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行政行為の効力とは?公定力・不可争力・執行力・不可変更力行政書士の行政法

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

行政行為の効力(公定力・不可争力・執行力・不可変更力)を、講学上(学問上)の分類として整理します。4つの語は条文の名前ではないことを確かめたうえで、行政事件訴訟法25条1項・14条、行政不服審査法18条・25条1項、行政代執行法1条・2条、最高裁判所の判決(昭和30年12月26日・平成22年6月3日)を手がかりに表にしました。

目次
  1. 行政行為の効力とは:4つの名前は講学上の分類
  2. 公定力:取り消されるまでは有効として扱われる
  3. 不可争力:争える期間がある(出訴期間・審査請求期間)
  4. 執行力:裁判所の判決を待たずに義務を実現できるか
  5. 不可変更力:判断をした行政庁が自ら変更できない
  6. 4つの効力を比べる
  7. 試験での問われ方(出題の型)
  8. 間違えやすいポイント
  9. まとめ
  10. 参照した一次ソース
結論:行政行為の効力として、公定力・不可争力・執行力・不可変更力の4つが整理されます。ただし、この4つは講学上(学問上)の分類で、条文の名前ではありません(行政事件訴訟法・行政不服審査法・国家賠償法・行政代執行法には4つの語は出てきません。e-Gov、2026-10-09 時点)。条文と判例では、次の手がかりで確かめます。①公定力:違法な処分でも、重大かつ明白な違法で当然無効と認められる場合を除き、適法に取り消されない限り効力を有する(最高裁判所・昭和30年12月26日判決)。②不可争力:取消訴訟は処分があったことを知った日から六箇月、処分の日から一年を経過すると提起できない(行政事件訴訟法14条。ただし正当な理由があるときは別で、審査請求をした者には同条3項がある)。③執行力:義務者が義務を履行しないときの代執行の要件は行政代執行法2条。④不可変更力:訴願裁決庁が一旦した裁決を自ら取り消すことは原則として許されない(同判決)。

この記事は、e-Govに掲載されている行政事件訴訟法・行政不服審査法・国家賠償法・行政代執行法の条文と、裁判所の裁判例検索に掲載されている最高裁判所の判決をもとに、行政行為の効力を整理したものです。条文は2026年10月9日時点のe-Govの内容です。引用した条の文言は、令和8年度行政書士試験の法令基準日である令和8年4月1日時点でも同じです。行政書士試験の行政法は、令和8年度の試験案内で「行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする」とされています(出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内)。

審査請求の流れと執行停止の表は行政不服審査法の記事、取消訴訟の要件と執行停止は行政事件訴訟法の準用の覚え方、行政代執行の手続は行政代執行の記事、取消しと撤回の言葉の使い分けは却下・棄却・認容・取消し・撤回の記事で扱っています。この記事は、4つの効力を横断して整理することに絞ります。

行政行為の効力とは:4つの名前は講学上の分類

「行政行為」は、行政法の学問上の言葉で、行政庁が法律に基づいて国民に対して行う一方的な行為を指して使われます(当サイトの言い換え)。行政事件訴訟法・行政不服審査法の条文は「処分」と書いていて、その意味は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」です(行政不服審査法1条2項。行政事件訴訟法3条2項は、かっこ書で「次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く」としています)。

その行政行為(処分)に生じる効力を、学問上、次の4つに分けて整理することがあります。

名称(講学上)ひと言でいうと(当サイトの言い換え)条文・判例の手がかり
公定力違法な処分でも、取り消されるまでは有効として扱われる行政事件訴訟法25条1項・44条、行政不服審査法25条1項、最判昭和30年12月26日
不可争力一定の期間を過ぎると、相手方から争えなくなる行政事件訴訟法14条、行政不服審査法18条
執行力裁判所の判決を待たずに、行政庁が義務の実現を図れる行政代執行法1条・2条
不可変更力判断をした行政庁が、自らその判断を変更できない最判昭和30年12月26日

4つの語は、行政事件訴訟法・行政不服審査法・国家賠償法・行政代執行法(e-Gov、2026-10-09 時点)の条文には出てきません。以下では、4つのそれぞれについて、条文や判決のどの言葉が手がかりになるかを示します。

公定力:取り消されるまでは有効として扱われる

条文の手がかり:取消訴訟や審査請求をしても、処分の効力は止まらない

取消訴訟や審査請求を始めても、処分の効力は止まりません。

条文条文の言葉
行政事件訴訟法25条1項処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない
行政不服審査法25条1項審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない
行政事件訴訟法44条行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない

