問題
分散型電源の配電系統連系に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
電験三種「電力」分散型電源の配電系統連系に関する正誤問題(令和7年度上期 問7)。正答は(3)です。
分散型電源からの逆潮流(発電電力が消費電力を上回り系統側へ電気が流れ戻る現象)が起きると配電線の電圧が上昇しますが,この電圧上昇を抑えるには,受電点の力率を系統側から見て「遅れ」力率(分散電源が無効電力を吸収する側)にする必要があります。(3)は「進み力率とする」としていますが,進み力率にするとむしろ電圧上昇を助長してしまうため誤りです。よって正答は(3)です。
分散型電源の配電系統連系に関する正誤問題(令和7年度上期 問7)。選択肢を順に検討する。
(1) 大規模太陽光発電等が連系すると,発電量が消費量を上回る時間帯に配電用変電所の変圧器へ向かう逆向きの潮流(逆潮流)が増加し,配電線の電圧が上昇することがある。正しい。
(2) 太陽光発電や燃料電池発電はパワーコンディショナ(電力変換装置)を介して系統に連系されるため,変換装置のスイッチングに伴う高調波電流が流出することがあり,フィルタ等の対策が必要になる場合がある。正しい。
(3) 「分散型電源からの逆潮流による系統電圧の上昇を抑制するために,受電点の力率は系統側から見て進み力率とする」という記述は誤り。電圧上昇を抑えるには,分散電源側が系統から見て遅れ力率(=分散電源が無効電力を系統から吸収する運転)となるように制御するのが正しく,進み力率にすると電圧上昇をさらに助長してしまう。
(4) 比較的大容量の分散型電源を連系する際は,既存配電系統の容量不足を補うため,専用線による連系や負荷分割等の系統側増強が必要になることがある。正しい。
(5) 分散型電源からの逆潮流などにより低圧需要家側の電圧が適正値(維持すべき範囲)を外れる場合,ステップ式自動電圧調整器(SVR)などの電圧調整設備の設置で対応することがある。正しい。
以上より誤っているのは(3)で,正答は(3)。
本問は電験三種「電力」科目から,太陽光発電などの分散型電源を配電系統に連系する際に生じる技術的課題(逆潮流・電圧上昇・高調波)とその対策を問う正誤問題(令和7年度上期 問7)。
【逆潮流による電圧上昇のメカニズム】
配電線路には線路インピーダンス(抵抗分R・リアクタンス分X)が存在するため,電力が流れると線路の両端に電圧降下が生じる。通常は変電所から需要家へ向かって電力が流れる(順潮流)ため,需要家側の電圧は変電所側より低くなるように運用されている。ところが,太陽光発電などの分散型電源が需要を上回る電力を発電すると,余剰電力が需要家側から変電所側へ逆向きに流れる「逆潮流」が生じ,この逆向きの電流による電圧降下(実質的には電圧上昇効果)が加わることで,分散電源の連系点付近の電圧がかえって上昇することがある。
【(3)の誤りの核心:力率の向きと電圧上昇の関係】
配電線路の電圧変動は,おおむねΔV∝(RP+XQ)/V(Pは有効電力,Qは無効電力,符号は潮流の向きで決まる)という関係で近似できる。分散型電源が系統へ有効電力Pを逆潮流させている状態で,さらに系統側へ無効電力(進み力率,コンデンサ性の無効電力)まで送り出すと,電圧上昇効果が重なってますます電圧が上がってしまう。これに対し,分散電源側が系統から見て「遅れ力率」で運転する(=分散電源が系統から無効電力を吸収する,あるいは自ら遅れ無効電力を消費する)ように制御すると,無効電力分による電圧降下効果が有効電力の逆潮流による電圧上昇を一部相殺し,電圧上昇を抑制できる。(3)はこの力率の向きを逆に記述しており,実際には「遅れ力率」とすべきところを「進み力率」としている点が誤りの核心である。
【その他の技術的課題と対策】
分散型電源はインバータ等の電力変換装置を介して系統に連系されるため,スイッチング動作に起因する高調波電流が系統に流出することがあり,高調波フィルタや系統連系規程に基づく高調波抑制対策が求められる。また,大容量の分散型電源を連系する場合,既存の配電系統の熱的・電圧的な容量を超えることがあるため,専用の連系線を新設したり,負荷を複数のフィーダに分割したりする系統増強が必要になることがある。さらに,逆潮流によって影響を受けるのは連系点だけでなく,同じ配電系統に接続された他の低圧需要家にも及ぶため,電圧が適正範囲を逸脱する場合はステップ式自動電圧調整器(SVR)などの電圧調整設備で対応する。(1)(2)(4)(5)はいずれもこうした課題と対策を正しく述べており,対策の向きを逆にしているのは(3)だけである。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

