衛生管理者

総括安全衛生管理者とは何人以上で選任?衛生管理者・統括安全衛生責任者との違い

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

総括安全衛生管理者とは何か、何人以上で選任が必要かを労働安全衛生法第10条と施行令第2条の原文で解説。業種別の100人・300人・1,000人の基準を全業種の表に、14日以内の選任と労働基準監督署長への報告、衛生管理者・統括安全衛生責任者との違いまで条番号つきで整理します。

目次
  1. 総括安全衛生管理者・衛生管理者・統括安全衛生責任者の違い(早見表)
  2. 総括安全衛生管理者とは:労働安全衛生法第10条の3つのポイント
  3. 総括安全衛生管理者は何人以上で必要?業種別の選任基準(施行令第2条)
  4. 選任の期限・労働基準監督署長への報告・代理者(規則第2条・第3条)
  5. 安全衛生管理体制の全体像:衛生管理者・安全管理者・産業医との違い
  6. 統括安全衛生責任者との違い:元請・下請が混在する現場の体制(労働安全衛生法第15条)
  7. 衛生管理者試験での出題ポイント
  8. まとめ
結論:総括安全衛生管理者とは、一定の業種・規模の事業場ごとに事業者が選任し、安全管理者・衛生管理者などを指揮させ、労働災害を防止するための業務を統括管理させる者です(労働安全衛生法第10条第1項)。選任が必要なのは、常時使用する労働者が、林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業で100人以上、製造業などで300人以上、その他の業種で1,000人以上の事業場です(労働安全衛生法施行令第2条)。免許は要らず、その事業場で「事業の実施を統括管理する者」を充てます(労働安全衛生法第10条第2項)。

この記事の条文は、e-Gov 法令検索の労働安全衛生法・労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則です(2026-09-13 取得の現行条文)。

合格ナビの衛生管理者の論点別問題374問のうち、関係法令(有害業務以外)の80問中27問が「安全衛生管理体制」の問題で、そのうち総括安全衛生管理者が問題文・選択肢に出てくる問題は4問です(2026-10-02 集計。当サイトの自作問題の数で、本試験の出題数ではありません)。

総括安全衛生管理者・衛生管理者・統括安全衛生責任者の違い(早見表)

名前が似ている3つの役職は、根拠の条文も、選任する場面も違います。

項目総括安全衛生管理者衛生管理者統括安全衛生責任者
根拠労働安全衛生法第10条労働安全衛生法第12条労働安全衛生法第15条
選任する単位一定の業種・規模の事業場ごと常時50人以上の事業場ごと(施行令第4条)建設業・造船業の特定元方事業者が、下請と混在して作業する「一の場所」ごと
人数の基準業種により常時100人・300人・1,000人以上(施行令第2条)常時50人以上(人数に応じて複数)作業従事者が常時30人または50人以上(施行令第7条第2項)
誰を充てるか事業場で「事業の実施を統括管理する者」免許を受けた者など厚生労働省令で定める資格を有する者その場所で「事業の実施を統括管理する者」
役割安全管理者・衛生管理者などを指揮し、安全衛生の業務を統括管理衛生に係る技術的事項を管理元方安全衛生管理者を指揮し、混在作業による労働災害の防止の事項を統括管理

総括安全衛生管理者を選任する事業場では、総括安全衛生管理者が衛生管理者の「上に立つ」役職で、衛生管理者は総括安全衛生管理者の指揮を受けて衛生の技術的な事項を担当します(労働安全衛生法第10条第1項・第12条第1項)。統括安全衛生責任者は、事業場の中の体制ではなく、元請と下請が同じ場所で働く現場の体制です。

総括安全衛生管理者とは:労働安全衛生法第10条の3つのポイント

①事業者が、事業場ごとに選任する

選任するのは「事業者」で、単位は「政令で定める規模の事業場ごと」です(労働安全衛生法第10条第1項)。会社全体で1人ではありません。

②安全管理者・衛生管理者などを指揮し、5つの業務を統括管理する

指揮の相手は「安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者」です。統括管理する業務は次の5つです(労働安全衛生法第10条第1項各号)。

  • 第1号:労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること
  • 第2号:労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること
  • 第3号:健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
  • 第4号:労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
  • 第5号:その他厚生労働省令で定めるもの=安全衛生に関する方針の表明、危険性又は有害性等の調査とその結果に基づく措置、安全衛生に関する計画の作成・実施・評価・改善(労働安全衛生規則第3条の2)

③その事業場の「事業の実施を統括管理する者」を充てる

労働安全衛生法第10条第2項は「当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない」と定めています。免許や講習の修了ではなく、事業場で事業を統括している立場にあることが条件です。

