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E-R図とは?読み方・多重度・表への変換【基本情報技術者】

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

E-R図は、業務で扱う情報をエンティティ(実体)とリレーションシップ(関連)で表す図です。構成要素、1対多・多対多などの多重度、試験ごとに違う表記の読み取り方、多対多を中間の表に分ける考え方を、基本情報・ITパスポートの公表問題で確認します。

目次
  1. E-R図とは:エンティティとリレーションシップ
  2. 構成要素:エンティティ・属性・リレーションシップ
  3. 多重度:1対1・1対多・多対多
  4. 試験の表記は問題ごとに違う:2つの例
  5. 多対多は中間の表に分ける:表への変換
  6. E-R図の用語を問う問題
  7. 間違えやすい点
  8. まとめ
結論:E-R図は、業務で扱う情報を「エンティティ(実体)」と、その間の「リレーションシップ(関連)」で表す図です。エンティティは属性(項目)をもち、関連には「1対1」「1対多」「多対多」の多重度があります。試験で使われる表記は問題によって違い、矢印のように問題文が表記を定める問題と、UMLの多重度(1..・0..)のように読み方を知っている前提の問題があるので、両方の読み方を押さえておきます。

E-R図とは:エンティティとリレーションシップ

E-R図(Entity Relationship Diagram)は、業務で扱う情報を抽象化して、実体(エンティティ)と実体間の関連(リレーションシップ)で表す図です。IPAの基本情報技術者試験のシラバス Ver.9.2は、E-R図を使うことを「業務で扱う情報を抽象化し,実体(エンティティ)と実体間の関連(リレーションシップ)を表現する場合」と説明しています。

シラバスの記載:基本情報技術者試験のシラバス Ver.9.2(令和8年1月掲載)は、大分類3「技術要素」・中分類9「データベース」の「データベース設計」で、概念設計を「DBMS に依存しないデータの関連を表現する方法として,E-R 図やUML を使用した構成要素,属性,関連の表し方,カーディナリティ(1 対1,1 対多,多対多)など設計の考え方を理解する」と説明し、用語例に概念データモデル・エンティティ・属性・リレーションシップを挙げています。ITパスポートのシラバス Ver.6.5は、項番19「業務プロセス」の代表的なモデリング手法と、項番55「データベース設計」の「データの設計」に、E-R図を用語例として載せています。最終確認日:2026-10-28。出典:IPA 基本情報技術者試験 シラバス Ver.9.2、IPA ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5。

つまり E-R図は、まず「何を管理するか(エンティティ)」と「それらがどうつながるか(リレーションシップ)」を、データベースの表の形にする前に整理するための図です。

構成要素:エンティティ・属性・リレーションシップ

要素意味例(当サイトの作例)
エンティティ(実体)管理の対象になるもの。種類(型)として考える顧客、注文、商品
属性(アトリビュート)エンティティの特性を表す項目顧客の氏名、注文の注文日、商品の単価
リレーションシップ(関連)エンティティ間のつながり顧客が注文する、注文に商品が含まれる
インスタンスエンティティの個々のデータ「顧客番号1001の山田さん」という1件

エンティティは「顧客」という種類、インスタンスは顧客に該当する1人ひとりです(当サイトの説明)。基本情報の令和7年度 科目A 問11は、エンティティの特徴を問い、「エンティティは,特性を表すための属性(アトリビュート)をもつ」が正解です。

E-Rモデルにおけるエンティティの特徴はどれか(基本情報 令和7年度 科目A 問11)

他の選択肢の誤りは、次のように整理できます(当サイトの説明)。

  • 「エンティティとインスタンスは1対1」:エンティティは種類で、インスタンスはその種類に属する多数のデータなので、1対1ではありません。
  • 「物的に実現するものである」:注文や契約のように、物としては存在しないものもエンティティになります。
  • 「関係は状態遷移として表現される」:状態遷移を表すのは状態遷移図で、E-R図の関連とは別の図です。状態遷移図はUMLの状態遷移図・ステートマシン図の記事で扱っています。

多重度:1対1・1対多・多対多

関連の「多重度」(カーディナリティ)は、一方のエンティティの1件に対して、もう一方のエンティティが何件つながるかを表します。シラバスは、1対1・1対多・多対多を挙げています。

多重度意味例(当サイトの作例)
1対1一方の1件に、他方が1件対応社員と社員証
1対多一方の1件に、他方が複数件対応顧客と注文(1人の顧客が複数回注文する)
多対多双方が複数件ずつ対応注文と商品(1つの注文に複数の商品、1つの商品が複数の注文に入る)

