短絡(ショート)の意味を、地絡・漏電・過電流・過負荷との違いで整理します。電線同士が直接つながるのが短絡、電線が大地につながるのが地絡です。電気設備に関する技術基準を定める省令と電気設備の技術基準の解釈の条文、100Vの回路での電流の計算例、第二種電気工事士の学科での使われ方をまとめています。
目次
結論:短絡(ショート)は、電圧のかかった線どうしが、負荷を通らずに直接つながることです。地絡(漏電)は、電圧のかかった線が大地とつながることです。短絡では非常に大きな電流が流れて発熱・火花の原因になり、地絡では電流は小さくても感電や火災の原因になります。第二種電気工事士の学科では、短絡と地絡の違い、過電流を止める器具と地絡を止める器具の区別、測定器の端子を短絡する確認操作が出てきます。
電気の勉強を始めると、短絡・地絡・漏電・過電流が一度に出てきて、区別が付かなくなりやすい言葉です。この記事は、まず4つの言葉の意味を「電流がどこを流れるか」で整理し、次に電気設備に関する技術基準を定める省令(以下「省令」)と電気設備の技術基準の解釈(以下「解釈」)の条文で、どの器具がどの異常を止めるのかを確認します。試験での使われ方は、後半にまとめます。
試験センター非提携:本サイトは一般財団法人 電気技術者試験センターと一切関係ありません。試験の出題・資料は、出典を示して内容を紹介しています。製品名やメーカーは扱いません。
解釈の版:電気設備の技術基準の解釈は、令和7年11月20日改正の版が経済産業省のページに掲載されています。条文の番号や数値は改正で変わることがあります。最終確認日:2026-10-08。出典:経済産業省 電気事業法 告示・内規等、電気設備の技術基準の解釈(PDF)。
短絡・地絡・漏電・過電流の意味
省令第1条第一号は、「電路」を「通常の使用状態で電気が通じているところ」と定めています。電気は、電源から電路を通って負荷(照明や機器)に入り、電源へ戻る輪になって流れています。次の4つの言葉は、この輪が通常と違う形になった状態を表します。
| 言葉 | 意味(当サイトの整理) | 起きる場面の例 |
|---|---|---|
| 短絡(ショート) | 電圧のかかった線どうしが、負荷を通らずに直接つながること | 電線の被覆が傷つき、2本の導体が触れる。端子ねじの緩みで線どうしが触れる |
| 地絡 | 電圧のかかった線が、大地または大地につながった金属部分とつながること | 絶縁が劣化した電線が金属の外箱や管に触れる。水の侵入で絶縁が落ちる |
| 漏電 | 電気が本来の電路の外へ漏れ出ている状態。地絡とほぼ同じ場面で使う一般的な言い方 | 器具の内部の絶縁不良で、金属の外箱に電気が出てくる |
| 過電流 | 電線や機器に流してよい値を超えた電流の総称。過負荷と短絡が原因になる | 1つのコンセントに消費電力の大きい機器をつなぎすぎる。短絡が起きる |
| 過負荷 | 接続した機器の合計が、回路の能力を超えている状態。電流は定格を超えるが、短絡ほど大きくはない | たこ足配線で電熱器具を同時に使う |
「短絡」の字は、電流の通り道が短く(近道して)つながる、と読むと覚えられます。電源から出た電流が、負荷という長い道を通らず、近道で戻ってくる様子です。
電流の流れ方:表で見る短絡と地絡
図の代わりに、電流が通る順番を表にします。単相100Vの回路を例にしています(当サイトの整理)。
| 状態 | 電流の通り道 | 電流の大きさを決めるもの | 起こりやすい危険 |
|---|---|---|---|
| 通常 | 電源 → 電線 → 負荷 → 電線 → 電源 | 負荷の抵抗 | なし |
| 短絡 | 電源 → 電線 → (負荷を通らず)→ 電線 → 電源 | 電線などの小さな抵抗だけ。電流は非常に大きい | 導体の発熱、火花、被覆の焼損、火災 |
| 地絡(漏電) | 電源 → 電線 → 故障点 → 大地(または金属の外箱)→ 電源の接地側 | 故障点や大地側の抵抗。電流は短絡よりはるかに小さいことが多い | 外箱に触れた人への感電、漏れた電流による発熱・火災 |
| 過負荷 | 通常と同じ通り道。負荷が多すぎる | 接続した負荷の合計 | 電線や器具の過熱 |
ポイントは、短絡は「線と線」、地絡は「線と大地」という、つながる相手の違いです。地絡では、漏れた分の電流が帰りの電線を通らず、大地を通って電源の接地側へ戻ります。このため、遮断器を通る往きの電流と帰りの電流に差が生じます。電流動作型の漏電遮断器は、この差(漏れ電流)を検出して電路を遮断する器具です(一般的な仕組みの説明)。
短絡・過負荷・地絡の違いを比べる
