介護福祉士国家試験の実務経験証明書は、勤務先の事業者が作成する書類です。受験者が用意する作成依頼書、実務経験証明書(兼 実務経験見込証明書)、従事日数内訳証明書の役割と依頼の手順、掛け持ち・見込み・廃業の場合の扱いを、社会福祉振興・試験センターの様式と案内で整理します。
目次
結論:介護福祉士国家試験の実務経験証明書は、受験者が書く書類ではなく、勤務先の事業者(法人・施設・事業所)が作成する書類です。受験者が用意するのは、センターが公開している「実務経験証明書」作成依頼書(勤務先に頼むときに渡す書類)です。同じ期間に複数の事業所に所属していた人は、実務経験証明書に加えて、従事日数内訳証明書も必要です。証明書だけを提出しても、受験申し込みをしたことにはなりません。
この記事は、実務経験証明書の書類の作り方・頼み方だけを扱います。社会福祉振興・試験センター(以下「センター」)の実務経験証明書・従事日数内訳証明書の様式と作成例、各種支援ツール、よくあるご質問、廃業した施設・事業所等の実務経験の案内、第39回の様式(作成依頼書・実務経験証明書・従事日数内訳証明書と作成例)だけをもとにしています。どの職種・施設が実務経験になるか、従業期間1,095日と従事日数540日の考え方は、介護福祉士の受験資格で扱っています。当サイトはセンターとは関係のない民間のサイトです。
実務経験証明書とは:誰が作り、どの書類が要るか
実務経験証明書は、受験資格に必要な「主たる業務が介護等の業務である」実務経験があることを、勤務先が証明する書類です。センターの様式には、「必ず事業所の証明書作成者が作成してください」と書かれています。様式の名前は「実務経験証明書(兼 実務経験見込証明書)」で、実務経験を満たした人にも、満たす見込みの人にも、同じ様式を使います。
この証明書が必要になるのは、受験資格の区分2(実務経験+実務者研修)、区分3(実務経験+介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修)、区分5(特例高校を卒業して9ヶ月以上従事)、区分7(EPA候補者)です(センター 令和8年度 第39回 受験申し込みに必要なもの)。
| 書類 | 作る人 | 役割 |
|---|---|---|
| 「実務経験証明書」作成依頼書 | 受験者 | 勤務先に作成を頼むときに渡す。申込には提出しない |
| 実務経験証明書(兼 実務経験見込証明書) | 勤務先の事業者 | 従業期間と従事日数を証明する。受験申し込みで提出する |
| 従事日数内訳証明書 | 勤務先の事業者 | 同じ期間に複数の事業所に所属している場合に、実務経験証明書に加えて提出する |
第39回の様式と提出の期限:見込みで申し込んだ場合に、見込みの期間が過ぎ、実務経験を満たした時点で、確定した「実務経験証明書」と「従事日数内訳証明書」をあらためて作成し、令和9年4月9日(金)までに提出する。最終確認日:2026-10-07。出典:社会福祉振興・試験センター 第39回 従事日数内訳証明書の作成例。
受験者の手順:作成依頼書を渡して、勤務先に作ってもらう
作成依頼書の第39回版には、「介護福祉士国家試験を受験するため、実務経験証明書の作成をお願いいたします」という依頼の文面と、次の記入欄があります。
- 受験申込者のフリガナ・氏名・生年月日・現住所・連絡先(TEL)
- 同じ期間に複数の事業所に所属(掛け持ち)している場合のみ記入する欄(その期間を書き、「従事日数内訳証明書」の作成も依頼する)
流れの例は次のとおりです(センターの様式・案内をもとに当サイトが組み立てた例で、センターが定めた手順ではありません)。
1. センターの様式のページから、作成依頼書をダウンロードして、受験者の欄に記入します
2. 勤務先に、作成依頼書を渡して、実務経験証明書の作成を頼みます。証明書は、証明する事業所ごとに作られます(センターの作成例では、2か所なら2枚です)
3. 勤務先が、証明書を作成します。事業者向けには、センターの作成支援ツールがあります(センターは、受験申込者は使用しないよう案内しています)
4. 受け取った証明書の内容を確認します。誤りがあるときは、受験者が書き直さず、勤務先に伝えます
5. 同じ期間に複数の事業所に所属していた期間があれば、従事日数内訳証明書も受け取ります
