行政書士試験の憲法で、精神的自由(19条・20条・21条・23条)を条文で整理し、検閲の定義(税関検査事件)、事前差止め(北方ジャーナル事件)、取材の自由(博多駅事件)、集会の自由(泉佐野市民会館事件)、公務員の政治的行為(猿払事件)を、裁判所の判例ページの事件番号つきで解説します。
目次
結論:行政書士試験の憲法の精神的自由は、条文の番号と言葉(19条=思想・良心、20条=信教・政教分離、21条1項=表現の自由、21条2項=検閲の禁止と通信の秘密、23条=学問の自由)を押さえたうえで、判例の結論を1行で言えるようにすると対応できます。検閲は、昭和59年の税関検査事件判決の裁判要旨が示した要素(行政権が主体・思想内容等の表現物が対象・発表の禁止が目的・網羅的一般的・発表前の審査)で判断され、出版物の仮処分による事前差止め(北方ジャーナル事件)は検閲に当たらないとされました。
この記事は、日本国憲法の条文(e-Gov法令検索)と、裁判所の裁判例検索の個別ページに載っている事件番号・裁判年月日・裁判要旨だけをもとに、精神的自由を整理したものです。裁判要旨は判決の本文ではなく、結論と要点を短くまとめた欄です。憲法判例を分野をまたいで一覧にした表は行政書士の憲法判例にあり、統治の条文は国会の記事と内閣の記事で扱います。
精神的自由の条文を一覧にする(19条・20条・21条・23条)
| 条文 | 内容 | 条文の言葉 |
|---|---|---|
| 19条 | 思想及び良心の自由 | 「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」 |
| 20条1項前段 | 信教の自由 | 「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」 |
| 20条1項後段 | 宗教団体への特権付与等の禁止 | いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない |
| 20条2項 | 宗教的行為への参加の強制の禁止 | 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない |
| 20条3項 | 国の宗教的活動の禁止 | 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない |
| 21条1項 | 集会・結社・言論・出版その他一切の表現の自由 | 「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」 |
| 21条2項前段 | 検閲の禁止 | 「検閲は、これをしてはならない。」 |
| 21条2項後段 | 通信の秘密 | 「通信の秘密は、これを侵してはならない。」 |
| 23条 | 学問の自由 | 「学問の自由は、これを保障する。」 |
条文の言葉には、次のような特徴があります。
- 19条・21条・23条の条文には、「公共の福祉」の語は出てきません。経済的自由の条文では、22条1項が「公共の福祉に反しない限り」、29条2項が「公共の福祉に適合するやうに」と書いています。精神的自由と経済的自由で、制限の許される範囲をどう違えて考えるかは、条文には書かれていない論点で、判例・学説の考え方によります
- 20条の政教分離の条文は、1項後段(特権・政治上の権力)、2項(参加の強制)、3項(国の宗教的活動)に分かれ、公金の支出は89条が別に定めています(「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、…これを支出し、又はその利用に供してはならない」)。政教分離の判例は行政書士の憲法判例の表(愛媛玉串料訴訟・市有地の神社敷地利用)にまとまっています
- 21条2項は、前段(検閲)と後段(通信の秘密)が1つの項に入っています
思想及び良心の自由(19条):謝罪広告事件と三菱樹脂事件
19条は、一文で「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と書かれています。判例は、次の2件を整理します。
| 事件名 | 裁判年月日・法廷 | 事件番号 | 判例集 | 裁判要旨のひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 謝罪広告請求 | 昭和31年7月4日・大法廷・判決 | 昭和28(オ)1241 | 民集10巻7号785頁 | 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあっては、代替執行ができる。この判決は憲法19条に反しない |
| 労働契約関係存在確認請求(三菱樹脂) | 昭和48年12月12日・大法廷・判決 | 昭和43(オ)932 | 民集27巻11号1536頁 | 憲法14条や19条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない |
