基本情報技術者試験の論理回路を、IPAのシラバスVer.9.2と公開問題で整理。6つの論理素子の真理値表、真理値表の書き方、問題冊子に付く図記号の凡例の読み方、半加算器・ド・モルガンの法則、出題パターンの解き方を、自作の例と検算つきで解説します。
目次
結論:基本情報技術者試験の論理回路は、AND・OR・NOT(基本)とXOR・NAND・NORの6つの素子について、入力の組ごとに出力が0か1かを表す「真理値表」を使いこなせれば対応できます。IPAのシラバスVer.9.2では、論理演算(真理値表・ド・モルガンの法則)が基礎理論に、AND回路・OR回路・NOT回路と半加算器・全加算器がコンピュータ構成要素に、論理回路の動作原理がハードウェアに載っています。令和8年度の公開問題の冊子には、図記号と名前の対応表が「表記ルール」として付いていました。ただし令和5〜7年度の公開問題の冊子にはこの欄がないため、基本の素子の図記号は見分けられるようにしておくと安心です。
当サイトに収録している基本情報技術者試験のIPA公開問題520問のうち、論理演算・ビット演算・論理式・真理値・フリップフロップなどの語を問題文か選択肢に含むものは13問でした(2026-10-04 集計。語を含む問題の数で、出題頻度ではありません)。回路図そのものを読ませる問題は図が文字データに含まれないため、この集計に入っていない場合があります。
| 素子 | 出力が1になる条件 | 入力(A,B)=00,01,10,11 の順の出力 |
|---|---|---|
| AND(論理積) | 入力がすべて1 | 0,0,0,1 |
| OR(論理和) | 入力の少なくとも一つが1 | 0,1,1,1 |
| NOT(論理否定) | 入力が0(1入力) | 入力0→1、入力1→0 |
| XOR(排他的論理和) | 入力が異なる | 0,1,1,0 |
| NAND(否定論理積) | ANDの出力を反転 | 1,1,1,0 |
| NOR(否定論理和) | ORの出力を反転 | 1,0,0,0 |
出典:IPA 基本情報技術者試験(レベル2)シラバス Ver.9.2(用語例の素子名)。表の値は自作で、Pythonで全行を出力して確認しました。
シラバスの版:基本情報技術者試験のシラバスはVer.9.2。最終確認日:2026-10-04。出典:IPA 試験要綱・シラバスについて。
論理回路とは:AND・OR・NOT・XOR・NAND・NORの働き
論理回路は、0と1の入力を受け取り、決まった規則で0か1を出力する回路です。基本になるのはAND・OR・NOTの3つで、XOR・NAND・NORはその組合せや反転として作れます。シラバスは「論理演算」の用語例に、否定・論理和・論理積・排他的論理和・否定論理和・否定論理積・論理関数・分配則を挙げています。
- AND:2つの入力がどちらも1のときだけ1。スイッチを直列につないだ回路にたとえられます
- OR:どちらか一方でも1なら1。スイッチを並列につないだ回路にたとえられます
- NOT:入力を反転する。1入力の素子です
- XOR:入力が異なるときだけ1。同じ値なら0になります
- NAND・NOR:それぞれAND・ORの出力を反転したものです
NANDまたはNORだけで、他のすべての素子を作れることが知られています。ただし、この点はシラバスの用語例には書かれていないので、試験対策としては、まず6素子の真理値表を覚えるほうを優先してください。
真理値表の書き方:入力の組をすべて並べ、左から順に出力を求める
回路の出力を調べる基本は、真理値表を書くことです。手順は次のとおりです。
- ① 入力の組をすべて並べる。入力が2つなら4行、3つなら8行(行数は2の入力数乗)
- ② 途中の素子の出力を、列を増やして1つずつ求める
- ③ 最後の素子の出力を求める
自作の例です。入力A・B・Cがあり、出力Y=(A AND B) OR (NOT C) とします。
| A | B | C | A AND B | NOT C | Y |
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 |
| 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 |
検算(別の考え方):Yが0になるのは、A AND Bが0で、かつNOT Cが0(つまりC=1)のときだけです。C=1でA・Bがどちらも1ではない組は、(A,B,C)=(0,0,1)・(0,1,1)・(1,0,1)の3つで、表でYが0の行と一致します。Pythonで全8行を出力しても同じ結果でした。
シラバスは、この手法を「論理式の表現,論理演算,ド・モルガンの法則などの基本法則,真理値表の手法を理解する。」と書いています。ド・モルガンの法則は、NOT (A AND B)=(NOT A) OR (NOT B)、NOT (A OR B)=(NOT A) AND (NOT B) の2つです。自作の確認として、A,B=00,01,10,11 の4通りすべてで両辺が一致します(Pythonで確認)。