効力を止めるには、執行停止の手続があります(行政事件訴訟法25条2項以下、行政不服審査法25条2項以下)。行政事件訴訟法25条2項は、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときに、裁判所が申立てにより決定で執行停止をすることができる、と定めています。同項ただし書は、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合にはすることができないとし、同条4項は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、執行停止をすることができないとしています。要件の詳しい表は行政事件訴訟法の準用の覚え方にあります。

取り消す判決が出ると、その判決は第三者に対しても効力を有し(行政事件訴訟法32条1項)、処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束します(33条1項)。

判例の言葉:昭和30年12月26日

公定力に関わる判決として、最高裁判所第三小法廷・昭和30年12月26日判決(昭和26(オ)898、民集9巻14号2070頁、棄却)があります。判決文は、次のように述べています。

「行政処分は、たとえ違法であつても、その違法が重大かつ明白で当該処分を当然無効ならしめるものと認むべき場合を除いては、適法に取り消されない限り完全にその効力を有するものと解すべきところ」

事案は、茨城県農地委員会が、訴願を棄却した裁決を、後に自ら取り消して訴願の趣旨を容認する裁決をした、というものです。判決は、裁決庁が自ら裁決を取り消すことは違法であるとしたうえで、その取消しの裁決はまだ取り消されておらず、これを当然無効のものとは解することができない、と述べています。

この言葉には、2つの条件が入っています。「その違法が重大かつ明白で当該処分を当然無効ならしめるものと認むべき場合を除いて」という例外と、「適法に取り消されない限り」という条件です。どちらかを落とすと、判決の言葉と変わります。

例外:無効の行政行為

「重大かつ明白」な違法がある処分は、当然無効とされる場合があります。最高裁判所第三小法廷・昭和35年6月14日判決(昭和32(オ)481、民集14巻8号1342頁)は、「強行法規に違背する場合がすべて当然無効の原因となるものではなくして、その違背が重大かつ明白である場合に限つて無効原因となるものである」と述べ、昭和30年12月26日判決を引いています。

無効を争う訴訟として、行政事件訴訟法は「無効等確認の訴え」を定めています。

条文内容
3条4項「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう
36条原告適格。当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる

36条の条文には、「法律上の利益を有する者」のほかに、「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り」という言葉があります。この限定が、条文の前半の「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」にもかかるのかという読み方は、この記事では扱いません。

国家賠償との関係:平成22年6月3日

公定力が言われる処分についても、国家賠償請求のためにまず取消判決が必要になるとは限りません。最高裁判所第一小法廷・平成22年6月3日判決(平成21(受)1338、民集64巻4号1010頁、破棄差戻)は、国家賠償請求を許すと課税処分の公定力を実質的に否定することになる、という原審の考え方に対して、次のように述べています。

「原審は,国家賠償法に基づいて固定資産税等の過納金相当額に係る損害賠償請求を許容することは課税処分の公定力を実質的に否定することになり妥当ではないともいうが,行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない」

判決は、この言葉のあとに、昭和36年4月21日第二小法廷判決(民集15巻4号850頁)を参照として挙げています。事案は、固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ずに国家賠償請求をした件です。裁判要旨も、公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して固定資産の価格を過大に決定したときは、当該納税者は、審査の申出及び取消訴訟等の手続を経るまでもなく国家賠償請求を行い得る、としています。

国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が賠償する責に任ずる、と定めています。国家賠償の要件は国家賠償法の記事で扱っています。

不可争力:争える期間がある(出訴期間・審査請求期間)

不可争力は、一定の期間を過ぎると相手方から処分の効力を争えなくなる効力として整理されます(当サイトの整理で、条文の定義ではありません)。条文には、期間を過ぎると「することができない」という形で現れます。

手続期間条文
取消訴訟処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは提起することができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)行政事件訴訟法14条1項
取消訴訟処分又は裁決の日から一年を経過したときは提起することができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)同条2項
取消訴訟処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは提起することができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)同条3項
審査請求処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(処分について再調査の請求をしたときは、再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときはすることができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)行政不服審査法18条1項
審査請求処分(再調査の請求をしたときは、再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときはすることができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない)同条2項

どの条文にも、ただし書の「正当な理由があるときは、この限りでない」があります。また、行政事件訴訟法は「他の法律に特別の定めがある場合を除くほか」この法律の定めるところによる(1条)、行政不服審査法は処分に関する不服申立てについて「他の法律に特別の定めがある場合を除くほか」この法律の定めるところによる(1条2項)、とされています。

取消訴訟以外の抗告訴訟には、14条は準用されない

行政事件訴訟法は、無効等確認の訴えなど、取消訴訟以外の抗告訴訟について、取消訴訟の規定の一部を準用しています(38条)。38条1項が準用する条文は「第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条」と列挙されていて、出訴期間を定めた14条は、この列挙に含まれていません。無効等確認の訴えには、36条の原告適格の条件があります(上の「例外:無効の行政行為」の表)。