謝罪広告事件の要旨には、「その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のもの」という限定が付いています。この限定を落とした「謝罪広告を命ずる判決は常に19条に反しない」という記述は、要旨の文言からずれます。
三菱樹脂事件の裁判要旨は、同じ事件について、次の点も挙げています。
- 労働基準法3条は、労働者の雇入れそのものを制約する規定ではない
- 労働者を雇い入れようとする企業者が、その採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、違法とはいえない
私人間効力の論点は、要旨の「直接私人相互間の関係に適用されるものではない」という言い回しを、条文番号(14条・19条)とセットで押さえます。
表現の自由(21条1項):保障される範囲と、判例の結論
21条1項は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」を保障しています。条文に書かれた言葉は、集会・結社・言論・出版・「その他一切の表現」です。次の3件を、表現の自由の判例として整理します。
| 事件名 | 裁判年月日・法廷 | 事件番号 | 判例集 | 裁判要旨のひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 取材フイルム提出命令に対する抗告棄却決定に対する特別抗告(博多駅事件) | 昭和44年11月26日・大法廷・決定 | 昭和44(し)68 | 刑集23巻11号1490頁 | 報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにあり、報道のための取材の自由も、同条の精神に照らし、十分尊重に値いする。提出命令が許容されるか否かは、犯罪の性質、態様、軽重及び取材したものの証拠としての価値、公正な刑事裁判を実現するにあたっての必要性の有無を考慮するとともに、取材の自由が妨げられる程度、報道の自由に及ぼす影響の度合その他諸般の事情を比較衡量して決せられる |
| 損害賠償(泉佐野市民会館事件) | 平成7年3月7日・第三小法廷・判決 | 平成1(オ)762 | 民集49巻3号687頁 | 条例の「公の秩序をみだすおそれがある場合」とは、集会の自由を保障することの重要性よりも、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいう、と限定して解すべきで、危険性の程度としては、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要。そう解する限り、このような規制は憲法21条に違反しない |
| 国家公務員法違反(猿払事件) | 昭和49年11月6日・大法廷・判決 | 昭和44(あ)1501 | 刑集28巻9号393頁 | 国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による、特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない |
博多駅事件は「決定」で、判決ではありません。泉佐野市民会館事件の要旨は、「そう解する限り」という条件つきで合憲という結論になっています。猿払事件の要旨(五)は、この禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布に国家公務員法110条1項19号の罰則を適用することは、その掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であっても、憲法21条、31条に違反しないとしています。
判例の結論と、条文の言葉の対応
- 取材の自由:21条の条文に「取材」という語は書かれていません。裁判要旨は、報道の自由が21条の保障のもとにあり、取材の自由も「同条の精神に照らし、十分尊重に値いする」としています。「保障される」ではなく「十分尊重に値いする」という言葉まで、要旨で押さえます
- 集会の自由:条例の文言を限定して解釈したうえで合憲としました。限定解釈の内容(危険を回避する必要性が優越する場合・明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される)が、問題の言い換えに現れます
- 公務員の政治的行為:結論は「憲法21条に違反しない」です
検閲の禁止(21条2項前段):税関検査事件の定義
検閲の定義は、税関検査事件(昭和59年12月12日・最高裁判所大法廷・判決、昭和57(行ツ)156、民集38巻12号1308頁)の裁判要旨が示しています。
裁判要旨(三):憲法21条2項にいう「検閲」とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。
この要旨は、次の要素に分けられます。
| 要素 | 要旨の言葉 |
|---|---|
| 主体 | 行政権が主体となって |
| 対象 | 思想内容等の表現物を対象とし |
| 目的 | その全部又は一部の発表の禁止を目的として |
| 方法 | 対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に |
