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行政書士の憲法判例は何を押さえる?最高裁判例12件を裁判所の公式ページで確認

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

行政書士試験の憲法で問われる最高裁判例を、裁判所の判例ページで確認できた12件の事件番号・年月日・出典つきで整理。判例の読み方(事案・争点・結論)と、判例集が必要かどうかの考え方、1問ずつ確認する方法をまとめます。

目次
  1. 行政書士試験の憲法で、判例はどう出題されているか
  2. 憲法の主な最高裁判例12件:事件番号・年月日・出典の早見表
  3. 精神的自由・政教分離の判例(謝罪広告・北方ジャーナル・取材の自由・泉佐野・愛媛玉串料・空知太)
  4. 財産権・社会権・労働基本権・統治・条例の判例(森林法・朝日・堀木・全農林警職法・砂川・徳島市)
  5. 判例の読み方:事案・争点・結論に分ける
  6. 判例集は必要か・いらないか:目的別の考え方
  7. 判例を1問ずつ確認する方法
  8. まとめ:憲法判例は、件数より「事案・争点・結論」
  9. 参照した一次ソース
結論:行政書士試験の憲法の判例は、件数を数えて暗記するより、1件ごとに「事案・争点・結論」の3つを言える状態にするのが近道です。令和7年度の憲法の択一式5問のうち、問題文で「最高裁判所の判例に照らし」と明示しているのは問題3と問題4の2問でした。裁判所の判例ページで確認できた主要な12件は、この記事の表にまとめています。

この記事は「憲法判例50」「憲法判例 行政書士」「行政書士 判例集 いらない」といった検索の疑問に、一次ソース(裁判所の裁判例検索)の範囲で答えます。判例の事件番号・年月日・出典は、裁判所の裁判例検索の個別ページに基づくものだけを載せています。特定の書籍やアプリの内容、順位づけ、おすすめには触れません。

行政書士試験の憲法で、判例はどう出題されているか

令和7年度の行政書士試験は、問題が60問で試験時間が3時間です。憲法の択一式は問題3〜7の5問、多肢選択式は問題41の1問でした。問題文の書き方を、年度ごとに並べると次のようになります(問題文は転載せず、テーマだけを書いています)。

年度・問題問題文に出るテーマ判例の指定
令和7年度 問題3法の下の平等「最高裁判所の判例に照らし」と明示
令和7年度 問題4取材・報道の自由「最高裁判所の判例に照らし」と明示
令和6年度 問題3人格権と夫婦同氏制「最高裁判所の判例の趣旨に照らし」と明示
令和6年度 問題4インターネット上の検索サービス事例を示したうえで「最高裁判所の判例に照らし」と明示
令和3年度 問題5地方公共団体が土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性「最高裁判所判決」に関連して問う形

令和7年度の問題3・問題4のように、問題文で判例を指定する出題があります。一方、どの判例が何件出るかは年度ごとに違い、行政書士試験研究センターの令和8年度試験案内にも判例の出題件数の記載はありません(2026-10-04 時点)。そのため、この記事は「必ず出る50件」のような数え方をせず、憲法の主要分野から代表的な判例を12件選びました。

当サイトの憲法の問題は70問あり、すべて過去の出題論点をもとにした当サイトの自作問題です。実際の試験問題の転載ではありません。

憲法の主な最高裁判例12件:事件番号・年月日・出典の早見表

次の表は、裁判所の裁判例検索(最高裁判所判例集)の個別ページで、事件番号・裁判年月日・法廷名・判例集の巻号頁を確認できた12件です。「ひとことで言うと」は、各ページの裁判要旨を短く言い換えたもので、判決の理由づけの全体ではありません。

