介護福祉士国家試験の実務経験ルート(区分2)で必要になる実務者研修を、社会福祉振興・試験センターの案内と法律の条文で整理します。受験資格のどこに入るか、研修期間(原則6か月以上)と短縮、修了見込みで申し込む方法と提出期限、介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修との違いまで解説します。
目次
結論:実務者研修は、介護福祉士国家試験の「実務経験ルート」で、実務経験3年以上と合わせて必要になる研修です(受験資格の区分2)。実務経験だけでも、研修だけでも受験できません。研修期間はセンターの案内で「原則6か月以上」とされ、介護職員初任者研修などを修了している人は、より早く修了できる場合があります。受験の申し込み時に修了していなくても、修了見込みで申し込めます(第39回は令和9年3月31日までに修了予定の人が対象)。
この記事は、受験資格のうち「実務者研修」の部分だけを扱います。社会福祉振興・試験センター(以下「センター」)の実務者研修のページ、実務経験+実務者研修のページ、よくあるご質問、e-Gov 法令検索の社会福祉士及び介護福祉士法をもとにしています。実務経験3年の数え方と、受験資格の7つの区分の全体は介護福祉士の受験資格で、実務経験証明書の書き方は介護福祉士の実務経験証明書で扱っています。当サイトはセンターとは関係のない民間のサイトです。研修の開催期間・費用・内容は、研修の実施者にしか分からないため、この記事では学校名や費用は取り上げません。
実務者研修は、受験資格のどこに入るのか
センターの案内では、実務経験ルートは次のように書かれています。「実務経験3年以上」の人は、「実務者研修修了」と合わせて受験資格になります。センターは、平成28年度(第29回)試験から、実務経験に加えて養成施設等における「実務者研修」の修了が必要になったと説明しています。
| 受験申し込みの区分 | 受験資格 | 実務者研修の扱い |
|---|---|---|
| 区分2 | 実務経験3年以上+実務者研修の修了 | 修了証明書、または修了見込証明書が必要 |
| 区分3 | 実務経験3年以上+介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の修了 | 実務者研修の代わりになる別のルート |
| 区分1・4・5・6・7 | 養成施設・福祉系高校・特例高校・EPA | 実務者研修は、受験資格の要件ではない |
出典:センター 令和8年度 第39回介護福祉士国家試験(受験資格・受験申し込みに必要なもの)(確認日 2026-10-07)。
この表のとおり、受験資格の区分1〜7に、介護職員初任者研修だけで受験できる区分はありません。実務者研修は、初任者研修とは別の研修として、区分2の要件に入っています。実務経験の従業期間と従事日数の数え方は、介護福祉士の受験資格をご覧ください。
法律では、どう書かれているか
受験資格の根拠は、社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項です。第5号に、実務経験のルートとして「三年以上介護等の業務に従事した者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において六月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの」と書かれています(e-Gov 法令検索の2026-10-07時点の現行条文)。
条文には、「実務者研修」という名前は出てきません。指定を受けた学校・養成施設で六月以上、必要な知識と技能を修得することが要件で、センターは、実務経験ルートで必要な研修を「実務者研修」として案内しており、この第5号の研修にあたると読めます。期間は、条文は「六月以上」、センターのよくあるご質問は「原則6か月以上」と書いており、この記事では両者を同じものとは扱わず、それぞれの書き方のまま紹介します。
社会福祉士及び介護福祉士法の確認時点:e-Gov 法令検索の条文は、令和8年6月25日付の改正(令和8年法律第51号)までを反映したもの。第40条第2項第5号は、三年以上介護等の業務に従事した者が、指定を受けた学校又は養成施設で六月以上、必要な知識及び技能を修得したものとしている。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov 法令検索 社会福祉士及び介護福祉士法。
実務者研修の期間と、短縮できる場合
センターのよくあるご質問は、研修期間について「実務者研修の研修期間は原則6か月以上とされています」と答えています。
- 研修期間を短縮できるか、という質問には、介護職員初任者研修や、訪問介護員養成研修(ホームヘルパー研修)などをすでに修了している人は、既定の6か月よりも早く修了できる場合がある、と答えています。詳しくは実務者研修実施者への問い合わせが必要です
- 研修の開催期間・費用は、センターではなく実務者研修の実施者に直接問い合わせるよう、センターが案内しています