3つの異常を、起きる場所・電流の大きさ・止める器具・条文で並べます(当サイトの整理。条文の番号は後の節で説明します)。
| 項目 | 短絡 | 過負荷 | 地絡(漏電) |
|---|---|---|---|
| つながる相手 | 線と線 | つながりは正常。負荷が多すぎる | 線と大地(金属の外箱を含む) |
| 電流の大きさ | 非常に大きい(電源の容量や配線の長さで大きく変わる) | 定格をやや超える | 短絡より小さいことが多い(漏れ電流はmAの単位で考える場面が多い) |
| 主な危険 | 発熱、火花、火災 | 電線の過熱 | 感電、火災 |
| 止める器具 | 過電流遮断器(配線用遮断器・ヒューズ) | 過電流遮断器(配線用遮断器・ヒューズ) | 漏電遮断器などの地絡遮断装置 |
| 主な条文 | 省令第14条、解釈第33条 | 省令第14条、解釈第33条 | 省令第15条、解釈第29条・第36条 |
過電流を止める器具と、地絡を止める器具は別です。配線用遮断器は、流れる電流が定格(たとえば20A)を超えたときに動作する器具です。数十mA程度の漏れ電流は定格に比べてごく小さいため、配線用遮断器はこれを地絡として検出しません(一般的な仕組みの説明)。地絡を止めるには、漏電遮断器のように、地絡そのものを検出する器具が必要です。配線用遮断器と漏電遮断器の役割、引込口の開閉器、動作時間の数値は、遮断器と開閉器の違いの記事で扱っています。
数値で見る:短絡電流と漏れ電流の大きさ(当サイトの作例)
条件を仮定して、電流の大きさの違いを計算します。実際の値は、電源の容量・配線の長さと太さ・故障点の状態で変わります。ここは大きさの感覚をつかむための作例です。
短絡電流の例
- 単相100Vの回路に、消費電力1,000Wの電熱器具をつなぐと、流れる電流は 1,000W÷100V=10A です。負荷の抵抗は 100V÷10A=10Ω です。
- この回路で短絡が起き、電流の通り道の抵抗が電線の合計0.05Ωだけになったと仮定します。短絡電流は 100V÷0.05Ω=2,000A です。
- 通常の10Aの 2,000÷10=200倍の電流です。同じ導体に流れる電流が200倍になると、発熱(電流の2乗に比例)は 200×200=40,000倍になります。短絡が数分の1秒でも危険な理由は、ここにあります。
漏れ電流の例
ここでは計算を簡単にするため、電線と大地の間に100Vがかかり、漏れ電流の通り道の抵抗が故障点の抵抗だけであると単純化します(接地工事の抵抗や大地の抵抗は無視しています)。
- 単相100Vの電路で、絶縁が劣化して、電線と大地の間の抵抗が5kΩ(5,000Ω)になったと仮定します。漏れ電流は 100V÷5,000Ω=0.02A=20mA です。
- 定格感度電流15mA以下の漏電遮断器の値(解釈第29条第2項第五号)と比べると、20mAは15mAより大きい電流です。短絡の2,000Aと比べると、10万分の1です。
- 対地の抵抗が省令第58条の絶縁抵抗の下限(使用電圧300V以下で対地電圧150V以下の電路は0.1MΩ)のときは、100V÷100,000Ω=0.001A=1mA です。解釈第14条第1項第二号が、絶縁抵抗の測定が困難な場合に求める漏えい電流「1mA以下」は、100Vの電路でこの値に対応します。
上の数値は、いずれも当サイトの計算です。
条文で見る:過電流と地絡からの保護
条文は、短絡や地絡そのものを定義せず、これらの異常で電線や機器が損傷しないよう、器具を施設することを定めています。
- 省令第14条(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策):「電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない」と定めます。省令の解説は、過電流遮断器を「電路に過電流を生じたときに自動的に電路を遮断する装置」とし、低圧ではヒューズ、配線用遮断器等がこれに該当すると説明しています。
- 解釈第33条第1項:低圧電路に施設する過電流遮断器は、施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有するものであることを求めます。ただし書で、最大短絡電流が10,000Aを超える場合の組合せの例外が定められています。
- 省令第63条(過電流からの低圧幹線等の保護措置):低圧の幹線等には過電流遮断器を施設することを求め、ただし書で「当該幹線等における短絡事故により過電流が生じるおそれがない場合」を除きます。省令の解説は、このただし書に相当するものとして、短絡事故が発生するおそれがない極めて短い長さの電路を挙げています。
