介護福祉士とは何かを社会福祉士及び介護福祉士法の条文で整理。介護士との違い、初任者研修・実務者研修・認定介護福祉士との関係、法律上の義務までを公的資料で確認できます。
目次
結論:介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法第2条第2項で定義された資格です。登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、心身の状況に応じた介護を行い、本人と介護者への介護に関する指導を行うことを業とする者を指します。「介護士」という資格名はこの法律にありません。初任者研修・実務者研修は研修、認定介護福祉士は認証・認定機構が認定する仕組みで、それぞれ別のものです。
条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-05 時点の現行条文:社会福祉士及び介護福祉士法)。当サイトは社会福祉振興・試験センターとは関係のない独立したサイトです。
介護福祉士・認定介護福祉士・研修の違い(一覧)
| 項目 | 介護福祉士 | 認定介護福祉士 | 介護職員初任者研修 | 実務者研修 |
|---|---|---|---|---|
| 位置づけ | 法律に定められた資格(名称独占) | 認証・認定機構が認定する仕組み | 介護員養成研修の課程の1つ | 介護福祉士国家試験の受験ルートの1つ(実務経験3年以上と組み合わせ) |
| 根拠・出典 | 社会福祉士及び介護福祉士法 | 機構の規則(同法に「認定介護福祉士」の語はない) | 介護保険法施行規則第22条の23 | 社会福祉振興・試験センターの受験資格案内 |
| 取得の流れ | 試験合格などで資格を得て、登録 | 介護福祉士で実務経験5年以上などの要件を満たし、養成研修22科目を修了して認定申請 | 研修の修了 | 研修の修了 |
| 研修時間 | - | 22科目(Ⅰ類13・Ⅱ類9) | 130時間 | 450時間 |
初任者研修・実務者研修の時間数:介護職員初任者研修130時間、実務者研修450時間、生活援助従事者研修59時間(厚生労働省 社会・援護局の資料に載る図の記載)。最終確認日:2026-10-05。出典:厚生労働省 介護人材確保の現状について(令和7年5月9日)。
介護福祉士とは:第2条第2項の定義
定義は次の3点に分けて読めます。
- ① 第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いること
- ② 「心身の状況に応じた介護」を行い、その者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと
- ③ それを業とすること(条文は「介護等」と呼びます)
②の「介護」には、喀痰吸引その他の、日常生活を営むのに必要で医師の指示の下に行われる行為(厚生労働省令で定めるものに限る)も含まれると、括弧書きで定められています(条文では「喀痰吸引等」)。つまり、医療的ケアの一部が定義の中に入っています。
資格の取り方は、第39条が「介護福祉士試験に合格した者は、介護福祉士となる資格を有する」と定め、資格を持つ人が介護福祉士になるには、第42条第1項により介護福祉士登録簿への登録を受けなければなりません。登録と試験の事務は、厚生労働大臣の指定を受けた社会福祉振興・試験センターが、大臣に代わって行っています(センター 資格制度の概要)。
受験ルートは複数あり、実務経験3年以上と実務者研修を組み合わせるルートもあります。受験資格の詳細は、別の記事(介護福祉士の受験資格)で整理します。試験の合格基準は介護福祉士の合格点にまとめています。
介護福祉士の登録者数:2,116,628人(令和8年8月末日現在・現住所地別)。最終確認日:2026-10-05。出典:社会福祉振興・試験センター 登録者数の状況(PDF)。
仕事内容:条文が定める範囲
介護福祉士の仕事内容を、条文に書かれている範囲で整理します。職場ごとの1日の流れなどは施設・事業所によって違うため、ここでは法律上の枠組みだけを扱います。
- 介護を行うこと:身体上又は精神上の障害により日常生活を営むのに支障がある人に、心身の状況に応じた介護を行います(第2条第2項)
- 介護に関する指導を行うこと:介護を受ける人だけでなく、その介護者にも指導を行います(同項)
- 喀痰吸引等:医師の指示の下に行われ、厚生労働省令で定めるものに限って、介護に含まれます(同項の括弧書き)
- 関係者との連携:認知症であること等の心身の状況その他の状況に応じ、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、福祉サービス関係者等との連携を保ちます(第47条第2項)
喀痰吸引等を扱う問題は、当サイトでは医療的ケア科目にまとまっています。
介護士と介護福祉士の違い
「介護士」は、社会福祉士及び介護福祉士法に定められた資格名ではありません。 同法の全文で「介護士」を検索しても、この語は出てきません(2026-10-05 時点、e-Gov 法令API)。法令上の定義がないので、「介護士」が介護の仕事をする人全般を指すのか、介護福祉士を指すのかは、その言葉が使われた場面の文脈で判断することになります。
