電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和7年度上期 電力 問10|送電(地中ケーブル)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

地中送電線路に使用される各種電力ケーブルに関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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正解は 2
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

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解説

電験三種「電力」送電(地中ケーブル)に関する正誤問題(令和7年度上期 問10)。正答は(2)です。

CVケーブルの絶縁体である架橋ポリエチレンは,ポリエチレンの分子を架橋反応で立体網目状につなぎ合わせることで,熱可塑性(熱で軟化する性質)を下げ,耐熱性を高めた材料です。(2)は「熱可塑性を大幅に向上させた」としていますが,架橋によって生じる変化は熱可塑性の向上ではなく低下(熱硬化性に近づく)であり,記述が逆になっているため誤りです。よって正答は(2)です。

地中送電線路に使用される電力ケーブル(OFケーブル・CVケーブル・CVTケーブル)に関する正誤問題(令和7年度上期 問10)。選択肢を順に検討する。

(1) OFケーブルは絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルで,油通路を通じて絶縁油を加圧しボイド(気泡)の発生を抑えるため常時給油設備が必要。正しい。

(2) 「架橋ポリエチレンは,ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とすることで,熱可塑性を大幅に向上させた絶縁材料である」という記述は誤り。架橋反応によってポリエチレン分子どうしが立体的に結合すると,加熱しても軟化・溶融しにくくなる(熱可塑性が低下し,熱硬化性に近い性質を持つようになる)。これにより耐熱性・耐油性が向上し,許容温度の高いケーブルが実現する。「熱可塑性を向上させた」は性質の変化の方向を取り違えている。

(3) CVケーブルはOFケーブルのような給油設備が不要で保守性に優れる一方,長期使用で絶縁体中に水分と電界が共存すると樹木状の劣化(水トリー)が進行することがあり,これを防ぐため金属シースや遮水層を設ける場合がある。正しい。

(4) CVTケーブルは単心CVケーブル3条をより合わせたトリプレックス形で,3心共通シース形に比べ1心ごとに熱を逃がしやすく熱抵抗が小さいため電流容量を大きくでき,単心ゆえ端末・接続処理もしやすい。正しい。

(5) OFケーブルは油圧を常時監視することで,シースや鋼管の欠陥・外傷による漏油を早期検知し,油圧異常低下に起因する絶縁破壊事故を未然に防止できる。正しい。

以上より誤っているのは(2)で,正答は(2)。

本問は電験三種「電力」科目の送電分野から,地中送電線路に用いられる代表的な電力ケーブル(OF・CV・CVT)の構造と特性を問う正誤問題(令和7年度上期 問10)。

【架橋ポリエチレン(XLPE)の本質:熱可塑性から熱硬化性への変化】

ポリエチレンは本来,加熱すると軟化・溶融し,冷えると再び固まる「熱可塑性樹脂」である。これに化学的な架橋剤(有機過酸化物など)を加えて加熱・加圧すると,隣接するポリエチレン分子鎖どうしの間に共有結合(架橋)が形成され,分子全体が立体網目状(三次元網目構造)に結びつく。この結果,分子が自由に動けなくなるため,一度架橋された材料は再加熱しても溶融しにくくなり,熱可塑性は大きく低下する(熱硬化性樹脂に近い性質を獲得する)。この変化によって,架橋ポリエチレン(XLPE)はポリエチレン単体よりも許容温度・耐熱変形性・機械的強度が向上し,高電圧・大容量のCVケーブルの絶縁体として広く使われている。(2)はこの変化を「熱可塑性を向上させた」と記述しており,架橋の効果(熱可塑性の低下・耐熱性の向上)を正反対に捉えている点が誤りの核心である。

【OF・CV・CVTケーブルの比較】

OFケーブル(油浸紙絶縁ケーブル)は,絶縁紙を絶縁油に浸した構造で,油通路を通じて絶縁油を加圧状態に保つことで絶縁体内部のボイド(気泡)の発生を抑え高い絶縁性能を保つが,油圧を常時監視し給油設備で油圧を維持する必要があるため,保守の手間とコストがかかる。CVケーブルは油を使わず架橋ポリエチレンを絶縁体とするため給油設備が不要で保守性に優れるが,長期間の使用で水分と電界が絶縁体中に共存すると「水トリー」と呼ばれる樹木状の微小な劣化経路が進行し絶縁破壊に至ることがあるため,金属シースや遮水層で水分の侵入を防ぐ設計が取られる。CVTケーブルは,単心のCVケーブルを3条より合わせたトリプレックス形で,各心が独立してシースに覆われるため,3心を共通のシースでまとめる形式に比べて熱が逃げやすく(熱抵抗が小さく)大電流容量を実現しやすいうえ,単心ごとの端末処理・接続作業がしやすいという利点を持つ。

【出題のねらい】

(2)は前半の「絶縁体として架橋ポリエチレンを使用」「架橋反応により立体網目状分子構造とする」までは正しく,最後の「熱可塑性を大幅に向上させた」だけが誤りという作りで,文末まで読まずに判断すると見落としやすい。「架橋=分子が動けなくなる=熱で軟らかくなりにくい=耐熱性が上がる」という因果を押さえていれば,「熱可塑性の向上」が逆であることにすぐ気づける。(1)(3)(5)はOFとCVの保守性の違い(給油設備・油圧監視の要否と水トリー対策),(4)はCVTの構造上の利点をそれぞれ正しく述べている。

この問題の根拠出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。