6. インターネット受験申し込みの手続きで、実務者研修修了(見込)証明書などとあわせて用意します
様式の注意事項には、証明書の内容について、就労先や事業者等に無断で作成したり改変したりすると、無効になり、刑法上の罪に問われる場合があると書かれています。また、不実または錯誤した内容を記載した場合は、社会福祉士及び介護福祉士法第8条第1項及び第2項の規定により、本人の試験が無効になる処分が行われること、さらに厚生労働大臣が期間を定めて国家試験を受けさせない処分をすることがある、とも書かれています。
第39回の受験申し込み:受験申し込みの受付は令和8年7月22日(水)から9月2日(水)までで、すでに終了しています。受験手数料は20,510円でした。次回の受付は、センターのページに掲載されたあとで確認してください。最終確認日:2026-10-07。出典:社会福祉振興・試験センター 令和8年度 第39回介護福祉士国家試験。
実務経験証明書の記載項目:勤務先に伝えておくこと
第39回の実務経験証明書の様式には、勤務先が記入する次の項目があります。受験者の側では、勤務先が正確に記入できるよう、事前に整理しておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法人・施設・事業所 | 名称、法人格コード、所在地、電話番号、代表者の役職・氏名 |
| 証明書作成者 | 所属・役職等、氏名 |
| 受験者 | フリガナ、氏名、生年月日、本人住所 |
| 施設または事業所名 | 勤務していた施設・事業所の名称 |
| 事業所番号 | 介護保険の事業所番号、または障害福祉サービスの事業所番号(認定コード) |
| 施設(事業)種類・職種(職名) | それぞれコードを記入 |
| 従業期間 | 実務経験の対象になる期間の開始日から終了日まで、その日数 |
| 介護等の業務に従事した(する)日数 | 従業期間のうち、休暇・欠勤・出張・研修などの日を除いた日数 |
従業期間と従事日数の数え方は、介護福祉士の受験資格で扱っています。従業期間は、センターの従業期間計算表で試算できます。
従事日数内訳証明書が必要になる場合:掛け持ちと見込み
従事日数内訳証明書は、同じ期間に複数の事業所に所属している人が、実務経験証明書に加えて提出する書類です。第39回の様式は、月ごとの表に、介護等の業務に従事した(する)日に〇印をつけ、月ごとの日数と合計日数を記入する形です。
センターの作成例では、次の扱いが示されています。
- 掛け持ちの期間(2つの事業所の所属が重なる期間)は、2つの事業所とも、その期間の証明が必要です。2か所を証明する例では、提出する書類は実務経験証明書が2枚、従事日数内訳証明書が2枚です
- 内訳証明書に見込みの期間が含まれる場合は、証明書の作成日までではなく、所属が重なる期間の終わりまで、従事日数を見込んで作成します
- 見込みの期間が過ぎ、実務経験を満たしたら、実務経験証明書も従事日数内訳証明書も、確定した内容であらためて作成し、期限までに提出します
見込みの従事日数は、過去の勤務実績や労働条件をもとに、今後の出勤日を推測して記載するよう、センターのよくあるご質問に書かれています。
実務経験証明書で、書類を直す・作れないとき
- 記載に誤りがあった場合:訂正は、受験者本人ではなく、法人・事業所の判断により二重線で行います。訂正印は不要です
- 氏名を旧姓で証明された場合:戸籍の個人事項証明書(戸籍抄本)を提出します。本人住所が現在と異なっていても、特に必要な書類はありません
- 法人の代表者本人が受験する場合:実務経験証明書は、受験者以外の第三者が作成します。あわせて、受験者自身が代表者であり、実務経験の対象になる事業を行っていることが確認できる「法人の履歴事項全部証明書」が必要です
- 過去に、実務経験を満たした証明書を提出して受験した場合:今回の受験申し込みで、再度提出する必要はありません
- 勤務先が廃業した場合など:センターが別に案内する書類と自己申告の様式を、受験者自身が用意して、受験申し込み時に提出します(次の表)
廃業した施設・事業所の実務経験を確認する書類
センターの案内では、実務経験として、施設・事業種類、職種、従業期間、業務従事日数のすべてを確認します。すべてが確認できない場合は、申し込みを受理できません。