| 時期 | 発表前に |
| 内容 | その内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止すること |
同じ判決の裁判要旨は、次の結論も示しています。
| 論点 | 要旨の内容 |
|---|---|
| 検閲禁止の例外 | 憲法21条2項前段の検閲禁止は、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨と解すべきである(要旨二) |
| 税関の検査 | 関税定率法21条1項3号所定の物件に関し、輸入手続において税関職員が行う検査は、憲法21条2項にいう「検閲」にあたらない(要旨四) |
| 猥褻表現物の輸入規制 | 関税定率法21条1項3号の規定による猥褻表現物の輸入規制は、憲法21条1項に違反しない(要旨五) |
検閲と事前差止め:北方ジャーナル事件
北方ジャーナル事件(昭和61年6月11日・最高裁判所大法廷・判決、昭和56(オ)609、民集40巻4号872頁)の裁判要旨は、検閲と事前差止めを区別しています。
| 項目 | 裁判要旨の内容 |
|---|---|
| 検閲に当たるか | 雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法21条2項前段にいう検閲に当たらない |
| 事前差止めの許否 | 人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、その出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されない |
| 例外的に許される場合 | 表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときに限り、例外的に許される |
整理すると、次のようになります。
| 検閲(21条2項前段) | 仮処分による出版物の事前差止め(北方ジャーナル事件) | |
|---|---|---|
| 性質 | 検閲禁止は、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨 | 検閲に当たらない |
| 許されるか | してはならない | 名誉権に基づく事前差止めは、公務員・公職選挙の候補者への評価・批判等に関するものであれば原則として許されず、例外的に許される場合が要旨に書かれている |
| 裁判要旨の根拠となる事件 | 税関検査事件 | 北方ジャーナル事件 |
「検閲に当たらない」と「自由に認められる」は別です。北方ジャーナル事件の要旨は、検閲には当たらないとしたうえで、名誉権に基づく事前差止めのうち公務員等への評価・批判等に関するものは原則として許されないという厳しい要件を示しています。
通信の秘密(21条2項後段)と学問の自由(23条)
通信の秘密は、21条2項の後段に、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と書かれています。条文の位置は、検閲の禁止と同じ項です。
学問の自由は、23条に、「学問の自由は、これを保障する。」と一文で書かれています。学問研究の自由・研究発表の自由・教授の自由・大学の自治など、条文の言葉から先の内容は、条文には書かれていない論点で、判例や学説の整理によります。この記事は条文と、裁判所の判例ページに載っている内容に絞っています。
試験での問われ方:内容の型
実際の問題文は掲載しませんが、精神的自由の分野には次のような型があります。
- 条文番号の入れ替え:思想・良心(19条)、信教(20条)、表現(21条)、学問(23条)、居住・移転・職業選択(22条)の取り違え
- 検閲の定義:「行政権が主体」「発表前」「網羅的一般的」などの要素の入れ替え(例:「裁判所が主体」と言い換える)
- 検閲と事前差止めの混同:事前差止めを検閲と同一視する、または、検閲に当たらなければ自由に認められると言い換える
- 判例の結論の入れ替え:違憲か合憲か、検閲に当たるか否か
- 要旨の限定の脱落:謝罪広告事件の「事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度」、泉佐野市民会館事件の「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される」、北方ジャーナル事件の「真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白」
間違えやすいポイント
| 誤りやすい記述 | 判例・条文に照らすと |
|---|---|
| 税関の検査は、検閲に当たる | 関税定率法21条1項3号所定の物件に関する輸入手続での検査は、検閲に当たらない(税関検査事件・要旨四) |
| 出版物の事前差止めは、検閲に当たるから許されない | 仮処分による事前差止めは検閲に当たらない(北方ジャーナル事件)。ただし名誉権に基づく事前差止めは、公務員等への評価・批判等に関するものであれば原則として許されない |
