問題
有害業務と労働時間の規制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはウです。労働基準法第63条は「使用者は、満十八才に満たない者を坑内で労働させてはならない」と定めています。また第60条により、第36条(36協定)の規定は満18歳未満の者には適用されません。
他の誤りの要点: ア→36協定でも限度時間(月45時間・年360時間)等の上限があり、坑内労働その他健康上特に有害な業務は1日2時間を超えて延長できない(第36条)。イ→妊娠中の女性は坑内で行われるすべての業務に就かせてはならず、同意による例外はない(第64条の2)。エ→有機則の設備義務は時間外かどうかに関係なく適用される。オ→6か月以内ごとに1回(安衛則第45条)。
有害業務・就業制限と労働時間法制の関係:
| 規制の種類 | 根拠法 | 36協定・本人同意による解除 | 代表的な規定 |
|---|---|---|---|
| 年少者の坑内労働禁止 | 労基法第63条 | 不可 | 満18歳未満の坑内労働禁止 |
| 年少者の危険有害業務制限 | 労基法第62条 | 不可 | 毒劇物・爆発性の原料等の取扱い、有害ガス・有害放射線を発散する場所の業務等 |
| 女性の坑内業務の就業制限 | 労基法第64条の2 | 同意による例外なし | 妊娠中の女性・申し出た産後1年以内の女性は坑内で行われるすべての業務、その他の満18歳以上の女性は人力による掘削の業務等 |
| 妊産婦等の危険有害業務の就業制限 | 労基法第64条の3 | 同意による例外なし | 重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務等 |
| 時間外労働の上限 | 労基法第36条 | 36協定の範囲内で可 | 限度時間は月45時間・年360時間。坑内労働その他健康上特に有害な業務は1日2時間まで |
| 電離則の被ばく限度 | 電離則第4条 | 不可 | 実効線量 5年間100mSv・1年間50mSv |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 36協定で延長できる時間は限度時間(1か月45時間・1年360時間)を超えない時間に限られ、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務は1日について2時間を超えて延長できません(労基法第36条)。「上限なく」は誤りです。
- イ(誤): 労基法第64条の2第1号により、妊娠中の女性は坑内で行われるすべての業務に就かせてはなりません。本人の同意による例外はありません。
- ウ(正): 年少者の坑内労働禁止は労基法第63条の規定です。さらに第60条により第36条は満18歳未満の者に適用されないため、36協定による時間外労働も命じられません。
- エ(誤): 有機則第5条の設備(発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置)は有機溶剤業務に従事させるときの義務であり、時間外労働の時間帯でも適用されます。
- オ(誤): 安衛則第45条により、第13条第1項第3号の業務(深夜業を含む業務を含む)に常時従事する労働者の特定業務従事者健康診断は、配置替えの際及び6か月以内ごとに1回です(胸部エックス線検査等は1年以内ごとに1回で足りる)。
【理論的背景】
有害業務と労働時間の問題は、「労働基準法の時間外労働規制」と「労働安全衛生法の安全衛生規制」が交差する複合問題です。両法の関係を理解することが解答の鍵になります。
労基法と安衛法の役割分担:
- 労働基準法: 労働条件の最低基準(労働時間・休日・時間外労働の上限、年少者・女性の就業制限等)。36協定により、労働時間・休日の規定にかかわらず一定の範囲で時間外・休日労働を可能にする(第36条第1項)。
- 労働安全衛生法・各規則: 設備・作業方法・被ばく限度・健康診断等の安全衛生上の措置。業務を行わせるときの義務であり、36協定の有無で変わらない。
両法の関係で押さえる点:
- 36協定の効果は、労基法第32条〜第32条の5・第40条の労働時間と第35条の休日の規定の例外にとどまる
- 年少者の坑内労働禁止(第63条)や女性の坑内業務の就業制限(第64条の2)は、36協定や本人の同意で解除される規定ではない
- 安衛法令の措置(有機則の設備、電離則の被ばく限度、高圧則の作業計画・減圧等)も36協定によって解除されない
【実務・条文構造】
有害業務に係る就業制限の体系:
(1)年少者(満18歳未満)(労基法第60条・第62条・第63条):
- 坑内労働の禁止(第63条)
- 危険有害業務の就業制限(第62条): 毒劇薬・毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性・発火性・引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務等(範囲は厚生労働省令で定める)
