問題
次の事例を読んで,問題40 から問題42 までについて答えなさい。
〔事 例〕
大学1 年生のAさん(18 歳,男性)は,前期の成績で多くの単位を落としてしまった。成績を見た母親が大学に相談したところ,学生支援室を紹介された。数日後,Aさんと母親は学生支援室のキャンパスソーシャルワーカーであるB精神保健福祉士(以下「Bワーカー」という。)の元を訪れ,面談した。母親は「Aは,小学校入学後に落ち着きの無さが目立ち,専門医の受診を勧められ,発達障害と診断された。高校までは学校側に発達障害を伝え,教員のサポートを受けて大きな問題は生じずに卒業できた。大学ではこれまでのようなサポートを申請するか迷っていた」と話した。Bワーカーは,本学には障害学生支援制度(以下「支援制度」という。)があり,これまでも支援制度を利用している学生が居ることなどを説明すると,Aさんと母親は安心して申請を希望した。面談後,Bワーカーは発達障害がある学生が大学に相談に来ることも増えてきたことを踏まえ,今後大学として改めて取り組むべき事柄を,大学に提案した。(問題40)AさんとBワーカーは支援制度の申請に向けて面談を重ねた。Aさんは,自分の発達障害について詳しいことは理解できていないとのことだった。そこでBワーカーは,支援制度の申請と共に,学生支援室が後期に心理教育プログラムとして月1 回の全6回シリーズで行う「発達障害についての学習会(以下「学習会」という。)」への参加を勧めた。(問題41)その後,Aさんは支援制度を受けることになり,2 年生時には単位を取得できるようになった。また,Bワーカーとの面談時に「半年にわたる学習会に参加して,自分のつらさを分かり合える仲間が居て,自分は一人ではないと実感でき,とてもうれしかった。自分のように困っている学生が学内で孤立しなくなる方法はないか,発達障害についてみんなに知ってもらうにはどうすれば良いか」と話した。そこで学習会の仲間と一緒に今度の大学祭で「発達障害のことを知ろう」という発表会の企画を開催することにした。(問題42)
次のうち,Aさんたちが大学祭で企画した活動として,適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題42(精神障害リハビリテーション論)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 2
Aさんたちは、「自分のように困っている学生が学内で孤立しなくなる方法はないか、発達障害についてみんなに知ってもらうにはどうすれば良いか」と考え、大学祭で「発達障害のことを知ろう」という発表会を企画しました。広く一般の人に、障害や疾患についての理解を広げる活動は、普及啓発にあたります。
ほかの選択肢は、意味が異なります。アドボカシーは権利の代弁や擁護、リカバリーカレッジは学びを通じた回復の場、多職種連携は専門職どうしの協働、特別支援教育は教育制度の一つです。
なぜ正解か
正解は 2。大学祭で「発達障害のことを知ろう」という発表会を開く活動は、学内の人々に、障害についての正しい理解を広げようとするもので、普及啓発にあたる。当事者であるAさんたちが、自分の体験をもとに行う点で、偏見の軽減や孤立の防止にもつながる。
ほかの選択肢
- 1:アドボカシーは、本人の権利や利益を代弁・擁護し、制度や環境を変える働きかけ。発表会の目的は、理解を広げることであり、権利を代弁・擁護するための働きかけが中心ではない。
- 3:リカバリーカレッジは、精神的な困難を経験した人が、学びを通じて回復と自分らしい生活を目指す、当事者と専門職が協働して運営する教育の場。発表会の企画とは異なる。
- 4:多職種連携は、異なる専門職が協働して支援を行うこと。学生が企画する発表会は、これに当たらない。
- 5:特別支援教育は、障害のある子どもの教育的ニーズに応じた教育の制度・実践。大学祭での企画の名称ではない。
正解の根拠と位置づけ
正解は 2。事例の後半で、Aさんは学習会に参加して、仲間の存在を実感し、「自分のように困っている学生が学内で孤立しなくなる方法はないか、発達障害についてみんなに知ってもらうにはどうすれば良いか」とBワーカーに語り、学習会の仲間と大学祭で「発達障害のことを知ろう」という発表会を企画した。この活動は、障害に関する理解を広げ、偏見や孤立を減らすことを目的とする普及啓発である。また、当事者自身が、自分の体験に根ざして社会に働きかけている点で、エンパワメントやピアサポートの実践としても位置づけられる。ソーシャルワークの支援は、個別の相談(問題35)、グループでの心理教育(問題41)、そして地域・環境への働きかけ(問題42)と、個人から環境へ広がっており、本問はその最後の段階にあたる。
誤りの肢の掘り下げ
- アドボカシー(選択肢1):権利擁護・代弁の働きかけで、自分で声を上げにくい人の権利を守るために、本人に代わって、あるいは本人と一緒に意見を表明し、環境や制度の改善を求める活動。セルフアドボカシー(本人が自分で権利を主張する)、ケースアドボカシー(個別の事例)、クラスアドボカシー(同じ立場の集団の制度改善)などに分けて整理される。発表会は、制度や環境の改善を直接要求するものではなく、広く理解を求める活動である。
- リカバリーカレッジ(選択肢3):精神的な困難を経験した人が、教育的な手法を用いて、自分の回復や強みについて学び、人生の目標を実現する支援を受ける場。コース設計や講師を、当事者と専門職が共同で行う(コ・プロダクション)ことが特徴である。大学祭の企画は、これとは別の活動である。
- 多職種連携(選択肢4):支援者側の協働のあり方であり、当事者が行う発表会の説明にはならない。
- 特別支援教育(選択肢5):学校教育制度の一つであり、設問の活動を示す語ではない。
関連して出る論点
- 普及啓発の目的:偏見やスティグマの軽減、早期の相談、地域での支え合いの促進。
- 当事者の経験を社会に発信する活動(体験発表、ピアサポーターの活動)の意義と、当事者に負担がかからないよう配慮する点(無理のない参加、本人の意思の尊重)。
- 精神保健福祉士の役割は、企画を代わりに行うのではなく、当事者が主体となって進められるよう後方から支えること。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題42(精神障害リハビリテーション論)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