線の端の書き方(記号)は、表記法によって違います。書き方の1つに、「多」の側の線の端を三つ又に分け、「1」の側を縦棒、「0を含むかどうか」を丸で示すものがあります(IE記法・当サイトの整理)。ただし、試験で出る書き方は毎回同じではありません。

試験の表記は問題ごとに違う:2つの例

ITパスポート令和3年度 問70:矢印で表す書き方

条件①〜④を全て満たすとき、出版社と著者と本の関係を示すE-R図はどれか。ここで、E-R図の表記法は次のとおりとする。「a→b」は、aとbが、1対多の関係であることを表す。(①出版社は、複数の著者と契約している ②著者は、一つの出版社とだけ契約している ③著者は、複数の本を書いている ④1冊の本は、1人の著者が書いている。選択肢 ア 出版社→著者→本 イ 出版社→著者←本 ウ 出版社←著者→本 エ 出版社←著者←本)

出典:令和3年度 ITパスポート試験 公開問題 問70(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)

問題文の表記では、矢印の根元(a)が「1」、矢の先(b)が「多」です。条件を1つずつ矢印にします。

  • ①②:出版社1に対して著者は複数、著者1に対して出版社は1つ → 出版社→著者
  • ③④:著者1に対して本は複数、本1冊に対して著者は1人 → 著者→本
  • 2つをつなぐと「出版社→著者→本」で、答えはアです。

出版社・著者・本の関係を示すE-R図(ITパスポート 令和3年度 問70)

基本情報 科目Aサンプル問題 問22:UMLの多重度

UMLを用いて表した図の概念データモデルの解釈として、適切なものはどれか。(図:部署と従業員が「所属する」という関連でつながり、部署の側に「1..」、従業員の側に「0..」と書かれている。選択肢 ア 従業員の総数と部署の総数は一致する イ 従業員は、同時に複数の部署に所属してもよい ウ 所属する従業員がいない部署の存在は許されない エ どの部署にも所属しない従業員が存在してもよい)

出典:基本情報技術者試験 科目A サンプル問題 問22(独立行政法人情報処理推進機構)(問題PDF・解答例PDF)。

UMLの多重度は、「1..」が「1以上」、「0..」が「0以上」を表します。図の読み方は、書かれている数が「その側のエンティティが、相手の1件にいくつ対応するか」を示す、というものです(当サイトの説明)。

  • 部署の側の「1..*」:従業員1人に対して、部署が1つ以上 → 従業員は少なくとも1つの部署に所属し、複数の部署に同時に所属してもよい
  • 従業員の側の「0..*」:部署1つに対して、従業員が0人以上 → 所属する従業員がいない部署があってもよい
  • したがって、答えはイです。ウは「0..」に反し、エは「1..」に反します。

UMLの概念データモデルの解釈(基本情報 科目Aサンプル問題 問22)

2つの問題は記号が違う(矢印と多重度の数字)ので、問題ごとに読み方を確かめます。問題文が表記を説明しているときは、その説明を最優先にします。

多対多は中間の表に分ける:表への変換

E-R図を関係データベースの表にするときの基本の考え方を、顧客・注文・商品の作例で示します(当サイトの説明)。

表主な列備考
顧客顧客番号、氏名顧客番号が主キー
注文注文番号、注文日、顧客番号顧客番号が外部キー(顧客と注文は1対多)
商品商品番号、商品名、単価商品番号が主キー
注文明細注文番号、商品番号、数量注文と商品の多対多を分ける中間の表
  • 1対多は、「多」の側の表に、「1」の側の主キーを外部キーとして持たせます。顧客と注文なら、注文の表に顧客番号を持たせます。
  • 多対多は、そのままでは1つの列に収まらないので、中間の表を置きます。注文明細は、(注文番号、商品番号)の組で1行を決め、数量のように「注文と商品の組に固有の属性」もここに置きます。

ITパスポートのシラバス Ver.6.5の項番55「データベース設計」は、E-R図のほか、テーブル(表)、主キー、外部キーを用語例に挙げています。E-R図と表の対応は、ITパスポートのシラバスにも載っている考え方です。

E-R図の用語を問う問題

当サイトに収録している基本情報技術者試験の過去問(科目Aと旧午前、520問・2026-10-21 時点)で、E-R図(実体関連ダイアグラム)が問題文か選択肢に出てくる問題は、次の5問です(旧午後試験のデータベース問題は収録外です)。