- 第36条(36協定)は満18歳未満の者には適用されない(第60条)
- 認定職業訓練を受ける労働者については、第62条・第63条等について厚生労働省令で別段の定めができる。ただし第63条については満16歳未満の者には別段の定めはできない(第70条)
(2)女性の就業制限(労基法第64条の2・第64条の3):
- 妊娠中の女性・坑内業務に従事しない旨を申し出た産後1年を経過しない女性: 坑内で行われるすべての業務(第64条の2第1号)
- それ以外の満18歳以上の女性: 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの(同条第2号)
- 妊産婦: 重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊娠・出産・哺育等に有害な業務(第64条の3第1項)
(3)安衛法令の主な制限(36協定で解除されない):
- 電離則第4条: 放射線業務従事者の実効線量は5年間につき100mSv、かつ1年間につき50mSvを超えない
- 高圧則第12条の2・第15条・第18条等: 作業計画・ガス分圧の制限・減圧の速度等
(4)特定業務従事者健康診断(安衛則第45条):
- 対象: 異常気圧下・放射線・坑内・深夜業・水銀等の有害物を取り扱う業務等の列挙業務(安衛則第13条第1項第3号)に常時従事する労働者
- 頻度: 配置替えの際及び6か月以内ごとに1回(一般の定期健康診断は1年以内ごとに1回・安衛則第44条)
【試験での位置づけ】
この論点の頻出パターンは「36協定があれば有害業務も上限なく延長できる(誤)」「本人同意があれば就業制限を覆せる(誤)」「年少者の坑内労働は36協定があっても不可(正)」です。36協定は労働時間・休日の規定の例外にすぎず、就業制限や安衛法令の措置を解除するものではない、という関係を押さえましょう。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 36協定で延長できる時間は限度時間を超えない時間に限られ、さらに1か月の時間外・休日労働は100時間未満とする等の要件もあります(第36条)。放射線業務では、時間外労働の有無にかかわらず電離則第4条の被ばく限度を超えないようにしなければなりません。
- イ: 産後1年を経過しない女性は、坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合に坑内で行われるすべての業務が禁止されます(第64条の2第1号)。妊娠中の女性は申出の有無にかかわらず禁止です。
- ウ: 第63条の例外は、認定職業訓練を受ける労働者について厚生労働省令で別段の定めをする場合に限られ、満16歳未満の者には別段の定めもできません(第70条)。
- エ: 有機則の設備規定は、有機溶剤業務に労働者を従事させるときに適用されるもので、所定労働時間内か時間外かによって区別されていません。
- オ: 特定業務従事者健康診断は、第13条第1項第3号の業務に常時従事する労働者が対象で、同号には「深夜業を含む業務」も列挙されています。
【根拠法令】労働基準法第36条(36協定)・第60条(年少者への第36条の不適用)・第62条(年少者の危険有害業務の就業制限)・第63条(年少者の坑内労働禁止)・第64条の2(坑内業務の就業制限)・第64条の3(危険有害業務の就業制限)・第70条(職業訓練に関する特例)、労働安全衛生規則第45条(特定業務従事者健康診断:6か月以内ごとに1回)・第13条第1項第3号(深夜業・有害業務の列挙)、有機溶剤中毒予防規則第5条、電離放射線障害防止規則第4条
【補足】年少者の坑内労働禁止・危険有害業務制限、女性の坑内業務・危険有害業務の就業制限は、36協定・本人同意で解除されない。36協定でも限度時間等の上限がある。特定業務従事者健診は6か月以内ごとに1回。
- 労働安全衛生法e-Govで原文を読む
- 労働基準法第36条・第64条の2・第62条・第63条・第64条の3・第32条e-Govで原文を読む
- 有機溶剤中毒予防規則第5条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第13条・第45条・第44条e-Govで原文を読む
- 電離放射線障害防止規則第4条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)・第60条(年少者への第36条等の不適用)・第62条(年少者の危険有害業務の就業制限)・第63条(坑内労働の禁止)・第64条の2(女性の坑内業務の就業制限)・第64条の3(妊産婦等の危険有害業務の就業制限)、労働安全衛生規則第45条(特定業務従事者健康診断)・第13条第1項第3号(深夜業・有害業務の列挙)、有機溶剤中毒予防規則第5条。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