この論点の問題を解く(真理値表・論理演算・命題)
- 真理値表から論理演算を求める(令和6年度 科目A 問1)
- 命題の真理値からQ・Rを求める(2022年サンプル問題 問3)
- 全ビットを反転する操作(令和元年度秋期 問2)
- 負数を2の補数で表す式(2022年サンプル問題 問1)
回路図の読み方:問題冊子の「表記ルール」で図記号を確認する
令和8年度の公開問題(科目A)の冊子には、「問題文中で共通に使用される表記ルール」という欄があります。2ページ目にあり、「1. 論理回路」の図記号と、名前の対応が示されています。令和5・6・7年度の公開問題の冊子には、この欄はありません(2026-10-04 時点の各冊子)。回路図の問題に凡例がいつも付くとは言えないので、凡例を見ながら解く練習と、図記号を見て素子を見分ける練習の両方をしておくと安心です(当サイトの提案)。令和8年度の凡例は次のとおりです(IPA 令和8年度 科目A 公開問題)。
| 凡例の名前 | 働き |
|---|---|
| 論理積素子(AND) | 入力がすべて1のとき1 |
| 否定論理積素子(NAND) | ANDの出力を反転 |
| 論理和素子(OR) | 入力の少なくとも一つが1のとき1 |
| 否定論理和素子(NOR) | ORの出力を反転 |
| 排他的論理和素子(XOR) | 入力が異なるとき1 |
| 論理一致素子 | 入力が一致するとき1(XORの出力を反転した関係) |
| バッファ | 入力をそのまま出力 |
| 論理否定素子(NOT) | 入力を反転 |
| スリーステートバッファ | 制御入力によって、出力するか、つながない状態にするかを切り替える |
※凡例に載っているのは名前と図記号だけです。「働き」の列は、IPAの凡例ではなく、論理回路の一般的な説明として当サイトが補ったものです。
凡例には、素子や回路の入力部または出力部に示される○印が、論理状態の反転(否定)を表すという注意書きもあります。図記号の形は、このサイトでは再描画せず、IPAの公開問題の冊子で確認してください。
回路図の問題を解く手順の例です。
- ① 凡例で、問題の図に使われている記号の名前を確認する
- ② 反転を表す印が、入力側・出力側のどこに付いているかに注意する
- ③ 入力に値(0・1)を与え、左から右へ、素子ごとに出力を書き込む
- ④ 最後の出力が、選択肢の真理値表や論理式と合うか確かめる
自作の例です。「A・BがANDの入力に、CがNOTの入力に入り、2つの出力がORの入力になる回路」は、前の節の Y=(A AND B) OR (NOT C) と同じ回路です。(A,B,C)=(1,0,0) を入れると、ANDは0、NOTは1で、ORの出力は1です。先の真理値表の(1,0,0)の行(Y=1)と一致します。
「論理一致素子」と「バッファ」「スリーステートバッファ」は、名前だけでは働きを思い出しにくい素子です。凡例の名前と働きの対応表を、問題を解く前に一度見ておくと迷いにくくなります。
出題パターンと解き方
パターン1:真理値表から、どの論理演算かを特定する
出力が1になる行を調べ、6素子の真理値表と照らします。自作の例です。(X,Y)=(0,0)→1、(0,1)→0、(1,0)→0、(1,1)→1 となる演算は、入力が一致するときだけ1なので、XORの出力を反転した論理一致(NOT (X XOR Y))です。XORの出力 0,1,1,0 を反転すると 1,0,0,1 になり、一致します。
パターン2:ビット演算(マスク・反転)
論理演算をビットごとに行うと、特定のビットを取り出す・反転する操作ができます。たとえば8ビットの値とFF(16進数。2進数で11111111)とのXORは、全ビットを反転します。XORは相手のビットが1のとき反転し、0のときそのまま出力するためです。自作の例で確認します。10110010 XOR 11111111=01001101(各ビットが反転)。逆に、01001101 XOR 11111111=10110010 に戻るので、2回のXORで元に戻ることも確認できます。
パターン3:半加算器・全加算器
シラバスは、AND回路・OR回路・NOT回路などの基本となる論理回路の組合せによって半加算器と全加算器が実現され、演算が行われていることを理解する、としています。半加算器は、2つの1ビットの値を足して、和と桁上がりを出す回路です。和=A XOR B、桁上がり=A AND B になります。
| A | B | 和(A XOR B) | 桁上がり(A AND B) | 足し算の結果 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 | 00(0) |
| 0 | 1 | 1 | 0 | 01(1) |
| 1 | 0 | 1 | 0 | 01(1) |
| 1 | 1 | 0 | 1 | 10(2) |
