衛生管理者

衛生管理者と衛生推進者の違い50人以上・10〜49人の選任基準と資格を条文で比較

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

衛生管理者と衛生推進者(安全衛生推進者)の違いを、労働安全衛生法12条・12条の2、施行令、労働安全衛生規則7条・12条の2〜12条の4の条文で比較。対象となる人数、資格、業種、職務、手続、罰則の有無、50人に達したときの切替まで確認できます。

目次
  1. 衛生管理者と衛生推進者の違い(早見表)
  2. 対象となる事業場の規模:50人以上と10人以上50人未満
  3. 安全衛生推進者と衛生推進者の違い:業種で決まる
  4. 資格要件と選任義務の条文:免許か、講習修了か
  5. 職務の違い:技術的事項の管理と、業務の担当
  6. 事業場が50人に達したとき・50人未満のとき
  7. 会社が選ぶときの考え方:3つの確認
  8. 試験では推進者をどう問われるか:当サイトの問題数
  9. まとめ
結論:衛生管理者は常時50人以上の事業場で選任が義務づけられた免許などの資格者で、衛生推進者は常時10人以上50人未満の事業場に置く、講習修了者などです(労働安全衛生法12条・12条の2、同法施行令4条、同規則12条の2・12条の3)。製造業・建設業など一部の業種では、衛生推進者ではなく「安全衛生推進者」を置きます。衛生管理者には週1回の巡視や所轄労働基準監督署長への報告などの定めがあり、推進者は氏名の周知が定められています。条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-04 時点の現行条文)。

衛生管理者と衛生推進者の違い(早見表)

項目衛生管理者衛生推進者(安全衛生推進者)根拠
対象となる事業場常時50人以上常時10人以上50人未満同法施行令4条/同規則12条の2
資格免許を受けた者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど(業種で範囲が異なる)登録講習を修了した者など、業務に必要な能力を有すると認められる者規則7条1項3号・10条/規則12条の3第1項
担当する業務10条1項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項の管理10条1項各号の業務(衛生推進者は衛生に係る業務に限る)を担当法12条1項/法12条の2
人数の定め規模ごとの表がある(1人〜6人以上)規模ごとの表はない(事業場ごとに選任)規則7条1項4号/規則12条の2
選任の期限事由が発生した日から14日以内同じく14日以内規則7条1項1号/規則12条の3第1項1号
専属原則その事業場に専属(ただし書あり)専属(コンサルタントなどから選ぶときは例外)規則7条1項2号/規則12条の3第1項2号
選任後の手続所轄労働基準監督署長への報告氏名を関係労働者に周知規則7条3項/規則12条の4
罰則の条文法12条1項の違反は50万円以下の罰金の対象に列挙法12条の2は、罰金の対象として列挙されていない法120条1号
選任の対象人数と罰則:衛生管理者は常時50人以上(労働安全衛生法施行令4条)、推進者は常時10人以上50人未満(労働安全衛生規則12条の2)。法120条1号は、12条1項の違反を50万円以下の罰金の対象として列挙するが、12条の2は列挙に含まれない(2026-10-04 に法全文で「第十二条の二」を含む条文を検索し、12条の2自身のみと確認)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 労働安全衛生法・同施行令・同規則。

衛生管理者の選任の手続き・人数・専任は衛生管理者の選任手続きにまとめています。ここでは、2つの違いに絞って確認します。

対象となる事業場の規模:50人以上と10人以上50人未満

衛生管理者を選任すべき事業場は、労働安全衛生法施行令4条が「常時五十人以上の労働者を使用する事業場」と定めています。

推進者の側は、労働安全衛生法12条の2が「第十一条第一項の事業場及び前条第一項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のもの」と定め、規則12条の2が規模を「常時十人以上五十人未満の労働者を使用する事業場」としています。つまり、衛生管理者を選任すべき事業場(常時50人以上)とは重ならない、その下の規模の事業場が推進者の対象です。

