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憲法改正の手続とは?国民投票法・憲法96条の流れ行政書士の憲法

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

憲法改正の手続を、憲法96条・国会法・日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)の条文で整理します。原案から発議・国民投票・公布までの流れ、国民投票の期日(60日以後180日以内)、投票権、承認の数え方(投票総数の二分の一を超える)、国民投票運動の規制、無効の訴えを表で確認できます。

目次
  1. 憲法改正の流れ:原案から公布まで
  2. 憲法96条:発議と承認の2つの数字
  3. 国会での手続:原案・区分・修正・憲法審査会(国会法)
  4. 国民投票法①:期日・投票権・投票の方法
  5. 国民投票法②:結果の決まり方(投票総数と二分の一)
  6. 国民投票広報協議会(国民投票法11条〜14条)
  7. 国民投票運動のルール(国民投票法100条〜105条)
  8. 国民投票の無効と争い(国民投票法127条〜133条)
  9. 試験での問われ方:内容の型
  10. 間違えやすいポイント
  11. まとめ
  12. 参照した一次ソース
結論:憲法改正は、①各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議し、国民に提案する、②特別の国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票で、「その過半数の賛成」による承認を経る、③承認を経たときに天皇が国民の名で公布する、という順で進みます(憲法96条)。国民投票の手続は日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)が、国会での発議の手続は国会法が定めています。国民投票の期日は発議の日から60日以後180日以内(国民投票法2条1項)、投票権は日本国民で年齢満18年以上の者(3条)、承認は賛成の投票の数が投票総数(賛成と反対の合計)の二分の一を超えたとき(98条2項・126条1項)です。

この記事は、e-Govに掲載されている日本国憲法・国会法・日本国憲法の改正手続に関する法律の条文(2026-10-09 時点の現行の内容)だけをもとに、行政書士試験の憲法で押さえる点を整理したものです。96条の数字(三分の二以上、過半数)と法律の再可決の比較は憲法の基本原理、議決の数字の早見表は国会の憲法にあります。この記事では、その先の「国会法と国民投票法が定める手続」に絞ります。

憲法改正の流れ:原案から公布まで

段階根拠内容
原案の提出国会法68条の2、102条の7議員が憲法改正原案を発議するには、衆議院では議員100人以上、参議院では議員50人以上の賛成を要する。各議院の憲法審査会も、憲法改正原案を提出できる
国会の発議憲法96条1項、国会法68条の5第1項各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議する。憲法改正原案について国会において最後の可決があった場合は、その可決をもって、国会が発議し、国民に提案したものとする
官報での公示国会法68条の5第1項後段両議院の議長は、憲法改正の発議をした旨と発議に係る憲法改正案を官報に公示する
国民投票の期日国会法68条の6、国民投票法2条発議後速やかに国会の議決で定める。期日は、発議の日から60日以後180日以内
国民投票国民投票法3条・47条・57条日本国民で年齢満18年以上の者が、憲法改正案ごとに一人一票で、賛成または反対に○を自書して投票する
結果の告示国民投票法98条2項中央選挙管理会が、賛成の投票の数、反対の投票の数、投票総数、賛成が投票総数の二分の一を超える旨または超えない旨を官報で告示し、内閣総理大臣に通知する
承認憲法96条1項、国民投票法126条1項賛成の投票の数が投票総数の二分の一を超えた場合、国民の承認があったものとする
公布国民投票法126条2項、憲法96条2項内閣総理大臣は、賛成が二分の一を超える旨の通知を受けたときは、直ちに公布のための手続を執らなければならない。承認を経たときは、天皇が国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちに公布する

憲法96条:発議と承認の2つの数字

段階賛成の数数える母数条文
発議(国会)三分の二以上各議院の総議員憲法96条1項前段
承認(国民)過半数(憲法)。国民投票法の書き方は「二分の一を超えた場合」投票総数(賛成の投票の数と反対の投票の数の合計)憲法96条1項後段、国民投票法98条2項・126条1項

憲法96条1項は、発議を「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し」と書いています。法律案のような衆議院の優越の書き方にはなっていません。優越の規定は法律案・予算・条約・内閣総理大臣の指名にあります(国会の記事を参照)。