| 確認する内容 | 書類の例(センターの案内) |
|---|---|
| 施設・事業種類 | 閉鎖事項全部証明書(閉鎖手続未済の場合は履歴事項全部証明書)、法人事業所のパンフレット・ホームページなど。原本を提出 |
| 職種(職名) | 雇用契約書、雇用通知書、労働契約書、労働条件書、辞令、給与明細・勤務表(職種が明記されている場合)など。コピーを提出 |
| 従業期間 | 勤務表・出勤表、給与明細・源泉徴収明細、雇用保険や年金の記録に関する書類など。コピーを提出 |
| 業務従事日数 | 勤務表・出勤表、給与明細など。コピーを提出 |
要件が確認できれば、それぞれ1点でよいとされています。申告内容に錯誤や虚偽があった場合は、受験資格がなくなります。
外国籍の人・技能実習の人の注意
センターの様式のページには、次の注意が書かれています。
- 在留資格「技能実習」で就労している人の従業期間の算定開始日は、雇用開始日です(入国後に行われる講習の期間は含みません)
- 外国の国籍を有する人の氏名は、在留カードや住民票に記載されているとおり、アルファベット等で記入し、フリガナはカタカナで記入します
在留資格「特定技能1号」「技能実習」で就労している外国籍の人は、実務経験ルートになると、センターのルート図に書かれています。
まとめ
- 実務経験証明書は、勤務先の事業者が作る書類。受験者は、作成依頼書を渡して頼む
- 作成依頼書は、申込に必要な書類ではない。証明書を作成してもらったあとは破棄してよい
- 同じ期間に複数の事業所に所属していた場合は、従事日数内訳証明書も必要
- 証明書だけを提出しても、受験申し込みにはならない。インターネット受験申し込みの手続きで必要な書類として用意する
- 押印は不要。訂正は法人・事業所の判断で二重線を引き、訂正印は不要
- 見込みで申し込んだ場合は、満たしたあとに確定した証明書をあらためて作成して提出する(第39回の期限は令和9年4月9日)
- 勤務先が廃業した場合は、別の書類と自己申告の様式で、受験者自身が提出する
本サイトは公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは関係ありません。様式・提出期限・必要書類は、必ずセンターの最新の案内で確認してください。
よくある質問
Q実務経験証明書の「作成依頼書」は、受験申し込みのときに提出しますか。
提出は不要です。センターの作成依頼書には、実務経験証明書(従事日数内訳証明書)を作成してもらったあとは、この作成依頼書は申込に必要な書類ではないため、破棄してよいと書かれています。作成依頼書は、勤務先に証明書の作成を頼むときに、受験者の氏名・生年月日・現住所・連絡先などを伝えるための書類です。
Q実務経験証明書に、押印は必要ですか。
センターの様式の注意事項には、押印は不要と書かれています。訂正する場合は二重線で訂正し、訂正印も不要です。
Q同じ時期に2か所で働いていました。どの書類が必要ですか。
同じ期間に複数の事業所に所属(掛け持ち)している場合は、実務経験証明書に加えて、従事日数内訳証明書が必要です。センターの作成例では、2か所の事業所を証明する場合に、実務経験証明書を2枚、従事日数内訳証明書を2枚提出する例が示されています。
Q実務経験証明書の作成支援ツールは、受験者が使えますか。
センターの各種支援ツールのページに、実務経験証明書の作成支援ツールは施設・事業所で証明書の作成に携わる事業者向けで、「受験申込者は使用しないでください」と書かれています。受験者は、作成依頼書を勤務先に渡して、事業者に作成してもらいます。
Q勤務していた事業所が廃業していて、実務経験証明書をもらえません。
センターは、廃業(閉鎖)や文書保管期間の経過などで証明書の提出が困難な人に、別の案内を出しています。受験申込者自身が、施設・事業種類、職種、従業期間、業務従事日数のすべてが確認できる書類と、自己申告の様式を、受験申し込み時に提出します。インターネットで申し込む場合も、これらの書類は郵送が必要です。事前審査はできず、受験申し込みの受付期間内に提出したものだけが審査されます。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

