問題
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)における感染症の分類と就業制限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはウです。3類感染症の就業制限は、飲食物の製造、販売、調整または飲食物に直接に触れる業務など特定の業務に対して行われるもので、すべての業種に制限がかかるわけではありません。厚生労働省のQ&Aは、飲食店の調理員等の業務には就業制限がかかるが、その飲食店の会計係等の飲食物に直接触れることのない業務には就業制限はかからないと説明しています。
ア(2類の疾患と届出)・イ(3類の疾患と就業制限)・エ(5類の定点把握)・オ(分類と届出の仕組み)は正しい内容です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 二類感染症は急性灰白髄炎・結核・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1)・鳥インフルエンザ(H7N9)で、全数把握の対象として「ただちに届出」とされています。
- イ(正): 三類感染症はコレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフスです。厚生労働省のQ&Aは、三類感染症を、特定の業務(飲食物を取扱う業務等)に従事することによって他者に感染を起こしうる感染症と説明し、措置として飲食物を取扱う業務への就業制限、消毒等を挙げています。
- ウ(誤): 就業制限の対象は飲食物の製造、販売、調整または飲食物に直接に触れる業務で、一定の業務につくことを制限したものであり、職場での就業全体を禁止したものではありません。保育業務・医療業務を含むすべての業種に制限がかかるわけではありません。
- エ(正): インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)は急性呼吸器感染症定点・基幹定点、感染性胃腸炎は小児科定点の対象で、いずれも週単位(月〜日)で届け出ます。なお五類感染症でも麻しん・風しん・侵襲性髄膜炎菌感染症は全数把握で、直ちに届出が必要です。
- オ(正): 感染症法に基づく届出には、全ての医師が全ての患者の発生について届け出る全数把握と、指定した医療機関のみが届け出る定点把握があります。
【理論的背景】
感染症法に基づく届出の目的は、対象の感染症を診断した際に届出を受けることで感染症の発生や流行を探知し、まん延を防ぐための対策や医療従事者・国民への情報提供に役立てることです(厚生労働省)。集計結果は感染症発生動向調査(週報)として毎週公表されています。
感染症の分類と届出(厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い」による):
- 一類感染症(ただちに届出): エボラ出血熱・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱
- 二類感染症(ただちに届出): 急性灰白髄炎・結核・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1)・鳥インフルエンザ(H7N9)
- 三類感染症(ただちに届出): コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフス
- 四類感染症(ただちに届出): E型肝炎・A型肝炎・狂犬病・日本脳炎・つつが虫病・ボツリヌス症・マラリア・レジオネラ症など
- 五類感染症の一部(全数把握): 侵襲性髄膜炎菌感染症・風しん・麻しんは直ちに、その他(梅毒・百日咳・破傷風など)は7日以内に届出
- 五類感染症(定点把握): インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症・感染性胃腸炎・手足口病など。指定された医療機関が週又は月ごとに届出
- 指定感染症・新型インフルエンザ等感染症: ただちに届出
【実務・条文構造】
3類感染症(腸管出血性大腸菌感染症の例)の就業制限(厚生労働省Q&A):
- 都道府県知事等が患者本人に対して、必要に応じて就業制限を通知する
- 対象業務: 飲食物の製造、販売、調整または飲食物に直接に触れる業務
- 期間: 検便で菌が陰性化するまで(病原体を保有しなくなるまで)
- 症状のない無症状病原体保有者も、患者と同様に、便の検査で陰性になるまで飲食物に直接接触するような業務につくことが制限される
- 飲食店の調理員等には就業制限がかかるが、会計係等の飲食物に直接触れることのない業務にはかからない
医師の届出の比較:
| 分類 | 届出時期 | 届出する者 |
|---|---|---|
| 1〜4類感染症 | ただちに | 全ての医師(最寄りの保健所へ) |
| 5類感染症(全数把握: 麻しん・風しん・侵襲性髄膜炎菌感染症) | 直ちに | 全ての医師 |
| 5類感染症(全数把握: 上記以外) | 7日以内 | 全ての医師 |
| 5類感染症(定点把握: インフルエンザ等) | 週単位または月単位 | 指定された定点医療機関 |
【試験での位置づけ】
感染症法関連の問題では「3類感染症の具体的な疾患名(コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症)」「3類の就業制限は飲食物に直接触れる業務など特定の業務に限られる」「1〜4類は全数把握でただちに届出、5類は全数把握と定点把握がある」が出題されます。ウのように「すべての業種に就業制限」とする選択肢は典型的な引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 結核は二類感染症です。急性灰白髄炎(ポリオ)も二類感染症に含まれます。
- イ: 腸管出血性大腸菌感染症は、便の検査でベロ毒素産生菌が陰性であることが確認されれば就業制限は解除されます。
- ウ: 就業制限は一定の業務につくことを制限したものなので、便中の菌が陰性になるまでの一時的な業務の変更等で対応できます。誤った知識や誤解から、患者等が長期の休暇や解雇等の社会的不利益を受けることのないよう注意が必要とされています。
- エ: 定点把握の届出単位は疾患ごとに決まっており、性器クラミジア感染症などの性感染症定点の疾患やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症などは月単位です。
- オ: 新型コロナウイルス感染症は、現在は五類感染症として急性呼吸器感染症定点・基幹定点による定点把握の対象です。
【根拠】感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)。厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い」・厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」(Q46〜Q49)。
【補足】3類感染症の就業制限=飲食物の製造、販売、調整または飲食物に直接に触れる業務(全業種ではない)。3類: コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・パラチフス・腸管出血性大腸菌感染症。2類: 結核・ジフテリア・SARS・MERS・鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)・急性灰白髄炎。1〜4類はただちに届出。5類定点把握は週/月単位。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「感染症法に基づく医師の届出のお願い」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html)・厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