国会での手続:原案・区分・修正・憲法審査会(国会法)

国会法は、憲法改正の発議のために、通常の法律案とは別の規定を置いています。

条文内容
68条の2議員が憲法改正原案を発議するには、56条1項の規定にかかわらず、衆議院では議員100人以上、参議院では議員50人以上の賛成を要する
68条の3憲法改正原案の発議は、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする
68条の4憲法改正原案について議院の会議で修正の動議を議題とするには、57条の規定にかかわらず、衆議院では議員100人以上、参議院では議員50人以上の賛成を要する
68条の5第1項憲法改正原案について国会において最後の可決があった場合には、その可決をもって、国会が憲法96条1項に定める憲法改正の発議をし、国民に提案したものとする。両議院の議長は、発議をした旨と発議に係る憲法改正案を官報に公示する
68条の5第2項最後の可決があった場合には、65条1項の規定にかかわらず、その院の議長から、内閣に対し、その旨を通知するとともに、これを送付する
68条の6憲法改正の発議に係る国民投票の期日は、当該発議後速やかに、国会の議決でこれを定める
102条の6日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議または国民投票に関する法律案等を審査するため、各議院に憲法審査会を設ける
102条の7憲法審査会は、憲法改正原案及び日本国憲法に係る改正の発議または国民投票に関する法律案を提出できる。憲法改正原案の提出には、68条の3を準用する。提出者は、憲法審査会の会長

68条の2と68条の4の「100人以上」「50人以上」は、原案の提出と修正の動議の場面の数字で、96条1項の「総議員の三分の二以上」(発議の議決)とは別です。

国民投票法①:期日・投票権・投票の方法

項目条文内容
期日2条1項国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行う
期日の通知・告示2条2項・3項内閣は、議案の送付を受けたときは、速やかに、総務大臣を経由して、期日を中央選挙管理会に通知する。中央選挙管理会は、速やかに、期日を官報で告示する
投票権3条日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する
一人一票47条投票は、国民投票に係る憲法改正案ごとに、一人一票に限る
投票用紙56条2項賛成の文字及び反対の文字を印刷しなければならない
投票の方法57条1項・2項賛成するときは、投票用紙に印刷された賛成の文字を囲んで○の記号を自書し、反対するときは、反対の文字を囲んで○の記号を自書する。投票用紙には、投票人の氏名を記載してはならない

国民投票法②:結果の決まり方(投票総数と二分の一)

国民投票の結果の数え方は、98条2項と126条1項の2つで決まります。

用語・場面条文の内容
投票総数憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数(98条2項)
承認の条件賛成の投票の数が、投票総数の二分の一を超えた場合は、憲法96条1項の国民の承認があったものとする(126条1項)
結果の告示中央選挙管理会が、賛成の投票の数、反対の投票の数、投票総数、賛成が投票総数の二分の一を超える旨または超えない旨を官報で告示し、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知する(98条2項)
衆参両院議長への通知内閣総理大臣は、通知を受けたときは、直ちに98条2項の事項を衆議院議長及び参議院議長に通知する(98条3項)

当サイトの作例で確認します。賛成600票、反対400票なら、投票総数は600+400=1,000票で、その二分の一は500票です。賛成600票は500票を超えるので、承認があったものとされます。賛成500票、反対500票なら、投票総数は1,000票、その二分の一は500票です。賛成の投票の数は500票で、二分の一を「超えた」場合に当たらないので、126条1項の承認には当たりません。

国民投票広報協議会(国民投票法11条〜14条)

国民投票広報協議会は、憲法改正の発議がされた際の国会議員であった者を委員として組織されます(12条2項)。国民投票法11条は、協議会について、国会法に定めるもののほか、国民投票法の当該節の定めるところによる、と書いています。

