行政書士

行政書士の憲法内閣不信任・総辞職・衆議院解散を条文で整理

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この記事でわかること

行政書士試験の憲法で、内閣不信任決議(69条)・総辞職(69条・70条)・衆議院の解散(7条3号・54条)・天皇の国事行為(1条〜7条)・内閣の職務(65条〜75条)を、e-Govの条文どおりに表で整理します。解散後に内閣総理大臣がどうなるかも条文で答えます。

目次
  1. 内閣の組織と責任(65条・66条・内閣法2条)
  2. 内閣総理大臣の指名・任命と国務大臣の任命(67条・68条・6条)
  3. 内閣不信任決議と総辞職(69条・70条・71条)
  4. 衆議院の解散と、解散後の流れ(7条3号・54条・45条・46条)
  5. 天皇の国事行為と、内閣の助言と承認(1条〜7条)
  6. 内閣の職務(72条〜75条)
  7. 試験での問われ方:内容の型
  8. 間違えやすいポイント
  9. まとめ
  10. 参照した一次ソース
結論:行政書士試験の憲法では、内閣まわりの条文を「誰が・何を・いつまでに」で整理すると、問題の言い換えに対応できます。内閣不信任決議(69条)は衆議院だけのもので、可決(または信任案の否決)から10日以内に衆議院が解散されなければ内閣は総辞職します。衆議院の解散は天皇の国事行為(7条3号)で、内閣の助言と承認が要り、解散後は40日以内に総選挙、選挙の日から30日以内に国会の召集です(54条1項)。

この記事は、日本国憲法の条文(e-Gov法令検索)だけをもとに、内閣・内閣不信任・総辞職・解散・天皇の国事行為を、行政書士試験の受験者向けに整理したものです。判例の整理は行政書士の憲法判例、国会(衆議院の優越・両院協議会・会期)は行政書士の憲法|衆議院の優越・両院協議会・国会の会期、人権のうち精神的自由は行政書士の憲法|精神的自由・表現の自由・検閲で扱うため、ここでは内閣と天皇の条文に絞ります。

内閣の組織と責任(65条・66条・内閣法2条)

内閣は、行政権を担当する機関です。条文の言葉は次のとおりです。

条文内容
65条「行政権は、内閣に属する。」
66条1項内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織する
66条2項内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない
66条3項内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う

内閣法2条は、内閣を組織する国務大臣の数を定めています。

内閣法2条の国務大臣の数:本則の2条2項では、国務大臣の数は14人以内。ただし、特別に必要がある場合においては、3人を限度にその数を増加し、17人以内とすることができる。附則2項は、復興庁が廃止されるまでの間、この数を15人以内・18人以内と読み替え、附則3項は、国際博覧会推進本部が置かれている間、16人以内・19人以内と読み替える。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov法令検索 内閣法。

内閣が職権を行うのは閣議によるとされ(内閣法4条1項)、閣議は内閣総理大臣が主宰します(同条2項)。66条3項で責任を負う相手は「国会」、負い方は「連帯して」、対象は「行政権の行使について」です。この3点を条文の言葉で押さえます。

内閣総理大臣の指名・任命と国務大臣の任命(67条・68条・6条)

内閣総理大臣と国務大臣の選び方は、誰が選び、誰が任命するかがセットで問われます。

項目条文の内容条文
内閣総理大臣の指名国会議員の中から、国会の議決で指名する。他のすべての案件に先だつて行う67条1項
内閣総理大臣の任命天皇が、国会の指名に基いて任命する6条1項
衆議院の議決が国会の議決になるとき衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする67条2項
国務大臣の任命内閣総理大臣が任命する。ただし、その過半数は国会議員の中から選ばれなければならない68条1項
国務大臣の罷免内閣総理大臣が、任意に罷免することができる68条2項
最高裁判所の長たる裁判官天皇が、内閣の指名に基いて任命する6条2項

数字や相手の違いに注意します。

  • 内閣総理大臣は「国会議員の中から」、国務大臣は「過半数が国会議員」です。国務大臣の全員が国会議員である必要は、条文にはありません
  • 内閣総理大臣の任命は天皇、国務大臣の任命は内閣総理大臣です。国務大臣の任免について、天皇は認証をします(7条5号)
  • 67条2項の「10日」は、「国会休会中の期間を除いて」数える点が条文の言葉です

内閣不信任決議と総辞職(69条・70条・71条)

69条:不信任決議が可決されたとき

「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」(憲法69条)

