介護福祉士国家試験の受験資格を、社会福祉振興・試験センターの区分1〜7どおりに整理。実務経験3年(1,095日・540日)、実務者研修、実務経験証明書の作成者と様式の入手先まで。
目次
結論:介護福祉士国家試験の受験資格は、社会福祉振興・試験センターの案内で7つの区分(養成施設・実務経験+研修・福祉系高校・特例高校・EPA)に分かれています。実務経験ルートは「従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上」に加えて、実務者研修の修了が必要です(「3年働いたこと」だけでは受験できません)。実務経験証明書は勤務先の事業者が作成します。
この記事は、受験資格と実務経験証明書だけを扱います。試験日程・科目・申し込みの手順は、別の記事(介護福祉士国家試験 第39回の日程・申込・合格発表)にまとめています。条件は区分ごとに細かく違うため、申し込みの前にセンターの受験資格のページで自分の区分を確かめてください。合格ナビは同センターとは関係のない民間のサイトです。
第39回の試験日・受験手数料・受付期間:試験日は令和9年1月31日(日)、受験手数料は20,510円、受験申し込みの受付は令和8年7月22日から9月2日まででした。最終確認日:2026-10-05。出典:社会福祉振興・試験センター 令和8年度 第39回介護福祉士国家試験。
受験資格は7つの区分(提出する証明書とセットで決まる)
法律(社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項)は、介護福祉士試験を受けられる人を6つの号で定めています。センターの案内(第39回)は、これを受験申し込みの区分1〜7に整理しています。区分ごとに、提出する書類が決まっています。
| 区分 | 受験資格(センターの案内) | 提出する主な証明書 |
|---|---|---|
| 区分1 | 介護福祉士養成施設(2年以上、または1年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了) | 卒業(見込)証明書、または委託訓練修了(見込)証明書 |
| 区分2 | 実務経験3年以上+実務者研修の修了 | 実務経験(見込)証明書+実務者研修修了(見込)証明書 |
| 区分3 | 実務経験3年以上+介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)の修了 | 実務経験(見込)証明書+基礎研修修了証明書の写し+喀痰吸引等研修の書類 |
| 区分4 | 平成21年度以降に福祉系高校へ入学し、必要な科目を履修して卒業 | 卒業(見込)証明書 |
| 区分5 | 特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヶ月以上介護等の業務に従事 | 卒業(見込)証明書+実務経験(見込)証明書 |
| 区分6 | 平成20年度以前に福祉系高校へ入学し、必要な科目を履修して卒業 | 卒業証明書・教科目(科目)及び単位履修証明書 |
| 区分7 | EPA(経済連携協定)の候補者として3年以上介護等の業務に従事 | 実務経験(見込)証明書+在留カードまたはパスポート |
出典:社会福祉振興・試験センター 令和8年度 第39回介護福祉士国家試験(受験資格(概要)・受験申し込みに必要なもの)(確認日 2026-10-05)。養成施設・福祉系高校の区分は、令和9年3月31日までに卒業する見込みの方を含みます。
センターは、受験資格について「国籍、性別、年齢、学歴等の制約はありません」とも案内しています(実務経験ルートのページ)。学歴がなくても、区分2の条件を満たせば受験できます。資格の定義や介護士との違いは介護福祉士とは?で整理しています。
合格ナビの介護福祉士ページには、センターが公表した第36〜38回の試験問題(各125問、計375問・2026-10-05 集計)を、3段階の解説つきで載せています。
実務経験ルート:従業期間1,095日以上と従事日数540日以上の「両方」
実務経験ルート(区分2)の条件は、次の2つを両方満たすことです(センター 実務経験+実務者研修)。
- 従業期間:対象となる施設(事業)・職種での在職期間。3年以上(1,095日以上)。産休・育休・病休などの休職期間も含まれます
- 従事日数:実際に介護等の業務に従事した日数。540日以上。休暇・欠勤・出張・研修などで実際に従事しなかった日は含みません。1日の勤務時間は問いません
どちらか片方では足りません。センターのよくある質問でも、「従事日数は540日以上あるが従業期間が3年ない」場合は、両方を満たす必要があると明記されています。
どちらも、試験を実施する年度の3月31日まで通算できます。第39回の場合は令和9年3月31日です。申し込みの時点で足りていなくても、この日までに満たす見込みであれば「実務経験見込」として申し込めます。
従事日数の目安を計算してみる(自作の例)
従事日数540日は、1年あたり180日、週に直すと約3.5日の勤務に当たります(540日÷3年÷52週≒3.46日)。
- 週3日勤務を3年:3日×52週×3年=468日。540日に届きません
- 週4日勤務を3年:4日×52週×3年=624日。540日を超えます
これは概算です。実際は休暇や欠勤の日が引かれ、判定は勤務先が作る証明書の記載で行われます。従業期間(暦の上の在職期間)が3年あっても、勤務日数が少ない働き方だと、従事日数の側が先に足りなくなることがあります。
数え方で迷いやすい点(センターのよくある質問から)
