行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問62|株式移転・株式交換の完全親子会社関係の形成

問題

行政書士 | 商法・会社法

株式交換・株式移転に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

株式交換・株式移転が問われています。ウが正しい。会社法2条31号は株式交換の完全親会社となれる会社を「株式会社または合同会社」と定め、完全子会社は「株式会社」に限定しています。アは誤りで、株式交換は「既存の2つの会社間」で行われ、新設会社を設立するわけではありません(新設するのは株式移転)。イは誤りで、株式移転は「完全親会社を新設する」組織再編であり、「他の既存の会社」に取得させるのではありません。エは誤りで、株式移転の効力は株式移転計画の定める日ではなく、完全親会社の成立の日(設立登記の日)に生じます(774条1項・49条)。また株式移転では株式に加えて社債等(社債・新株予約権)を交付することはできますが、金銭は交付できません(773条1項7号)。オは誤りで、特別支配会社は議決権の10分の9以上を有する会社であり(784条1項・468条1項)、3分の2以上では足りません。

株式交換(2条31号):「株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること」。既存の会社間(完全親会社となる会社が既存の会社)で行われます(ア誤り:新設でなく既存の会社間)。完全親会社→株式会社または合同会社、完全子会社→株式会社(ウ正しい)。株式移転(2条32号):「一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること」。新設会社(株式移転設立完全親会社)を設立して完全親会社とします(イ誤り:「他の既存の会社」ではなく新設会社)。完全親会社は「株式会社」のみ(株式移転では合同会社が完全親会社となれない点が株式交換と異なる)。効力発生と対価(エ):株式移転設立完全親会社は「その成立の日に」株式移転完全子会社の発行済株式の全部を取得し(774条1項)、成立は設立の登記による(49条)ため、「株式移転計画の定める日に設立の効力が生じ」は誤り。対価については、株式移転では株式に加えて社債等(社債・新株予約権)を交付することはできますが、金銭は交付できません(773条1項5号・7号)。略式株式交換(オ):784条1項は「特別支配会社(議決権の10分の9以上保有:468条1項)が完全子会社となる会社と株式交換する場合、完全子会社の株主総会決議が不要(略式)」と規定(オ誤り:要件は3分の2以上ではなく10分の9以上)。

【理論的背景:株式交換・株式移転の利用場面と対価柔軟化の意義】

株式交換は「既存の会社間で親子会社関係を形成する(グループ内再編)」場面で活用されます。例えば持株会社(ホールディングス)体制への移行時に「事業会社Aが持株会社Bの完全子会社となる」という再編が株式交換によって実現されます。株式移転は「1社または複数の会社が共同で新設の持株会社を設立する」場面で活用されます(例:A社とB社が共同で持株会社Cを設立してその完全子会社となる「共同株式移転」)。対価の柔軟化(2007年施行・会社法制定時の重要改正)により、存続会社・完全親会社の株式以外の対価(金銭・親会社株式・社債等)を交付できることになりました(三角合併・三角株式交換等)。これにより外国企業が日本企業を株式対価で買収する「クロスボーダー三角合併」が法的に可能となりました。

【条文構造:株式交換・株式移転の定義と手続の比較】

会社法2条31号(株式交換):「株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること」。2条32号(株式移転):「一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること」。重要な相違点:①株式交換の完全親会社→株式会社または合同会社(2社類型・既存会社)、②株式移転の完全親会社→新設の株式会社のみ(株式移転では合同会社は不可・ウの正答根拠)。手続面:株式交換は当事会社間の契約(768条・770条)→株主総会特別決議(783条・795条)、株式移転は移転会社の計画(772条〜)→株主総会特別決議(804条)。略式・簡易の例外については、株式交換で「略式(784条:特別支配会社の90%以上保有)」「簡易(796条:交付対価が存続会社純資産の20%以下等)」が認められます。株式移転には簡易・略式の例外がない(常に特別決議が必要)。

【試験での位置づけ:行政書士試験における株式交換・株式移転の頻出論点】

行政書士試験での株式交換・株式移転の典型的な問われ方は①定義の違い(既存会社間=交換 vs 新設=移転)、②完全親会社になれる会社の種類(交換:株式会社・合同会社 / 移転:株式会社のみ)、③対価(株式交換は金銭等も可:768条1項2号/株式移転は株式と社債等のみで金銭は不可:773条1項)、④略式(特別支配会社90%以上:株主総会決議省略)の4点です。アの「株式交換=新設会社への取得(誤り:既存会社間)」とイの「株式移転=既存会社への取得(誤り:新設)」の混同が頻出の引っかけです。ウが正しい理由(株式交換:合同会社もOK、株式移転:株式会社のみ)も重要な対比として押さえておく必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。株式交換は「既存の会社間」で発行済株式の全部を取得させる組織再編。「新たに設立した会社に取得させる」のは株式移転。2条31号の定義「他の株式会社又は合同会社」は既存会社。
  • イ: 誤り。株式移転は「新たに設立する株式会社に取得させる」(2条32号)。「他の既存の株式会社に取得させる」のは株式交換。
  • ウ: 正しい。2条31号(株式交換):完全親会社→株式会社または合同会社、完全子会社→株式会社のみ。2条32号(株式移転):完全親会社→新設の株式会社のみ(合同会社は不可)。
  • エ: 誤り。株式移転設立完全親会社は「その成立の日に」完全子会社の発行済株式の全部を取得し(774条1項)、株式会社は設立の登記によって成立する(49条)。効力発生日を株式移転計画で定めるのではない。なお対価は、株式移転設立完全親会社の株式(773条1項5号)のほか社債等(社債・新株予約権・新株予約権付社債:同項7号)に限られ、金銭は交付できない(774条の3は株式交付計画の規定であり株式移転とは別)。
  • オ: 誤り。784条1項により略式株式交換(特別支配会社による完全子会社の総会決議省略)が認められるが、特別支配会社の定義(468条1項)は「総株主の議決権の十分の九以上」を有する会社。「3分の2以上」では略式の要件を満たさない(特別決議の要件と混同しない)。

【根拠条文】

会社法 第2条第31号(株式交換の定義・完全親会社は株式会社または合同会社)

会社法 第2条第32号(株式移転の定義・完全親会社は新設の株式会社のみ)

会社法 第468条第1項(特別支配会社の定義・10分の9以上)

会社法 第773条第1項(株式移転計画の内容・株式と社債等のみ)

会社法 第774条第1項・第49条(株式移転の効力発生=完全親会社の成立の日)

会社法 第783条・第795条(吸収分割・株式交換の特別決議承認)

会社法 第784条第1項(略式株式交換・特別支配会社による総会決議省略)

会社法 第804条(株式移転の承認・常に特別決議・簡易略式なし)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第2条第31号(株式交換の定義・完全親会社は株式会社または合同会社)、会社法第2条第32号(株式移転の定義・完全親会社は株式会社のみ)、会社法第784条第1項(略式株式交換・特別支配会社の要件) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。