問題
代理に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
エが正しいです。民法106条1項は「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する」と規定し、2項は「復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う」と定めています。つまり復代理人は本人の代理人であり、本人と直接の権利義務関係があります。アは誤りで、自己契約・双方代理は「代理権を有しない者がした行為とみなす」とされます(民108条1項・当然無効ではない)。イは誤りで、債務の履行も例外として許されます(民108条1項ただし書)。ウは誤りで、任意代理人は本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選任できません(民104条)。オは誤りで、法定代理人は自己の責任で復代理人を選任できます(民105条)。
エが正解です。民法106条1項「復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する」、2項「復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う」から、復代理人は本人の代理人(代理人の代理人ではない)であり、本人に対して直接の権利義務を持ちます。
ア:誤りです。自己契約・双方代理は「代理権を有しない者がした行為とみなす」(民108条1項)とされており、当然無効ではなく無権代理として処理されます。したがって本人の追認によって有効になりえます。
イ:誤りです。民法108条1項ただし書は、①債務の履行、②本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでないとしています。「本人があらかじめ許可した場合のみ」は不完全であり、「債務の履行」も例外として認められます。
ウ:誤りです。民法104条は「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない」と規定しています。許諾もやむを得ない事由もない場合の選任は許されません。
オ:誤りです。民法105条前段は「法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる」と規定し、選任にやむを得ない事由を要求していません。やむを得ない事由は、同条後段で、法定代理人の責任を「選任及び監督についての責任のみ」に軽減する場面で問題になるだけです。
【理論的背景】
代理制度において、代理人が自分自身を一方の当事者とする行為(自己契約)や、対立する双方の当事者を代理する行為(双方代理)は、本人の利益を代理人自身または一方当事者の利益のために犠牲にするおそれがあります。そのため民法108条1項はこれを「代理権を有しない者がした行為とみなす」とし、例外として①債務の履行と②本人があらかじめ許諾した行為を認めています。「無権代理とみなす」という表現は、本人が追認(民113条1項)または追認拒絶をすることができることを意味し、「当然無効」とは異なります。
復代理について、任意代理人と法定代理人で選任要件が異なる理由は、任意代理が「特定の人物への信頼」を基礎とする(本人は代理人を選んだのであり、代理人が勝手に他人を選ぶことには同意していない)のに対し、法定代理は本人が代理人を選べない状況で法律が強制的に選任する制度であるため、代理人の便宜や効率性のために復代理人選任の柔軟性を認める必要があることによります。
【条文構造】
自己契約・双方代理(民108条1項):
- 原則:代理権を有しない者がした行為とみなす
- 例外①:債務の履行(例:代金の受領・登記申請の代理)
- 例外②:本人があらかじめ許諾した行為
- 民108条2項:そのほか代理人と本人との利益が相反する行為も、無権代理とみなす(本人があらかじめ許諾した行為を除く)
復代理人の選任要件:
- 任意代理人(民104条):①本人の許諾を得たとき、または②やむを得ない事由があるとき
- 法定代理人(民105条):自己の責任で選任できる。やむを得ない事由があるときは、本人に対して選任及び監督についての責任のみを負う
復代理人の地位(民106条):
- 本人の代理人として行動(代理人の代理人ではない)
- 本人・第三者に対して代理人と同一の権利義務
【試験での位置づけ】
行政書士試験の代理論点では、自己契約・双方代理の「無権代理扱い」(当然無効でない)が典型的な引っかけです。また任意代理と法定代理の復代理選任要件の違い(任意代理→本人の許諾またはやむを得ない事由 vs. 法定代理→自己の責任で選任可)も頻出比較問題です。復代理人の本人との直接的権利義務関係(民106条2項)は「復代理人は本人の代理人か・代理人の代理人か」という形で問われます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 自己契約・双方代理は「代理権を有しない者がした行為とみなす」(民108条1項)=本人の追認・追認拒絶の対象。本人が追認すれば有効。「当然無効」ではない点は民法の重要な概念的区別。
- イ: 「債務の履行」の例として最も典型的なのは不動産売買の決済時における代金授受の代理(既に売買条件が確定しており、代理人が双方を代理しても利益相反が生じにくい場面)。
- ウ: 任意代理人の復代理(民104条)の制限は「本人が特定の人物に対して信頼を与えた」という代理の本質から派生。本人の許諾があるとき、またはやむを得ない事由があるとき(例:代理人が急病になった場合)に限り許容される。
- エ: 正答。民106条の構造上、復代理人の行為効果は直接本人に帰属する(本人→代理人→復代理人という関係ではなく、本人←→復代理人の直接関係)。実務的には不動産取引での代理人が復代理人を使う場面などが典型。
- オ: 法定代理人(親権者・後見人等)は本人(子・被後見人)が自ら代理人を選べない状況であるため、復代理人を「自己の責任で」選任できる(民105条前段)。その代わり、復代理人の行為について原則として全面的な責任を負い、やむを得ない事由があるときに限り「選任及び監督についての責任のみ」に軽減される(同条後段)。
【根拠条文】
民法 第104条(任意代理人による復代理人の選任)、第105条(法定代理人による復代理人の選任)、第106条(復代理人の権限等)、第108条(自己契約及び双方代理等)
【補足】
法定代理人は自己の責任で復代理人を選任できる(民105条)、任意代理人は本人の許諾またはやむを得ない事由が必要(民104条)という対比が頻出。復代理人は「本人を代表する」(代理人の代理人ではない)という106条1項の規律も重要。
- 民法第106条・第108条・第104条・第105条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第108条(自己契約及び双方代理等)、第104条(任意代理人による復代理人の選任)、第105条(法定代理人による復代理人の選任)、第106条(復代理人の権限等) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