事件名裁判年月日・法廷事件番号判例集裁判要旨のひとことまとめ
謝罪広告請求昭和31年7月4日・大法廷昭和28(オ)1241民集10巻7号785頁謝罪広告の掲載を命ずる判決は、内容が事態の真相の告白と陳謝の意の表明にとどまる程度なら代替執行ができ、憲法19条に反しない
損害賠償(北方ジャーナル)昭和61年6月11日・大法廷昭和56(オ)609民集40巻4号872頁出版物の仮処分による事前差止めは検閲に当たらない。公務員等への評価・批判に関するものは原則許されず、例外的にのみ許される
取材フイルム提出命令に対する特別抗告昭和44年11月26日・大法廷(決定)昭和44(し)68刑集23巻11号1490頁報道の自由は憲法21条の保障のもとにあり、取材の自由も十分尊重に値する。提出命令は諸般の事情の比較衡量で決める
損害賠償(泉佐野市民会館)平成7年3月7日・第三小法廷平成1(オ)762民集49巻3号687頁条例の「公の秩序をみだすおそれがある場合」は、集会の自由の重要性よりも危険を回避する必要性が優越する場合に限定して解すべきで、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要。そう解する限り憲法21条に違反しない
損害賠償代位(愛媛玉串料)平成9年4月2日・大法廷平成4(行ツ)156民集51巻4号1673頁県が玉串料等を公金から支出して奉納したことは、憲法20条3項・89条に違反する
財産管理を怠る事実の違法確認(市有地の神社敷地利用)平成22年1月20日・大法廷平成19(行ツ)260民集64巻1号1頁市有地を無償で神社施設の敷地に供する行為は憲法89条・20条1項後段に違反するが、違憲性を解消する他の合理的で現実的な手段の有無を審理判断しなかった原審の判断には違法があるとして破棄差戻し
共有物分割等(森林法)昭和62年4月22日・大法廷昭和59(オ)805民集41巻3号408頁森林法186条本文は、憲法29条2項に違反する
生活保護法による保護に関する不服申立ての裁決取消(朝日)昭和42年5月24日・大法廷昭和39(行ツ)14民集21巻5号1043頁裁判要旨の欄は、裁決の取消訴訟は被保護者の死亡により当然終了する、というもの
行政処分取消等(堀木)昭和57年7月7日・大法廷昭和51(行ツ)30民集36巻7号1235頁児童扶養手当法(改正前)4条3項3号は、憲法25条・14条・13条に違反しない
国家公務員法違反(全農林警職法)昭和48年4月25日・大法廷昭和43(あ)2780刑集27巻4号547頁国家公務員法(改正前)98条5項・110条1項17号は、憲法28条等に違反しない
刑事特別法違反(砂川)昭和34年12月16日・大法廷昭和34(あ)710刑集13巻13号3225頁安保条約のような高度の政治性を有するものは、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り、裁判所の司法審査権の範囲外と解する
集団行進等に関する徳島市条例違反、道路交通法違反昭和50年9月10日・大法廷昭和48(あ)910刑集29巻8号489頁徳島市条例の規制が道路交通法の規制と一部重複しても、条例の規定は道路交通法に違反しない。刑罰法規の明確性は、一般人の理解で適用の可否が判断できる基準が読みとれるかで決める
令和8年度 行政書士試験の試験日:令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時まで。最終確認日:2026-10-04。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。

朝日訴訟の行は、裁判所のページの裁判要旨の欄に書かれている内容だけを載せています。憲法25条についての説示は要旨の欄には無く、判決の本文にあります。その内容は生存権(25条)の記事で判決文から整理しています。

精神的自由・政教分離の判例(謝罪広告・北方ジャーナル・取材の自由・泉佐野・愛媛玉串料・空知太)

この分野の6件は、表現の自由・思想良心の自由・集会の自由・政教分離に分かれます。いずれも「どの権利を、誰が、どんな形で制限したか」を押さえると整理しやすくなります。

  • 謝罪広告事件(憲法19条):裁判要旨は、謝罪広告の掲載を命ずる判決について、内容が事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものなら代替執行ができるとし、憲法19条に反しないとしています。「どんな内容でもよい」とは書かれていない点(内容が事態の真相の告白と陳謝の意の表明にとどまる程度であること)を、要旨の文言で確認してください
  • 北方ジャーナル事件(憲法21条):要旨は、事前差止めは検閲に当たらないとしたうえで、公務員や公職選挙の候補者への評価・批判に関する出版物の事前差止めは原則として許されず、表現内容が真実でないか専ら公益を図る目的でないことが明白で、かつ被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときに限り、例外的に許されるとしています
  • 取材フイルム提出命令(博多駅事件):要旨は、報道の自由は憲法21条の保障のもとにあり、取材の自由も「十分尊重に値い」するとし、提出命令が許されるかは、犯罪の性質・証拠としての価値・取材の自由が妨げられる程度などを比較衡量して決めるとしています
  • 泉佐野市民会館事件(集会の自由):要旨は、「公の秩序をみだすおそれがある場合」を、集会の自由の重要性よりも、人の生命・身体・財産が侵害される危険を回避する必要性が優越する場合に限定し、危険の程度は「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される」ことが必要としています
  • 愛媛玉串料訴訟(政教分離):要旨は、県が例大祭などに際して玉串料・献灯料・供物料を公金から支出して奉納したことを、憲法20条3項・89条に違反すると判断しています
  • 市有地の神社敷地利用(空知太):要旨は、市が連合町内会に市有地を無償で神社施設の敷地として利用させている行為を、憲法89条・20条1項後段に違反するとしました。ただし、違憲性を解消するための他の手段を審理しないまま怠る事実を違法とした原審には違法があるとして、破棄差戻しとしています。「違憲」と「破棄差戻し」の両方が結論に入っている点に注意が必要です