項目条文内容
委員12条2項員数は、憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった者及び参議院議員であった者各10人。予備員も各10人
委員の選任12条3項各議院における各会派の所属議員数の比率により、各会派に割り当てて選任する。ただし、憲法改正の発議に係る議決において反対の表決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは、当該会派にも委員を割り当てて選任するよう、できる限り配慮する
事務14条1項国民投票公報の原稿の作成(憲法改正案及びその要旨、新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明、発議に当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載)、憲法改正案の要旨の作成、放送・新聞広告に関する事務、そのほか憲法改正案の広報に関する事務
取扱いの原則14条2項1項1号・2号・4号の事務を行うに当たって、憲法改正案・要旨・新旧対照表・分かりやすい説明の記載等は、客観的かつ中立的に行う。賛成意見及び反対意見の記載等は、公正かつ平等に扱う

国民投票運動のルール(国民投票法100条〜105条)

国民投票法は、国民投票運動(憲法改正案に対し賛成または反対の投票をし、またはしないよう勧誘する行為)について、いくつかの規制を置いています。

条文内容
100条規定の適用に当たっては、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない
100条の2公務員(日本銀行の役員を含み、102条各号に掲げる者を除く)は、政治的行為を禁止する他の法令の規定にかかわらず、国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日までの間、国民投票運動及び憲法改正に関する意見の表明をすることができる。ただし、他の法令が禁止している他の政治的行為を伴う場合は、この限りでない
101条1項投票管理者、開票管理者、国民投票分会長及び国民投票長は、在職中、その関係区域内において、国民投票運動をすることができない
102条中央選挙管理会の委員・総務省の庶務従事職員・選挙管理委員会の委員及び職員、国民投票広報協議会事務局の職員、裁判官、検察官、国家公安委員会・都道府県公安委員会・方面公安委員会の委員、警察官は、在職中、国民投票運動をすることができない
103条国・地方公共団体の公務員、行政執行法人・特定地方独立行政法人の役職員などは、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力または便益を利用して、国民投票運動をすることができない(1項)。教育者は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力または便益を利用して、国民投票運動をすることができない(2項)
105条何人も、国民投票の期日前14日に当たる日から国民投票の期日までの間は、次条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、またはさせることができない

100条の2は「公務員は国民投票運動をしてよい」と書く一方、ただし書で他の政治的行為を伴う場合を除いています。102条各号の者は、100条の2の公務員から除かれ、在職中の国民投票運動が禁止されます。103条は、地位を利用した運動だけを禁止しており、公務員であること自体で運動を禁じる書き方ではありません。

国民投票の無効と争い(国民投票法127条〜133条)

条文内容
127条国民投票に関し異議がある投票人は、中央選挙管理会を被告として、98条2項の規定による告示の日から30日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起できる
128条1項訴訟の提起があった場合で、次の事項があり、そのために国民投票の結果(賛成が投票総数の二分の一を超えること、または超えないこと)に異動を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は、国民投票の全部または一部の無効を判決しなければならない。①国民投票の管理執行に当たる機関が、遵守すべき手続に関する規定に違反したこと、②101条・102条・109条・111条〜113条の規定について、多数の投票人が一般にその自由な判断による投票を妨げられたといえる重大な違反があったこと、③賛成の投票の数または反対の投票の数の確定に関する判断に誤りがあったこと
130条訴訟の提起があっても、憲法改正案に係る国民投票の効力は、停止しない
133条1項憲法改正が無効とされることにより生ずる重大な支障を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、憲法改正の効果の発生の全部または一部の停止をするものとする。ただし、本案について理由がないとみえるときは、この限りでない

130条は国民投票の効力、133条は憲法改正の効果の発生という別の話です。条文の主語が違うので、混ぜないで読みます。

試験での問われ方:内容の型

条文の数字や主語が入れ替わった記述を見抜く型が中心になります。

  • 発議と承認の数字:発議は各議院の総議員の三分の二以上、承認は投票総数の二分の一を超えること
  • 母数の取り違え:有権者全体や出席議員ではなく、発議は総議員、承認は賛成と反対の合計
  • 期日の数字:発議の日から60日以後180日以内(国民投票法2条1項)
  • 誰が何をするか:発議は国会、期日の議決も国会、結果の告示は中央選挙管理会、公布は天皇が国民の名で、公布のための手続は内閣総理大臣
  • 運動の規制の主語:102条各号の者は在職中禁止、103条は地位利用の禁止、100条の2は公務員の特例