- パート・アルバイト:対象となる職種で雇用されていれば、非常勤でも対象です
- 転職:対象となる施設・職種であれば、勤務先が替わっても従業期間・従事日数は合算できます
- 過去の仕事:いまは別の仕事をしていても、過去に対象となる施設・職種で雇用されていれば有効です
- 複数の事業所:同じ日に複数の事業所で働いた場合、従業期間・従事日数は1日として数えます。同じ期間に複数の事業所に所属していた場合は、従事日数内訳証明書も必要です
- 10年働いた場合:必要な期間(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)の分を証明すれば足ります
従業期間は、センターの従業期間計算表で試算できます。ただし計算表は実務経験証明書の代わりにはならず、従事日数は計算できません。
実務経験になる施設・職種と、ならない職種
実務経験として認められるのは、介護等の業務が「主たる業務」である職種です。センターは、対象となる施設・事業と職種を実務経験の範囲のページに分野別(児童・障害者・高齢者・その他・介護等の便宜を供与する事業)に載せています。範囲は厚生労働省社会・援護局長通知(令和6年7月3日社援発0703第1号)等で定められています。
「施設の名前」ではなく「その施設での職種と主たる業務」で決まります。センターの案内では、次のような職種は受験資格にならないとされています。
- 生活相談員・支援相談員などの相談援助業務を行う職種
- 医師、看護師、准看護師
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの機能訓練担当職員
- 事務員、介護支援専門員、調理員、栄養士、計画作成担当者、福祉用具専門相談員 など
介護等の業務とそれ以外を兼務している場合は、兼務の事実が辞令等で明確で、主たる業務が介護等であるときに限って対象になります。訪問介護員(ホームヘルパー)でも、サービス提供責任者としての業務は対象になりません。自分の職種が当てはまるかは、ページの表と、勤務先の人事担当者に確認するのが確実です。
実務者研修と、基礎研修+喀痰吸引等研修
区分2では、実務経験に加えて実務者研修の修了が必要です。平成28年度(第29回)試験から、実務経験3年以上のルートは実務者研修の修了が必須になりました(センター)。
- 実務者研修の期間は、原則6か月以上とされています。介護職員初任者研修や訪問介護員養成研修(ホームヘルパー研修)を修了している方は、6か月より早く修了できる場合があります。開催期間や費用は、センターではなく研修の実施者に問い合わせるよう案内されています
- 申し込みの時点で修了していない場合は、実施者が交付する「実務者研修修了見込証明書」で、「修了見込み」として申し込めます。第39回は、令和9年3月31日までに修了する予定の方が対象です
- 修了見込みで申し込んだ場合、修了後の「実務者研修修了証明書」は令和9年4月9日(金)までにセンターへ提出します。提出がないと試験は無効になります
- 実務者研修を修了しただけでは、受験も資格の登録もできません。実務経験の条件とセットです
実務者研修の位置づけ・期間・修了見込みの出し方は、介護福祉士の実務者研修とはでくわしく扱っています。
区分3(実務経験3年以上+介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修)は、実務者研修を修了した場合と同様に受験資格となる別ルートです。ただし介護職員基礎研修は2012年度末(平成24年度末)に廃止されており、介護職員初任者研修とは別のものです。
法律の側では、第40条第2項第5号に「三年以上介護等の業務に従事した者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において六月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの」とあります(e-Gov 法令検索の2026-10-05時点の現行条文:社会福祉士及び介護福祉士法)。
実務者研修修了証明書の提出期限・第39回:見込みで申し込んだ方の確定証明書の提出期限は令和9年4月9日(金)。最終確認日:2026-10-05。出典:社会福祉振興・試験センター 実務経験+実務者研修 実務者研修。
実務経験証明書は誰が書き、どこで様式を入手するか
実務経験証明書は、受験者本人が書く書類ではなく、勤務先の事業者(法人・事業所)が作成する証明書です。様式はセンターが公開しています(実務経験証明書・従事日数内訳証明書の様式と作成例)。同じ期間に複数の事業所に所属している場合は従事日数内訳証明書も必要で、無断で作成・改変した証明書は無効になります。実務経験証明書だけを提出しても受験申し込みにはならず、勤務先が複数あるとき・見込みで申し込むとき・勤務先が廃業したときの扱いも含めた書類の頼み方は、介護福祉士の実務経験証明書の書き方にまとめています。
養成施設・福祉系高校・特例高校・EPAのルート
実務経験を積まずに受験資格を得る道が、区分1・4・6です。
養成施設(区分1)
法律では、養成施設で2年以上学ぶ場合(第40条第2項第1号)のほか、福祉に関する科目を修めて大学を卒業した人などが1年以上学ぶ場合(同項第2号)が定められています。センターの案内では、平成29年4月以降に卒業(修了)した人が対象です。
