衛生管理者
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衛生管理者 労働生理 問11|循環器・一酸化炭素中毒の性状・診断・経過

問題

衛生管理者 | 労働生理

一酸化炭素(CO)中毒に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正しいのはイです。一酸化炭素(CO)は無色無臭の気体で、炭化水素の不完全燃焼によって発生します。色やにおいで気づけないため、通気の悪い場所での暖房器具・ストーブ・自動車などが中毒の原因になります。

各誤りの要点: ア→COはヘモグロビンに対して酸素より高い親和性を持ち、酸素を押しのけて結合します。ウ→パルスオキシメーターは正常ヘモグロビンとCOヘモグロビンを区別できないため、値が正常でもCO中毒は否定できません。エ→COの消失半減期は室内気で約4.5時間と長く、速やかには解離しません。オ→重度の中毒では、回復したようにみえても数週間後に記憶障害などの精神神経症状が現れることがあります。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): COはヘモグロビンに対して酸素より高い親和性を有するため、ヘモグロビンから酸素を置き換えて結合します。「酸素と同程度」「高濃度でなければ結合しない」はいずれも誤りです。
  • ウ(誤): パルスオキシメーターは正常ヘモグロビンと一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)を区別できないため、偽性の高値を示します。CO中毒が疑われる場合は、COオキシメーターで血液中のCOHb濃度を測定します(動静脈較差がわずかなので静脈血でもよい)。
  • イ(正): COは炭化水素の不完全燃焼の結果発生する無色無臭の気体です。一般的な発生源として、住宅火災、通気が不適切な自動車、ガス暖房器具、炉、湯沸かし機、木や炭を燃やすストーブ、灯油ストーブなどが挙げられます。
  • エ(誤): 新鮮な空気を吸っても速やかには解離しません。COの消失半減期は室内気で約4.5時間、100%酸素で約1.5時間、3気圧の100%酸素(高圧チャンバー内など)で約20分です。このため治療では100%酸素を投与します。
  • オ(誤): 中毒が重度の場合、精神神経症候(認知症、精神症、パーキンソニズム、舞踏運動、健忘症候群)が曝露から数日〜数週間後に発生し、恒久的になることがあります。回復したようにみえても、数週間後に記憶障害や抑うつなどが現れることがあるため、「曝露中にのみ現れる」は誤りです。

【理論的背景】

一酸化炭素(CO)中毒は最も一般的な致死性中毒の1つで、吸入によって起こります。COは無色無臭のため、本人が眠気などを中毒の症状と気づきにくい点が危険です。毒性機序は完全には解明されていませんが、次のものが関与すると考えられています。

COの毒性機序(関与すると考えられるもの):

1. ヘモグロビンからの酸素の置換: COはヘモグロビンに対して酸素より高い親和性を有する

2. 酸素解離曲線の左方シフト: ヘモグロビンから組織への酸素の遊離が低下する

3. ミトコンドリア呼吸の阻害

4. 脳組織への直接的な毒性作用

CO中毒の症状と血中COHb濃度の関係(症状はピーク濃度によく相関する傾向がありますが、多くは非特異的です):

COHb濃度主な症状
10〜20%頭痛・悪心が現れてくることがある
20%超漠然としためまい、全身の筋力低下、集中困難、判断力の低下
30%超労作時呼吸困難、胸痛(冠動脈疾患患者の場合)、錯乱
さらに高濃度失神、痙攣発作、意識障害
通常60%超低血圧、昏睡、呼吸不全を来し、死に至ることもある

【実務・条文構造】

診断: 症状が非特異的なため見逃されやすく、同じ住居(特に暖房を入れた住居)にいた複数の人にインフルエンザ様の症状がみられる場合はCO曝露を考慮します。COオキシメーターで血中COHb濃度を測定します。動脈血ガスやパルスオキシメトリーは単独でも併用でも診断には不十分です。また、曝露終了後にCOHb濃度は急速に低下するため、特に酸素投与を受けた後では濃度が正常でも中毒を除外してはいけません。

治療: COの発生源から離し、100%酸素を非再呼吸式マスクで投与します。高気圧酸素治療(100%酸素・2〜3気圧のチャンバー内)は、生命を脅かす心肺合併症、持続的な胸痛、意識変容、意識消失(短時間でも)、COHb濃度25%超のいずれかがみられる患者で一般的に考慮され、妊娠中の患者でも考慮されます。ただし、その効果のエビデンスについては議論が増しており、有害性を示唆した研究もあります。

予防: 室内の燃焼源を点検して正しい設置と室外への通気を確認し、排気管の漏れを定期的に検査します。閉め切った車庫内で自動車のエンジンをかけ続けないこと、CO探知機を設置することも予防になります。

【試験での位置づけ】

CO中毒は「無色無臭で気づきにくい」「ヘモグロビンへの親和性が酸素より高い」「酸素を吸っても解離に時間がかかる」という性状の理解が土台です。加えて、パルスオキシメーターでは見抜けないこと、数週間後に精神神経症状が遅れて現れることがあることも、職場での事後対応(受診・経過観察)に直結する知識です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 親和性が高いため、COはヘモグロビンから酸素を置き換え、さらに残ったヘモグロビンからの酸素の遊離も低下させます(酸素解離曲線の左方シフト)。
  • ウ: パルスオキシメーターは正常ヘモグロビンとCOヘモグロビンを区別できず、偽性の酸化ヘモグロビン値上昇を示します。動脈血ガスで得られる酸素飽和度も溶解酸素を表すためCOHb濃度の影響を受けません。測定はCOオキシメーターで行います。
  • エ: 消失半減期は室内気で約4.5時間ですが、100%酸素で約1.5時間、3気圧の100%酸素では約20分に短縮されます。酸素投与は血液中からCOがなくなるのを早め、症状を緩和します。
  • オ: 重度の中毒では、認知症、精神症、パーキンソニズム、舞踏運動、健忘症候群などの精神神経症候が曝露から数日〜数週間後に発生し、恒久的になることがあります。高気圧酸素治療には遅発性の精神神経症状の発生率を低減することが期待されていますが、効果のエビデンスには議論があります。

【根拠】MSDマニュアル プロフェッショナル版「一酸化炭素中毒」、MSDマニュアル家庭版「一酸化炭素中毒」。

【補足】COは無色無臭で、ヘモグロビンへの親和性は酸素より高い。パルスオキシメーターでは診断できない。消失半減期は室内気で約4.5時間。重度例では数日〜数週間後に精神神経症状が現れることがある。

この問題の根拠根拠: MSDマニュアル プロフェッショナル版「一酸化炭素中毒」(病態生理・症状と徴候・診断・治療)、MSDマニュアル家庭版「一酸化炭素中毒」。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: MSDマニュアル プロフェッショナル版「一酸化炭素中毒」(病態生理・症状と徴候・診断・治療)、MSDマニュアル家庭版「一酸化炭素中毒」。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 循環器・一酸化炭素中毒の性状・診断・経過
  • 頻出度A

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