- 省令第15条(地絡に対する保護対策):「電路には、地絡が生じた場合に、電線若しくは電気機械器具の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない」と定めます。ただし書は、電気機械器具を乾燥した場所に施設する等、地絡による危険のおそれがない場合を除きます。
- 解釈第36条第1項:金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設することを求めます。ただし書で、乾燥した場所に施設する場合、電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁構造のものである場合など、八つの場合が除かれています。
- 解釈第29条第2項第五号:機械器具が小規模発電設備である燃料電池発電設備である場合を除き、水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流が15mA以下、動作時間が0.1秒以下の電流動作型のものに限る)を施設する場合は、金属製外箱等の接地工事(第1項)によらないことができます。接地工事の全体は、接地工事の種類と抵抗値の記事にまとめています。
出典:電気設備に関する技術基準を定める省令第1条・第14条・第15条・第63条、電気設備に関する技術基準を定める省令の解説、電気設備の技術基準の解釈第14条・第29条・第33条・第36条。
試験での使われ方
電気技術者試験センターは、第二種電気工事士の学科試験の科目として、「電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具」「一般用電気工作物等の検査方法」「一般用電気工作物等の保安に関する法令」などを挙げています。短絡・地絡にかかわる出題は、これらの科目にまたがります。次の表は、センターが公表した直近5回(令和6年度上期〜令和8年度上期)の学科問題から、短絡・地絡にかかわる問いの型の例を挙げたものです(当サイトの整理。問題文の引用はしていません)。
| 問いの型 | 該当する問題(回・問番号) | 見るところ |
|---|---|---|
| 回路計・絶縁抵抗計の測定手順(端子を短絡する確認操作を含む) | 令和6年度上期 問24・問25 | 測定前に端子どうしを短絡して0を確かめる操作と、測定そのものの手順の正誤 |
| 地絡を自動遮断する装置がある電路の、接地抵抗値と絶縁抵抗値の組合せ | 令和6年度上期 問26 | 遮断の時間(0.1秒)と、電路・機械器具の条件で、基準に合うか |
| 地絡遮断装置の動作時間と、絶縁抵抗・接地工事の組合せ | 令和6年度下期 問26 | 電圧の区分(300V超の低圧)、動作時間(0.5秒超)、接地工事の種類と抵抗値 |
| 配線図の図記号の器具が遮断する電流 | 令和6年度上期 問39 | 過電流を遮断する器具か、地絡電流を遮断する器具か、その両方か |
出典:センター公表の学科試験問題と解答。令和6年度上期、令和6年度下期。出題範囲:電気技術者試験センター 第二種電気工事士の学科試験のポイント。
この表から言えるのは、「短絡」という言葉そのものより、「過電流を止める器具」と「地絡を止める器具」の区別が、器具・配線図・法令の問題の土台になるということです。漏電遮断器、漏電警報器、配線用遮断器は、写真や図記号で名前と役割を問われます。写真と図記号の問題は、科目別の問題で練習できます。
間違えやすいポイント
- 短絡は「線と線」、地絡は「線と大地」です。 つながる相手で区別します。外箱に電気が出てくる故障は、短絡ではなく地絡(漏電)です。
- 短絡電流は大きく、漏れ電流は小さい。 作例の2,000Aと20mAのように、桁がまったく違います。このため、止める器具も別になります。
- 配線用遮断器は、地絡を止める器具ではありません。 過電流を遮断する器具です。地絡を止めるのは、漏電遮断器などの地絡遮断装置です。
- 問われている機能が「過電流」か「地絡」かを、先に見ます。 器具の名前だけで判断せず、「過電流遮断器の役割」と「地絡遮断装置の役割」を分けて考えます。
- 「漏電」は省令・解釈では主に器具の名前に出てきます。 条文で異常の状態を表すときは、主に「地絡」が使われます。省令第15条の見出しも「地絡に対する保護対策」です。
- 測定器の「短絡」は事故ではありません。 回路計や絶縁抵抗計の端子を短絡するのは、零点を確かめる確認の操作です。電路を短絡してはいけません。