制度の変更点として、センターは経過措置を案内しています。養成施設を卒業した方は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または合格しなくても介護福祉士として登録できます。この経過措置は、法改正により、令和14年3月31日までの卒業者に延長されています(平成19年の改正法の附則第6条の2、センターの資格登録のページ)。5年後も登録を続けるには、国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事して有効期限を解除します。ただし、令和9年4月1日以降に卒業する方は、解除の方法が国家試験の合格だけです。対象の期間と解除の方法は、介護福祉士の経過措置登録で整理しています。
福祉系高校・特例高校(区分4・5・6)
- 区分4:平成21年度以降に福祉系高校(等)へ入学し、必要な教科目・単位を修めて卒業した方(卒業見込みを含む)
- 区分5:特例高校(専攻科を含む)を卒業し、卒業した翌日以降に9ヶ月以上(従業期間273日以上、従事日数135日以上)介護等の業務に従事した方。特例高校の入学年度は、高校が平成21〜25年度・28〜30年度、専攻科が平成21〜25年度・28〜31年度と案内されています
- 区分6:平成20年度以前に福祉系高校へ入学し、必要な科目を履修して卒業した方
EPA(区分7)
EPA介護福祉士候補者として受け入れられた方のルートです。EPAルートで受験できるのは、EPA候補者として受験資格を取得した方に限られます。候補者以外の外国人の方は、EPAルートでは申し込めません。EPA候補者として3年以上、介護等の業務に従事した方が対象です(センター EPA(経済連携協定))。在留資格「特定技能1号」「技能実習」で就労している外国籍の方は、実務経験ルート(区分2など)になります。
登録のときに必要になる「介護過程Ⅲ」と、受験資格が確定するまでの流れ
センターは、区分5・区分6・EPA候補者(令和6年5月以前入国者)の方について、介護福祉士資格の登録を申請するまでに「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に「介護過程Ⅲ修了証明書」を提出する必要があると案内しています。実務者研修を修了している方などには例外があります。登録の費用・書類・登録証が届く時期は、介護福祉士の登録手続きで扱っています。
受験資格は、証明書が確定して初めて決まります。受験票の受験資格欄に「見込」と書かれている方は、必要書類を期限までに提出しないと試験は無効になり、結果通知も発送されません。実務経験の見込みで申し込んだ方は、確定した実務経験証明書をマイページから追加書類として提出します。
資格の根拠法の中身は、試験でも問われます。次の問題で、介護福祉士の義務や位置づけに関する出題を確認できます。
自分の区分を確かめる手順
1. 資格取得ルート図で、自分が当てはまる区分(養成施設・実務経験・福祉系高校・EPAなど)を選びます
2. 実務経験ルートなら、対象となる施設・職種かを実務経験の範囲で確認します
3. 従業期間は計算表で試算し、従事日数は勤務先の出勤記録などをもとに数えます(休暇・欠勤・出張・研修の日は含めません)
4. 勤務先に実務経験証明書の作成を依頼します。複数の事業所に所属していた期間があれば、従事日数内訳証明書も用意します
5. 実務者研修の実施者へ、修了時期の見込みを確認します
6. 不明な点は、センターの介護係へ問い合わせます(第39回の受付は終了しています。次回以降の日程はセンターのページに掲載されたあとで確認してください)
出題内訳(125問・13科目)と合格基準は、介護福祉士の出題内訳・合格基準にまとめています。
よくある質問
Qパートやアルバイトの勤務でも実務経験になりますか。
社会福祉振興・試験センターのよくある質問では、対象となる職種で雇用されていれば、非常勤(パート、アルバイト)でも対象とされています。1日の勤務時間は問われません。ただし従事日数は「実際に介護等の業務に従事した日」だけを数えるため、勤務日数が少ないと540日に届きにくくなります。
Q実務経験が3年に届いていなくても申し込めますか。
受験申し込みの時点で3年に満たなくても、試験を実施する年度の3月31日までに従業期間(1,095日以上)と従事日数(540日以上)がそろう見込みなら、「実務経験見込」として申し込めます。見込みで申し込んだ場合は、後から確定した実務経験証明書をあらためて作成して提出します。
Q転職していても、これまでの勤務先を合算できますか。
センターのよくある質問では、対象となる施設(事業)・職種で雇用されていた期間であれば、勤務先が替わっても従業期間・従事日数はすべて合算できるとされています。勤務先ごとに実務経験証明書が必要になります。
Q実務経験証明書は自分で書けますか。
実務経験証明書は、勤務先の事業者(法人・事業所)が作成する書類です。センターは、就労先に無断で作成したり内容を改めたりすると無効になり、刑法上の罪に問われる場合があると注意しています。代表者本人が受験する場合は、本人以外の第三者が作成します。
Q証明書に誤りがあったときは、受験者が直してよいですか。
センターのよくある質問では、訂正は受験者本人ではなく、法人・事業所の判断で二重線により行うとされ、訂正印は不要です。旧姓で証明された場合は、戸籍の個人事項証明書(戸籍抄本)を提出します。
Q一度受験資格が確定したら、受験回数に制限はありますか。
センターは、実務経験3年以上で実務者研修を修了している場合の受験回数について「制限はありません」としています。また、過去に確定した実務経験証明書を提出して受験した方は、再度の提出は不要と案内されています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