- 実務者研修の実施者は、都道府県庁、地方厚生(支)局のホームページ等で確認するよう案内されています
研修の時間数や、科目ごとの免除の範囲は、センターのページには書かれていません。研修の時間数は、この記事では書きません。研修の時間数と免除の中身は、申し込み前に、実施者の募集要項で確認してください。
受験申し込みのとき:修了済み・修了見込み・提出期限
センターは、実務者研修を修了した人または修了する見込みの人に、次の手順を案内しています。
| 受験申し込み時の状況 | 提出する書類 | 注意点 |
|---|---|---|
| すでに修了している | 実施者から交付された「実務者研修修了証明書」 | 受験申し込み時に提出する |
| 修了していない(修了見込み) | 実施者から交付される「実務者研修修了見込証明書」 | 修了見込みで申し込む。第39回は令和9年3月31日までに修了する予定の人が対象 |
| 修了見込みで申し込んだあと | 修了後に交付される「実務者研修修了証明書」 | 速やかにセンターへ提出。第39回の期限は令和9年4月9日(金) |
第39回・実務者研修の修了見込みで申し込むとき:修了見込みの対象は令和9年3月31日までに実務者研修を修了する予定の人。修了証明書の提出期限は令和9年4月9日(金)。提出されず修了証明書が交付されなかった場合は試験が無効になる。最終確認日:2026-10-07。出典:社会福祉振興・試験センター 実務経験+実務者研修 実務者研修。
次の点も、センターの案内に書かれています。
- 実務者研修修了証明書と修了見込証明書は、受験申し込み時に提出するため、大切に保管します
- 受験申し込みのしかたは、試験センターのホームページの「インターネット受験申し込み」から行います。第39回の受付は令和8年9月2日で終了しています(次回以降の日程は、センターのページに掲載されたあとで確認してください)
- 修了見込みで申し込んだ場合の修了証明書は、マイページから追加書類としてアップロードします
- 過去の受験申し込み時に実務者研修修了証明書を提出済みの人は、今回の提出は不要です。受験できる回数にも制限はありません
第39回の試験日と受付期間:試験日は令和9年1月31日(日)。受験申し込みの受付は令和8年7月22日(水)から9月2日(水)まででした。最終確認日:2026-10-07。出典:社会福祉振興・試験センター 令和8年度 第39回介護福祉士国家試験。
実務者研修が必須になった経緯と、介護技術講習
センターのよくあるご質問は、実務者研修の義務化の経緯を次のように説明しています。
- 厚生労働省は、平成19年に社会福祉士及び介護福祉士法を改正して、実務者研修の修了を義務化した
- 適用は平成24年度(第25回)からの予定だったが、平成23年に3年延期(平成27年度(第28回)から適用)され、さらに平成28年に1年延期(平成28年度(第29回)から適用)された
また、実務経験3年以上で、過去に介護技術講習を修了している人については、「受験できません」とされ、実務経験3年以上に加えて実務者研修の修了が必要と案内されています。第28回以前の試験で受験票を受け取っていて実務経験3年以上の区分だった人のうち、今回、実務者研修修了証明書の提出が必要な人がいることも、センターの案内に書かれています。
実務者研修の代わりになる:介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修
実務経験3年以上の人は、実務者研修の代わりに、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了している場合も、受験資格になります(区分3)。センターのページには、次のように書かれています。
| 研修 | センターの案内 |
|---|---|
| 介護職員基礎研修 | 講義・演習360時間と、施設等における実習140時間の合計500時間。介護職員初任者研修ではない。平成24年度末(2012年度末)に廃止されている |
| 喀痰吸引等研修 | 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則附則第13条の別表第1・第2の講義、演習及び実地研修。第3号研修を修了した人は対象外 |
喀痰吸引等研修が未修了の場合は、「喀痰吸引等研修修了見込証明書」を提出して、修了見込みで申し込めます。第39回は、令和9年3月31日までに修了する予定の人が対象で、修了証明書の写しは令和9年4月9日(金)までに提出します。経過措置の喀痰吸引等研修修了証明書、第3号研修修了者、基本研修のみの修了者は、対象外とセンターが案内しています。
介護職員基礎研修は廃止されているため、区分3は、すでに修了している人向けのルートです。これから研修を受ける人が確認するのは、区分2(実務者研修)です。
介護福祉士の登録のときに、実務者研修が関わる場合
