問題
次の文は,公共測量における航空レーザー測量について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
航空レーザー測量の原理・システム構成に関する誤り識別問題(令和5年度 問20)。正答は(2)です。
選択肢(2)が誤りの理由:航空レーザー測量では近赤外波長(約1,064 nm)のレーザー光を使用しますが,「雲の影響を受けない」という記述は誤りです。雲は水滴の集合体でレーザー光を散乱・反射するため,雲があるとレーザーが地面まで届きません。そのため,航空レーザー測量は基本的に晴天条件(雲のない状態)で実施する必要があります。近赤外波長は「葉のクロロフィルを透過して地面を計測しやすい(植生透過性)」という特性を持ちますが,雲は透過しません。
他の選択肢は正しい記述です。グラウンドデータの定義(1),点間距離と高度の関係(3),システム構成(4),同時期撮影(5)はいずれも正確な記述です。
【航空レーザー測量の原理・規程に関する誤り識別問題】(令和5年度 問20)
【(2) が誤りの根拠:近赤外レーザーと雲の関係】
近赤外線(波長1,000〜1,500 nm)の特性:
- 水(H₂O)に対する吸収が強い → 水滴の集合体である「雲」を透過できない
- 乾燥した大気・薄い霞には一定の透過性がある
- 植生(葉のクロロフィル)は近赤外線を強く反射(反射率40〜50%)→ 葉の隙間から地面が計測しやすい
誤文:「雲の影響を受けない」→ 正しくは「植生の影響を受けにくい(葉の隙間から地面計測可能)が,雲の影響は受ける」
航空レーザー計測の飛行条件(作業規程の準則):
- 雲量が少ない快晴〜晴れの条件を選択
- 薄曇りはフィルタリングの難易度が上がるため回避
【正しい選択肢の根拠】
(1) 正しい。グラウンドデータ(Ground Data):
作業規程の準則の定義:「オリジナルデータ(全点群)から,建物・樹木・車両等の地表面以外の点をフィルタリングで除去した,地表面のみの三次元座標データ」
→ DEM(数値標高モデル)の基礎データとなる。
(3) 正しい。点間距離と対地高度の関係:
レーザースキャナの走査角αが一定の場合,地上での走査幅W = 2H tanα(H:対地高度)
取得点間距離Δd ∝ H(対地高度)× 走査角速度/パルス繰り返し周波数
→ 対地高度が高くなると取得点間距離が長くなる(点密度が低下)。
(4) 正しい。航空レーザー測量システムの構成(準則規定):
- GNSS装置:航空機の三次元位置決定
- IMU(慣性計測装置):航空機の姿勢(ロール・ピッチ・ヨー)計測
- レーザー測距装置:パルスレーザーのTOF測距
- 解析ソフトウェア:点群生成・フィルタリング・DEM作成
(5) 正しい。フィルタリング用数値写真:
グラウンドデータのフィルタリング精度確認・地物判別のための写真が必要。同時撮影することで,季節・植生状態の差異による判読困難を回避できる。
【航空レーザー測量の技術体系と精度管理の詳細】(令和5年度 問20)
【航空レーザー測量の点群生成原理】
各計測点の三次元座標は以下の計算で求まる:
P = GNSS_pos + R_IMU × (R_mount × R_scan × d_vector)
ここで:
- GNSS_pos:GNSS/IMU統合によるセンサ位置(X,Y,Z)
- R_IMU:IMUから得た航空機姿勢行列(ロール・ピッチ・ヨー)
- R_mount:IMUとレーザースキャナの取り付け姿勢差(事前校正)
- R_scan:スキャナの走査角行列
- d_vector:TOF計測による距離ベクトル
各要素の誤差が最終的な点位置精度に影響:
GNSS:水平±3〜5cm,鉛直±5〜10cm
IMU:姿勢精度0.005〜0.01°→H=1,000mで水平誤差±10〜17cm
距離計測:±1〜3cm
総合精度(地表面):水平±10〜25cm,鉛直±5〜15cm(飛行高度1,000m級)
【近赤外レーザーの選択理由と代替波長】
近赤外(1,064 nm:Nd:YAGレーザー)が航空レーザーに多用される理由:
1. 植生透過性:植物の葉は近赤外を一部透過→葉の隙間から裸地面を計測可能
2. 反射率が高い:多くの地表面で高い反射率→SN比が良好
3. レーザー光源の成熟:Nd:YAGは高出力・長寿命・コスト安
例外的な波長使用:
- 532 nm(緑色・Nd:YAGの第2高調波):水中浸透性→水深測量(バチメトリック)に使用
- 1,550 nm:人眼安全(Eye-Safe)波長→低空UAVレーザーで活用
いずれの波長も雲(水滴)には遮蔽される。
【グラウンドフィルタリングの代表アルゴリズム】
1. 傾斜ベースフィルタリング(Slope-based):隣接点の傾斜角が閾値を超えたら非地面点に分類。建物・樹木の縁部で有効。
2. 数学的形態学(Morphological Filtering):侵食・膨張処理で最低高度の点群(地面候補)を抽出。
3. 最小二乗反復法(MSRMF):TIN面を反復的に更新し,面からの距離が大きい点を非地面点として除去。
4. 機械学習(ランダムフォレスト・PointNet):近年の手法。点の属性(高さ・強度・法線ベクトル等)から地面/非地面を学習で分類。
作業規程の準則では,グラウンドデータの品質確認として,垂直位置精度(平地での RMSE≦0.25m 等)の検証点による確認が義務付けられている。
【測量士試験への接続】
測量士では,航空レーザー測量システムの誤差モデル(GNSS×IMU×距離の誤差伝播),点密度と地形図精度の計算,フィルタリングアルゴリズムの選択基準,DSM/DEMの差(nDSM:植生高さモデル)の活用が出題される。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和5年度 測量士補試験 問20(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

