第一種電工

避雷器(LA)とは避雷針との違い・設置場所・接地を一種の公表問題と解釈第37条で整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

避雷器(LA)は、雷などの過大な電圧(サージ)の電流を大地へ分流して電圧を制限し、過ぎたあとは電路を元に戻す機器です。避雷針との違い、高圧受電設備で施設する場所(解釈第37条・500kW以上)、接地と切り離しの決まりを、第一種電気工事士の公表問題の正答で解説します。

目次
  1. 避雷器(LA)は何をする機器か
  2. 解釈 第37条:避雷器を施設する場所
  3. 避雷器の施設に関する記述の正誤
  4. 配線図と写真で問われる形
  5. 避雷器と混同しやすい雷害対策
  6. まとめ
  7. 高圧受電設備の問題を続けて解く
結論:避雷器(LA)は、雷などで電路に入ってきた過大な電圧(サージ)の電流を大地へ分流して電圧を制限し、サージが過ぎたあとは電路を元の健全な状態に戻す機器です。建物を雷の直撃から守る避雷針とは役目が違い、避雷器は電気設備や機器を守ります(当サイトの説明)。高圧受電設備では、高圧架空電線路から受電する受電電力が500kW以上の需要場所の引込口又はこれに近接する箇所に施設します(電気設備の技術基準の解釈 第37条第1項第三号。直接接続する電線が短い場合などは、第2項により第1項によらないことができます)。第一種電気工事士の試験では、機能の記述(令和8年度上期 出題例・下期 問20)、施設の記述(令和8年度上期 出題例 問32、令和7年度上期 出題例 問31)が出ています。

避雷器(LA)は何をする機器か

避雷器は、雷や開閉で電路に現れる過大な電圧(サージ)を、電気設備や機器が耐えられる値以下に制限する機器です。普段の電圧では電気を通さず、サージが来たときだけ電流を大地へ流し、サージが過ぎると元の状態に戻ります(当サイトの説明)。

呼び方守るもの補足
避雷針建物雷の直撃による建物の損傷を防ぐ設備(当サイトの説明)
避雷器(LA)電気設備・機器電線を伝って入るサージから守る。高圧受電設備の図記号は「LA」
サージ防護デバイス(SPD)電気設備・機器低圧の電源回路で使う避雷器の呼び名(当サイトの説明)。試験では写真の名称を選ぶ問題で出ている

試験センターが公表している問題は、次のとおり出典を書いて引用します(例:出典:令和8年度下期 第一種電気工事士 学科試験 問20(一般財団法人 電気技術者試験センター))。以降の表では年度・区分と問番号だけを書きます。

機能を問う問題

令和8年度上期の学科試験(出題例)問20と令和8年度下期 問20は、同じ文面で「高圧受電設備に雷その他による異常な過大電圧が加わった場合の避雷器の機能として,適切なものは」を問いました。

選択肢(原文)扱い
過大電圧に伴う電流を大地へ分流することによって過大電圧を制限し,過大電圧が過ぎ去った後に,電路を速やかに健全な状態に回復させる。正答(公式)
過大電圧が侵入した相を強制的に切り離し回路を正常に保つ。正答ではない
内部の限流ヒューズが溶断して,保護すべき電気機器を電源から切り離す。正答ではない
電源から保護すべき電気機器を一時的に切り離し,過大電圧が過ぎ去った後に再び接続する。正答ではない

避雷器は、電気機器を切り離すのではなく、サージの電流を大地へ流して電圧を制限します。ヒューズが溶断して切り離す機器でもありません。

解釈 第37条:避雷器を施設する場所

電気設備の技術基準の解釈 第37条第1項は、「高圧及び特別高圧の電路中、次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器を施設すること。」と定めています。各号のうち、需要場所に関するのは次の2つです。

号条文(原文)
第三号高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口
第四号特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口

第一号は発電所、蓄電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く。)及び引出口、第二号は架空電線路に接続する配電用変圧器の高圧側及び特別高圧側です。

