行政書士試験の憲法で、幸福追求権(13条)とプライバシー・肖像の判例、職業選択の自由(22条)の薬事法判決・小売市場判決、財産権(29条)の森林法判決・ため池条例・損失補償を、条文の言葉と、裁判所の判例ページの事件番号・裁判要旨で整理します。
目次
結論:13条・22条・29条は、条文の言葉の置き場所(13条=個人の尊重と幸福追求権、22条1項=居住・移転・職業選択の自由、29条=財産権の3項)と、判例の結論が違憲か合憲かを1件ずつ言えるようにします。裁判要旨が13条を挙げる例は、容ぼう・姿態の撮影(昭和44年)と、住民基本台帳ネットワークシステムによる本人確認情報の収集・管理・利用(平成20年)で、条文に「プライバシー」の語はありません。職業選択の自由では、薬事法の規定が22条1項に違反(昭和50年)、小売市場の許可規制は違反しない(昭和47年)、財産権では、森林法186条本文が29条2項に違反(昭和62年)と、結論が分かれます。
この記事は、日本国憲法の条文(e-Gov法令検索)と、裁判所の裁判例検索の個別ページに載っている事件番号・裁判年月日・裁判要旨だけをもとに整理したものです。裁判要旨は判決の本文ではなく、結論と要点を短くまとめた欄です。判例の一覧表は行政書士の憲法判例(森林法の行を含みます)、精神的自由は精神的自由の記事、享有主体は外国人・法人の人権の記事にあります。
13条・22条・29条の条文を並べる
3つの条文を、条文の言葉のまま並べます。
| 条文 | 項 | 条文の言葉 |
|---|---|---|
| 13条 | 前段 | 「すべて国民は、個人として尊重される。」 |
| 13条 | 後段 | 「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」 |
| 22条 | 1項 | 「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」 |
| 22条 | 2項 | 「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」 |
| 29条 | 1項 | 「財産権は、これを侵してはならない。」 |
| 29条 | 2項 | 「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」 |
| 29条 | 3項 | 「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」 |
条文の言葉には、次の特徴があります。
- 「公共の福祉」の置き場所:13条後段(「公共の福祉に反しない限り」)、22条1項(「公共の福祉に反しない限り」)、29条2項(「公共の福祉に適合するやうに」)の3か所です(3つの条文のほかに、12条にも「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」とあります)。精神的自由の19条・21条・23条の条文には、この言葉はありません
- 主語:13条は「すべて国民は」、22条は「何人も」、29条は主語が書かれていません
- 22条1項に「営業」の語はない:条文の言葉は、「居住、移転及び職業選択」の3つです。職業を選ぶ自由だけでなく、選んだ職業を行う自由(営業の自由)が含まれるかどうかは、条文には書かれていない論点で、判例・学説の考え方によります
13条:条文の言葉と、条文に書かれていない権利
13条は、前段が個人の尊重、後段が生命・自由・幸福追求に対する権利です。条文に出てくる言葉は、「個人」「生命」「自由」「幸福追求」だけで、プライバシー、肖像、人格権、自己決定権の語は、憲法のどの条文にも書かれていません。
これらの権利が憲法上どのように位置づけられるか(いわゆる新しい人権)は、条文には書かれていない論点で、判例・学説の考え方によります。裁判所の個別ページの裁判要旨が、13条の言葉を挙げているものと、民法上の損害賠償の場面で結論を述べているものを、次の表で分けます。
| 事件 | 裁判年月日・法廷 | 事件番号 | 判例集 | 裁判要旨の言葉 | 要旨・参照法条の条文 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公務執行妨害、傷害(京都府学連事件) | 昭和44年12月24日・大法廷・判決 | 昭和40(あ)1187 | 刑集23巻12号1625頁 | 「みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由」 | 憲法13条(参照法条に21条・13条・35条) |
