問題
民法上の組合に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
エが正しいです。組合の業務を決定し、又は執行する組合員には委任の規定(民644条〜650条)が準用される(民671条)ため、善管注意義務(民644条)を負います。アは誤りで、組合契約の定めにより業務の決定及び執行を一人又は数人の組合員等に委任できます(民670条2項)。イは誤りで、持分の処分は組合及び組合と取引をした第三者に対抗できません(民676条1項)。ウは誤りで、組合の債権者は、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合で権利を行使できます(民675条2項)。オは誤りで、事業の成功又はその成功の不能は解散事由として明記されています(民682条1号)。
エが正解です。民法671条は「第六百四十四条から第六百五十条までの規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する」と規定しており、委任の規定が業務執行組合員に準用されます。これにより業務執行組合員は民644条の善管注意義務を負います。
アは誤りです。民670条2項は「組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる」と規定しており、一人の組合員への委任は可能です。「できない」という記述が誤りです。
イは誤りです。民676条1項は「組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない」と規定しています。「対抗することができる」とするイは条文と正反対です。
ウは誤りです。民675条2項は「組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる」と規定しています(債権の発生時に債権者が損失分担の割合を知っていたときはその割合による)。組合員の責任は出資額に限定されておらず、「出資した範囲を超えて責任を負うことはない」は誤りです。
オは誤りです。民682条は「組合は、次に掲げる事由によって解散する」とし、1号に「組合の目的である事業の成功又はその成功の不能」、4号に「総組合員の同意」を挙げています。事業の成功・成功の不能でも解散するため、「総組合員の同意があったときに限り」とするオは誤りです。
【理論的背景】
民法上の組合(民667条〜688条)は、複数の当事者が出資して共同事業を営む契約です。会社(法人格を持つ)とは異なり、組合は法人格を持たない「組合体」であり、組合財産は組合員全員の合有(合手的拘束のある共同所有)となります。合有は共有(各自の持分の自由な処分が可能)と異なり、持分の単独処分に制限があり、組合の存続・目的のために結合が維持されます。組合は、合同事業・共同事業(不動産の共同開発・弁護士の共同事務所等)に実務上多く利用されており、民法組合の理解は法律実務において重要です。
【条文構造】
民法組合の核心規定を整理します。
民667条:組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって効力を生ずる(出資は労務でもよい)。
民668条:各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
民670条:1項=組合員の過半数で決定し各組合員が執行。2項=組合契約の定めにより一人又は数人の組合員又は第三者に委任可。3項=委任を受けた業務執行者が決定・執行(数人あるときは過半数)。4項=総組合員の同意による決定・総組合員による執行は妨げない。5項=常務は単独で可(完了前に異議があれば別)。
民671条:委任の規定(644条〜650条)を、業務を決定し又は執行する組合員に準用。
民674条:損益分配の割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じて定める。
民675条:1項=組合の債権者は組合財産について権利を行使できる。2項=その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合で権利を行使できる。
民676条:1項=持分の処分は組合及び組合と取引をした第三者に対抗できない。2項=組合財産である債権の持分を単独で行使できない。3項=清算前に組合財産の分割を求めることができない。
民682条:解散事由(1号=事業の成功又はその成功の不能、2号=存続期間の満了、3号=組合契約で定めた解散事由の発生、4号=総組合員の同意)。
民683条:やむを得ない事由があるときは、各組合員は組合の解散を請求できる。
【試験での位置づけ】
行政書士試験における組合の出題頻度は低め(頻出度C)ですが、以下の論点が問われます。①組合財産の共有(民668条)と持分の処分・分割の制限(民676条)、②業務執行の過半数決定原則と業務執行者への委任(民670条)、③業務執行組合員への善管注意義務の準用(民671条・委任準用)、④組合債権者の権利行使(民675条)、⑤組合の解散事由(民682条)と解散請求(民683条)。会社(株式会社・有限会社等)の法人格との対比(組合は法人格なし)や、民法の組合と商法上の合名・合資会社との関係も整理しておくとよいでしょう。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。民670条2項により、組合契約の定めで一人又は数人の組合員又は第三者に業務の決定及び執行を委任できる。委任を受けた業務執行者は組合の業務を決定し執行する(同条3項)が、総組合員の同意による決定や総組合員による執行は妨げられない(同条4項)。
- イ: 誤り。民676条1項は持分の処分を「組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない」と定める。同条2項は組合財産である債権の持分の単独行使を、3項は清算前の分割請求を否定しており、組合財産は共同事業のために結合が維持される。
- ウ: 誤り。組合の債権者は、組合財産について権利を行使できるほか(民675条1項)、その選択に従い各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合で権利を行使できる(同条2項)。出資額を上限とする規定はない。
- エ: 正しい(正答)。民671条による委任規定の準用(民644条:善管注意義務)。業務を決定し又は執行する組合員は、受任者と同様に善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う。
- オ: 誤り。民682条1号は「組合の目的である事業の成功又はその成功の不能」を解散事由として明記し、同条柱書は「次に掲げる事由によって解散する」と定める。総組合員の同意(4号)は解散事由の一つにすぎない。
【根拠条文】
民法 第667条(組合契約)、第668条(組合財産の共有)、第670条(業務の決定及び執行の方法)、第671条(委任の規定の準用)、第674条(組合員の損益分配の割合)、第675条(組合の債権者の権利の行使)、第676条(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)、第682条(組合の解散事由)、第683条(組合の解散の請求)
【補足】
業務執行組合員への善管注意義務の準用(民671条・644条)、持分の処分は組合・取引の相手方に対抗不可(民676条1項)、組合債権者は各組合員に損失分担割合又は等しい割合で請求可(民675条2項)、事業の成功・成功不能は解散事由(民682条1号)が核心論点。
- 民法第671条・第667条e-Govで原文を読む
- 商法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第670条(業務の決定及び執行の方法)、第671条(委任の規定の準用)、第674条(組合員の損益分配の割合)、第675条(組合の債権者の権利の行使)、第676条(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)、第682条(組合の解散事由) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

