行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問34|会計監査人の独立性・不再任・解任

問題

行政書士 | 商法・会社法

乙株式会社(大会社・取締役会設置会社・監査役会設置会社)の会計監査人に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

会計監査人の選任・解任に関する問題です。アが誤りです。会計監査人は、定時株主総会で「別段の決議がされなかったときは、再任されたものとみなす」とされます(338条2項)。つまり「再任の決議がなければ任期満了」ではなく、「不再任・解任の決議が積極的にされない限り自動的に再任される」のが原則です。アは「再任の決議がなされなかった場合は任期満了」と述べており、338条2項の自動再任みなし規定に真っ向から反するため誤りです。イ(監査役会による解任・監査役全員の同意・340条)・ウ(子会社等から継続的な報酬を受けている者の欠格・337条3項2号)・エ(選任等の議案内容の決定権が監査役会・344条1項)・オ(重要事項の監査役への報告義務・397条1項)はいずれも正しい内容です。

アが誤りの根拠(338条2項の自動再任みなし)

338条1項は会計監査人の任期を「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで」と定めます。一見すると毎年の選任が必要に見えますが、338条2項が「定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす」と定めているため、積極的に不再任・解任の決議をしない限り自動的に再任されるのが原則です。アはこの自動再任みなし規定を無視し「再任の決議がなければ任期満了」としている点で誤りです。

他の選択肢の確認

  • イ(正しい): 340条1項・2項・4項。監査役会設置会社では、職務上の義務違反等の事由がある場合、監査役会が監査役全員の同意により会計監査人を解任できる。
  • ウ(正しい): 337条3項2号。「株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者」は会計監査人となることができない。
  • エ(正しい): 344条1項。会計監査人の選任・解任・不再任の議案内容の決定権は監査役会にある。
  • オ(正しい): 397条1項。会計監査人は取締役の不正等を発見したとき監査役(会)へ報告する義務を負う。

【理論的背景:会計監査人の「自動再任みなし」制度の趣旨】

338条の会計監査人の任期は「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結時まで」(338条1項)です。これは毎年の定時総会ごとに再任を確認することを意味します。しかし「別段の決議がされなかったときは再任とみなす」(338条2項)という自動再任みなし規定を設けることで、毎年形式的な選任決議を行う必要をなくしています。これは実務上の便宜ですが、同時に「積極的に不再任または解任の決議をしない限り継続就任する」という仕組みでもあります。この自動再任みなしは、会計監査人の独立性(毎年の選任審査で経営陣に従わざるをえなくなることを防ぐ)の観点からも合理性があります。

【実務・条文構造:会計監査人の解任の二ルート】

会計監査人の解任には二つのルートがあります。

① 株主総会決議による解任(339条1項):339条1項は「役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」と定めており、会計監査人にも直接適用されます。解任について正当な理由がある場合を除き、解任された会計監査人は解任によって生じた損害の賠償を請求できます(339条2項)。

② 監査役会(等)による解任(340条):340条1項は、会計監査人が「一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき」「二 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき」「三 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき」のいずれかに該当するときの解任を認めます。監査役会設置会社では解任の主体は監査役会で(340条4項)、監査役の全員の同意が必要です(340条2項・4項)。株主総会を待たずに対応できる特別ルートです。解任したときは、監査役会が選定した監査役が、その旨及び解任の理由を「解任後最初に招集される株主総会」に報告しなければなりません(340条3項・4項)。報告のために総会を招集する義務までは定められていません。

344条(選任議案の決定権)は、選任・解任・不再任の「株主総会への提案内容」を取締役会ではなく監査役会(等)が決定するという権限規定です。これにより、取締役が自社に有利な会計監査人を選任・継続させ、不都合な会計監査人を解任するというリスクを抑制しています。

【試験での位置づけ:会計監査人の独立性確保のポイント】

行政書士試験で会計監査人関連の頻出ポイントは以下の三点です。

① 自動再任みなし(338条2項):「再任決議がなければ任期満了」ではなく「不再任・解任の決議がなければ自動再任」(本問アの引っかけ)。

② 監査役会による緊急解任(340条):取締役会でなく監査役会が行い、全員一致が要件。

③ 選任議案の決定権は監査役会(344条):株主総会が最終的に選任するが、議案内容の決定は監査役会(等)が行うことで取締役からの独立性を確保。

これらは「会計監査人を守る(独立性保護)仕組み」として一体的に理解することが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り(本問の正答)。再任させないためには、定時株主総会で「別段の決議」をする必要があり、その決議がなければ再任されたものとみなされます(338条2項)。不再任の議案の内容は監査役会が決定します(344条1項・3項)。「再任の決議がなければ任期満了」とするアは338条2項に明確に反します。
  • イ: 正しい。340条1項・2項・4項のとおりです。
  • ウ: 正しい。337条3項は会計監査人となることができない者として、「一 公認会計士法の規定により、第四百三十五条第二項に規定する計算書類について監査をすることができない者」「二 株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者」「三 監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの」を挙げます。ウは2号の内容です。
  • エ: 正しい。344条1項は選任・解任・不再任の議案の内容を監査役が決定すると定め、同条3項により監査役会設置会社では監査役会が決定します。
  • オ: 正しい。397条1項は「会計監査人は、その職務を行うに際して取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監査役に報告しなければならない」と定め、同条3項により監査役会設置会社では報告先が監査役会となります。

【根拠条文】

会社法 第338条第1項・第2項(会計監査人の任期・自動再任みなし)

会社法 第337条第3項第2号(会計監査人の欠格事由)

会社法 第339条第1項・第2項(株主総会による解任)

会社法 第340条第1項〜第4項(監査役会等による会計監査人の解任・株主総会への報告)

会社法 第344条第1項・第3項(会計監査人の選任等の議案決定権)

会社法 第397条第1項・第3項(会計監査人の監査役会への報告義務)

【補足】

338条2項「別段の決議がなければ自動再任」が最重要(「再任決議なし→任期満了」は逆)。340条の「監査役会全員一致による緊急解任」と344条の「選任議案決定権=監査役会」をセットで理解する。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第337条(会計監査人の資格等)・第338条(会計監査人の任期)・第340条(監査役等による会計監査人の解任)・第344条(会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定)・第397条(監査役に対する報告) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 会計監査人の独立性・不再任・解任
  • 頻出度B

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