| 損害賠償請求(住民基本台帳ネットワークシステムの事件) | 平成20年3月6日・第一小法廷・判決 | 平成19(オ)403 | 民集62巻3号665頁 | 住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集、管理又は利用する行為は、当該住民がこれに同意していないとしても、憲法13条の保障する「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」を侵害するものではない | 憲法13条(参照法条に住民基本台帳法の各条) |
| 損害賠償等請求(大学の講演会の参加申込者情報の事件) | 平成15年9月12日・第二小法廷・判決 | 平成14(受)1656 | 民集57巻8号973頁 | 大学が講演会の主催者として学生から参加者を募る際に収集した参加申込者の学籍番号、氏名、住所及び電話番号に係る情報は、プライバシーに係る情報として法的保護の対象となる | 民法709条・710条(不法行為) |
| 慰藉料(前科等の実名公表の事件) | 平成6年2月8日・第三小法廷・判決 | 平成1(オ)1649 | 民集48巻2号149頁 | 前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合に、その者のその後の生活状況などと、実名使用の意義及び必要性を併せて判断し、前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは、精神的苦痛の賠償を求めることができる | 民法709条・710条(不法行為) |
| 損害賠償請求上告、同附帯上告(宗教上の信念による輸血拒否の事件) | 平成12年2月29日・第三小法廷・判決 | 平成10(オ)1081 | 民集54巻2号582頁 | 輸血するとの方針を説明しないで手術を施行し、患者に輸血をしたなど判示の事実関係の下では、医師は、患者が手術を受けるか否かについて意思決定をする権利を奪われたことによって被った精神的苦痛を慰謝すべく、不法行為に基づく損害賠償責任を負う | 民法709条・710条(不法行為) |
表のとおり、裁判要旨が憲法13条の言葉を挙げているのは、上の2件(京都府学連事件、住民基本台帳ネットワークシステムの事件)で、下の3件は、参照法条が民法709条・710条で、要旨はプライバシーや意思決定の権利を、損害賠償の場面で述べています。「13条を根拠にした」と言い換えた記述は、この違いに照らして正誤を確かめます。
京都府学連事件の要旨を読む
京都府学連事件の裁判要旨は、次の3点を述べています。
| 要旨 | 内容 |
|---|---|
| 一 | 昭和29年京都市条例10号(集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例)は、憲法21条に違反しない |
| 二 | 何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有し、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し許されない |
| 三 | 警察官による個人の容ぼう等の写真撮影は、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であって、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行なわれるときは、本人の同意がなく、裁判官の令状がなくても、憲法13条、35条に違反しない |
要旨二の「憲法一三条の趣旨に反し」という言い回しと、要旨三の3つの条件(現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であること/証拠保全の必要性および緊急性があること/一般的に許容される限度をこえない相当な方法で行なわれること)を、要旨の言葉どおりに押さえます。35条1項は、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」と定めています。
22条:職業選択の自由と、薬事法判決・小売市場判決
22条1項は、「居住、移転及び職業選択の自由」を、「公共の福祉に反しない限り」保障しています。2つの判例の裁判要旨を、並べて比較します。
| 項目 | 薬事法の判決 | 小売市場の許可規制の判決 |
|---|---|---|
| 事件名 | 行政処分取消請求 | 小売商業調整特別措置法違反 |
| 裁判年月日・法廷 | 昭和50年4月30日・大法廷・判決 | 昭和47年11月22日・大法廷・判決 |
| 事件番号 | 昭和43(行ツ)120 | 昭和45(あ)23 |
| 判例集 | 民集29巻4号572頁 | 刑集26巻9号586頁 |
| 結果 | 破棄自判(原審は広島高等裁判所) | 棄却(原審は大阪高等裁判所) |