この条文の要素を分けると、次のとおりです。

要素条文の言葉
どの議院の決議か衆議院(「衆議院で」)
何をしたとき不信任の決議案を可決したとき、又は信任の決議案を否決したとき
期限10日以内
回避する方法10日以内に衆議院が解散されること
回避できないとき内閣は総辞職をしなければならない

内閣に対する不信任・信任の決議を定める条文は、憲法では69条だけです。参議院の決議を総辞職の要件とする書き方にはなっていません。

総辞職をしなければならない3つの場合

内閣が総辞職をしなければならない場合は、69条と70条に書かれています。

場合条文
衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決した場合に、10日以内に衆議院が解散されないとき69条
内閣総理大臣が欠けたとき70条
衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたとき70条

総辞職をしても、内閣はすぐに職務を離れません。71条は、「前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ」と定めています。「前二条」は69条と70条です。

内閣法9条は、内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行うと定めています。

衆議院の解散と、解散後の流れ(7条3号・54条・45条・46条)

衆議院の解散は、憲法7条3号に「衆議院を解散すること」として、天皇の国事行為に挙げられています。7条は、天皇が「内閣の助言と承認により」行為を行うと書いています。解散を内閣が決める実質的な根拠をどの条文に求めるかは、条文に書かれていない論点で、学説の整理に分かれがあります。試験対策では、まず7条3号・69条・54条の文言を押さえます。

解散後の手順は、54条にまとまっています。

項目条文の内容条文
総選挙解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行う54条1項
国会の召集選挙の日から30日以内に、国会を召集する54条1項
参議院解散されたときは、同時に閉会となる54条2項本文
緊急集会ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる54条2項ただし書
緊急集会の措置臨時のものであって、次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意がない場合には、その効力を失う54条3項
衆議院議員の任期4年。ただし、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する45条
参議院議員の任期6年で、3年ごとに議員の半数を改選する(解散の規定はない)46条

当サイトの計算:解散の日から総選挙までの上限40日と、選挙の日から国会の召集までの上限30日を合わせると、解散の日から国会の召集まで最長で70日です。日数の数え方の細部は条文に書かれていないため、試験では「40日」と「30日」の数字そのものを覚えておきます。

解散後の内閣総理大臣

解散の条文(54条)は、内閣総理大臣の地位について何も定めていません。内閣が総辞職をするのは、総選挙の後に初めて国会の召集があったときで(70条)、その後は、新しい内閣総理大臣が任命されるまで、内閣が引き続き職務を行います(71条)。

天皇の国事行為と、内閣の助言と承認(1条〜7条)

天皇に関する条文は、国政に関する権能を有しないことと、国事行為に内閣の助言と承認が必要なことが中心です。

条文内容
1条天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴で、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く
3条国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う
4条1項天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない
4条2項天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる
5条皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、4条1項の規定を準用する
6条天皇は、国会の指名に基いて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基いて最高裁判所の長たる裁判官を任命する
7条天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、次の国事に関する行為を行う

7条の国事行為は、次の10項目です。

号国事行為
1号憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること
2号国会を召集すること
3号衆議院を解散すること
4号国会議員の総選挙の施行を公示すること
5号国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること
6号大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること
7号栄典を授与すること
8号批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること
9号外国の大使及び公使を接受すること
10号儀式を行ふこと

動詞に注意します。「公布する」「召集する」「解散する」「公示する」「認証する」「授与する」「接受する」「儀式を行う」が条文の動詞で、5号・6号・8号は「認証」です。条約を締結する(73条3号)のは内閣で、天皇は条約を「公布」します。大赦・特赦などを決定するのは内閣(73条7号)で、天皇は「認証」します。

内閣の職務(72条〜75条)

内閣総理大臣の権限と、内閣の事務は、次のとおりです。

条文内容
72条内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する
73条1号法律を誠実に執行し、国務を総理すること
73条2号外交関係を処理すること
73条3号条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする
73条4号法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること
73条5号予算を作成して国会に提出すること
73条6号この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない
73条7号大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること
74条法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする
75条国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は、害されない

3号と6号のただし書は、条件が付いた条文です。「条約には国会の承認が必要」と「政令に罰則は設けられない」は、どちらも、ただし書まで読んで初めて正確になります。

試験での問われ方:内容の型

実際の問題文は掲載しませんが、この分野の問い方には次のような型があります。

  • 数字・期間の入れ替え:10日(69条)、40日・30日(54条1項)、10日以内(54条3項、67条2項)を、別の条文の数字と入れ替える
  • 議院の入れ替え:69条の「衆議院で」を「参議院で」や「両議院で」に変える
  • 効果の言い換え:69条の「解散されない限り総辞職」を、「必ず解散」「必ず総辞職」と言い換える
  • 主体の入れ替え:任命する者(天皇・内閣総理大臣)、指名する者(国会・内閣)、決定する者(内閣)と、認証する者(天皇)を取り違える
  • 人数・割合の言い換え:国務大臣の「過半数」を「全員」や「3分の2」に変える