間違えやすいポイント

よくある誤解条文では
発議は出席議員の三分の二以上でよい各議院の総議員の三分の二以上(憲法96条1項)
国民投票の賛成は有権者の過半数が必要賛成の投票の数が投票総数(賛成と反対の合計)の二分の一を超えること(国民投票法98条2項・126条1項)
国民投票は発議の日から30日以内に行う発議の日から60日以後180日以内(2条1項)
公布は内閣が行う天皇が国民の名で、この憲法と一体を成すものとして公布する(憲法96条2項)。内閣総理大臣は公布のための手続を執る(国民投票法126条2項)
無効の訴えを起こすと、国民投票の効力は止まる提起しても停止しない(130条)
公務員は国民投票運動を一切できない発議の日から期日までは、100条の2により国民投票運動ができる(他の法令で禁止されている他の政治的行為を伴う場合を除く)。102条各号の者は在職中できない。103条は地位を利用した運動を禁止する
憲法改正の発議も、衆議院の議決が優先される96条1項は各議院の総議員の三分の二以上と書き、衆議院の議決を優先する書き方になっていない

まとめ

  • 憲法改正は、国会の発議(各議院の総議員の三分の二以上)→ 国民投票での承認 → 天皇が国民の名で公布、の順(憲法96条)
  • 国会法は、原案の提出・修正の動議に衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成を要すると定め(68条の2・68条の4)、議員による原案の発議は内容において関連する事項ごとに区分して行う(68条の3)
  • 国民投票の期日は、発議の日から60日以後180日以内に国会が議決した日(国民投票法2条1項)。投票権は日本国民で年齢満18年以上(3条)
  • 承認は、賛成の投票の数が投票総数(賛成と反対の合計)の二分の一を超えたとき(98条2項・126条1項)
  • 国民投票広報協議会は、衆議院議員であった者と参議院議員であった者各10人で、客観的かつ中立的に広報する(12条・14条)
  • 国民投票運動は、100条の2の公務員の特例、102条の禁止、103条の地位利用の禁止、105条の広告放送の制限などの規定がある
  • 無効の訴えは、告示の日から30日以内に、東京高等裁判所へ(127条)。提起しても国民投票の効力は停止しない(130条)
本サイトは一般財団法人 行政書士試験研究センターとは関係ありません。掲載している問題は、過去の出題論点をもとに合格ナビが作成した論点別問題で、公式の試験問題ではありません。条文は、必ず e-Gov 法令検索の最新の内容で確認してください。

参照した一次ソース

よくある質問

Q憲法改正の国民投票は、国会が発議してからいつ行われますか?

国民投票法2条1項は、国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行うと書いています。国会法68条の6は、国民投票の期日を、発議後速やかに、国会の議決で定めると書いています。決まった期日は、中央選挙管理会が官報で告示します(国民投票法2条3項)。

Q憲法改正の国民投票の投票権は、何歳から持てますか?

国民投票法3条は、日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する、と書いています。

Q国民投票の「過半数」は、有権者全体の過半数のことですか?

国民投票法は、賛成の数を数える母数を、有権者全体ではなく「投票総数」と書いています。投票総数は、憲法改正案に対する賛成の投票の数と反対の投票の数を合計した数です(98条2項)。賛成の投票の数が、この投票総数の二分の一を超えた場合に、国民の承認があったものとされます(126条1項)。

Q国民投票の結果に異議があるときは、どこに訴えるのですか?

国民投票法127条は、国民投票に関し異議がある投票人は、中央選挙管理会を被告として、98条2項の規定による告示の日から30日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起できる、と書いています。訴訟を提起しても、憲法改正案に係る国民投票の効力は停止しません(130条)。

Q憲法改正案は、条文ごとに別々に投票しますか?

国民投票法47条は、投票は、国民投票に係る憲法改正案ごとに、一人一票に限る、と書いています。国会に出す原案については、国会法68条の3が、議員による憲法改正原案の発議(68条の2)に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする、と書いています。

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