不可争力は、処分の相手方が争う場合の効力で、行政庁が自ら処分を取り消すことまで妨げるものではない、と整理されます(当サイトの整理で、条文の定義ではありません)。

執行力:裁判所の判決を待たずに義務を実現できるか

執行力は、行政庁が、裁判所の判決を経ずに、義務の履行を確保できる効力として整理されます(当サイトの整理で、条文の定義ではありません)。条文では、行政代執行法の1条・2条が手がかりになります。

条文条文の言葉
行政代執行法1条行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる
行政代執行法2条法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる

2条には、次の条件が重なっています。

  • 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為であること
  • 他人が代つてなすことのできる行為に限ること
  • 義務者がこれを履行しないこと
  • 他の手段によつてその履行を確保することが困難であること
  • その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること

「他人が代つてなすことのできる行為」に限られるため、条文の言葉に沿えば、すべての義務が代執行の対象ではありません。1条は「別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」と書いていて、別の法律で定められている事項は、行政代執行法の定めの外にあります。戒告から費用の徴収までの手続は行政代執行の記事で扱っています。

不可変更力:判断をした行政庁が自ら変更できない

不可変更力は、審査請求の裁決のような紛争を裁断する判断について、判断した行政庁が自らこれを取り消したり変更したりできない効力として整理されます(当サイトの整理です。行政不服審査法(e-Gov、2026-10-09 時点)には「不可変更力」の語はありません)。

手がかりになるのが、公定力で見た昭和30年12月26日判決です。判決文は、次のように述べています。

「訴願裁決庁が一旦なした訴願裁決を自ら取り消すことは、原則として許されないものと解すべきである」

この判決の事案は旧制度の「訴願」で、茨城県農地委員会が自らの裁決を取り消した事件です。判決は、その取消しは違法だと述べています。一方で、違法であっても、その取消しの裁決は「当然無効のもの」とは解されないとして、公定力の言葉(上の引用)へ続けています。つまり、不可変更力に反する取消しが違法でも、その取消しの効力が当然に否定されるわけではない、という構造です。

現行の行政不服審査法52条1項は「裁決は、関係行政庁を拘束する」と定めています(裁決の拘束力)。これは関係行政庁を拘束する効力の規定で、判断した審査庁が自らの裁決を取り消せるかどうかを定めた条文ではありません。

4つの効力を比べる

項目公定力不可争力執行力不可変更力
内容(講学上・当サイトの言い換え)取り消されるまでは有効として扱われる期間を過ぎると争えなくなる判決を経ずに義務の実現を図れる判断した行政庁が自ら変更できない
条文・判例の手がかり行政事件訴訟法25条1項・44条、行政不服審査法25条1項、昭和30年12月26日判決行政事件訴訟法14条、行政不服審査法18条行政代執行法1条・2条昭和30年12月26日判決
例外・限界の手がかり重大かつ明白な違法で当然無効の場合(昭和30年判決)。国家賠償は取消し又は無効確認の判決が前提でない(平成22年判決。事案は固定資産の価格の決定等)ただし書の「正当な理由」。取消訴訟以外には14条が準用されない(38条1項)代執行は2条の条件。他の法律に定めがあるときはその法律(1条)判決は「原則として」と述べている。違法でも当然無効とは解されないとされた事案
条文の名前か条文に語はない条文に語はない条文に語はない条文に語はない

試験での問われ方(出題の型)

実際の問題文は引用せず、型として整理します。

  • 型1:効力の名前と内容のマッチング。公定力・不可争力・執行力・不可変更力のうち、問題文の説明がどれに当たるか
  • 型2:公定力と無効。違法な処分が取り消されるまで有効か、重大かつ明白な違法の場合はどう扱われるか
  • 型3:不可争力の期間。取消訴訟(六箇月・一年)と審査請求(三月・一年)の取り違え、ただし書の正当な理由
  • 型4:国家賠償との関係。取消判決を得ないと国家賠償請求ができないか
  • 型5:執行力と法律の根拠。代執行の条件(他人が代つてなすことのできる行為・他の手段によつてその履行を確保することが困難など)
  • 型6:不可変更力の対象。審査請求の裁決のような判断か、通常の処分の職権取消しか