違いがはっきりするのは、法律が何を制限しているかです。
| 観点 | 介護福祉士 | 資格を持たない人 |
|---|---|---|
| 名称 | 登録を受けた人だけが「介護福祉士」を名乗れる(第48条第2項) | 「介護福祉士」の名称は使えない |
| 通所・居住・施設系サービス(通所介護・特養・老健など) | 介護職員として従事できる | 介護職員として従事できる(厚生労働省資料) |
| 訪問介護員としての従事 | できる | できない(厚生労働省資料) |
訪問介護員の欄については、厚生労働省の資料(令和7年5月9日)の図に「無資格者は訪問介護員として従事することはできない」「無資格者も通所・居住・施設系サービスの介護職員として従事可能」と書かれています。訪問介護員になるには、介護職員初任者研修や実務者研修などの研修を修了する必要があります。
介護福祉士の名称を使えるのは介護福祉士だけ(名称独占)です。第48条が制限しているのは「名称」の使用で、無資格者が通所・居住・施設系サービスの介護職員として従事できることは、上の厚生労働省の資料のとおりです。第36回 問65 は、介護福祉士に関する複数の記述から適切なものを選ぶ問題です。
初任者研修・実務者研修との関係
初任者研修と実務者研修は、どちらも「資格」ではなく「研修」です。介護福祉士との関係は次のとおりです。
- 介護職員初任者研修:介護員養成研修の課程の1つで、介護保険法施行規則第22条の23が「介護職員初任者研修課程及び生活援助従事者研修課程」を研修の課程として定めています。厚生労働省の資料では130時間です
- 実務者研修:厚生労働省の資料では450時間です。社会福祉振興・試験センターの案内では、実務経験3年以上と実務者研修の修了を合わせて、介護福祉士国家試験の受験資格になります(センター 実務経験+実務者研修)
- 介護福祉士:国家試験の合格などで資格を得て、登録を受けた人に与えられる名称です
つまり、初任者研修は介護の入口の研修、実務者研修は国家試験の受験ルートを組み立てる研修で、修了しただけでは介護福祉士を名乗れません。名乗るには、試験などで資格を得たうえで登録が必要です。
介護福祉士の法律上の義務
介護福祉士には、次の義務が条文で定められています。第48条第2項を除き、いずれも介護福祉士が対象です。第48条第2項は、介護福祉士でない人に向けた規定です。
| 条 | 内容 | 条文の要点 |
|---|---|---|
| 第44条の2 | 誠実義務 | 担当する者が個人の尊厳を保持し自立した日常生活を営めるよう、「常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない」 |
| 第45条 | 信用失墜行為の禁止 | 「社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない」 |
| 第46条 | 秘密保持義務 | 「正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない」。「社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする」 |
| 第47条第2項 | 連携 | 福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない |
| 第47条の2 | 資質向上の責務 | 「知識及び技能の向上に努めなければならない」(努力義務) |
| 第48条第2項 | 名称の使用制限 | 「介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない」 |
違反した場合の扱いも条文にあります。第48条第2項に違反した者は、第53条第3号により三十万円以下の罰金です。また、第42条第2項が第32条を準用しており、第45条・第46条に違反した介護福祉士は、厚生労働大臣による登録の取消し、又は期間を定めた名称使用の停止の対象になり得ます。
第47条の2は「努めなければならない」という努力義務で、定期的な研修の受講や資格の更新を義務づける規定ではありません。この法律で「更新」が出てくるのは、喀痰吸引等研修を行う登録研修機関の登録に関する附則(第16条)だけで、介護福祉士個人の登録に更新の定めはありません(2026-10-05、e-Gov 法令検索で全文を確認)。
信用失墜行為の禁止と秘密保持義務は、当サイトに掲載している第36回・第37回の問65で扱われています。第37回 問65 は、この法律に関する記述から適切なものを選ぶ問題です。
認定介護福祉士とは
認定介護福祉士は、介護福祉士のキャリアアップのための仕組みと、認定機構が説明しています。機構は日本介護福祉士会内に事務局を置き、認定介護福祉士の認定や、認定の元になる研修の認証を行う機関です。社会福祉士及び介護福祉士法には「認定介護福祉士」という語は出てきません。