  • 令和7年度 科目A 問11:エンティティの特徴(上で解説)
  • 科目Aサンプル問題 問22:UMLの多重度の読み取り(上で解説)
  • 平成28年度秋期 問26:E-R図に関する記述
  • 平成23年度秋期 問62:データ体系を策定する場合の成果物
  • 平成23年度秋期 問63:業務プロセスのモデリング表記法(選択肢にE-R図が出てくる問題)

平成28年度秋期の問26は、「管理の対象をエンティティ及びエンティティ間のリレーションシップとして表現する」が正解です。選択肢のうち「関係データベースの表として実装することを前提に表現する」は、シラバスが「DBMS に依存しない」と説明する概念設計の位置づけに合いません。

E-R図に関する記述のうち適切なものはどれか(基本情報 平成28年度秋期 問26)

平成23年度秋期の問62は、エンタープライズアーキテクチャの4つの体系のうち、データ体系を策定する場合の成果物を問い、正解は「実体関連ダイアグラム」(E-R図の別の呼び方)です。シラバスのデータアーキテクチャの用語例にも、E-R図が挙がっています。

データ体系を策定する場合の成果物はどれか(基本情報 平成23年度秋期 問62)

ITパスポートでも、令和3年度の問1が、E-R図をデータモデリングに使う理由を問い、「顧客や製品といった業務の管理対象間の関係を図示し、その業務上の意味を明らかにする」が正解です。

データモデリングでE-R図を使う理由(ITパスポート 令和3年度 問1)

間違えやすい点

  • 矢印の向きは問題文の表記の説明に従います。説明がある問題は、読んでから条件を1つずつ書き込みます。UMLの多重度は、数字の意味(0..・1..)を押さえておきます。
  • 「1」と「多」を逆にしない:多重度は「相手の1件に対して、自分が何件か」を表します。
  • UMLの多重度は、下限(0か1)も読みます。「0..」は0件を許し、「1..」は0件を許しません。
  • エンティティとインスタンスを混同しない:エンティティは種類で、インスタンスは個々のデータです。
  • E-R図は状態遷移やデータ操作の流れではなく、データの構造を表す図です。

用語の意味は、ITパスポート側の用語集のE-R図でも確かめられます。学習の進め方は、基本情報技術者試験の独学ロードマップにまとめています。

まとめ

  • E-R図は、業務で扱う情報をエンティティと、その間のリレーションシップで表す図です。
  • エンティティは属性をもち、関連には1対1・1対多・多対多の多重度があります。
  • 表記は問題によって違います。矢印のように問題文が表記を定める問題は、その説明に従い、UMLの多重度は読み方を知っている前提で出ます。
  • 関係データベースの表にするときは、1対多は「多」の側に外部キーを持たせ、多対多は中間の表に分けます(当サイトの説明)。
  • 当サイトに収録している基本情報技術者試験の科目Aと旧午前のうち、E-R図(実体関連ダイアグラム)が問題文か選択肢に出てくる問題は、令和7年度 問11、サンプル問題 問22、平成28年度秋期 問26、平成23年度秋期 問62・問63の5問です(2026-10-21 時点)。

よくある質問

QE-R図とは何ですか?

E-R図は、業務で扱う情報を抽象化し、実体(エンティティ)と実体間の関連(リレーションシップ)で表現する図です。IPAの基本情報技術者試験のシラバス Ver.9.2の「E-R図」の項目が、この意味で説明しています。DBMSに依存しない形でデータの関連を表すので、特定のデータベース製品の表の作り方とは別のものです。

Q試験ごとにE-R図の書き方が違うのは、なぜですか?

E-R図には複数の表記法があるためです。たとえば、ITパスポート令和3年度の問70は「a→b は a と b が1対多の関係」と問題文で表記を定め、基本情報の科目Aサンプル問題は、UMLの多重度(1..・0..)で関連を表しています。問題文が表記を定める問題と、UMLの多重度のように読み方を知っている前提の問題があるので、両方の読み方を押さえておきます。

Q多対多の関連は、どう表現しますか?

関係データベースの表にするときは、2つのエンティティの間に中間の表を置き、多対多を2つの「1対多」に分けるのが一般的です(当サイトの説明)。たとえば注文と商品は、1つの注文に複数の商品、1つの商品が複数の注文に含まれるので、注文明細という表を置いて分けます。

QE-R図は、基本情報技術者試験のどの分野ですか?

シラバス Ver.9.2では、大分類3「技術要素」の中分類9「データベース」にある「データベースの概念設計」に、E-R図とUMLが載っています。ソフトウェア要件の定義や、データ中心設計、データアーキテクチャの用語例にも、E-R図が挙がっています。

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