間違えやすいポイント

  • 4つの語は条文の名前ではなく、講学上の分類。問題文が「条文は〜と定める」としているときは、実際の条文の言葉と照らす
  • 公定力の判決の言葉には、「重大かつ明白で当該処分を当然無効ならしめるものと認むべき場合を除いては」と「適法に取り消されない限り」の2つの条件が入っている
  • 行政事件訴訟法の出訴期間は、知った日から六箇月と、処分の日から一年。審査請求は、知った日の翌日から起算して三月と、処分の日の翌日から起算して一年。どちらもただし書がある
  • 無効等確認の訴えの原告適格(36条)の条文には、「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」と、「法律上の利益を有する者で、…現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」の言葉がある。条文の言葉を落とさずに読む
  • 国家賠償請求は、取消し又は無効確認の判決を得ることを前提としないと述べた平成22年判決の事案は、固定資産の価格の決定等
  • 行政代執行法2条は、「他人が代つてなすことのできる行為に限る」。1条は「別に法律で定めるものを除いては」
  • 昭和30年12月26日判決は旧制度の訴願の事案で、裁決庁が自らの裁決を取り消した事件。「原則として許されない」と述べている

この論点の問題を解く

まとめ

  • 公定力・不可争力・執行力・不可変更力は、行政行為の効力を整理する講学上の名前で、行政事件訴訟法・行政不服審査法・国家賠償法・行政代執行法の条文には出てこない
  • 公定力:処分の取消訴訟の提起や審査請求は、処分の効力を止めない(行政事件訴訟法25条1項、行政不服審査法25条1項)。昭和30年12月26日判決は、違法な処分でも、重大かつ明白で当然無効と認められる場合を除き、適法に取り消されない限り効力を有するとした。国家賠償請求は、あらかじめ取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない(平成22年6月3日判決の言葉。事案は固定資産の価格の決定等)
  • 不可争力:取消訴訟は知った日から六箇月・処分の日から一年(行政事件訴訟法14条。審査請求をした者には同条3項がある)、審査請求は知った日の翌日から三月・処分の日の翌日から一年(行政不服審査法18条)。いずれもただし書で正当な理由がある場合は別。取消訴訟以外の抗告訴訟には14条は準用されない(38条1項)
  • 執行力:代執行の条件は行政代執行法2条。他人が代つてなすことのできる行為に限り、他の手段による履行確保が困難で、放置が著しく公益に反するとき
  • 不可変更力:訴願裁決庁が一旦した裁決を自ら取り消すことは原則として許されない(昭和30年12月26日判決)。同判決は、その取消しを違法としつつ、取消しの裁決を当然無効のものとは解することができないとした

参照した一次ソース

本サイトは一般財団法人 行政書士試験研究センターとは関係ありません。掲載している問題は、過去の出題論点をもとに合格ナビが作成した論点別問題で、公式の試験問題ではありません。条文は、必ず e-Gov 法令検索の最新の内容で確認してください。

よくある質問

Q公定力、不可争力、執行力、不可変更力という言葉は、条文に書かれていますか?

書かれていません。行政事件訴訟法・行政不服審査法・国家賠償法・行政代執行法(e-Gov、2026-10-09 時点)には、「公定力」「不可争力」「不可変更力」「執行力」の語は出てきません。この4つは、行政行為の効力を学問上(講学上)整理するときの呼び方です。この記事では、それぞれに関係する条文と判決を「手がかり」として示し、条文の定義とは分けて書いています。

Q違法な行政処分でも、取り消されるまで有効というのは、判例にありますか?

最高裁判所第三小法廷・昭和30年12月26日判決(昭和26(オ)898、民集9巻14号2070頁)は、「行政処分は、たとえ違法であつても、その違法が重大かつ明白で当該処分を当然無効ならしめるものと認むべき場合を除いては、適法に取り消されない限り完全にその効力を有するものと解すべき」と述べています。判決の事案は、訴願裁決庁が自らの裁決を取り消した行為の効力が問題になった事件です。

Q取消訴訟の出訴期間が過ぎても、国家賠償請求はできますか?

最高裁判所第一小法廷・平成22年6月3日判決(平成21(受)1338、民集64巻4号1010頁)は、固定資産の価格の決定等が問題になった事案で、「行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない」と述べています。この判決の事案は固定資産の価格の決定とそれに基づく固定資産税等の賦課決定で、裁判要旨も固定資産の価格に関するものです。判決の多数意見の本文(裁判所の判決全文PDF、2026-10-09 時点)には、「出訴期間」の語は出てきません。出訴期間に触れているのは裁判官の補足意見です。出訴期間が過ぎたあとの国家賠償請求を、この判決の言葉だけで一般的に答えることはできません。

Q行政庁は、自分がした処分を自分で取り消すことはできますか?

この記事で扱う「不可変更力」は、審査請求の裁決のような判断について、判断した行政庁が自ら取り消したり変更したりできるかという論点です。昭和30年12月26日判決は、訴願裁決庁が一旦なした訴願裁決を自ら取り消すことは「原則として許されない」と述べています。通常の処分を行政庁が自ら取り消す場面(取消し・撤回)の言葉の使い分けは、別の記事で扱っています。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月10日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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