問題
写真に示す過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形(SOG)の地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器(GR付PAS)の記述として,誤っているものは。
キーボード:1〜4で選択
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
SOG形のGR付PAS(地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器)について、誤った記述を選ぶ問題です。正答はウです。PASは負荷開閉器なので、短絡事故のような大きな電流は遮断できません。自家用側で短絡が起きると、まず電力会社の変電所の遮断器が動作して配電線が一時停止します。SOG形はその間に過電流を記憶しておき、配電線が停電して電流がなくなったところでPASを開きます。したがって「配電線を停止させることなく自動遮断する」というウは誤りで、エが正しい動作です。
SOG形の名前は、短絡などの過電流に対する「過電流蓄勢トリップ(SO)」と、地絡に対する「地絡トリップ(G)」の2つの機能を表しています。各選択肢を確認します。
ア(正しい):自家用側の地絡事故をGR付PASが切り離すので、電力会社の配電線に事故が広がる「波及事故」を防ぐ効果があります。
イ(正しい):地絡事故では、零相変流器(ZCT)で地絡電流を検出し、地絡継電器の動作でPASを開きます。地絡電流は小さく負荷開閉器でも開閉できるので、配電線を停止させずに自家用側だけを切り離せます。
ウ(誤り):短絡電流は非常に大きく、負荷開閉器であるPASでは遮断できません。配電線を停止させずに短絡電流を遮断することはできないので、この記述は誤りです。
エ(正しい):短絡事故では、PASは過電流を検出しても開かずに記憶しておき(過電流ロック・蓄勢)、変電所の遮断器が動作して配電線が停電し、電流がなくなったところでPASを開きます。事故点が切り離された状態になるので、変電所の遮断器を再び投入すれば配電線は早く復旧できます。
正答はウです。
本問はGR付PASの保護動作を「地絡」と「短絡」に分けて理解しているかを問う問題です。同じ写真が令和2年度 問22でも出題され、そこでも「自家用側の引込みケーブルに短絡事故が発生したとき、自動遮断する」が誤りの記述でした。負荷開閉器は短絡電流を遮断できない、という一点が繰り返し問われています。
【GR付PASの設置場所と役割】GR付PASは、電力会社の配電線と自家用電気工作物との保安上の責任分界点又はこれに近い箇所(引込柱など)に設置します。自家用側で起きた地絡事故を自家用側だけで切り離し、配電線全体が停電する波及事故を防ぐのが主な役割です。
【地絡時の動作(G:地絡トリップ)】①自家用側の高圧電路で地絡が発生。②PAS内の零相変流器(ZCT)が零相電流を検出。③地絡継電器が動作し、PASを開放。地絡電流は短絡電流に比べてはるかに小さく、負荷開閉器でも開閉できる範囲なので、配電線を停止させずに自家用側を切り離せます(イ)。地絡方向継電器付きのもの(DGR付PAS)は、自家用側のケーブルが長い場合などに、配電線側の地絡で不必要に動作しないよう、零相電圧と零相電流の向きで自家用側の地絡かどうかを判断します。
【短絡時の動作(SO:過電流蓄勢トリップ)】短絡電流は数kA以上になることがあり、PASの開閉能力を超えます。そこでSOG形は、①過電流を検出してもその場では開かずに記憶(蓄勢)し、②変電所の遮断器が動作して配電線が停電したこと(無電圧)を確認してから、③PASを開放します。こうして事故点が配電線から切り離されるので、変電所側が再び送電すれば配電線は早く復旧します(エ)。配電線が一時停止することは避けられないため、ウの「停止させることなく自動遮断する」は誤りです。
【受電設備側の短絡保護との関係】自家用側の受電設備の内部で短絡が起きた場合は、受電設備の主遮断装置(VCB+過電流継電器、又は限流ヒューズ付LBS)が先に遮断して、配電線への影響を防ぎます。GR付PASは主に引込みケーブルなど主遮断装置より電源側の部分を含めた地絡保護と、短絡時の事故点の切り離しを受け持つ機器と整理すると、各機器の役割分担が理解しやすくなります。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度(午後) 第一種電気工事士 学科試験 問23(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-14)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