介護福祉士の資格を持ち、実務経験5年以上などの要件を満たした人が、全22科目(Ⅰ類13科目・Ⅱ類9科目)の養成研修を修了して機構に認定申請し、登録を受けて認定介護福祉士となります。登録後は5年ごとの更新が必要です。受講要件・養成研修の中身・更新要件・研修の申し込み先は、認定介護福祉士とは|介護福祉士との違い・なり方・養成研修22科目にまとめています。
介護福祉士とケアマネジャーの違い
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険法に基づく別の資格です。第7条第5項は、要介護者等からの相談に応じ、適切なサービスを利用できるよう市町村やサービス事業者等との連絡調整等を行う者で、第69条の7第1項の介護支援専門員証の交付を受けたものと定めています(介護保険法・2026-10-05 時点の現行条文)。
| 項目 | 介護福祉士 | ケアマネジャー(介護支援専門員) |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 社会福祉士及び介護福祉士法 | 介護保険法 |
| 条文上の中心 | 介護を行い、本人と介護者へ指導する | 相談に応じ、サービス利用のための連絡調整等を行う |
| 資格を示すもの | 登録(介護福祉士登録簿) | 介護支援専門員証の交付 |
どちらを目指すかは、直接介護を担いたいのか、サービス利用の調整を担いたいのかで考えると整理しやすくなります。
試験で問われること(当サイトの問題データ)
当サイトが掲載している介護福祉士国家試験の第36〜38回(各125問、計375問)のうち、問題文が「介護福祉士に関する…」「社会福祉士及び介護福祉士法に関する…」で始まる、法律上の位置づけを直接問う問題は2問(第36回 問65、第37回 問65)です(2026-10-05 集計)。喀痰吸引等を扱う医療的ケア科目は、各回5問で3回分15問です。これは当サイトに掲載している3回分の件数で、出題頻度や今後の出題を示すものではありません。
当サイトの介護福祉士の問題は、社会福祉振興・試験センターが公表した過去の試験問題に、合格ナビ独自の3段階の解説を付けたものです。センターとは関係がありません。
- 第36回 問65(介護福祉士に関する記述)
- 第37回 問65(社会福祉士及び介護福祉士法に関する記述)
- 第36回 問59(喀痰吸引等を実施する訪問介護事業所の登録)
- 第37回 問61(口腔内の喀痰吸引の方法)
まとめ
- 介護福祉士は、第2条第2項で定義され、登録を受けて名称を用いる資格です
- 「介護士」は同法に定められた資格名ではありません。無資格でも通所・居住・施設系の介護職員として従事できますが、訪問介護員には従事できません(厚生労働省の資料)
- 初任者研修・実務者研修は研修、認定介護福祉士は認証・認定機構の仕組みで、介護福祉士とは別のものです
- 介護福祉士の義務は社会福祉士及び介護福祉士法の第44条の2〜第48条に定められ、名称の無資格使用には同法第53条の罰金があります
よくある質問
Q「介護士」と「介護福祉士」は同じ意味ですか。
同じとは言えません。社会福祉士及び介護福祉士法に定められているのは「介護福祉士」で、「介護士」という資格名や定義は同法の本文にありません。介護福祉士は登録を受けて名称を使う資格で、「介護士」と言うときに介護の仕事をする人全般を指すのか介護福祉士を指すのかは、使われる場面で確かめる必要があります。
Q資格がなくても介護の仕事に就けますか。
働ける場面と働けない場面があります。厚生労働省の資料(令和7年5月9日)は、無資格者も通所・居住・施設系サービスの介護職員として従事できる一方、訪問介護員としては従事できないと整理しています。訪問介護員になるには、介護職員初任者研修などの研修修了が必要です。
Q認定介護福祉士は国家資格ですか。
社会福祉士及び介護福祉士法には「認定介護福祉士」という語が出てきません。認定を行っているのは、日本介護福祉士会内に事務局を置く認定介護福祉士認証・認定機構で、介護福祉士のキャリアアップのための仕組みと説明されています。受講要件や更新の条件は機構の公式ページで確認してください。
Q介護福祉士の資格に更新はありますか。
社会福祉士及び介護福祉士法には、介護福祉士個人の登録に更新を求める規定は置かれていません(この法律で「更新」が出てくるのは、喀痰吸引等研修を行う登録研修機関の登録を定める附則(第16条)だけです。2026年10月5日にe-Gov法令検索で確認)。一方、第47条の2は知識・技能の向上に努める責務を定めています。
Q介護福祉士とケアマネジャーは何が違いますか。
根拠の法律と役割が違います。介護福祉士は社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、介護と介護者への指導を行う資格です。ケアマネジャー(介護支援専門員)は介護保険法第7条第5項で、要介護者等の相談に応じて市町村やサービス事業者との連絡調整等を行い、介護支援専門員証の交付を受けた者と定められています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

