電験三種

電験三種とエネルギー管理士の違い根拠法・試験・取得の順番を公式情報で比較

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この記事でわかること

電験三種(第三種電気主任技術者)とエネルギー管理士の違いを、根拠法(電気事業法・省エネ法)、選任される仕事、試験の形、免状の条件、令和7・8年度の公表数値で比較します。エネルギー管理士は電験三種の上位資格ではなく、別の制度です。

目次
  1. エネルギー管理士とは:省エネ法が定める、エネルギーの使用の合理化を管理する資格
  2. 電験三種との違い:根拠法と「選任される場面」が別
  3. 両方取るメリット:公式に言える事実だけ
  4. 難易度・試験科目の違い
  5. エネルギー管理士の電気分野と、電験三種の範囲
  6. 取得の順番:公式に決まっているのは「免状の条件」だけ
結論:電験三種(第三種電気主任技術者)は電気事業法に基づく「事業用電気工作物の保安を監督する資格」、エネルギー管理士は省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)に基づく「エネルギーの使用の合理化を管理する資格」で、根拠法も免状の交付者も別です。エネルギー管理士は電験三種の上位互換ではなく、一方の資格でもう一方の試験が免除される仕組みも、公式資料に記載がありません。
比べる点電験三種(第三種電気主任技術者)エネルギー管理士
根拠の法律電気事業法省エネ法
何のための資格か事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督(主任技術者の選任の資格)工場等のエネルギーの使用の合理化の管理(エネルギー管理者などの選任の資格)
免状の交付者経済産業大臣(試験合格者の免状事務は電気技術者試験センターが受託)経済産業大臣(令和元年度以降の試験合格者の申請先は省エネルギーセンター)
受験資格制限なし制限なし(学歴・年齢・性別・国籍を問わない)
試験の科目理論・電力・機械・法規の4科目(五肢択一)必須基礎区分(課目I)と専門区分(熱分野か電気分野の課目II〜IV)の4課目
合格基準各科目とも原則60点(調整される場合あり)各課目とも配点の60%
一部の科目だけ合格した場合科目合格。最大で連続5回まで当該科目が免除課目合格。合格した年の初めから3年以内の同一分野の受験で免除
免状を受けるための実務経験(試験合格の場合)不要エネルギーの使用の合理化に関する実務1年以上

条文と公式ページの出典は次のとおりです(2026-10-04 時点。省エネ法(e-Gov 法令検索)・電気事業法・省エネルギーセンター エネルギー管理士・電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者)。

エネルギー管理士とは:省エネ法が定める、エネルギーの使用の合理化を管理する資格

エネルギー管理士は、省エネ法に基づく国家資格です。省エネルギーセンターは、規定量以上のエネルギーを使う工場は「第一種エネルギー管理指定工場」に指定され、そのうち製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の5業種では、エネルギー使用量に応じて、エネルギー管理士免状の交付を受けている人から1人〜4人の「エネルギー管理者」を選任する必要がある、と説明しています(エネルギー管理士の制度)。指定の目安は、熱(燃料等)と電気を合算した年間使用量が原油換算3,000キロリットル以上です。

省エネ法の条文では、次のように定められています(2026-10-04 時点の現行条文)。

  • 11条1項:第一種特定事業者は、第一種エネルギー管理指定工場等ごとに、政令で定める基準に従って、「エネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちから」、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を管理する者(エネルギー管理者)を選任しなければなりません。ただし書きで、専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等など、選任が不要なものが定められています
  • 12条1項:第一種指定事業者は、11条1項各号に掲げる工場等(上のただし書きの対象)では、9条1項各号に掲げる者のうちから「エネルギー管理員」を選任します。9条1項各号は、講習の課程を修了した者と、エネルギー管理士免状の交付を受けている者です
  • 9条1項:特定事業者は、エネルギー管理統括者を補佐する「エネルギー管理企画推進者」を、同じく講習修了者かエネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちから選任します
  • 55条1項:エネルギー管理士免状は、エネルギー管理士試験に合格した者、またはこれと同等以上の学識及び経験を有すると経済産業大臣が認定した者に、経済産業大臣が交付します

つまり、免状がなければ就けない選任はエネルギー管理者で、管理員と企画推進者は講習の修了でも足ります。ここで挙げた数字(原油換算3,000キロリットル、1人〜4人)は省エネ法の政令で定める基準で、年度や制度改正で変わることがあるため、実際の指定の有無は経済産業省・事業所の担当部署で確認してください。

