問題
次の a 〜 e の文は,空中写真測量の特徴について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 a. 起伏のある土地を撮影した空中写真は,同じ大きさの地物でも標高の違いにより空中写真に写る大きさが異なる。 b. 撮影高度以外の撮影条件が一定ならば,撮影高度が高いほど,地上画素寸法は小さくなる。 c. 画面距離以外の撮影条件が一定ならば,画面距離が短いほど,1 枚の空中写真に写る地上の範囲は大きくなる。 d. 空中写真はレンズの中心を投影中心とする中心投影像であり,鉛直点から離れるほど,高塔や高層建物などの高いものが鉛直点を中心として内側に倒れ込んだように写る。 e. 平たん地を撮影する場合,撮影高度,画面距離及び撮像面での素子寸法が一定ならば,カメラの画面の大きさが異なっていても,地上画素寸法は変わらない。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
空中写真測量の基本特性に関する問題です。正答は 3「b, d」です。
b が誤り:撮影高度が高くなるほど,地上画素寸法は大きくなります(小さくなるは逆)。撮影高度が高い=写真縮尺が小さい=1画素が表す地上の範囲が広い。例えば高度 1,000m で 10 cm 画素なら,高度 2,000m では 20 cm 画素になります。
d が誤り:空中写真(中心投影)では,鉛直点(写真中心直下の地点)から離れた高い建物は外側に向かって倒れるように写ります(「内側に倒れ込む」は逆)。これを放射状変位といい,鉛直点から遠いほど,また建物が高いほど変位量が大きくなります。
a・c・e は正しい記述です。
【空中写真測量の特性と中心投影の誤差の解法】
b が誤りの根拠(撮影高度と地上画素寸法)
地上画素寸法 GSD(Ground Sampling Distance)の計算式:
GSD = (撮影高度 H × 素子寸法 p) / 焦点距離 f
GSD ∝ H(撮影高度)に比例。H が大きい(高高度)→ GSD が大きい(地上画素寸法が大きい)。
例:f = 50 mm,p = 5 μm,H = 1,000 m → GSD = (1000 × 5×10⁻⁶) / 0.05 = 0.10 m
H = 2,000 m → GSD = 0.20 m(2 倍に増大)
「撮影高度が高いほど GSD が小さくなる」は逆。
d が誤りの根拠(放射状変位の方向)
中心投影の特性:建物の頂部は鉛直点から「外側に向かって変位」する(放射状変位)。
放射状変位量 Δr:
Δr = r × h / H
(r:鉛直点から建物基部までの写真上の距離,h:建物高さ,H:撮影高度)
建物は鉛直点から離れるほど,より外側に倒れる。「内側に倒れ込む」は完全な誤りで,逆方向の変位を述べている。
a が正しい理由(標高による大きさの違い)
中心投影では,標高の高い地物(撮影高度から近い)ほど写真上で大きく写る。
縮尺 = f / (H − h)(h:地物の標高)→ h が大きいほど縮尺が大きい(写る大きさが大きい)。
c が正しい理由(画面距離と写真範囲)
1 枚の写真がカバーする地上範囲(画角):
カバー範囲 ∝ 画面サイズ × H / f(画面距離)
f が小さい(広角レンズ)→ カバー範囲大 → 1 枚で広い範囲を撮影。
e が正しい理由(GSD はカメラ画面サイズに依存しない)
GSD = H × p / f。カメラの「画面の大きさ」(センサーサイズ)が変わっても,H・p・f が一定なら GSD は変わらない。ただし写真がカバーする地上範囲(撮影幅 = 画面サイズ × H / f)は変わる。
【空中写真の幾何特性と写真測量精度への影響】
放射状変位(中心投影変位)の精密解析
放射状変位 Δr の精密式(写真座標系):
Δr = r × h / (H − h) ≈ r × h / H(h << H のとき)
方向:鉛直点(主点から内部方位要素で補正した点)から外側
実用例:撮影高度 H = 1,000 m,建物高 h = 50 m,鉛直点からの写真距離 r = 80 mm(画面端付近)
Δr = 80 × 50 / 1,000 = 4 mm(写真上)→ 地上換算: 4 mm × (1,000/0.05) = 80 m 変位
→ 高層建物の多い市街地では正射変換(オルソ化)でこの変位を補正する必要がある。
DSM を用いた真正射画像(True Orthophoto)生成
通常の正射変換(DTM 使用)では地盤面の変位は補正されるが,建物変位は残る。真正射画像では DSM(建物高さ含む)を参照し,建物の中心投影変位を完全に除去する。市街地の高精度地形図作成に使用。
地上画素寸法(GSD)と撮影計画設計
最大 GSD 要件から撮影高度を逆算:
H = GSD × f / p
必要 GSD = 0.10 m,f = 50 mm,p = 5 μm → H = 0.10 × 0.05 / (5×10⁻⁶) = 1,000 m
撮影高度が高いほど:
① GSD が大きくなる(解像度低下)
② 1 飛行ラインのカバー幅が広くなる(必要飛行ライン数が減少)
③ 大気散乱の影響が大きくなる(コントラスト低下)
④ 風速変化の影響を受けやすい(機体ブレ)
→ GSD・飛行効率・天候の三者バランスで撮影高度を設計する。
上位資格(測量士)への接続
測量士試験では,写真判読(ステレオモデル),内部・外部標定の計算(共線条件式),バンドル調整(Structure from Motion),点群処理(フィルタリング・TIN 生成)など,より数学的・工学的な知識が求められる。また,UAV を用いた写真測量(SfM-MVS)の精度管理(GCP 配置・精度検証)も近年の重要トレンドである。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和6年度 測量士補試験 問17(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

