行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問160|行政法総合・地方自治法の公の施設と指定管理者・利用の権利・使用料

問題

行政書士 | 行政法

地方自治法上の公の施設に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

オが誤りです。地方自治法228条1項は使用料に関する事項を条例で定めなければならないとしています(公の施設の利用につき使用料を徴収できる根拠は225条)。指定管理者に利用料金を収受させる場合(244条の2第8項)でも、利用料金は「条例の定めるところにより、指定管理者が定める」ものとされ、かつ指定管理者はあらかじめ地方公共団体の承認を受けなければなりません(同条9項)。指定管理者が「独自の基準で設定できる」というオは、この条例と承認の枠に反します。ア(設置及び管理に関する事項は条例・244条の2第1項)は正しい記述です。イ(利用拒否の禁止・差別的取扱いの禁止・244条2項・3項)は正しい記述です。ウ(指定管理者制度・244条の2第3項)は正しい記述です。エ(他の団体の公の施設を協議により自己の住民の利用に供させる・議会の議決が必要・244条の3第2項・3項)は正しい記述です。

地方自治法上の「公の施設」制度の体系を整理します。

公の施設の定義(244条1項): 「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(以下「公の施設」という)を設けるものとする」。公民館・図書館・公園・スポーツセンター・保育所等が典型例。

設置・管理(244条の2第1項): 「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない」(ア正しい)。

住民の利用権(244条2項・3項): 普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならず(244条2項)、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはなりません(244条3項・イ正しい)。

指定管理者制度(244条の2第3項): 「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に、当該公の施設の管理を行わせることができる」。条文は「法人その他の団体」と定めるだけで公共的団体に限っていないため、民間事業者も指定管理者となれます(ウ正しい)。

他の団体の公の施設の利用(244条の3第2項・3項): 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができ、この協議については関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければなりません(エ正しい)。

使用料(225条・228条1項)と利用料金(244条の2第8項・9項): 公の施設の利用につき使用料を徴収することができ(225条)、使用料に関する事項は条例で定めなければなりません(228条1項)。なお、指定管理者に利用料金を当該指定管理者の収入として収受させることもできます(244条の2第8項)。この場合でも、利用料金は「条例の定めるところにより、指定管理者が定める」ものであり、かつ指定管理者はあらかじめ利用料金について地方公共団体の承認を受けなければなりません(244条の2第9項)。したがって、オの「指定管理者が独自の基準で使用料を設定することができる」は、条例の定めや団体の承認という枠を無視した記述であり誤りです(オ誤り)。利用料金制を採る場合でも、指定管理者が条例の枠を離れて勝手に料金を決められるわけではありません。

【公の施設制度の機能と法的性格】

地方自治法244条以下の「公の施設」制度は、地方公共団体が住民の福祉増進のために設置・管理する施設の法的規律を定めます。244条1項は「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設」を公の施設と定義し、2項・3項は利用拒否の禁止と不当な差別的取扱いの禁止を定めます。2項の「普通地方公共団体」には指定管理者が含まれると条文上明記されており、指定管理者も正当な理由なく住民の利用を拒めません。公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、長以外の機関(指定管理者を含む)がした処分であっても長に対してするものとされ、長は却下する場合を除き議会に諮問した上で裁決します(244条の4第1項・2項)。

【指定管理者制度の詳細(ウの根拠)】

244条の2第3項〜11項の骨格は次のとおりです。

①指定管理者となれる者: 「法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの」(3項)。公共的団体に限定されておらず、民間事業者も指定管理者になれます(ウ正しい)。

②条例の内容: 指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を条例で定めます(4項)。

③指定期間: 「指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする」(5項)。

④議会の議決: 指定をしようとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければなりません(6項)。

⑤監督: 長又は委員会は報告徴収・実地調査・指示ができ(10項)、指示に従わないとき等は指定の取消しや業務停止を命ずることができます(11項)。

【使用料・利用料金の条例規定の原則(オの詳細分析)】

公の施設の利用につき使用料を徴収することができ(225条)、使用料に関する事項は条例で定めなければなりません(228条1項)。さらに指定管理者制度では、244条の2第8項が「指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(利用料金)を当該指定管理者の収入として収受させることができる」と定め、同条9項前段は「利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする」とし、同項後段は「指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない」と規定しています。

この構造から、指定管理者が利用料金を「定める」場面はあるものの、それは①条例の定めるところにより、かつ②あらかじめ地方公共団体の承認を受けて行うものです。したがって、「指定管理者が独自の基準で(条例や承認を離れて)使用料を設定する」というオは、この条例主義・事前承認制に反する誤りです(オ誤り)。

【公の施設の利用制限と正当な理由(イの詳細)】

244条2項の「正当な理由がない限り利用拒否不可」の「正当な理由」として認められる例:

①施設の管理上の必要(定員超過・施設の危険な状態)

②公の秩序・公衆衛生・公衆道徳への著しい障害

③暴力的・非合法的な目的での利用

「思想・信条・政治的立場を理由とした利用拒否」は正当な理由に当たらず、244条3項の不当な差別的取扱いの禁止にも触れます。公の施設である市民会館の利用不許可が争われた泉佐野市民会館事件では、「公の秩序をみだすおそれ」という不許可事由を限定的に解釈する判断が示されています。

【区域外設置と他の団体の公の施設の利用(エの詳細)】

244条の3第1項は、普通地方公共団体が「その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる」と定めます。同条2項は「他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができる」とし、同条3項は「前二項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない」と定めます。エはこの2項・3項の内容をそのまま述べており正しい記述です。ここでいう仕組みは「協定」ではなく「協議」であり、その協議に議会の議決が必要という点が問われやすいところです。

【特に重要な公の施設の廃止】

条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなりません(244条の2第2項)。アは1項の「設置及びその管理に関する事項」を述べたもので、この2項の特別多数とは別の規定です。

【行政書士試験での公の施設の出題傾向】

公の施設に関する頻出論点:①設置及び管理に関する事項=条例事項(244条の2第1項)、②特に重要な施設の廃止等=出席議員の3分の2以上の同意(同条2項)、③住民の利用権(拒否禁止・差別禁止)、④指定管理者(法人その他の団体・期間を定めて指定・議会の議決)、⑤使用料=条例事項(228条1項)・利用料金=条例の定めるところにより指定管理者が定め、団体の承認が必要(244条の2第9項)、⑥他の団体の公の施設の利用=協議+議会の議決(244条の3)を体系的に理解することが重要です。

【根拠条文】

地方自治法 第225条(使用料の徴収)、第228条第1項(使用料等の条例規定)、第244条(公の施設・利用拒否の禁止・差別的取扱いの禁止)、第244条の2(設置管理条例・特に重要な施設の廃止・指定管理者制度・議会議決・利用料金)、第244条の3(区域外設置・他の団体の公の施設の利用)、第244条の4(公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 地方自治法 第225条(使用料の徴収)、第228条第1項(使用料等の条例規定)、第244条(公の施設・利用権)、第244条の2(設置管理条例・指定管理者制度・利用料金)、第244条の3(他の団体の公の施設の利用) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 行政法総合・地方自治法の公の施設と指定管理者・利用の権利・使用料
  • 頻出度A

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