電験三種との違い:根拠法と「選任される場面」が別

電験三種は電気事業法43条1項で、事業用電気工作物を設置する者が、保安の監督をさせるために主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任する、という制度に基づく資格です。第三種で監督できる範囲は、電気事業法施行規則56条により、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所又は蓄電所を除く)の工事、維持及び運用です(e-Gov 法令検索)。

一方、エネルギー管理士は、設備の安全な運用ではなく、エネルギーを消費する設備の維持やエネルギーの使い方の改善・監視を通じた「使用の合理化」が対象です。工場やビルで両方の資格が必要になることはありますが、それぞれ別の法律の別の選任で、片方の免状でもう片方の選任に代えることはできません。

工場・設備の場面選任・配置の根拠資格
受電設備などの電気工作物の保安を監督する電気事業法43条電気主任技術者(電験)。範囲に応じて第一種〜第三種
エネルギー使用量が一定以上の指定工場(5業種)で、省エネの管理をする省エネ法11条エネルギー管理士免状を持つ人(エネルギー管理者)

両方取るメリット:公式に言える事実だけ

収入や求人の数字は、公式資料で示されていないため書きません。事実として言えるのは次のことです。

  • 電験三種に合格しても、エネルギー管理士の試験は免除になりません。エネルギー管理士試験の免除は、同じ試験の課目合格(3年以内)と、旧制度の熱管理士・電気管理士の免状保有者の移行措置だけです(受験の手引)
  • 逆に、エネルギー管理士の免状で電験の試験科目が免除になる仕組みも、電気技術者試験センターの受験案内・試験概要には書かれていません
  • 電験の免状は電気設備の保安の選任に、エネルギー管理士の免状は省エネ管理の選任に使います。電気設備と省エネの両方を扱う職場では、両方が別々に求められる場面があります
  • 省エネルギーセンターは、「第三種電気主任技術者の資格を取得すれば、講習を受けるだけでエネルギー管理士の資格も取得できる」といった勧誘で公的機関と紛らわしい団体が講習を売る例に注意するよう呼びかけています(トラブルについて)。そのような取得方法は公式には存在しません

難易度・試験科目の違い

試験の形

エネルギー管理士試験(令和8年度・第48回)は、令和8年8月2日実施の筆記試験(マークシート方式)です。受験手数料は17,000円(非課税)、試験地は北海道・宮城・東京・愛知・富山・大阪・広島・香川・福岡・沖縄の10か所でした。選ぶのは「必須基礎区分+熱分野」か「必須基礎区分+電気分野」のどちらか一方で、同じ回に4課目を受験します。

課目熱分野を選んだ場合電気分野を選んだ場合
課目Iエネルギー総合管理及び法規(共通)エネルギー総合管理及び法規(共通)
課目II熱と流体の流れの基礎電気の基礎
課目III燃料と燃焼電気設備及び機器
課目IV熱利用設備及びその管理電力応用

試験時限は、1時限目が9:00〜10:20(80分)、2時限目が10:50〜12:40(110分)、3時限目が14:00〜15:50(110分)、4時限目が16:20〜17:40(80分)です。課目の番号と時限の順番は同じではありません。課目Iには省エネ法及び命令(令和8年4月1日時点で施行されている法令が対象)が含まれ、課目IVには4問題中2問題を選んで答える選択問題があります。

電卓は使えますが、関数電卓や数式を記憶できる機能付きの電卓は使えません(電卓の取扱い)。電験三種の電卓は、四則演算と開平計算(√)を行うためのもので、関数電卓や数式を記憶できる電卓は使えません(受験案内)。

令和の公表数値

エネルギー管理士 令和8年度・第48回の結果:新規受験者(課目免除受験者を含む)の申込者10,456人、受験者8,783人、合格者3,019人。ほかに旧資格者(移行措置)が申込者19人、受験者17人、合格者14人。最終確認日:2026-10-04。出典:省エネルギーセンター 令和8年度第48回エネルギー管理士試験 合格者発表。
電験三種 令和7年度の受験者・合格者:受験者48,942人、合格者6,365人(上期・下期の合計。ほかに科目合格者13,539人)。最終確認日:2026-10-03。出典:電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移。

当サイトで割ると、エネルギー管理士(令和8年度)は3,019÷8,783=34.4%、電験三種(令和7年度)は6,365÷48,942=13.0%です。ただし、この2つを並べて「どちらが難しい」とは言えません。年度が違い、電験三種の受験者数は「1科目でも出席した方」の合計、エネルギー管理士は課目免除の受験者を含む数で、一部の科目だけ合格したときに持ち越せる期間(電験三種は連続5回まで、エネルギー管理士は3年以内)も別だからです。電験三種の科目別の合格率や合格基準は、電験三種の合格率分析にまとめています。