判例が絡む論点は、行政書士の憲法判例で事件番号つきの表を確認できます。国家行政組織法に基づく行政機関の分類は行政機関・諮問機関・行政委員会の記事で扱っています。

間違えやすいポイント

誤りやすい記述条文に照らすと
内閣不信任決議が可決されたら、必ず衆議院が解散される10日以内に解散されない限り総辞職。解散か総辞職かの二択(69条)
参議院が不信任の決議をしても、10日以内に解散がなければ内閣は総辞職する69条が書いているのは衆議院の決議
衆議院が解散されると、内閣は直ちに総辞職する総辞職は、総選挙の後に初めて国会の召集があったとき(70条)。それまで内閣は職務を行う
国務大臣は全員が国会議員でなければならない過半数が国会議員(68条1項ただし書)
内閣総理大臣は天皇が指名する国会が指名(67条1項)。天皇は任命する(6条1項)
衆議院を解散するのは天皇の判断である天皇は内閣の助言と承認により行う(7条)。国政に関する権能は有しない(4条1項)
条約を締結するのは天皇である締結は内閣(73条3号)。天皇は公布する(7条1号)
内閣総理大臣が欠けても、内閣は総辞職しない内閣総理大臣が欠けたときは総辞職(70条)

まとめ

  • 内閣不信任決議は、衆議院で不信任案を可決し、又は信任案を否決したとき、10日以内に衆議院が解散されない限り総辞職(69条)。参議院の決議は69条の要件にない
  • 総辞職は、69条の場合のほか、内閣総理大臣が欠けたとき、衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったとき(70条)。総辞職後も、新しい内閣総理大臣が任命されるまで職務を行う(71条)
  • 衆議院の解散は天皇の国事行為(7条3号)で、内閣の助言と承認が必要。解散後は40日以内に総選挙、選挙の日から30日以内に国会を召集(54条1項)
  • 内閣総理大臣は国会議員の中から国会が指名、国務大臣は過半数が国会議員(67条・68条)
  • 天皇は国政に関する権能を有せず、国事行為のみを行う(4条1項)。条約の締結や大赦の決定をするのは内閣(73条)

学習全体の計画は行政書士の学習スケジュールで、科目ごとの配点と優先順位は行政書士の点数配分で整理しています。

参照した一次ソース

よくある質問

Q内閣不信任決議が可決されたら、衆議院は必ず解散されますか?

必ずではありません。憲法69条は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職をしなければならないと定めています。つまり、10日以内に解散するか、解散しないで総辞職するか、のどちらかになります。

Q衆議院が解散されると、内閣総理大臣はその地位を失いますか?

解散だけでは内閣総理大臣の地位を失うとは、条文に書かれていません。解散の条文(54条)は、解散の日から40日以内の総選挙と、選挙の日から30日以内の国会の召集を定めています。内閣が総辞職をするのは、70条が定める「衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたとき」などの場合で、71条により、新しい内閣総理大臣が任命されるまで内閣は引き続き職務を行います。

Q参議院が内閣に対する決議をしたとき、内閣は総辞職しなければなりませんか?

内閣に対する不信任・信任の決議を定める憲法の条文は69条だけで、そこに書かれているのは衆議院の決議です。69条は、参議院の決議を総辞職の要件としていません。「衆議院で」という条文の文言をそのまま押さえておきます。

Q国務大臣は全員が国会議員でなければなりませんか?

全員ではありません。憲法68条1項は、内閣総理大臣は国務大臣を任命するとしたうえで、ただし書で「その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない」と定めています。一方、内閣総理大臣自身は、67条1項により国会議員の中から指名されます。

Q天皇が行う解散や国会召集は、天皇が自分の判断で決めるのですか?

違います。憲法7条は、天皇が「内閣の助言と承認により」国事に関する行為を行うと定め、衆議院の解散(3号)や国会の召集(2号)もその中に入っています。3条は、国事に関するすべての行為に内閣の助言と承認が必要で、内閣がその責任を負うと定め、4条1項は、天皇は国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しないと定めています。

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