要素」と同じ関係を、逆の向きから問うています。つまり、「SRAM ⇔ フリップフロップ」の1組を覚えておけば、2問とも解けます。

全加算器:半加算器2個とORで作る

足し算の回路は、フリップフロップと違い、組合せ回路です。半加算器(用語集)は、2つの1ビットの足し算で、和=A XOR B、桁上がり=A AND B です(論理回路の記事に真理値表があります)。全加算器は、下の桁からの桁上がり Cin も足します。

ABCin和(A XOR B XOR Cin)桁上がり CoutA+B+Cin
000000
001101
010101
011012
100101
101012
110012
111113

検算:「Cout、和」を2進数の2桁として読んだ値が、A+B+Cin と一致します(8行すべてをPythonで確認)。作り方は、半加算器で A と B を足し、その和と Cin をもう1つの半加算器で足し、2つの桁上がりをORにまとめます(Coutは、2つの桁上がりのどちらかが1のとき1。全8通りで、上の表と一致します)。

全加算器を、桁の数だけ連ねると、複数ビットの足し算ができます。自作の例で、0110(6)+ 0111(7)を、下の桁から順に処理すると、1101(13)になります(Pythonで4桁分を処理して一致)。

フリップフロップで間違えやすい点

  • 「記憶できる」の意味を取り違える:電源を切っても残る記憶ではありません。電気が供給されている間だけ、1ビットを保持します(当サイトの説明)
  • 組合せ回路と順序回路を取り違える:加算器や論理ゲートは組合せ回路(状態を持たない)、フリップフロップは順序回路の基本構成要素
  • SRAMとDRAMの取り違え:フリップフロップで構成されるのはSRAM(平成31年度 春期 午前 問21)
  • JK型の「1,1」を禁止入力と思い込む:SR型の「両方1」は使わない入力、JK型の「両方1」は反転の動作です

まとめ

  • フリップフロップは、二つの安定状態をもち、1ビットを保持する回路。順序回路の基本構成要素で、SRAMの記憶セルに使われる
  • 組合せ回路は出力がいまの入力だけで決まり(論理ゲート・加算器)、順序回路は過去の状態にも左右される
  • SR・D・JK・T型の動作表は補足。シラバス Ver.9.2 の用語例は「フリップフロップ」まで
  • 全加算器は、半加算器2個とORで作れる。8通りの真理値表で、桁上がり・和を検算できる
  • 公開問題は、平成22年度 春期 午前 問25(正解エ)と平成31年度 春期 午前 問21(正解エ)が、フリップフロップとSRAMの対応を問うた
  • 関連:論理回路・基数変換

よくある質問

Qフリップフロップを一言で言うと何ですか?

二つの安定した状態をもち、1ビット(0か1)の値を保持できる回路です。IPAの平成22年度 春期 午前 問25は、「二つの安定状態をもつ回路で,SRAM の記憶セルに使用される順序回路の基本構成要素」を問い、正解はフリップフロップです。セットやリセットの指示をやめたあとも、次の指示があるまで、その値を出力し続けます。

Q順序回路と組合せ回路は、何が違いますか?

組合せ回路は、出力が「いまの入力」だけで決まる回路です(AND・OR・加算器など)。順序回路は、出力が「いまの入力」と「それまでの状態」で決まる回路で、フリップフロップがその基本構成要素です。上の2つの説明は当サイトの説明です。IPAのシラバス Ver.9.2 は、用語例に順序回路・組合せ回路を挙げています。

QSR・D・JK・Tの型の違いは、試験で覚える必要がありますか?

IPAのシラバス Ver.9.2 には、フリップフロップの型(SR・D・JK・T)の記載がありません(2026-10-21 時点)。シラバスの用語例は「フリップフロップ」までです。当サイトで調べた公開問題も、型の名前を問う形ではなく、フリップフロップの役割や、SRAMとの関係を問うものでした。型の動きは、仕組みの理解を深める補足として読んでください。

Q全加算器は、半加算器とどう違いますか?

半加算器は、2つの1ビットを足して「和」と「桁上がり」を出す回路です。全加算器は、下の桁からの桁上がりも含めて、3つの1ビット(A、B、下からの桁上がり)を足します。全加算器は、半加算器2個とOR回路1個で作れます(当サイトのPythonによる全8通りの検算で一致)。

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