問題
株式会社の解散および清算に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
株式会社の解散・清算が問われています。ウが誤り。解散後の清算株式会社は「清算の目的の範囲内において、清算が結了するまでなお存続する」という点は正しいですが(476条)、476条は存続を「清算が結了するまで」としており、「清算結了の登記を完了した時点」とはしていません。清算事務が終了すると清算人は決算報告を作成し、株主総会の承認を受けます(507条1項・3項)。清算結了の登記は「清算が結了したとき」に、その承認の日から2週間以内にするものです(929条1号)。登記は清算結了の後に行う手続です。アは正しい(471条各号の解散事由)。イは正しい(309条2項11号:特別決議が必要)。エは正しい(492条:清算人の財産目録等の作成・株主総会承認義務)。オは正しい(108条1項2号:残余財産分配優先種類株式)。
解散事由(471条):①定款に定めた存続期間の満了(1号)、②定款で定めた解散事由の発生(2号)、③株主総会の決議(3号。特別決議:309条2項11号:イ正しい)、④合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る:4号)、⑤破産手続開始の決定(5号)、⑥824条1項(解散命令)または833条1項(解散の訴え)の規定による解散を命ずる裁判(6号)。清算株式会社の能力(476条):「清算株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす」。ウの「清算の目的の範囲内において存続」という部分は正しいですが、「清算結了の登記を完了した時点で消滅」という部分が誤りです。条文は存続の終点を「清算が結了するまで」と定めています。清算事務が終了すると決算報告を作成して株主総会の承認を受け(507条1項・3項)、清算結了の登記は「清算が結了したとき」に、その承認の日から2週間以内にするものとされています(929条1号)。登記は清算結了の後に行う手続であり、登記の完了を消滅の時点とするウは誤りです。清算人の義務(492条):清算人は就任後遅滞なく財産の現況を調査し、財産目録・貸借対照表を作成し(1項)、株主総会に提出・提供してその承認を受けなければなりません(3項)(エ正しい)。残余財産の分配(502条・504条2項・108条1項2号):債務を弁済した後でなければ財産を株主に分配できず(502条)、残余財産の分配について内容の異なる種類株式があるときは、その種類の株式の内容に応じて割当てを定めることができます(504条2項)(オ正しい)。
【理論的背景:解散後の会社の法的地位と清算手続の目的】
株式会社が解散した後も「清算の目的の範囲内」で法人格が存続するのは、現実の財産処理・債権回収・債務弁済・残余財産分配という手続を完了させるために会社という器が必要だからです。解散決議だけで会社が即座に消滅すると、未了の契約処理・債務弁済が法的に宙に浮いてしまいます。清算手続は①財産の現況調査・目録作成→②債権の取立て→③既存債務の弁済→④残余財産の株主への分配→⑤清算結了という流れで行われます。清算人(定款で定める者や株主総会で選任された者がいなければ取締役が清算人となる:478条1項)が手続を主導します。なお、合併により解散した場合と、破産手続開始の決定により解散し破産手続が終了していない場合は、会社法の清算をしなければならない場合から除かれています(475条1号)。
【条文構造:471条・475条・476条・492条・507条の体系】
会社法471条(解散の事由):1号〜6号に解散事由を列挙。3号「株主総会の決議」が任意解散(特別決議要:309条2項11号)。会社法475条(清算の開始原因):「株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。一 解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)」。会社法476条(清算株式会社の能力):「前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす」。この規定が解散後も法人格が継続する根拠です。会社法507条:清算事務が終了したときは遅滞なく決算報告を作成し(1項)、清算人はこれを株主総会に提出・提供して承認を受けなければならない(3項)。会社法929条:「清算が結了したときは」、清算株式会社については507条3項の承認の日から2週間以内に清算結了の登記をしなければならない(1号)。つまり条文上、登記は清算結了の後に行う手続です。会社法492条(財産目録等の作成):「清算人(中略)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、(中略)財産目録及び貸借対照表(中略)を作成しなければならない」。492条3項で株主総会の承認を要する。
【試験での位置づけ:行政書士試験における解散・清算の頻出論点】
行政書士試験での解散・清算の典型的な問われ方は①解散事由の列挙(特に471条3号:株主総会特別決議が任意解散の要件)、②清算株式会社の存続(476条:清算目的の範囲内・清算結了まで存続)、③清算人の義務(財産目録・貸借対照表の作成・株主総会承認:492条)、④残余財産の分配順位(債権者優先・その後株主)の4点が典型です。ウのような「清算結了の登記の完了で消滅(誤り:476条は存続を「清算が結了するまで」とし、929条は清算が結了した後に登記をするものとしている)」は、登記と実体的効果の関係を問う問題として出題されます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正しい。471条1号〜5号(定款の存続期間の満了・定款で定めた解散の事由の発生・株主総会の決議・合併(消滅する場合に限る)・破産手続開始の決定)。このほか6号として、解散命令(824条1項)や解散の訴え(833条1項)による解散を命ずる裁判もある。
- イ: 正しい。309条2項11号「解散の決議」は特別決議(出席議決権の3分の2以上・定足数は議決権の過半数・定款で3分の1以上まで緩和可)。重要事項として普通決議では不足。
- ウ: 誤り。476条は清算株式会社が「清算が結了するまではなお存続する」と定め、929条1号は「清算が結了したとき」に507条3項の承認の日から2週間以内に清算結了の登記をするものとしている。登記は清算結了の後の手続であり、「清算結了の登記を完了した時点で消滅する」とする本肢は条文の組み立てと合わない。
- エ: 正しい。492条(就任後遅滞なく財産目録・貸借対照表を作成)と492条3項(株主総会の承認)の正確な内容。
- オ: 正しい。清算株式会社は「債務を弁済した後でなければ、その財産を株主に分配することができない」(502条本文)。残余財産の分配について内容の異なる種類株式(108条1項2号)を発行しているときは、「当該種類の株式の内容に応じ」、種類ごとに異なる取扱いを定めることができる(504条2項)。
【根拠条文】
会社法 第471条各号(解散の事由の列挙)
会社法 第475条第1号(清算の開始原因・解散した場合)
会社法 第476条(清算株式会社の能力・清算の目的の範囲内で清算結了まで存続)
会社法 第492条第1項・第3項(清算人の財産目録等作成義務・株主総会承認)
会社法 第507条第1項・第3項(決算報告の作成・株主総会の承認)
会社法 第929条第1号(清算結了の登記)
会社法 第502条(債務の弁済前における残余財産の分配の制限)
会社法 第504条第2項(残余財産の分配・種類株式の内容に応じた割当て)
会社法 第309条第2項第11号(解散の特別決議要件)
- 会社法第471条・第475条・第476条・第507条・第929条・第492条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第471条(解散の事由)、会社法第475条(清算の開始原因)、会社法第476条(清算株式会社の能力・清算の目的の範囲内で存続)、会社法第492条(財産目録等の作成等)、会社法第507条(決算報告)、会社法第929条(清算結了の登記)、会社法第502条・第504条(残余財産の分配) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

