問題
内閣総理大臣の地位及び権限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
内閣総理大臣は国務大臣を任命し、任意に罷免することができ(68条)、国務大臣の任免は天皇が認証します(7条5号)。また内閣総理大臣は「内閣を代表して…行政各部を指揮監督する」(72条)とされています(イが正答)。アは誤りで、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは「衆議院の議決を国会の議決とする」(67条2項)とされ、指名は成立します。ウは誤りで、指名は「他のすべての案件に先だつて」行います(67条1項)。エは誤りで、罷免は「任意に」できます(68条2項)。オは誤りで、66条2項は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定めています。
内閣総理大臣の地位・権限を条文で整理します。①指名(67条):1項「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ」。後回しにするとしたウは誤りです。2項は、衆参が異なる指名の議決をし両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院の指名の議決後、国会休会中の期間を除いて十日以内に参議院が議決しないときは「衆議院の議決を国会の議決とする」と定めます(アの「指名が成立しない」は誤り)。②首長的地位(66条1項):内閣は「その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣」で組織されます。③国務大臣の任免(68条):1項「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」、2項「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」。罷免に閣議決定を要するとしたエは誤りです。任免の認証は天皇の国事行為です(7条5号)。④行政各部の指揮監督(72条):「内閣を代表して…行政各部を指揮監督する」(イが正答の根拠)。⑤文民条項(66条2項):「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」。国務大臣を除外するオは誤りです。
【理論的背景】
内閣総理大臣の地位については、明治憲法下の「同輩中の首席(各大臣は天皇に対して個別に責任を負い、首相に対して責任を負わない)」という位置づけと、現行憲法の「首長(66条1項)」という位置づけの違いが重要です。現行憲法は首相の強力なリーダーシップを制度的に保障するため、①国務大臣の任命・任意の罷免権(68条)、②内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する権限(72条)、③内閣を代表して行政各部を指揮監督する権限(72条)を付与しています。特に任意の罷免権は内閣の一体性を確保する手段として重要であり、内閣が「行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ」(66条3項)こととも結びついています。
【実務・条文構造】
内閣総理大臣の指名(67条)の手続を確認します。①原則:「国会議員の中から国会の議決で」指名し(67条1項前段)、この指名は「他のすべての案件に先だつて」行います(同項後段・ウが誤りである根拠)。②衆参が異なる指名の議決をした場合:法律の定めるところにより両議院の協議会を開きます。③協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に参議院が指名の議決をしないとき:「衆議院の議決を国会の議決とする」(67条2項)。指名が不成立になることはありません(アが誤りである根拠)。指名された者は天皇が任命します(6条1項「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」)。国務大臣の任免(68条)について、任命は「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する」(68条1項)とされ、ただし「その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」。罷免は「任意に」行うことができ(68条2項)、閣議決定などの手続は条文上要求されていません(エが誤りである根拠)。国務大臣の任免は、天皇が国事行為として認証します(7条5号「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免…を認証すること」)。行政各部の指揮監督について、72条は「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」と規定します。イは68条・7条5号・72条の内容を正確に組み合わせたもので正答です。文民条項(66条2項)は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定めており、内閣総理大臣だけでなく国務大臣全員に適用されます(オが誤りである根拠)。
【試験での位置づけ】
行政書士試験での内閣総理大臣の権限の出題ポイントは次の4つです。①指名(67条):国会議員の中から国会の議決で、他のすべての案件に先立って指名する。衆参不一致で両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは衆議院の議決が国会の議決となる(10日ルールも同様)。②任免(68条):過半数が国会議員・任意の罷免権・天皇の認証(7条5号)。③行政各部の指揮監督(72条):内閣を代表して行う。④文民条項(66条2項):内閣総理大臣その他の国務大臣すべてに適用。衆議院の優越に関する日数(予算・条約の承認は30日〔60条2項・61条〕、内閣総理大臣の指名は10日〔67条2項〕)も重要な数字として押さえること。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 誤り。67条2項は、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき「衆議院の議決を国会の議決とする」と定める。指名が不成立になるのではない。
- イ: 正答。任命と任意の罷免(68条)、任免の認証(7条5号)、内閣を代表しての行政各部の指揮監督(72条)を正確に述べている。
- ウ: 誤り。67条1項後段「この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ」。
- エ: 誤り。68条2項「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」。閣議の決定は条文上要求されていない。
- オ: 誤り。66条2項「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」。国務大臣にも適用される。
【根拠条文】
日本国憲法 第6条第1項(内閣総理大臣の任命)、第7条第5号(国務大臣の任免の認証)、第66条(内閣の組織・文民・連帯責任)、第67条(内閣総理大臣の指名・衆議院の優越)、第68条(国務大臣の任命・罷免)、第72条(内閣総理大臣の職権)
【補足】
「指名=他のすべての案件に先だつて・意見不一致なら衆議院の議決(10日)」「国務大臣の任免=任意に罷免可・天皇の認証(7条5号)」「文民条項=内閣総理大臣その他の国務大臣すべて」の3点が試験頻出。
- 日本国憲法第67条・第66条・第6条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第7条第5号(国務大臣の任免の認証)、第66条(内閣の組織・首長・文民)、第67条(内閣総理大臣の指名)、第68条(国務大臣の任免)、第72条(内閣総理大臣の職権) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

