行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問61商法・会社法/組織再編(債権者保護)

問題

行政書士 | 商法・会社法

吸収合併における債権者異議手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

吸収合併の債権者異議手続が問われています。オが誤り。吸収合併無効の訴えの提訴期間は、吸収合併の効力が生じた日から6か月以内です(828条1項7号)。オの「1年以内」が誤りです。なお提訴権者には存続会社の株主等・破産管財人のほか、吸収合併について承認をしなかった債権者も含まれます(828条2項7号)。そのため、異議手続を経ずに合併された債権者が無効の訴えを提起できるという前半部分は正しい内容です。アは正しい(消滅会社・存続会社の双方が手続を要する:789条・799条)。イは正しい(官報公告+定款所定の公告方法で各別催告省略可)。ウは正しい(期間内不異議→承認とみなす)。エは正しい(弁済・担保提供・信託)。

債権者異議手続の流れ(789条・799条):①官報公告と知れている債権者への各別の催告(催告省略が可能な場合:定款に規定する方法=電子公告または日刊新聞紙での公告を合わせて行った場合:イ正しい)。②法定期間(1か月以上)の経過:期間内に異議を述べなかった債権者は合併を承認したとみなされます(ウ正しい)。③適法な異議が述べられた場合:会社は弁済・担保提供・信託のいずれかで債権者を保護しなければなりません(エ正しい)。オが誤りの理由:828条2項7号は提訴権者として「吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者」を列挙しており、吸収合併について承認をしなかった債権者も提訴権者に含まれます。債権者異議手続を経ずに合併された債権者は、合併無効の訴えで争うことができます。しかし提訴期間は「吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内」(828条1項7号)であり、オの「1年以内」は誤りです。

【理論的背景:債権者保護の設計思想と合併無効訴訟の対世効】

合併は「消滅会社の全権利義務が存続会社に包括的に移転する」という特殊な行為であり、消滅会社の債権者にとっては「債務者の実質が変わる」という影響があります。消滅会社の債権者は、合併後に責任財産が変化する(存続会社の財産に置き換わる)ため、存続会社の財務状況が悪化していれば回収可能性が下がります。逆に、存続会社の債権者は「消滅会社の既存債務が存続会社に移転してくる」ことで負債が増加するリスクがあります。債権者異議手続はこれらのリスクに対応するため、合併前に①情報提供(公告・催告)し、②異議のある債権者には個別に弁済・担保提供を行う仕組みです。合併無効の訴えの提訴権者が828条2項7号に列挙された者(株主等・社員等・破産管財人・吸収合併について承認をしなかった債権者等)に限定され、提訴期間も効力発生日から6か月以内に限られているのは、一度実施された合併を無効とすることの影響が甚大(包括的な法律関係の変動が元に戻る)であるため、取引の安全を優先して無効主張を制限したものです。

【条文構造:789条・799条と828条の関係】

会社法789条(消滅会社等の手続):2項「吸収合併をする場合には、消滅会社等(合併により消滅する会社等)は、一定の事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告しなければならない」。789条3項(催告省略):官報公告に加えて定款所定の公告方法(電子公告・日刊新聞紙)を実施した場合は各別の催告が不要(但し吸収分割の場合の不法行為債権者は省略できない)。789条5項(異議対応):「債権者が異議を述べた場合、弁済・担保提供・信託」による保護が必要。799条は存続会社の債権者保護について789条に準じた内容を規定します。828条1項7号(合併無効訴訟):「吸収合併の効力が生じた日から6か月以内」が提訴期間。828条2項7号(提訴権者):吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者、存続会社の株主等・社員等・破産管財人、吸収合併について承認をしなかった債権者。

【試験での位置づけ:行政書士試験における債権者異議手続と合併無効訴訟の頻出論点】

行政書士試験での合併の債権者保護・無効訴訟の典型的な問われ方は①債権者異議手続の内容(公告・個別催告・省略要件・異議後の弁済等)、②合併無効の訴えの提訴権者(株主等・破産管財人・承認をしなかった債権者)と期間(6か月以内)の3点が頻出です。オのような提訴期間の数字のすり替え(6か月→1年)は最頻出の引っかけです。また「公告と個別催告を実施したうえで各別の催告を省略できる要件(定款所定の公告方法の二重公告)」(イ)も重要論点です。なお吸収分割の場合の不法行為債権者は二重公告でも個別催告を省略できない(789条3項括弧書)という例外も押さえておくと発展問題に対応できます(吸収合併にはこの例外はありません)。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。消滅会社(789条)と存続会社(799条)の双方が債権者異議手続を要する。消滅会社の債権者は「債務者が変わる」、存続会社の債権者は「財務が変化する」リスクへの保護手続として双方に義務付け。
  • イ: 正しい。789条3項の「催告省略要件」:定款所定の公告方法(電子公告・日刊新聞紙)を官報公告と合わせて実施した場合に各別の催告を省略できる。吸収分割の場合の不法行為債権者は省略不可(789条3項括弧書)だが、吸収合併にはこの例外はない。
  • ウ: 正しい。法定期間(1か月以上)内に異議を述べなかった場合、承認とみなされる。期間経過後は追加的に異議を述べることはできない(合併手続の確定性確保)。
  • エ: 正しい。789条5項(消滅会社の異議対応)の正確な内容。弁済・担保提供・信託の三択で債権者を保護。このいずれかが実施されれば合併手続を続行できる。
  • オ: 誤り。828条2項7号の提訴権者には「吸収合併について承認をしなかった債権者」が含まれるため、債権者が提訴できるという前半は正しい。誤りは提訴期間で、828条1項7号は「吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内」と定めており、「1年以内」ではない。

【根拠条文】

会社法 第789条第1項・第3項・第5項(消滅会社の債権者異議手続・催告省略・異議への対応)

会社法 第799条(存続会社の債権者異議手続)

会社法 第828条第1項第7号・第2項第7号(吸収合併無効の訴え・提訴期間・提訴権者)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第789条・第799条(債権者異議手続)、会社法第828条第1項第7号(合併無効の訴え・提訴期間) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。