| 裁判要旨の結論 | 薬事法6条2項、4項(これらを準用する同法26条2項)は、憲法22条1項に違反する | 小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制は、憲法22条1項、14条に違反しない |
小売市場の判決の裁判要旨は、結論のほかに、判断の枠組みも述べています。
| 要旨 | 内容 |
|---|---|
| 一 | 国が、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るため、その社会経済政策の実施の一手段として、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることは、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、憲法の禁ずるところではない |
| 二 | 個人の経済活動に対する法的規制措置については、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限って、これを違憲とすることができる |
| 三 | 小売市場の許可規制は、憲法22条1項、14条に違反しない |
要旨一の条件(「必要かつ合理的な範囲にとどまる限り」)と、要旨二の条件(「裁量権を逸脱し」「著しく不合理であることの明白な場合に限つて」)を落とした記述は、要旨の言葉と違います。薬事法の判決の裁判要旨は、結論(22条1項に違反する)を述べた1文です。
職業選択の自由の論点は、条文の言葉(22条1項)と、結論の対(薬事法=違反、小売市場=違反しない)で押さえます。財産権の側で法律の規定を違憲とした判例は、次の29条で整理します。
29条:財産権の3項と、4つの判例
29条は、1項(保障)・2項(内容は法律で、公共の福祉に適合するように)・3項(正当な補償の下に公共のために用いる)の3項でできています。4つの判例の裁判要旨を整理します。
| 事件 | 裁判年月日・法廷 | 事件番号 | 判例集 | 裁判要旨 |
|---|---|---|---|---|
| 共有物分割等(森林法の事件) | 昭和62年4月22日・大法廷・判決 | 昭和59(オ)805 | 民集41巻3号408頁 | 森林法186条本文は、憲法29条2項に違反する(結果は破棄差戻) |
| ため池の保全に関する条例違反 | 昭和38年6月26日・大法廷・判決 | 昭和36(あ)2623 | 刑集17巻5号521頁 | 奈良県ため池の保全に関する条例(昭和29年奈良県条例38号)4条2号、9条は、憲法29条2項、3項に違反しない(結果は破棄差戻) |
| 短期売買利益返還請求(証券取引法の事件) | 平成14年2月13日・大法廷・判決 | 平成12(オ)1965 | 民集56巻2号331頁 | 証券取引法164条1項は、憲法29条に違反しない(結果は棄却) |
| 河川附近地制限令違反 | 昭和43年11月27日・大法廷・判決 | 昭和37(あ)2922 | 刑集22巻12号1402頁 | 河川附近地制限令4条2号、10条は、憲法29条3項に違反しない(結果は棄却)。財産上の犠牲が単に一般的に当然に受認すべきものとされる制限の範囲をこえ、特別の犠牲を課したものである場合には、損失補償に関する規定がなくても、直接憲法29条3項を根拠にして、補償請求をする余地がないではない |
4件のうち、法律の規定を違憲としたのは森林法の事件だけです。ため池条例の事件は、条例で財産権を制限した場面で、要旨は29条2項に加えて3項にも違反しないとしています。条例は、94条が「法律の範囲内で条例を制定することができる」と定めています。
証券取引法の事件の要旨1は、164条1項について、上場会社等の役員又は主要株主が短期売買取引をして利益を得た場合に、内閣府令で定める場合に当たるとき又は類型的にみて取引の態様自体から秘密を不当に利用することが認められないときを除き、秘密を不当に利用したか否か、一般投資家の利益が現実に損なわれたか否かを問うことなく、会社がその利益の提供を請求できるとした規定だ、という内容です。要旨2が、この規定は憲法29条に違反しない、という結論です。
河川附近地制限令の事件の要旨二は、損失補償の規定がない場合の論点です。「財産上の犠牲が単に一般的に当然に受認すべきものとされる制限の範囲をこえ、特別の犠牲を課したものである場合」という条件と、「補償請求をする余地がないではない」という言い回しを、要旨のとおりに押さえます。
13条・22条・29条の違いを、表で整理する
| 比べる点 | 13条 | 22条1項 | 29条 |
|---|---|---|---|
| 条文の言葉 | 個人の尊重、生命・自由・幸福追求 | 居住、移転、職業選択の自由 | 財産権(1項〜3項) |