登録の段階でも、実務者研修が関わる場合があります。センターは、平成20年度以前に福祉系高校を卒業した人、特例高校を卒業して9ヶ月以上介護等の業務に従事した人、EPA候補者で「令和6年5月以前入国者」の人は、登録の申請までに「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に「介護過程Ⅲ修了証明書」を提出する必要があると案内しています。ただし、実務者研修を修了している人は、登録申請時に「実務者研修修了証明書」を提出すれば、「介護過程Ⅲ修了証明書」を提出する必要はありません(センター 受験資格(資格取得ルート図))。登録の手続きそのものは、センターの資格登録のページで確認できます。
実務者研修を選ぶ前に確認する手順
ここからは、当サイトの提案する確認の順番の例です(センターが定めた手順ではありません)。
1. 資格取得ルート図で、自分が区分2(実務経験+実務者研修)に当てはまるかを確認します
2. 実務経験の対象になる施設・職種かを、センターの実務経験の範囲で確認します
3. 受講する研修が、実務者研修として修了証明書(修了見込証明書)を交付できるかを、実施者に確認します。実施者の情報は、都道府県庁や地方厚生(支)局のホームページ等で確認します
4. 初任者研修などを修了している場合は、その修了が研修期間にどう反映されるかを、実施者に確認します
5. 受験申し込みの時点で修了していなくても、修了見込みで申し込めるかを、受験する回の試験日と修了予定日で確認します
試験の勉強そのものは、研修の受講と並行して始められます。センターが公表した過去の試験問題の入手先は介護福祉士の過去問はどこで見られる?、勉強の進め方は介護福祉士 勉強方法にまとめています。
まとめ
- 実務者研修は、実務経験ルート(区分2)で、実務経験3年以上と合わせて必要な研修。実務者研修だけでは、受験も登録もできない
- 初任者研修だけで受験できる区分は、センターの区分1〜7にない。初任者研修などの修了者は、実務者研修を早く修了できる場合がある
- 研修期間は原則6か月以上。時間数や免除の中身は、センターのページに書かれていないため、実施者に確認する
- 受験申し込み時に未修了でも、修了見込証明書で申し込める。第39回は令和9年3月31日までに修了予定の人が対象で、修了証明書は令和9年4月9日(金)までに提出。修了しないと試験が無効になる
- 介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修(区分3)は別のルート。介護職員基礎研修は平成24年度末に廃止されている
- 実務者研修が必須になったのは第29回(平成28年度)から
本サイトは公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは関係ありません。研修の内容・開催期間・費用は実施者にお問い合わせください。受験資格・提出期限は、必ずセンターの最新の案内で確認してください。
よくある質問
Q実務者研修を修了すれば、すぐに介護福祉士の試験を受けられますか。
センターの案内には、「実務者研修を修了しただけでは介護福祉士を受験したり、資格の登録をすることはできません」と書かれています。実務者研修を使うルート(区分2)では、実務経験3年以上(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)とあわせて、はじめて受験資格になります。
Q介護職員初任者研修を修了していれば、実務者研修は要りませんか。
センターの受験資格の区分1〜7に、初任者研修だけで受験できる区分はありません。センターのよくあるご質問では、介護職員初任者研修や訪問介護員養成研修(ホームヘルパー研修)を修了している人は、実務者研修を原則の6か月より早く修了できる場合があるとされています。短縮の中身は研修の実施者ごとに案内されるため、実施者に問い合わせます。
Q過去に介護技術講習を修了しています。実務経験3年以上なら受験できますか。
センターのよくあるご質問では、「受験できません」とされ、実務経験3年以上に加えて、実務者研修の修了が必要と案内されています。
Q実務者研修を受講している途中でも、受験を申し込めますか。
申し込めます。受験申し込み時に修了していない場合は、実施者が交付する「実務者研修修了見込証明書」を提出して、修了見込みで申し込みます。第39回では、令和9年3月31日までに修了する予定の人が対象で、修了後に交付される修了証明書を令和9年4月9日(金)までに提出します。修了しなかった、または受講しなかったために修了証明書が交付されなかった場合は、試験が無効になります。
Q実務者研修が受験に必須になったのは、いつからですか。
センターのよくあるご質問によると、平成28年度(第29回)の国家試験からです。厚生労働省は修了の義務化を平成19年の法改正で決めており、当初は平成24年度(第25回)からの予定でしたが、平成23年に3年、平成28年に1年、それぞれ延期されたと書かれています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