- 過電流=短絡ではありません。 短絡は過電流の原因の1つで、過負荷も過電流の原因になります。
まとめ
- 短絡(ショート)は、電圧のかかった線どうしが、負荷を通らず直接つながること。電流は非常に大きくなり、発熱・火花・火災の原因になる
- 地絡は、電圧のかかった線が大地(または大地につながった金属部分)とつながること。漏電はほぼ同じ場面を指す一般的な言い方。電流は短絡より小さいことが多いが、感電や火災の原因になる
- 過電流は、流してよい値を超えた電流の総称。過負荷と短絡が原因になる
- 過電流を止めるのは過電流遮断器(配線用遮断器・ヒューズ)で、省令第14条・解釈第33条が根拠。地絡を止めるのは漏電遮断器などの地絡遮断装置で、省令第15条・解釈第36条が根拠
- 作例(100V):短絡電流 100V÷0.05Ω=2,000A、漏れ電流 100V÷5kΩ=20mA。電流の桁が違う
- 試験では、過電流を止める器具と地絡を止める器具の区別、測定器の端子を短絡する確認操作、地絡遮断装置と接地・絶縁抵抗の組合せが使われる
関連:遮断器と開閉器の違い・絶縁抵抗測定をわかりやすく・接地工事の種類と抵抗値・第二種電工 工事の方法。第二種電気工事士の試験全体は第二種電気工事士の学習ページから確認できます。
よくある質問
Q短絡とショートは、同じ意味ですか?
同じ意味で使われます。電気の現場ではショートと呼ぶことが多く、試験や条文では「短絡」「短絡電流」と書きます。どちらも、電圧のかかった2本の線(または2つの相)が、負荷を通らずに直接つながってしまう現象を指します。電気設備の技術基準の解釈第33条第1項は、低圧電路に施設する過電流遮断器について、「これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有するものであること」と定めています。出典:電気設備の技術基準の解釈第33条第1項。
Q地絡と漏電は、同じことですか?
ほぼ同じ場面を指しますが、言葉の使われ方が違います。「地絡」は、電圧のかかった線が大地(または大地につながった金属部分)とつながることで、電気設備に関する技術基準を定める省令第15条や解釈第36条が使う言葉です。「漏電」は、電気が本来の電路の外へ漏れ出ている状態を指す一般的な言い方で、試験では「漏電遮断器」「漏電警報器」という器具の名前として出てきます。出典:電気設備に関する技術基準を定める省令第15条、電気設備の技術基準の解釈第36条。
Q短絡すると、なぜ大きな電流が流れるのですか?
電流は、電圧を回路の抵抗で割った値(オームの法則)になるためです。負荷を通る通常の回路では、抵抗の大部分を負荷が占めます。短絡では負荷を通らず、電線の抵抗だけが残るので、抵抗が極端に小さくなり、電流が極端に大きくなります。たとえば100Vの回路で、電線の抵抗の合計を0.05Ωと仮定すると、短絡電流は 100V÷0.05Ω=2,000A です(当サイトの作例)。実際の値は、電源の容量や配線の長さ・太さで大きく変わります。
Q過電流・過負荷・短絡は、どういう関係ですか?
過電流は、電線や機器に流してよい値を超えた電流の総称です。そのうち、接続した機器の合計が回路の能力を超えて流れ続けるものを過負荷、2本の線が直接つながって流れるものを短絡と整理すると分かりやすくなります(当サイトの整理)。過電流を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を過電流遮断器といい、省令第14条は電路の必要な箇所にこれを施設することを求めています。省令の解説は、低圧ではヒューズや配線用遮断器等がこれに当たると説明しています。出典:電気設備に関する技術基準を定める省令第14条、電気設備に関する技術基準を定める省令の解説第14条。
Q回路計や絶縁抵抗計で「端子を短絡する」と言うのは、電路の短絡と同じですか?
電気的には同じで、測定器の2本の端子(テストリード)どうしを直接つなぐ操作を指します。測定の前に、回路計(アナログ式)は赤と黒の端子を短絡して指針が0になるよう調整し、絶縁抵抗計(アナログ形)は接地端子と線路端子を短絡して指針が0を指すかを確かめます。これは測定器が正しく動くかを調べる確認の操作で、電路で起こる事故の短絡とは目的が違います。電路の絶縁抵抗の基準値は、絶縁抵抗測定をわかりやすくにまとめています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月8日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