| 「公共の福祉」の言葉 | 後段「公共の福祉に反しない限り」 | 「公共の福祉に反しない限り」 | 2項「公共の福祉に適合するやうに」 |
| 条文の主語 | 「すべて国民は」 | 「何人も」 | なし |
| 判例の例 | 京都府学連事件、住民基本台帳ネットワークシステムの事件 | 薬事法の判決、小売市場の判決 | 森林法の事件、ため池条例の事件、証券取引法の事件、河川附近地制限令の事件 |
| 要旨の結論 | 撮影は条件のもとで13条・35条に違反しない/情報の収集等は13条の自由を侵害しない | 薬事法の規定は違反/小売市場の許可規制は違反しない | 森林法186条本文は違反/ため池条例・証券取引法164条1項・河川附近地制限令の規定は違反しない |
試験での問われ方:内容の型
実際の問題文は掲載しませんが、この分野には次のような型があります。
- 条文の言葉の確認:13条の「公共の福祉に反しない限り」、22条1項の3つの自由、29条2項の「公共の福祉に適合するやうに」、29条3項の「正当な補償」
- 判例と条文番号の対応:京都府学連事件=13条・35条、住民基本台帳ネットワークシステムの事件=13条、薬事法の判決=22条1項、森林法の事件=29条2項、河川附近地制限令の事件=29条3項
- 違憲か合憲かの入れ替え:薬事法の規定(違反)と小売市場の許可規制(違反しない)、森林法186条本文(違反)とため池条例(違反しない)
- 要旨の条件の脱落:京都府学連事件の撮影の3つの条件、小売市場の判決の「明白な場合に限つて」、河川附近地制限令の事件の「余地がないではない」
- 13条を根拠にしたかどうか:プライバシー、前科等、意思決定の権利の事件で、要旨が13条の言葉を挙げているか、民法の言葉で述べているかの取り違え
間違えやすいポイント
| 誤りやすい記述 | 条文・要旨に照らすと |
|---|---|
| 憲法13条は、プライバシー権を明文で保障している | 13条の条文に「プライバシー」の語はない。要旨が13条を挙げる例は、容ぼう・姿態の撮影の自由と、個人に関する情報の自由 |
| 警察官による本人の同意のない撮影は、常に13条に違反する | 現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がない場合などの条件を満たす相当な方法であれば、同意も令状もなくても、13条・35条に違反しない(昭和40(あ)1187) |
| 住民基本台帳ネットワークシステムは、住民の同意がなければ13条に違反する | 要旨は、住民が同意していないとしても、13条の保障する自由を侵害するものではない、としている(平成19(オ)403) |
| 薬事法の規定は、22条1項に違反しない | 薬事法6条2項、4項(準用する26条2項)は、22条1項に違反する(昭和43(行ツ)120) |
| 小売市場の許可規制は、22条1項に違反する | 22条1項・14条に違反しない(昭和45(あ)23)。裁判所が違憲とできるのは、著しく不合理であることの明白な場合に限る |
| 森林法186条本文は、29条2項に違反しない | 29条2項に違反する(昭和59(オ)805)。結果は破棄差戻 |
| 条例による財産権の制限は、29条2項に違反する | ため池の保全に関する条例の規定は、29条2項、3項に違反しない(昭和36(あ)2623) |
| 損失補償の規定がなければ、29条3項に基づく補償請求はできない | 特別の犠牲を課したものである場合には、直接29条3項を根拠に補償請求をする余地がないではない(昭和37(あ)2922) |
| 22条1項は、営業の自由を明文で保障している | 条文の言葉は「居住、移転及び職業選択の自由」。営業の自由の位置づけは、条文には書かれていない論点 |
まとめ
- 13条は、個人の尊重(前段)と、生命・自由・幸福追求に対する権利の最大の尊重(後段)を定める。「プライバシー」「肖像」「自己決定」の語は条文にない。13条を挙げる要旨の例は、容ぼう・姿態の撮影(昭和40(あ)1187)と、個人に関する情報の収集等(平成19(オ)403)
- 22条1項は、居住・移転・職業選択の自由を「公共の福祉に反しない限り」保障する。薬事法6条2項、4項は22条1項に違反(昭和43(行ツ)120)、小売市場の許可規制は違反しない(昭和45(あ)23)
- 29条は、1項(保障)・2項(公共の福祉に適合するやうに法律で)・3項(正当な補償)。森林法186条本文は29条2項に違反(昭和59(オ)805)、ため池条例は2項・3項に違反しない(昭和36(あ)2623)、証券取引法164条1項は29条に違反しない(平成12(オ)1965)
- 損失補償の規定がなくても、特別の犠牲を課した場合は、29条3項を根拠に補償請求をする余地がないではない(昭和37(あ)2922)