  • 常時10人未満:衛生管理者も推進者も、この条文では選任義務の対象になりません
  • 常時10人以上50人未満:推進者(安全衛生推進者または衛生推進者)を選任します
  • 常時50人以上:衛生管理者を選任します

安全衛生推進者と衛生推進者の違い:業種で決まる

推進者には2つの呼び名があります。労働安全衛生法12条の2は、「安全衛生推進者(第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)」と書いています。

分かれ目は、安全管理者を選任する業種に当たるかどうかです。法11条1項の「政令で定める業種」は、施行令3条が「前条第一号又は第二号に掲げる業種」と定めています。

呼び名対象の業種担当する業務
安全衛生推進者林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業10条1項各号の業務(安全・衛生の両方)
衛生推進者上記以外の業種(金融業、情報サービス業などを含む)10条1項各号の業務のうち衛生に係る業務に限る

たとえば、製造業の工場で常時10人以上50人未満の労働者を使用するなら、置くのは衛生推進者ではなく安全衛生推進者です。衛生推進者で足りるとする記述は、条文と合いません。

衛生管理者の資格を考えるときの「業種の区分」(労働安全衛生規則7条1項3号:第一種が必要な業種)は、推進者の業種の区分とは別の一覧です。たとえば通信業は、推進者の区分では安全衛生推進者の業種ですが、衛生管理者の第一種が必要な業種の一覧には入っていません。医療業はその逆です。2つの一覧を混同しないようにしてください。

資格要件と選任義務の条文:免許か、講習修了か

衛生管理者は、労働安全衛生法12条1項が「都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから」選任すると定めています。省令の資格は、規則10条の医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなどで、業種により選べる免許の種類が変わります(規則7条1項3号)。

推進者は、規則12条の3第1項が次のように定めています。

安全衛生推進者又は衛生推進者(以下「安全衛生推進者等」という。)の選任は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他法第十条第一項各号の業務(衛生推進者にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当するため必要な能力を有すると認められる者のうちから、次に定めるところにより行わなければならない。

つまり推進者は、衛生管理者のような国家資格の免許が必須ではなく、講習の修了などで能力が認められる者から選任します。選任の期限(事由の発生から14日以内)と専属の要件は、衛生管理者と同じ形です。専属の例外は、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者から選任するときです(規則12条の3第1項)。

厚生労働大臣が定める者の中身(告示)や、登録講習機関の一覧は、本記事では扱いません。具体的にどの講習が該当するかは、厚生労働省や都道府県労働局の案内で確認してください。

職務の違い:技術的事項の管理と、業務の担当

職務の書きぶりにも違いがあります。

  • 衛生管理者:10条1項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理する(法12条1項)。少なくとも毎週1回の巡視と、有害のおそれがあるときの直ちの措置が定められ(規則11条1項)、事業者が衛生に関する措置をなし得る権限を与える(同条2項)
  • 推進者:10条1項各号の業務を担当する(法12条の2)。衛生推進者は衛生に係る業務に限る

10条1項各号の業務は、危険又は健康障害を防止するための措置、安全又は衛生のための教育の実施、健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置、労働災害の原因の調査及び再発防止対策などです。

規則11条のような毎週の巡視と権限の付与の条文は、推進者については規則12条の2〜12条の4に含まれていません。衛生管理者の職務の一覧は衛生管理者のやることリストで整理しています。

また、衛生委員会(常時50人以上の事業場が対象。同法施行令9条)の委員は、衛生管理者のうちから事業者が指名した者を含むと定められています(法18条2項2号)。推進者を委員とする規定は、法18条2項にはありません。

事業場が50人に達したとき・50人未満のとき

人数が変わると、置くべき人も変わります。

状況置くもの期限・根拠
常時10人以上50人未満推進者(業種で名称が決まる)事由の発生から14日以内(規則12条の3第1項1号)
常時50人以上になった衛生管理者事由の発生から14日以内(規則7条1項1号)
常時50人以上の事業場推進者の選任の対象外(法12条の2は、50人以上の事業場以外が対象)法12条の2