第2項は、第1項各号に掲げる箇所に直接接続する電線が短い場合(第一号)と、使用電圧が60,000Vを超える特別高圧電路で、同一の母線に常時接続されている架空電線路の数が条文に定める数以上の場合(第二号)は、第1項の規定によらないことができると定めています。第3項は「高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。」と定めています。第3項のただし書は、第1項の規定により施設するものを除く高圧架空電線路に施設する避雷器について、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第17条第1項第一号の規定によらないことができる、という内容です。第1項の規定により施設する避雷器(第1項各号の箇所に施設するもの。受電電力500kW以上の需要場所の引込口のものなど)は、このただし書の対象から除かれています。

条文が定めているのは「高圧架空電線路から受電する」「受電電力が500kW以上」の需要場所です。500kW未満の需要場所は、第37条第1項第三号の対象ではありません。

避雷器の施設に関する記述の正誤

避雷器の施設は、受電設備の図に関する問題(問30〜34)で「不適切なものは」の形で出ています。

令和8年度上期(出題例)問32

選択肢(原文)扱い
受電電力の容量が500 kW 未満であっても,雷害の多い地区で架空電線路に接続されている高圧受電設備には,避雷器を施設すべきである。不適切ではない
高圧受電設備の高圧架空引込ケーブルが長い場合,避雷器は引込口のほか,受電設備内の主遮断装置に近接する箇所にも施設することが望ましい。不適切ではない
避雷器には,保安上電路から切り離せるように,限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器を施設した。不適切(公式の正答)
受電電力の容量が500 kW 以上の需要場所の引込口には,避雷器を施設する必要がある。不適切ではない

令和7年度上期(出題例)問31

選択肢(原文)扱い
避雷器の接地はA 種接地工事とし,サージインピーダンスをできるだけ低くするため,接地線を太く短くした。不適切ではない
保安上必要なため,避雷器には電路から切り離せるように断路器を施設した。不適切ではない
受電電力が500 kW 未満の需要場所では避雷器の設置義務はないが,雷害の多い地域であり,電路が架空電線路に接続されているので,引込口の近くに避雷器を設置した。不適切ではない
避雷器には電路を保護するため,その電源側に限流ヒューズを施設した。不適切(公式の正答)

2つの問題から、次のように整理できます。

1. 避雷器を電路から切り離せるようにするときは、断路器を使います。限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器や、電源側の限流ヒューズは不適切です。断路器については断路器・負荷開閉器・遮断器の違いで扱っています。

2. 受電電力が500kW未満でも、雷害の多い地域で架空電線路に接続されていれば、避雷器を施設してよい(施設すべき、と書かれた選択肢も不適切ではない)。

3. 接地はA種接地工事で、サージインピーダンスを下げるため接地線は太く短くする。

A種接地工事の接地抵抗値は、解釈 第17条第1項第一号で「10Ω以下であること。」と定められています。接地線は、第二号ロで、引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線と定められています(移動して使用する電気機械器具に関する第二号ハの場合を除く)。

配線図と写真で問われる形

出題の形出題内容
写真の名称令和5年度 学科(午後)問15雷保護用として施設される機器の名称。公式の正答はサージ防護デバイス(SPD)。選択肢は地絡継電器・漏電遮断器・漏電監視装置・サージ防護デバイス(SPD)
配線図の機器令和6年度下期 問30〜34の図図の注記に「GR付PAS VT,LA内蔵」とあり、避雷器を内蔵した負荷開閉器が描かれる
受電設備の図に関する問題(問30〜34)令和7年度上期(出題例)問31、令和8年度上期(出題例)問32図のLAの図記号の機器について、施設の記述を問う

令和5年度 学科(午後)問15の写真は、端子に電源線をつなぎ、分離器を介して接地する形の機器です。図の「分離器」は、避雷器が故障したときに電路から切り離すためのものと説明されます(当サイトの説明)。

避雷器と混同しやすい雷害対策

架空送電線の雷害対策は、避雷器とは別の問題として出ています。

出題正答(公式)
令和7年度下期 問18「架空送電線の雷害対策として,適切なものは」がいしにアークホーンを取り付ける。
令和8年度上期(出題例)問18「架空送電線路に使用されるアークホーンの記述として,正しいものは」がいしの両端に設け,がいしや電線を雷の異常電圧から保護する。

