問題
次の記述のうち、行政代執行法の規定に関して正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
アが正しいです。行政代執行法3条1項は、代執行をなすには「相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない」と規定しています。イは誤りです。戒告の後、期限までに履行しないときは、代執行令書(代執行をなすべき時期・執行責任者の氏名・費用の概算による見積額)で通知します(3条2項)。ウは誤りです。4条は証票を携帯し、要求があるときは何時でも呈示「しなければならない」と義務を定めています。エは誤りです。費用は国税滞納処分の例により徴収できます(6条1項)。オは誤りです。3条3項は非常の場合等に「前二項に規定する手続」、つまり戒告も令書の通知も経ないで代執行できると定めています。
行政代執行法の手続フロー(アが正しい根拠):
代執行の手続は次の3段階です。
1. 戒告(行代法3条1項): 「相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない」。
2. 代執行令書による通知(行代法3条2項): 戒告を受けて指定の期限までに履行しないときは、代執行令書をもって「代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名及び代執行に要する費用の概算による見積額」を義務者に通知。
3. 代執行の実施: 現場に派遣される執行責任者は、本人であることを示す証票を携帯し、要求があれば呈示(行代法4条)。
イが誤りの根拠(代執行令書による通知): 戒告の後、指定の期限までに履行しないときは、代執行令書による通知(3条2項)を経て代執行します。手続を経ないで代執行できるのは3条3項の場合に限られます。
ウが誤りの根拠(証票の呈示義務): 行代法4条は「代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者たる本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない」と規定しています。携帯も、要求があったときの呈示も義務です。
エが誤りの根拠(国税滞納処分の例): 費用の納付は文書で命じ(5条)、徴収は民事執行ではなく「国税滞納処分の例により」行うことができます(6条1項)。
オが誤りの根拠(3条3項): 3条3項は「非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる」と定めます。「前二項に規定する手続」には2項の代執行令書による通知も含まれるので、令書の通知も省略できます。「令書の通知は省略できない」とするオは誤りです。以上より正答はアです。
【理論的背景】
行政代執行の手続的保障(戒告・代執行令書)は、義務者に最後の自力履行の機会を与える機能と、代執行費用の概算額を事前に知らせることで不意打ちを防ぐ機能を持っています。代執行は行政庁の自力執行権の行使であり、義務者の財産権・自由に直接介入します。そのため、緊急時でない限り、手続的保障(戒告→令書→執行)を省略することは許されません。この多段階の手続要件が、違法な代執行に対する防御手段の一つとなっています。
【実務・条文構造】
行政代執行法3条の全体構造:
3条1項(戒告):
- 内容: 相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨を戒告
- 形式: 予め文書で
3条2項(代執行令書):
- 要件: 義務者が戒告を受けて指定の期限までにその義務を履行しないとき
- 記載事項: ①代執行をなすべき時期、②代執行のために派遣する執行責任者の氏名、③代執行に要する費用の概算による見積額
- 形式: 代執行令書
3条3項(手続の省略):
- 要件: 非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないとき
- 効果: その手続(戒告・令書による通知)を経ないで代執行をすることができる(オの「令書の通知は省略できない」は誤り)
行代法4条(執行責任者の義務):
- 「代執行のために現場に派遣される執行責任者は、その者が執行責任者たる本人であることを示すべき証票を携帯し、要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない」
- 携帯も、要求があったときの呈示も義務(ウの「呈示は義務ではない」は誤り)
代執行費用の処理(行代法5条・6条):
- 5条: 実際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対し、文書をもってその納付を命ずる
- 6条1項: 国税滞納処分の例により徴収することができる
- 6条2項: 行政庁は国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権を有する
【試験での位置づけ】
行政書士試験では、代執行の手続(戒告→令書→執行)の各段階の要件・形式・省略の可否が繰り返し問われます。「戒告で終わりではなく令書通知が別途必要」「非常の場合等は戒告も令書通知も省略可」「費用徴収は国税滞納処分の例・民事執行ではない」「証票の携帯と要求時の呈示は義務」という4つのポイントを整理することが重要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正しい(正答)。行代法3条1項の戒告(相当の履行期限を定め、期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告)を正確に表現している。
- イ: 誤り。義務者が戒告を受けて指定の期限までに履行しないときは、代執行令書による通知(3条2項)を行う。手続を経ないで代執行できるのは3条3項の要件を満たす場合に限られる。
- ウ: 誤り。行代法4条は執行責任者に証票の携帯を義務づけ、「要求があるときは、何時でもこれを呈示しなければならない」と規定する。「呈示は義務ではない」は誤り。
- エ: 誤り。代執行費用は民事執行ではなく国税滞納処分の例により徴収することができる(行代法6条1項)。
- オ: 誤り。行代法3条3項は、非常の場合又は危険切迫の場合で、緊急の必要があり前二項の手続をとる暇がないときは「その手続を経ないで」代執行できると定める。省略できるのは戒告(1項)だけでなく令書による通知(2項)も含むので、「令書の通知は省略できない」は誤り。
【根拠条文】
行政代執行法 第3条第1項(戒告)
行政代執行法 第3条第2項(代執行令書による通知)
行政代執行法 第3条第3項(非常の場合・危険切迫の場合の手続省略)
行政代執行法 第4条(執行責任者の証票の携帯・呈示義務)
行政代執行法 第5条(費用の納付命令)
行政代執行法 第6条(費用の徴収:国税滞納処分の例・先取特権)
【補足】
手続の流れ:戒告(文書)→代執行令書(通知)→代執行(執行)。非常の場合等は戒告・令書の両方を省略可。費用=国税滞納処分の例で徴収(民事執行ではない)。
- 行政代執行法第3条・第4条・第5条・第6条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政代執行法 第3条第1項(戒告)、同条第2項(代執行令書)、同条第3項(非常の場合等の手続省略)、第4条(執行責任者の証票)、第5条(費用の納付命令)、第6条(費用の徴収) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

