行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問64|資本金の減少

問題

行政書士 | 商法・会社法

株式会社における資本金の減少(減資)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

資本金の減少(減資)が問われています。イが正しい。資本金を減らすときは株主総会の決議で、減らす額の全部または一部を準備金とするときはその旨と額を定めます(447条1項2号)。アは誤りで、資本金の減少は原則として特別決議です(309条2項9号)。ウは誤りで、債権者異議手続が不要になる449条1項ただし書は「準備金の額のみを減少する場合」の例外であり、資本金の減少には使えません。エは誤りで、減少額を準備金とすることもできます(447条1項2号)。オは誤りで、449条1項が除くのは「減少する準備金の額の全部を資本金とする場合」だけです。

決議事項(447条1項):資本金の額を減少する場合は、株主総会の決議によって①減少する資本金の額、②減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨および準備金とする額、③効力発生日を定めます(イ正しい)。①の額は効力発生日の資本金の額を超えてはなりません(447条2項)。決議要件(309条2項9号):447条1項の株主総会は原則として特別決議です(ア誤り)。ただし、定時株主総会で定め、かつ減少する資本金の額が欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えない場合は、特別決議から除かれます(同号イ・ロ)。欠損の填補という事情が緩めるのは「決議要件」であって、債権者異議手続ではありません。債権者異議手続(449条):1項本文は、資本金または準備金の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く)には、債権者は異議を述べることができると定めます。ただし書は「準備金の額のみを減少する場合であって」定時株主総会で定め、かつ欠損の額を超えないときに限った例外です(ウ誤り)。減少する資本金の全部を準備金とする場合も除外されていないため、手続が必要です(オ誤り)。2項により、会社は官報に公告し、知れている債権者には各別に催告します。エ:減少額を準備金とすることが447条1項2号で認められており、「直ちに株主に分配しなければならない」とする規定はありません(エ誤り)。

【理論的背景:資本金の意義と減資規制の根拠】

資本金は、会社財産を会社に保持させておくための計算上の基準となる数額であり、貸借対照表の純資産の部に計上されます。資本金を減らすと、その分だけ会社に留めておくべき財産の基準が下がるため、株主にとっても債権者にとっても重大な意味を持ちます。そこで会社法は、二つの面から規律しています。一つは株主の側で、資本金の額の減少は株主総会の決議事項とされ(447条1項)、原則として特別決議が要求されます(309条2項9号)。もう一つは債権者の側で、資本金の額を減少する場合には債権者が異議を述べることができ、会社は公告・催告の手続を踏まなければなりません(449条1項・2項)。注意したいのは、欠損の填補という事情がどちらの規律をどれだけ緩めるかです。資本金の減少については、定時株主総会で定め、かつ減少額が欠損の額を超えない場合に、決議要件が特別決議から外れるにとどまります(309条2項9号イ・ロ)。債権者異議手続が不要となる449条1項ただし書は、条文上「準備金の額のみを減少する場合」に限られており、資本金の減少には適用されません。また、減少する資本金の全部を準備金とする場合であっても、449条1項本文の除外に当たらないため、債権者異議手続が必要です。

【条文構造:447条・309条・449条】

会社法447条1項は、資本金の額を減少する場合には、株主総会の決議によって「一 減少する資本金の額」「二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額」「三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日」を定めなければならないとします。同条2項は、1号の額は効力発生日における資本金の額を超えてはならないとします。同条3項は、株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合で、効力発生日後の資本金の額が効力発生日前の資本金の額を下回らないときは、1項の「株主総会の決議」を「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」と読み替える規定です。決議要件は309条2項9号が定め、447条1項の株主総会を特別決議事項としつつ、「イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること」「ロ 第四百四十七条第一項第一号の額が…欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと」のいずれにも該当する場合を除いています。449条1項本文は「株式会社が資本金又は準備金(以下この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる」とし、ただし書は「準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでない」として、定時株主総会で定めることと、減少する準備金の額が欠損の額を超えないことを挙げます。449条2項は、官報公告と知れている債権者への各別の催告を求め、異議を述べることができる期間は一箇月を下ることができないとしています。

【試験での位置づけ:行政書士試験における減資の頻出論点】

行政書士試験での減資の典型的な問われ方は、①決議事項(447条1項各号、特に準備金とする旨と額)、②決議要件(特別決議が原則、定時総会・欠損の範囲内なら特別決議から除外:309条2項9号)、③債権者異議手続の要否(資本金の減少では原則どおり必要、ただし書の例外は準備金のみの減少に限る:449条1項)の3点です。「欠損填補なら資本金の減少でも債権者異議手続は不要」(ウ)、「資本金を準備金に振り替えるだけなら手続不要」(オ)のように、準備金についての例外や除外を資本金に当てはめる記述が典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。309条2項9号により、447条1項の株主総会は原則として特別決議による。普通決議で足りるのは、定時株主総会で定め、かつ減少額が欠損の額を超えない場合に限られる。
  • イ: 正しい。447条1項2号により、減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、株主総会の決議でその旨および準備金とする額を定める。
  • ウ: 誤り。449条1項ただし書は「準備金の額のみを減少する場合」の例外であり、資本金の額の減少には適用されない。資本金の減少では、定時総会・欠損の範囲内という事情は決議要件(309条2項9号)に影響するだけで、債権者異議手続は必要である。
  • エ: 誤り。447条1項2号により、減少する資本金の額を準備金とすることができる。減少額を直ちに株主に分配しなければならないとする規定はない。
  • オ: 誤り。449条1項本文が除外するのは「減少する準備金の額の全部を資本金とする場合」だけであり、資本金を減少してその全部を準備金とする場合は除外されていない。したがって債権者異議手続が必要である。

【根拠条文】

会社法 第447条第1項〜第3項(資本金の額の減少)

会社法 第309条第2項第9号(資本金の額の減少の特別決議とその例外)

会社法 第449条第1項・第2項(債権者の異議)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録
  • 定期監査正答を「ウ」から「イ」に訂正しました(会社法の条文と照合)。
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第447条第1項(資本金の額の減少)、会社法第309条第2項第9号(資本金の額の減少の特別決議とその例外)、会社法第449条第1項・第2項(債権者の異議・ただし書は準備金の額のみを減少する場合に限る) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。