このほか、都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告できます(労働安全衛生法第10条第3項)。労働災害が発生して再発防止のため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者などに講習を受けさせるよう事業者に指示することもできます(労働安全衛生法第99条の2第1項)。

総括安全衛生管理者は何人以上で必要?業種別の選任基準(施行令第2条)

施行令第2条は、業種の区分ごとに「常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場」を選任が必要な事業場としています。業種は条文どおりに並べると次のとおりです。

区分業種(施行令第2条の原文どおり)常時使用する労働者
第1号林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業100人以上
第2号製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業300人以上
第3号その他の業種1,000人以上
総括安全衛生管理者の選任基準:林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業は常時100人以上、製造業など施行令第2条第2号の業種は常時300人以上、その他の業種は常時1,000人以上。最終確認日:2026-10-02(2026-09-13 取得の現行条文)。出典:e-Gov 法令検索 労働安全衛生法施行令 第2条。

試験対策として押さえておきたいのは次の3点です。

  • 製造業は300人:「製造業で100人以上」は誤りです(第1号ではなく第2号)。
  • 金融業・保険業・情報処理業などは第3号:第1号・第2号に名前がない業種は「その他の業種」で1,000人以上です。
  • 基準は「常時使用する労働者」の数:数えるのは常時使用する労働者で、事業場ごとに判断します。

施行令第2条第1号・第2号の業種は、安全管理者の選任(常時50人以上。施行令第3条)が必要な業種でもあります。

選任の期限・労働基準監督署長への報告・代理者(規則第2条・第3条)

手続内容根拠
選任の期限選任すべき事由が発生した日から14日以内労働安全衛生規則第2条第1項
報告遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に報告労働安全衛生規則第2条第2項
代理者旅行・疾病・事故その他やむを得ない事由で職務を行えないときは代理者を選任労働安全衛生規則第3条

規則第2条第2項が定める報告事項は、労働保険番号、事業の種類と事業場の名称・所在地・電話番号、常時使用する労働者の数、総括安全衛生管理者の氏名・生年月日・選任年月日、経歴の概要、前任者がいる場合はその氏名と辞任・解任等の年月日、初めて選任した場合はその旨、報告年月日と事業者の職氏名です。検索では「総括安全衛生管理者 届出」とよく調べられていますが、規則の言葉は「報告」です。提出の具体的な方法は、所轄の労働基準監督署の案内で確認してください。

選任しなかった場合、労働安全衛生法第10条第1項の違反として50万円以下の罰金の対象になります(労働安全衛生法第120条第1号)。

安全衛生管理体制の全体像:衛生管理者・安全管理者・産業医との違い

事業場の中の安全衛生管理体制を1枚にまとめると次のとおりです。選任の期限は、どれも選任すべき事由が発生した日から14日以内です(労働安全衛生規則第2条第1項・第4条第1項第1号・第7条第1項第1号・第12条の3第1項第1号・第13条第1項第1号)。

役職根拠選任が必要な事業場選べる人役割
総括安全衛生管理者労働安全衛生法第10条施行令第2条の業種・人数(100人・300人・1,000人以上)事業の実施を統括管理する者安全管理者・衛生管理者などの指揮と業務の統括管理
安全管理者労働安全衛生法第11条施行令第2条第1号・第2号の業種で常時50人以上(施行令第3条)規則第5条の資格を有する者安全に係る技術的事項の管理
衛生管理者労働安全衛生法第12条常時50人以上(施行令第4条)衛生管理者免許を受けた者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど(規則第7条・第10条)衛生に係る技術的事項の管理
産業医労働安全衛生法第13条常時50人以上(施行令第5条)医師で、規則に定める要件を備えた者労働者の健康管理等
安全衛生推進者・衛生推進者労働安全衛生法第12条の2常時10人以上50人未満(規則第12条の2)講習を修了した者など(規則第12条の3)安全衛生(衛生推進者は衛生)に係る業務の担当

押さえておきたい違いが2つあります。

  • 指揮の対象に推進者は入らない:労働安全衛生法第10条第1項が総括安全衛生管理者に指揮させる相手は、安全管理者、衛生管理者、労働安全衛生法第25条の2第2項の技術的事項を管理する者です。安全衛生推進者は条文に挙がっていません。
  • 総括安全衛生管理者を産業医にすることはできない:産業医は「事業場においてその事業の実施を統括管理する者」以外の者から選任することとされています(労働安全衛生規則第13条第1項第2号ハ)。総括安全衛生管理者は、まさにその「統括管理する者」を充てる役職です。

衛生管理者の人数・専任・職務の詳しい決まりは衛生管理者 法令科目の頻出論点、合格後に衛生管理者として選任される流れは衛生管理者 合格後の選任手続きで扱っています。