精神的自由の条文と、税関検査事件・猿払事件・三菱樹脂事件までを含めた整理は行政書士の憲法|精神的自由・表現の自由・検閲に、統治の条文は国会の記事と内閣の記事にまとめています。外国人・法人の人権と私人間効力は外国人の人権と私人間効力の記事、13条・22条・29条の判例は幸福追求権と経済的自由の記事、国民主権・平和主義・天皇の地位の条文は憲法の基本原理の記事で整理しています。政教分離の判例を条文の組み合わせまで比べた記事は政教分離(20条・89条)、法の下の平等(14条)の判例は法の下の平等の記事、違憲審査制(81条)と違憲とされた主な法令は違憲審査権の記事にあります。

この分野を、当サイトの自作問題で確かめられます。問題の選択肢は判例の言い換えで作ってあり、正解だけでなく誤りの選択肢がどこでずれているかを解説で確認できます。

財産権・社会権・労働基本権・統治・条例の判例(森林法・朝日・堀木・全農林警職法・砂川・徳島市)

この分野の6件は、経済的自由・社会権・統治に分かれます。法律の規定そのものを違憲とした判例(森林法)と、違憲としなかった判例を区別しておくと、記述の正誤を判断しやすくなります。

社会権の判例は、生存権(25条)・教育を受ける権利(26条)・労働基本権(27条・28条)の記事で、判決文の言葉まで掘り下げています。

  • 森林法共有林事件(憲法29条2項):要旨は「森林法一八六条本文は、憲法二九条二項に違反する」としています。法律の規定そのものを違憲とした判例として、整理の軸になります
  • 朝日訴訟(憲法25条):裁判所のページの要旨欄は、裁決の取消訴訟が被保護者の死亡により当然終了するという内容です。憲法25条の説示の中身は、判決本文を確認する項目です
  • 堀木訴訟(憲法25条・14条・13条):要旨は、児童扶養手当法(改正前)の規定が憲法25条・14条・13条に違反しないとしています
  • 全農林警職法事件(憲法28条):要旨は、国家公務員法の争議行為のあおり等を禁止し処罰する規定が、憲法28条等に違反しないとしています
  • 砂川事件(憲法9条):要旨は、日本が主体となって指揮権・管理権を行使できない外国軍隊は憲法9条2項の「戦力」に該当せず、安保条約のような高度の政治性を有するものは、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り、裁判所の司法審査権の範囲外にあるとしています
  • 徳島市公安条例事件(憲法31条・条例):要旨は、徳島市条例の規制が道路交通法の規制と一部重複しても、条例の規定は道路交通法に違反しないとし、刑罰法規の明確性は、通常の判断能力を有する一般人の理解で、具体的場合に適用を受けるかの判断を可能にする基準が読みとれるかで決めるとしています

この分野の自作問題は次のとおりです。

判例の読み方:事案・争点・結論に分ける

判例を1件ずつ整理するときは、次の3つに分けて書き出すと、問題文の言い換えに対応しやすくなります。裁判所の判例ページの項目で、どこから拾えるかも対応づけておきます。

整理する項目拾う場所(裁判所の個別ページ)例:森林法共有林事件
事案(何についての争いか)事件名・原審裁判所共有物分割等の事件。原審は東京高等裁判所
争点(何が憲法上の問題か)判示事項森林法186条本文と憲法29条2項
結論(どう判断したか)裁判要旨・結果憲法29条2項に違反する。破棄差戻し