法12条の2は、衛生管理者を選任すべき事業場「以外」の事業場が対象と書いているため、50人以上の事業場では推進者を置いても、衛生管理者の選任義務を満たしたことにはなりません。

会社が選ぶときの考え方:3つの確認

人事・総務の担当者が、どちらを置くかを決めるときの確認順です。

  • ① 事業場の常時使用する労働者数を確認する(10人未満/10〜49人/50人以上)
  • ② 業種を確認する(安全衛生推進者の業種か、衛生推進者の業種か)
  • ③ 選ぶ人の資格を確認する(50人以上は免許などの資格者、10〜49人は講習修了者など)

選任の方法や費用、社内の運用は事業場ごとに異なります。条文に書かれた義務の範囲を確認したうえで、不明な点は所轄の労働基準監督署に相談してください。

試験では推進者をどう問われるか:当サイトの問題数

推進者は、関係法令(有害業務以外)の「安全衛生管理体制」で出題される論点です。当サイトの衛生管理者の問題374問(2026-10-02 時点の問題データを 2026-10-04 に集計。当サイトが作成した問題です)のうち、問題文・選択肢に「衛生推進者」または「安全衛生推進者」を含む問題は3問あり、「安全衛生管理体制」は27問です。

押さえる点は、①対象が常時10人以上50人未満であること、②業種で安全衛生推進者と衛生推進者に分かれること、③選任期限が14日以内であること、④氏名の周知が必要で、労働基準監督署長への報告は条文にないことです。

総括安全衛生管理者・安全管理者との違いは総括安全衛生管理者の解説で、法令科目全体の論点は衛生管理者 法令科目の頻出論点で確認できます。

まとめ

  • 衛生管理者は常時50人以上、推進者は常時10人以上50人未満の事業場が対象です。
  • 衛生管理者は免許などの資格者、推進者は講習修了者などです。
  • 業種によって、推進者は安全衛生推進者と衛生推進者に分かれます。
  • 衛生管理者は労働基準監督署長への報告、推進者は氏名の周知が定められています。

よくある質問

Q衛生管理者の免許を持っていれば、衛生推進者になれますか?

労働安全衛生規則12条の3第1項は、推進者を「都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他…必要な能力を有すると認められる者」のうちから選任するよう定めています。条文は免許の有無そのものを要件にしておらず、衛生管理者の免許を持つ人が「必要な能力を有すると認められる者」に当たるかは条文の文面だけでは読み取れないため、勤務先の判断と所轄の労働基準監督署への確認が必要です。

Q従業員が49人から50人になったら、衛生推進者はどうなりますか?

労働安全衛生法12条の2の推進者は、衛生管理者を選任すべき常時50人以上の事業場「以外」の事業場が対象です。50人以上になれば衛生管理者の選任義務が生じ、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任します(規則7条1項1号)。推進者を置いているだけでは、50人以上の事業場の衛生管理者の選任義務を満たしたことにはなりません。

Q衛生推進者を選任したとき、労働基準監督署への報告は必要ですか?

労働安全衛生規則12条の3・12条の4に、労働基準監督署長への報告の定めはありません。定められているのは、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして関係労働者に周知することです。衛生管理者は、選任したときに遅滞なく所轄労働基準監督署長への報告が必要です(規則7条3項)。

Q自分の会社は衛生推進者と安全衛生推進者のどちらを置くのですか?

業種で決まります。林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業と、製造業・電気業・ガス業・熱供給業・水道業・通信業などの一部の業種(労働安全衛生法施行令2条1号・2号が挙げる業種)は安全衛生推進者、それ以外の業種は衛生推進者です(法12条の2の括弧書き、同施行令3条)。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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