衛生委員会・安全委員会との関係

衛生委員会・安全委員会・安全衛生委員会の委員のうち「第一号の委員」は、「総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者」で、1人とされています。そして委員会の議長は、この第1号の委員がなります(労働安全衛生法第17条第2項・第3項、第18条第2項・第4項、第19条第2項・第4項)。議長は衛生管理者ではありません。

統括安全衛生責任者との違い:元請・下請が混在する現場の体制(労働安全衛生法第15条)

「総括安全衛生管理者と統括安全衛生責任者の違い」は、選任する場面の違いです。

項目総括安全衛生管理者(労働安全衛生法第10条)統括安全衛生責任者(労働安全衛生法第15条)
選任する者事業者特定元方事業者(建設業・造船業の元方事業者。造船業は施行令第7条第1項)
単位事業場ごと下請(関係請負人)と混在して作業する「一の場所」ごと
人数の基準常時使用する労働者が100人・300人・1,000人以上(施行令第2条)その場所の作業従事者が常時50人以上。ずい道等の建設、一定の場所での橋梁の建設、圧気工法の仕事は常時30人以上(施行令第7条第2項)
目的事業場の安全衛生の業務の統括管理「作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため」の事項の統括管理
指揮する相手安全管理者・衛生管理者など元方安全衛生管理者
誰を充てるか事業場で事業の実施を統括管理する者その場所で事業の実施を統括管理する者

統括安全衛生責任者の周りには、次の役職があります。

  • 元方安全衛生管理者:統括安全衛生責任者を選任した建設業などの事業者が、資格を有する者から選任し、技術的事項を管理させる(労働安全衛生法第15条の2、労働安全衛生規則第18条の3・第18条の4)
  • 安全衛生責任者:統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、自ら仕事を行う者が選任し、統括安全衛生責任者との連絡などを行わせる(労働安全衛生法第16条、規則第19条)
  • 店社安全衛生管理者:建設業の元方事業者が、統括安全衛生責任者の選任が必要ない一定規模の場所について選任する(労働安全衛生法第15条の3、規則第18条の6)

なお、法令の条文に「統括安全衛生管理者」という役職はありません(労働安全衛生法・施行令・規則の条文を2026-10-02 に検索して確認)。検索では混同されがちですが、事業場の役職は「総括」、混在する現場の役職は「統括」です。

衛生管理者試験での出題ポイント

総括安全衛生管理者は、衛生管理者試験の「関係法令」で、衛生管理者・産業医・衛生委員会と組み合わせて問われます。当サイトの問題で確認できる論点は次の4つです。

  • 業種と人数:製造業は300人以上、林業は100人以上、金融業など「その他の業種」は1,000人以上
  • 資格:医師などの資格は不要。事業の実施を統括管理する者を充てる
  • 期限と報告:14日以内に選任し、遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告
  • 指揮の対象:安全管理者・衛生管理者など。安全衛生推進者は条文に含まれない

第一種と第二種の範囲の違いは衛生管理者 第一種と第二種の違いを参照してください。

まとめ

  • 総括安全衛生管理者は、事業場ごとに選任し、安全管理者・衛生管理者などを指揮して安全衛生の業務を統括管理する者(労働安全衛生法第10条)。
  • 選任基準は、林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業が100人以上、製造業など第2号の業種が300人以上、その他が1,000人以上(施行令第2条)。
  • 免許は不要で、事業場で事業の実施を統括管理する者を充てる。14日以内に選任し、遅滞なく報告(規則第2条)。
  • 統括安全衛生責任者は、建設業・造船業で元請と下請が混在する現場の役職(労働安全衛生法第15条)。

よくある質問

Q総括安全衛生管理者になるのに資格や免許は必要ですか?

労働安全衛生法第10条には、安全管理者(第11条)や衛生管理者(第12条)のような「厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから」という要件はありません。その代わり第10条第2項で、「当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない」とされています。

Q総括安全衛生管理者を選任しないと罰則はありますか?

労働安全衛生法第120条第1号は、第10条第1項に違反したときは50万円以下の罰金に処すると定めています。第122条の両罰規定により、違反行為をした者のほか法人などにも罰金刑が科されます。

Q「統括安全衛生管理者」という役職はありますか?

労働安全衛生法・同法施行令・労働安全衛生規則の条文には「統括安全衛生管理者」という語はありません(2026年10月2日に条文を検索して確認)。事業場ごとに選任するのは「総括安全衛生管理者」(労働安全衛生法第10条)、建設業・造船業の下請が混在する現場で選任するのは「統括安全衛生責任者」(労働安全衛生法第15条)です。

Q総括安全衛生管理者が不在のときはどうしますか?

労働安全衛生規則第3条により、総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければなりません。

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