エネルギー管理士の電気分野と、電験三種の範囲

エネルギー管理士の電気分野は、課目IIが電気及び電子理論・自動制御及び情報処理・電気計測、課目IIIが工場配電・電子機器、課目IVが電動力応用・電気加熱・電気化学・照明・空気調和です。電験三種の理論・電力・機械・法規と似た名前の分野が出ますが、出題範囲と深さは別に定められており、公式資料に「電験の学習がそのまま代わりになる」という対応は書かれていません。範囲の重なりは、それぞれの試験の過去問題で確かめてください。

電験三種の法規には、省エネに関わる問題も出ています。当サイトに収録した電験三種の本試験問題352問(令和4年度上期〜令和7年度下期のうち、令和6年度下期を除く7回分)のうち、問題文・選択肢に「省エネ」「エネルギーの使用の合理化」「エネルギー管理」「トップランナー」のいずれかの語を含む問題は1問でした(当サイトの集計・2026-10-02 書き出し)。トップランナー制度に適合した変圧器の損失を求める問題です。

取得の順番:公式に決まっているのは「免状の条件」だけ

どちらを先に取らなければならない、という決まりはありません。どちらも受験資格に制限がなく、どちらを先に受けても構いません。順番を決めるときに確かめられる公式の条件は次のとおりです。

  • 実務経験:エネルギー管理士の免状は、試験合格に加えて、エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上従事した証明(エネルギー使用合理化実務従事証明書)が必要です。従事の時期は合格の前後を問いません。電験三種は、試験に合格して免状を申請する場合は実務経験の証明は不要です
  • 別の取得方法:エネルギー管理士は、3年以上のエネルギー管理の実務経験がある人を対象にしたエネルギー管理研修を修了して、経済産業大臣の認定を受ける方法もあります(第49回エネルギー管理研修 令和8年度 受講の手引)。電験三種にも、学歴と実務経験で免状を受ける認定の道があります(詳しくは認定と実務経験の記事)
  • 分野の選択:エネルギー管理士は熱分野・電気分野のどちらでも同じ免状になります。電気分野で合格した人が、あとから熱分野を受け直す必要はありません
  • 分野を変える場合:課目合格の免除期間中に分野を変えたとき、必須基礎区分(課目I)が免除されるのは、変更後の分野に課目I以外に受ける課目があるときだけです。すでに一つの分野で試験に合格した人が別の分野を受ける場合は、課目Iも含めて全課目を受けます(受験の手引のQ&A)

電験三種の次の学習順序は電験三種へのステップアップの記事、免状でできることは電験三種の免状でできることにまとめています。

エネルギー管理士試験 令和8年度の受験手数料・免状交付手数料:受験手数料17,000円(非課税。旧制度の熱管理士・電気管理士の免状取得者が課目免除で課目Iのみ受ける場合は10,000円)。免状交付手数料は試験合格者3,500円(非課税)。最終確認日:2026-10-04。出典:省エネルギーセンター 令和8年度 受験の手引 試験の内容・免状の交付申請について。

電験三種の法規の問題を解きながら、電気事業法と省エネ関連の出題を確かめられます。

よくある質問

Q電験三種を持っていれば、エネルギー管理士の試験は免除されますか?

免除されません。エネルギー管理士試験の受験案内にある免除制度は、同じ試験で合格した課目(3年以内)と、旧制度の熱管理士・電気管理士の免状を持つ人の移行措置だけです。電験三種の免状や科目合格による免除は書かれていません。省エネルギーセンターは、「電験三種を取れば講習だけでエネルギー管理士になれる」と勧誘するトラブルにも注意を呼びかけています。

Qエネルギー管理士は電験三種より上の資格ですか?

上下の関係ではありません。電験は電気事業法に基づき事業用電気工作物の保安を監督する資格、エネルギー管理士は省エネ法に基づきエネルギーの使用の合理化を管理する資格で、選任される場面も免状の交付者も別です。

Qエネルギー管理士の電気分野と熱分野は、どちらを選んでも同じ資格になりますか?

同じです。省エネルギーセンターの受験の手引には、エネルギー管理士免状に熱分野・電気分野の専門区分の区別はないと書かれています。試験では、必須基礎区分(課目I)に熱分野か電気分野の専門区分(課目II〜IV)のどちらかを足して受けます。

Qエネルギー管理士の試験に受験資格はありますか?

受験資格の制限はありません。ただし、免状の交付を受けるには、エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上従事したことの証明が必要です(従事した時期は合格の前後を問いません)。

この資格の問題を解く電験三種 4科目の科目別問題集(理論/電力/機械/法規)
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

電験三種(第三種電気主任技術者)の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針