- 要旨の言葉(「明白な場合に限つて」「余地がないではない」「同意していないとしても」)と、違憲・合憲の結論を、事件番号とセットで押さえる
科目ごとの配点と学習の優先順位は行政書士の点数配分、勉強の進め方は行政書士試験の勉強法で整理しています。
参照した一次ソース
- e-Gov法令検索 日本国憲法(13条、22条、29条、35条、94条)
- 裁判所 裁判例検索(最高裁判所判例集)の個別ページ:京都府学連事件(昭和40(あ)1187)・住民基本台帳ネットワークシステムの事件(平成19(オ)403)・講演会の参加申込者情報の事件(平成14(受)1656)・前科等の実名公表の事件(平成1(オ)1649)・輸血の事件(平成10(オ)1081)・薬事法の判決(昭和43(行ツ)120)・小売市場の判決(昭和45(あ)23)・森林法の事件(昭和59(オ)805)・ため池条例の事件(昭和36(あ)2623)・証券取引法の事件(平成12(オ)1965)・河川附近地制限令の事件(昭和37(あ)2922)
よくある質問
Q憲法13条は、プライバシー権を条文で明文で保障していますか?
13条の条文は、「すべて国民は、個人として尊重される。」と「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」の2つの文でできていて、「プライバシー」「肖像」「自己決定」という言葉は書かれていません。裁判要旨が13条を挙げている例として、昭和44年12月24日の最高裁判所大法廷判決(昭和40(あ)1187、京都府学連事件)の「みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由」と、平成20年3月6日の最高裁判所第一小法廷判決(平成19(オ)403)の「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」があります。
Q警察官が、本人の同意も令状もなく写真を撮影すると、必ず憲法13条に違反しますか?
違反するとは限りません。昭和44年12月24日の最高裁判所大法廷判決(昭和40(あ)1187)の裁判要旨は、警察官による個人の容ぼう等の写真撮影は、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であって、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行なわれるときは、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、憲法13条、35条に違反しない、としています。一方、同じ要旨は、警察官が正当な理由もないのに個人の容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し許されない、とも述べています。
Q薬事法の判決で、憲法22条1項に違反するとされたのは何ですか?
昭和50年4月30日の最高裁判所大法廷判決(昭和43(行ツ)120)の裁判要旨は、薬事法6条2項、4項(これらを準用する同法26条2項)は、憲法22条1項に違反する、としています。裁判所のページの結果欄は「破棄自判」、原審は広島高等裁判所です。
Q経済活動に対する規制を、裁判所が違憲とするのはどのような場合ですか?
昭和47年11月22日の最高裁判所大法廷判決(昭和45(あ)23、小売市場の許可規制の事件)の裁判要旨二は、個人の経済活動に対する法的規制措置については、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限って、これを違憲とすることができる、としています。同じ判決の要旨三は、小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制は、憲法22条1項、14条に違反しない、としています。薬事法の判決(22条1項違反)と結論が分かれる点に注意します。
Q法律に損失補償の規定がなくても、憲法29条3項を根拠に補償を求められますか?
昭和43年11月27日の最高裁判所大法廷判決(昭和37(あ)2922、河川附近地制限令の事件)の裁判要旨二は、財産上の犠牲が単に一般的に当然に受認すべきものとされる制限の範囲をこえ、特別の犠牲を課したものである場合には、これについて損失補償に関する規定がなくても、直接憲法29条3項を根拠にして、補償請求をする余地がないではない、としています。「請求できる」と断定せず、「余地がないではない」と述べている点が、要旨の言葉です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月8日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