令和7年度下期 問18の選択肢のうち、がいしの洗浄装置を施設する、電線にダンパを取り付ける、がいし表面にシリコンコンパウンドを塗布する、は正答ではありません。

直列リアクトルは避雷器とは別の機器

名前の似た機器ではありませんが、受電設備で避雷器と並んで描かれることのある直列リアクトルは、進相コンデンサに接続して、投入時の突入電流を抑制したり、高調波の影響を減らしたりする機器で、雷対策の機器ではありません(当サイトの説明)。令和7年度上期(出題例)問49は、⑨で示す直列リアクトルのリアクタンスとして「コンデンサリアクタンスの6 %」を正答としました。計算を含めた直列リアクトルの解説は、力率改善をわかりやすく|進相コンデンサの容量を第一種電気工事士の問題で計算で扱っています。

まとめ

  • 避雷器(LA)は、サージの電流を大地へ分流して電圧を制限し、サージが過ぎたあとに電路を元の状態に戻す機器。避雷針は建物を守る設備で、役目が違う。
  • 解釈 第37条第1項第三号:高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口又はこれに近接する箇所に施設する。直接接続する電線が短い場合などは、第2項により第1項によらないことができる。
  • 避雷器にはA種接地工事を施す。接地線は太く短くする。
  • 電路から切り離せるようにするのは断路器。限流ヒューズや限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器は不適切。
  • 500kW未満でも、雷害の多い地域で架空電線路に接続されていれば、施設してよい。

高圧受電設備の問題を続けて解く

避雷器の問題は、配線図の中で、断路器・接地・主遮断装置とあわせて問われます。続けて解いてみましょう。

よくある質問

Q避雷器と避雷針は、何が違いますか?

守るものが違います(当サイトの説明)。避雷針は、建物を雷の直撃から守るための設備です。避雷器は、電線を伝って入ってくる雷などの過大な電圧(サージ)から、電気設備や機器を守る機器で、サージの電流を大地へ分流して電圧を制限します。令和8年度上期の学科試験(出題例)問20は、高圧受電設備の避雷器の機能として「過大電圧に伴う電流を大地へ分流することによって過大電圧を制限し,過大電圧が過ぎ去った後に,電路を速やかに健全な状態に回復させる。」を正答としました。

Q高圧受電設備には、必ず避雷器を施設しなければなりませんか?

電気設備の技術基準の解釈 第37条第1項第三号は、「高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口」又はこれに近接する箇所に避雷器を施設することと定めています。つまり、500kW未満の需要場所は第三号の対象ではありません。また、第2項は、第1項各号に掲げる箇所に直接接続する電線が短い場合などは、第1項によらないことができると定めています。令和7年度上期(出題例)問31では、「受電電力が500 kW 未満の需要場所では避雷器の設置義務はないが,雷害の多い地域であり,電路が架空電線路に接続されているので,引込口の近くに避雷器を設置した。」が不適切な記述とされませんでした。

Q避雷器を電路から切り離せるようにするとき、何を施設しますか?

公表問題では、断路器は不適切とされず、限流ヒューズや限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器は不適切とされています。令和7年度上期(出題例)問31は、「保安上必要なため,避雷器には電路から切り離せるように断路器を施設した。」を不適切な記述とせず、「避雷器には電路を保護するため,その電源側に限流ヒューズを施設した。」を不適切な記述としました。令和8年度上期(出題例)問32では、「避雷器には,保安上電路から切り離せるように,限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器を施設した。」が不適切とされました。

Q避雷器とSPD(サージ防護デバイス)は同じものですか?

低圧の電源回路に使う避雷器は、サージ防護デバイス(SPD)とも呼ばれます(当サイトの説明)。令和5年度の学科試験(午後)問15は、分離器を介して接地する写真の機器の名称を問い、公式の正答は「サージ防護デバイス(SPD)」でした。高圧受電設備では、配線図の「LA」の図記号の機器を、避雷器として答えます。

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