精神保健福祉士

精神保健福祉士 第28回 問題40|精神障害リハビリテーション論

問題

精神保健福祉士 | 第28回(令和7年度) | 令和8年1月31日(土)・2月1日(日)実施・精神障害リハビリテーション論

次の事例を読んで,問題40 から問題42 までについて答えなさい。

〔事 例〕

大学1 年生のAさん(18 歳,男性)は,前期の成績で多くの単位を落としてしまった。成績を見た母親が大学に相談したところ,学生支援室を紹介された。数日後,Aさんと母親は学生支援室のキャンパスソーシャルワーカーであるB精神保健福祉士(以下「Bワーカー」という。)の元を訪れ,面談した。母親は「Aは,小学校入学後に落ち着きの無さが目立ち,専門医の受診を勧められ,発達障害と診断された。高校までは学校側に発達障害を伝え,教員のサポートを受けて大きな問題は生じずに卒業できた。大学ではこれまでのようなサポートを申請するか迷っていた」と話した。Bワーカーは,本学には障害学生支援制度(以下「支援制度」という。)があり,これまでも支援制度を利用している学生が居ることなどを説明すると,Aさんと母親は安心して申請を希望した。面談後,Bワーカーは発達障害がある学生が大学に相談に来ることも増えてきたことを踏まえ,今後大学として改めて取り組むべき事柄を,大学に提案した。(問題40)AさんとBワーカーは支援制度の申請に向けて面談を重ねた。Aさんは,自分の発達障害について詳しいことは理解できていないとのことだった。そこでBワーカーは,支援制度の申請と共に,学生支援室が後期に心理教育プログラムとして月1 回の全6回シリーズで行う「発達障害についての学習会(以下「学習会」という。)」への参加を勧めた。(問題41)その後,Aさんは支援制度を受けることになり,2 年生時には単位を取得できるようになった。また,Bワーカーとの面談時に「半年にわたる学習会に参加して,自分のつらさを分かり合える仲間が居て,自分は一人ではないと実感でき,とてもうれしかった。自分のように困っている学生が学内で孤立しなくなる方法はないか,発達障害についてみんなに知ってもらうにはどうすれば良いか」と話した。そこで学習会の仲間と一緒に今度の大学祭で「発達障害のことを知ろう」という発表会の企画を開催することにした。(問題42)

次の記述のうち,Bワーカーが大学へ提案した内容として,適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題40(精神障害リハビリテーション論)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 3
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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 3

事例では、Bワーカーが、発達障害のある学生が大学に相談に来ることが増えてきたことを踏まえて、大学として改めて取り組むべきことを提案しています。大学全体で学生を支えるには、教職員が発達障害について正しく理解していることが土台です。教職員全員に向けた研修会の実施は、適切な提案です。

ほかの選択肢は、本人の状況に応じた個別の調整や本人の意思を尊重する考え方に合いません。専用の寮、障害の程度による単位認定の緩和、本人以外からの申請などは、必要な配慮の内容も、誰が申請するかも、本人との話し合いで決めるという基本から外れます。

なぜ正解か

正解は 3。発達障害のある学生の相談が増えている状況では、特定の担当者だけでなく、大学全体で理解と支援の体制をつくることが課題である。教職員全員に向けた研修会は、障害特性の理解や、合理的配慮への共通認識を深め、学内での支援をつなげる提案として適切である。

ほかの選択肢

  • 1:発達障害のある学生専用の学生寮の設置は、分離した場の整備にあたる。必要な配慮は個々の学生の状況によって異なり、専用の場を一律に用意することは大学として改めて取り組むべき提案とはいえない。
  • 2:配慮内容のリストを前もって用意して選ばせると、本人の状況に応じた個別の調整にならない。合理的配慮は、本人の意思の表明を受けて、話し合いを通じて個別に決めるものである。
  • 4:障害の程度によって単位認定の基準を緩和するのは、教育の本質に関わる評価基準を変えることで、合理的配慮の考え方(内容を変えず、方法や環境を調整する)と異なる。
  • 5:支援制度の申請は、本人の意思を前提とする。本人や保護者以外の誰からでも可能にする提案は、本人の意思を尊重する原則に反する。

正解の根拠と位置づけ

正解は 3。事例は、キャンパスソーシャルワーカーとして学内で働く精神保健福祉士が、個別の支援(Aさんの支援制度の申請)に加えて、「発達障害のある学生が大学に相談に来ることも増えてきた」という状況を踏まえ、大学として改めて取り組むべき事柄を提案する場面である。個別支援から組織や環境への働きかけ(メゾ・マクロレベルの実践)へ視点を広げる点が重要で、教職員全員への発達障害についての研修会は、理解の浸透と支援体制づくりにつながる。

合理的配慮の基本(障害者差別解消法)

障害者差別解消法は、行政機関等(第7条第2項)と事業者(第8条第2項)に対して、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならないと定めている(e-Gov法令検索で確認した現行条文)。大学は設置者の区分に応じて、いずれかの規定の対象となる。要点は、①本人の意思の表明が出発点、②個々の障害の状態に応じた個別の対応、③負担が過重でない範囲、の三つである。

誤りの肢の掘り下げ

  • 選択肢1:専用の学生寮は、本人の希望や必要とは関わりなく、障害の種類で場を分ける発想になる。必要な配慮は、学びの場でのノートテイクや試験時間の調整、情報の伝え方の工夫など、個別に異なる。
  • 選択肢2:リストを先に用意して「選ばせる」と、リストにない配慮が出にくくなり、個別対応の趣旨に反する。事例集としての参考情報は有益だが、決定は本人との建設的な対話による。
  • 選択肢4:障害の程度で単位認定の水準を変えると、学業評価の本質(修得すべき内容の水準)が変わる。配慮は、評価の方法(試験時間の延長、別室受験など)や環境を調整することで、同じ基準で評価できるようにするものである。
  • 選択肢5:本人以外が申請できるとすると、「本人の意思の表明」という出発点が崩れる。本人が判断しにくい場合に周囲が補う支援は別の論点である。

関連して出る論点

  • 発達障害者支援法における教育・就労の支援、ライフステージを通じた切れ目のない支援の考え方。
  • 大学での支援は、入学前後の接続(高校から大学への移行支援)、学内の連携(学生支援室、保健管理センター、教員)、外部機関(発達障害者支援センターなど)との連携が柱になる。
  • 事例問題では、個別支援(問題41)、グループによる心理教育、当事者による普及啓発(問題42)へと、支援の層が広がる点を見ておく。
この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題40(精神障害リハビリテーション論)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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