衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働生理 問18|代謝・基礎代謝量に影響する因子

問題

衛生管理者 | 労働生理

基礎代謝量(BMR)に影響する因子に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

誤りはエです。成人の基礎代謝量は加齢とともに低下します。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、男性の基礎代謝量は18〜29歳・30〜49歳で1,530kcal/日、50〜64歳で1,480、65〜74歳で1,400、75歳以上で1,280kcal/日と、年齢が上がるほど小さくなっています。「増加し続ける」は誤りです。

その他の選択肢は正しい内容です。基礎代謝量は体重より除脂肪量と強く相関(ア)、甲状腺ホルモンが代謝を促進(イ)、発熱で1℃上昇ごとに基礎代謝率が約10〜12%上昇(ウ)、体重1kg当たりの基礎代謝量は男性が女性より高い(オ)。

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 食事摂取基準の報告書は「基礎代謝量は体重よりも除脂肪量と強い相関が見られ」ると述べています。体重当たりの基礎代謝基準値は参照体位で推定値と実測値が一致するように決められているため、肥満者に当てはめると基礎代謝量を過大評価し、やせの人では過小評価します。
  • イ(正): 甲状腺ホルモンは体内の化学反応が進む速度(代謝率)を制御します。甲状腺機能亢進症では身体機能の加速を反映して心拍数増加・大量発汗・体重減少などがみられ、甲状腺機能低下症では身体の重要な機能が働く速度が低下し、疲労・体重増加・寒さに耐えられないなどがみられます。
  • ウ(正): 発熱時には37℃を超えて1℃上昇するごとに基礎代謝率が約10〜12%上昇します。このため、心機能や肺機能に不全がある成人では、発熱が生理的ストレスとなりえます。
  • エ(誤): 成人の基礎代謝量は年齢とともに低下します。男性の基礎代謝量は18〜29歳1,530、30〜49歳1,530、50〜64歳1,480、65〜74歳1,400、75歳以上1,280kcal/日です。体重1kg当たりの基礎代謝基準値は1〜2歳(男性61.0kcal/kg/日)が最も高く、年齢とともに下がります。筋肉量と筋力の減少は30歳前後から始まり、生涯続く傾向があります。
  • オ(正): 基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)は、どの年齢階級でも男性が女性を上回ります(例: 18〜29歳で男性23.7、女性22.1、50〜64歳で男性21.8、女性20.7)。

【理論的背景】

基礎代謝率は、安静時に体の機能を遂行するためにエネルギーを消費する速度で、1日当たりの量で表したものが基礎代謝量(BMR)です。わが国では、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」が、1980年以降に国内で測定された50研究の基礎代謝測定値を踏まえて、性・年齢階級別の基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)を示しています。

参照体重における基礎代謝量(日本人の食事摂取基準2020年版・表5より抜粋):

年齢(歳)男性 基準値(kcal/kg/日)男性 基礎代謝量(kcal/日)女性 基準値(kcal/kg/日)女性 基礎代謝量(kcal/日)
1〜261.070059.7660
15〜1727.01,61025.31,310
18〜2923.71,53022.11,110
30〜4922.51,53021.91,160
50〜6421.81,48020.71,110
65〜7421.61,40020.71,080
75以上21.51,28020.71,010

この表から読み取れること:

1. 体重1kg当たりの基準値は幼児期が最も高く、年齢とともに下がる

2. 1日当たりの基礎代謝量は男女とも15〜49歳ごろが大きく、50歳以降は年齢とともに小さくなる

3. どの年齢階級でも基準値は男性が女性を上回る

加齢による低下の背景: 筋肉組織の量(筋肉量)と筋力の減少は30歳前後から始まり、生涯続く傾向があります。これは運動不足や、筋肉の発達を刺激する成長ホルモンとテストステロンの量の減少が原因で生じます。筋肉を強くする定期的な運動(レジスタンストレーニング)で、筋肉量と筋力の減少をある程度抑えたり、進行を大幅に遅らせたりできます。

【実務・条文構造】

職場の健康管理とBMR・エネルギー代謝の実際:

推定エネルギー必要量の計算(日本人の食事摂取基準):

  • 成人の推定エネルギー必要量(kcal/日)= 基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)× 参照体重(kg)× 身体活動レベル
  • 18〜64歳の身体活動レベル: Ⅰ(低い)1.50、Ⅱ(ふつう)1.75、Ⅲ(高い)2.00。65〜74歳は1.45/1.70/1.95、75歳以上は1.40/1.65
  • 体重当たりの推定エネルギー必要量は、成人ではおおむね30〜40kcal/kg体重/日の範囲にある

基準値を使うときの注意:

  • 基礎代謝基準値は参照体位で推定値と実測値が一致するように決められているため、基準から大きく外れた体位では推定誤差が大きくなる
  • 肥満者に当てはめると基礎代謝量を過大評価し、やせの人では過小評価する。その結果、肥満者では体重が増え、やせの人では体重が減る方向に計画がずれやすい

【試験での位置づけ】

基礎代謝量の問題では「加齢で低下する(増加しない)」「甲状腺ホルモンが代謝を促進する」「発熱で上昇する」「男性の方が高い」という方向をつかむことが土台です。エのように「加齢とともに増加し続ける」と方向を逆にした記述が典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 報告書は、適切な身体組成の評価によって、より精度高く基礎代謝量を推定できるようになる見込みにも触れています。また、年齢・性別・身長・体重を用いた国立健康・栄養研究所の推定式は、BMIが30kg/m²程度までなら体重による系統誤差を生じないとされています。
  • イ: 甲状腺機能低下症は、高齢者では錯乱やもの忘れなど、アルツハイマー病などに似た症状で現れることがあります。甲状腺機能亢進症では、すべての身体機能が危険な水準まで加速する甲状腺クリーゼという緊急事態も起こりえます。
  • ウ: 発熱そのものは感染防御の反応として働きますが、極度の体温上昇(典型的には41℃を超える場合)では傷害が生じることがあります。
  • エ: 加齢の影響による筋肉量と筋力の減少は成人期で約10〜15%以下で、病気がなければ、それを超える損失の大半は定期的な運動で防げます。それより重度の筋肉減少(サルコペニア)は、加齢だけでなく病気や過度の運動不足が原因で生じます。
  • オ: 75歳以上の男性の基準値(21.5kcal/kg/日)と50歳以上の女性の基準値(20.7kcal/kg/日)は、70歳以上の測定値が高齢者施設に入所している全身状態のよい人を対象としたものが主であることを踏まえて定められています。

【根拠】厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(エネルギー)、MSDマニュアル プロフェッショナル版「発熱」、MSDマニュアル家庭版「甲状腺機能亢進症」「甲状腺機能低下症」「加齢に伴う体の変化」「自律神経系の概要」。

【補足】成人の基礎代謝量は加齢とともに低下(増加ではない)。基礎代謝量は体重より除脂肪量と強く相関。発熱時は1℃上昇ごとに基礎代謝率が約10〜12%上昇。基礎代謝基準値はどの年齢階級でも男性が女性より高い。

この問題の根拠
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出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(エネルギー:基礎代謝基準値・参照体重における基礎代謝量〔表5〕)、MSDマニュアル プロフェッショナル版「発熱」、MSDマニュアル家庭版「甲状腺機能亢進症」「甲状腺機能低下症」「加齢に伴う体の変化」。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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