検算:「桁上がり、和」を2進数の2桁として読んだ値が、A+Bの値(0・1・1・2)と一致します(Pythonで確認)。
パターン4:順序回路とフリップフロップ
シラバスのハードウェアの欄は、用語例にNAND回路、フリップフロップ、論理式、正論理、負論理、真理値表を挙げています。フリップフロップは、二つの安定した状態をもち、1ビットの値を保持できる回路で、順序回路の基本構成要素です。メモリの種類と結びつけて問われることがあります。SR・D・JK・T型の動きと、半加算器から全加算器への組み立て方は、フリップフロップの記事にまとめています。
この論点の問題を解く(順序回路・フリップフロップ)
シラバスで、論理回路が載っている場所
論理回路・論理演算は、シラバスVer.9.2の次の3か所にあります。いずれもテクノロジ系の大分類1〜2の中です。
| 場所 | 内容(シラバスの記述) |
|---|---|
| 大分類1 基礎理論/中分類1 基礎理論/1. 離散数学/(5)論理演算 | 「論理式の表現,論理演算,ド・モルガンの法則などの基本法則,真理値表の手法を理解する。」用語例:否定,論理和,論理積,排他的論理和,否定論理和,否定論理積,論理関数,分配則 |
| 大分類2 コンピュータシステム/中分類3 コンピュータ構成要素/1. プロセッサ/(6)プロセッサの動作原理/① 演算の仕組み | AND回路・OR回路・NOT回路などの基本となる論理回路の組合せによって半加算器・全加算器が実現されることを理解する。用語例:順序回路,組合せ回路,NAND回路 |
| 大分類2 コンピュータシステム/中分類6 ハードウェア/1. ハードウェア/(1)電気・電子回路 | AND回路・OR回路・NOT回路などの動作原理を理解する。用語例:NAND回路,フリップフロップ,論理式,正論理,負論理,真理値表 |
出典:IPA 基本情報技術者試験(レベル2)シラバス Ver.9.2(PDFのページ 8・17・29)。出題範囲の改訂の全体像はシラバス9.0の変更点で扱っています。
論理回路の勉強の進め方(当サイトの提案)
IPAの案内ではなく、当サイトの提案です。
- ① 6素子の真理値表を、見ずに書けるようにする(この記事の最初の表)
- ② 入力が3つの真理値表を、自分で1つ作ってみる(上の自作例を参考にする)
- ③ 公開問題で、真理値表・ビット演算・フリップフロップの問題を解く
- ④ 回路図の問題は、公開問題の冊子の凡例を見ながら、手順①〜④で解く
試験の全体像と科目Aの攻略は科目A攻略法、科目Bの対策は科目Bの対策にまとめています。
まとめ
- 6素子(AND・OR・NOT・XOR・NAND・NOR)の真理値表を覚えるのが土台。論理一致素子はXORの出力を反転した関係
- 回路図の問題は、図記号の名前を確認し(令和8年度の公開問題冊子には「表記ルール」の凡例が付いていた)、入力を左から右へ流して出力を求める
- シラバスでは、論理演算が基礎理論、半加算器・全加算器がコンピュータ構成要素、論理回路の動作原理がハードウェアに載っている
- 半加算器は、和=A XOR B・桁上がり=A AND B。ド・モルガンの法則は、NOT (A AND B)=(NOT A) OR (NOT B)、NOT (A OR B)=(NOT A) AND (NOT B)
よくある質問
Q論理回路の図記号は覚えておく必要がありますか?
IPAの問題冊子には「問題文中で共通に使用される表記ルール」として、論理積素子(AND)・否定論理積素子(NAND)・論理和素子(OR)・否定論理和素子(NOR)・排他的論理和素子(XOR)・論理一致素子・バッファ・論理否定素子(NOT)・スリーステートバッファの図記号と名前の対応が載っています(令和8年度の公開問題冊子の記載。令和5〜7年度の公開問題冊子にはこの欄がありません)。凡例がいつも付くとは言えないので、基本の素子の図記号は見分けられるようにしたうえで、形の暗記より、各素子の入力と出力の関係(真理値表)を覚えておくほうが問題に使えます。
Q科目Bでも論理回路は出ますか?
当記事で確認できたのは、IPAのシラバスVer.9.2で論理回路・論理演算が載っている場所です。いずれもテクノロジ系の分野(基礎理論、コンピュータ構成要素、ハードウェア)で、試験要綱は科目Aを「知識を問う」、科目Bを「技能を問う」と区別しています。試験要綱Ver.5.6は科目Bの出題数を「アルゴリズムとプログラミング分野16問,情報セキュリティ分野4問」としており、論理回路の分野名は挙がっていません。そのため、この記事では科目Bでの出題の有無は断定しません。
Q論理一致素子とXORの違いは何ですか?
二つの入力が同じ値のときに1を出力するのが論理一致素子で、入力が異なるときに1を出力するXOR(排他的論理和)の出力を反転した関係です。真理値表で比べると、XORが0,1,1,0(入力 00,01,10,11 の順)のとき、論理一致は1,0,0,1になります。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