もう1つ大事なのが、どの法廷がしたかと判決か決定かです。上の12件のうち、大法廷が11件、第三小法廷が1件(泉佐野市民会館)で、博多駅事件だけが決定です。

判例集は必要か・いらないか:目的別の考え方

「判例集はいらない」という検索の背景には、判例を全部読むのは負担が大きい、という事情があると考えられます。ここでは他社の商品を評価せず、「何を確認したいか」で必要な手段を分けます。

確認したいこと手段の例費用
判例の結論を、事件番号つきで確かめたい裁判所の裁判例検索(判示事項・裁判要旨)無料
理由づけまで確かめたい裁判所のページに掲載されている判決全文(事件による)無料
判例が選択肢でどう言い換えられるか練習したい問題演習(当サイトの自作問題など)登録不要
判例を網羅的に整理して読みたい書籍・アプリ(この記事では内容に触れません)商品による

この記事で言えるのは、判例の結論と要旨は、裁判所のサイトで無料で確かめられることです。購入するかどうかは、自分が判決全文を読みたいのか、要旨と問題演習で足りるのかで決まります。試験は、令和7年度で問題が60問・3時間と時間が限られるため、判例の学習に使う時間は、憲法以外の科目との配分で考えます。

判例を1問ずつ確認する方法

判例の記憶は、読んだだけより、問題で選択肢を判断した直後に要旨と照らし合わせるほうが定着しやすいと考えられます(これは学習の進め方の提案で、効果を測った統計はありません)。手順は次のとおりです。

  • 手順①:問題を解き、判例の名前が出てきたら、メモに事件名だけを書く
  • 手順②:誤りの選択肢について、何がずれているか(結論が逆なのか、条件が足りないのか)を1行で書く
  • 手順③:その判例を、上の表の「事案・争点・結論」で1行にまとめる
  • 手順④:結論の部分だけ、裁判所の個別ページの裁判要旨と照らし合わせる

憲法の配点と学習の優先順位は行政書士の点数配分、試験センターが公開している過去の試験問題の入手先は試験問題の公開ページの記事で確認できます。

まとめ:憲法判例は、件数より「事案・争点・結論」

  • 令和7年度の憲法の択一式5問のうち、問題文で判例を指定した問題は2問でした。件数の指定は、センターの試験案内にありません
  • 主要な12件の事件番号・年月日・出典は、裁判所の個別ページで確認できます。表の要旨は言い換えで、判決の理由づけの全体ではありません
  • 「違憲」と「破棄差戻し」が同時に出る空知太のように、結論が2つに分かれる判例は、要旨を最後まで読んで確認します
  • 判例集が必要かどうかは、判決全文まで読みたいのか、要旨と問題演習で足りるのかで決まります

参照した一次ソース

よくある質問

Q行政書士試験の憲法では、判例を何件覚えれば足りますか?

件数は、行政書士試験研究センターの試験案内には示されていません。令和7年度の憲法の択一式5問(問題3〜7)のうち、問題文に「最高裁判所の判例に照らし」と書かれているのは問題3と問題4でした。判例の件数を数えるより、1件ごとに「事案・争点・結論」を言えるようにするほうが、問題の言い換えに対応しやすくなります。

Q判決文は、裁判所のサイトで無料で読めますか?

最高裁判所の判例は、裁判所の「裁判例検索」で、事件番号・裁判年月日・法廷名・判例集の巻号頁・判示事項・裁判要旨を無料で確認できます。この記事の判例表は、すべて裁判所の個別ページの内容に基づいています。古い判決は全文がPDFで掲載されている場合もありますが、掲載の有無は事件ごとに違うため、検索結果のページで確かめてください。

Q「裁判要旨」は、判決文そのものですか?

違います。裁判要旨は、判決の結論と要点を短くまとめた欄で、判決文の本文ではありません。結論を覚える入口には便利ですが、理由づけ(なぜその結論になるのか)を確認したいときは判決の全文を読む必要があります。この記事の表も要旨を言い換えたもので、判決の理由づけの全体は扱っていません。

Q判例の事件番号や年月日まで暗記する必要はありますか?

この記事で見た令和3・5・6・7年度の憲法の問題(問題文の冒頭)では、事件番号を答えさせる形は確認していません。問われているのは、判例の趣旨に照らして記述が妥当かどうかという形でした。年月日は、新旧の判例を区別したいときの目印として使う程度にして、まず結論と理由づけを優先すると整理しやすくなります。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月8日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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