行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 民法 問8|代理・無権代理と本人の追認・相手方の保護

問題

行政書士 | 民法

次の事例に関する記述のうち、民法の規定および判例の趣旨に照らして誤っているものはどれか。 【事例】AはBから何らの代理権も与えられていないにもかかわらず、BのC所有の土地購入に関する代理人と称してCと売買契約を締結した。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

エが誤りです。民法113条2項は、追認またはその拒絶は「相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない」と定めています(相手方がその事実を知ったときは別)。Aに対して追認しただけでは、Cがそれを知らない間はCに対抗できません。アは正しく(民116条・契約の時にさかのぼって効力を生ずる)、イは正しく(民114条・確答がなければ追認拒絶とみなす)、ウは正しく(民117条1項・責任を負うのは無権代理人A)、オは正しく(民115条・善意の相手方は本人の追認まで取消可)です。

エが誤りです。民法113条2項は「追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない」と規定しています。本人Bが無権代理人Aに対して追認しても、相手方Cがその事実を知らない間は、BはCに追認の効果を対抗できません。「Cが知らない間でも対抗できる」とするエは誤りです。

ア:正しい。民法116条は「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない」と規定しています。追認により、契約は原則として当初からBC間で効力を生じます。

イ:正しい。民法114条は、相手方は本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、「本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす」と規定しています。

ウ:正しい。民法117条1項は「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う」と規定しています。責任を負うのは無権代理人Aであり、本人Bではありません。相手方が善意無過失で、Aが行為能力の制限を受けていなければ、同条2項の免責事由にも当たりません。

オ:正しい。民法115条は、本人が追認をしない間は相手方が取り消すことができるとし、契約の時に代理権がないことを相手方が知っていたときを除いています。善意無過失のCはこの取消権を行使できます。

【理論的背景】

無権代理は、代理権のない者が他人(本人)の代理人として契約をした場合をいいます。民法113条1項は、この契約は「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」とします。効果が本人に帰属するかどうかが未確定の状態になるため、民法は①本人の追認(116条・遡及的に効力を生じさせる)、②追認拒絶、③相手方の保護制度(114条の催告権・115条の取消権・117条の無権代理人の責任)を用意しています。

追認や追認拒絶は本人の意思表示ですが、113条2項は、それを相手方に対してしなければ相手方に対抗できないとしています。相手方は、本人と無権代理人の間で何が起きたかを知る立場にないためです。

【条文構造】

無権代理に関する条文整理:

[民法113条1項]:無権代理の契約は、本人の追認がなければ本人に効力を生じない

[民法113条2項]:追認・追認拒絶は相手方に対してしなければ相手方に対抗できない(相手方がその事実を知ったときは別)

[民法114条]:相手方の催告権。期間内に確答がなければ追認拒絶とみなす

[民法115条]:相手方の取消権。本人が追認しない間に限り、契約時に代理権がないことを相手方が知っていたときは不可

[民法116条]:追認は、別段の意思表示がないときは契約の時にさかのぼって効力を生ずる。ただし第三者の権利を害することはできない

[民法117条]:無権代理人の責任

  • 1項:代理権を証明したとき・本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い履行又は損害賠償の責任
  • 2項1号:相手方が代理権のないことを知っていたときは適用しない
  • 2項2号:相手方が過失によって知らなかったときは適用しない。ただし無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときは責任を負う
  • 2項3号:無権代理人が行為能力の制限を受けていたときは適用しない

【試験での位置づけ】

行政書士試験の無権代理論点では、①誰が誰に対して何を請求できるか(117条の責任を負うのは無権代理人であって本人ではない)、②催告に確答がない場合の効果(114条は追認拒絶とみなす)、③取消権の主観的要件(115条は相手方が知っていたときだけを除く)、④追認の相手方(113条2項)が繰り返し問われます。特に117条2項2号ただし書(無権代理人が悪意なら相手方に過失があっても責任を負う)は、条文の細部を問う定番です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。116条本文の遡及効。ただし書は「第三者の権利を害することはできない」とだけ定め、第三者の善意・悪意は要件にしていない。
  • イ: 正しい。114条の擬制は「追認拒絶」。制限行為能力者の相手方の催告(民20条1項)では、行為能力者となった者が確答を発しないと「追認したものとみなす」とされ、方向が逆である点に注意。
  • ウ: 正しい。117条1項の責任主体は「他人の代理人として契約をした者」=A。Cは履行と損害賠償のどちらを請求するかを選べる。Cは善意無過失、Aは行為能力の制限を受けていないので、2項1号〜3号のいずれにも当たらない。
  • エ: 誤り(正答)。113条2項本文により、Aに対してした追認はCに対抗できない。Cがその事実を知った後であれば、同項ただし書により対抗できる。「Cが知らない間でも対抗できる」とする点が誤り。
  • オ: 正しい。115条の取消権は「本人が追認をしない間」に限られ、契約の時に代理権がないことを相手方が知っていたときは認められない。善意無過失のCは当然に取り消すことができる。

【根拠条文】

民法 第113条(無権代理)、第114条(無権代理の相手方の催告権)、第115条(無権代理の相手方の取消権)、第116条(無権代理行為の追認)、第117条(無権代理人の責任)

【補足】

117条2項の免責事由は1号(相手方の悪意)・2号(相手方の過失。ただし無権代理人が悪意なら免責されない)・3号(無権代理人の行為能力の制限)の3つ。追認の相手方(113条2項)と催告の効果(114条)もセットで押さえること。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第113条(無権代理)、第114条(無権代理の相手方の催告権)、第115条(無権代理の相手方の取消権)、第116条(無権代理行為の追認)、第117条(無権代理人の責任) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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