| 検閲は、公共の福祉のためなら例外的に認められる | 検閲禁止は、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨(税関検査事件・要旨二) |
| 謝罪広告を命ずる判決は、どんな内容でも19条に違反しない | 内容が事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあっては、代替執行ができ、19条に反しない(謝罪広告事件) |
| 憲法19条は、私人である会社に直接適用される | 14条や19条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない(三菱樹脂事件・要旨一) |
| 取材の自由は、21条で明文で保障されている | 条文に「取材」の語はない。裁判要旨は「同条の精神に照らし、十分尊重に値いする」(博多駅事件) |
| 公務員の政治的な文書の配布の禁止は、猿払事件で違憲とされた | 21条に違反しないとされた(昭和44(あ)1501・破棄自判) |
| 通信の秘密は、21条1項に書かれている | 21条2項後段 |
まとめ
- 精神的自由の条文は、19条(思想及び良心)、20条(信教・政教分離)、21条1項(表現の自由)、21条2項前段(検閲の禁止)・後段(通信の秘密)、23条(学問の自由)。条文の「公共の福祉」の語は、19条・21条・23条にはない
- 検閲は、税関検査事件の裁判要旨が示す要素(行政権・思想内容等の表現物・発表の禁止・網羅的一般的・発表前)で判断され、検閲禁止は公共の福祉を理由とする例外を認めない。税関の検査(関税定率法21条1項3号の物件・輸入手続)は検閲に当たらない
- 出版物の仮処分による事前差止めは検閲に当たらないが、名誉権に基づく事前差止めは、公務員・公職選挙の候補者への評価・批判等に関するものであれば、原則として許されない(北方ジャーナル事件)
- 謝罪広告は、事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものであれば19条に反しない。19条・14条は、直接私人相互間の関係に適用されない(三菱樹脂事件)
- 取材の自由は「十分尊重に値いする」(博多駅事件)。市民会館条例の「公の秩序をみだすおそれがある場合」は、「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される」ことが必要と限定して解釈され、そう解する限り21条に違反しない(泉佐野市民会館事件)。公務員の政治的な文書の配布の禁止は21条に違反しない(猿払事件)
科目ごとの配点と学習の優先順位は行政書士の点数配分、勉強の進め方は行政書士試験の勉強法で整理しています。
参照した一次ソース
- e-Gov法令検索 日本国憲法(12条、13条、19条〜23条、29条、89条)
- 裁判所 裁判例検索(最高裁判所判例集)の個別ページ:税関検査事件(昭和57(行ツ)156)・北方ジャーナル事件(昭和56(オ)609)・博多駅事件(昭和44(し)68)・泉佐野市民会館事件(平成1(オ)762)・謝罪広告事件(昭和28(オ)1241)・猿払事件(昭和44(あ)1501)・三菱樹脂事件(昭和43(オ)932)
よくある質問
Q憲法21条2項の「検閲」とは、何を指しますか?
昭和59年12月12日の最高裁判所大法廷判決(昭和57(行ツ)156、税関検査事件)の裁判要旨は、憲法21条2項にいう「検閲」を、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す、と述べています。主体・対象・目的・方法・時期の要素に分けて覚えると整理できます。
Q出版物の事前差止めは、憲法21条2項の「検閲」に当たりますか?
昭和61年6月11日の最高裁判所大法廷判決(昭和56(オ)609、北方ジャーナル事件)の裁判要旨は、雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法21条2項前段にいう検閲に当たらない、としています。ただし同じ要旨は、人格権としての名誉権に基づく事前差止めについて、その出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときに限り、例外的に許されるとしています。「検閲に当たらない」と「事前差止めが自由に認められる」は別の話です。
Q憲法21条の1項と2項は、何が違いますか?
1項は、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障する規定です。2項前段は「検閲は、これをしてはならない。」、後段は「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と定めています。税関検査事件の裁判要旨は、2項前段の検閲禁止について、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨と解すべきだとしています。
Q会社が採用のときに思想・信条を理由に採用を拒むことは、憲法19条に違反しますか?
昭和48年12月12日の最高裁判所大法廷判決(昭和43(オ)932、三菱樹脂事件)の裁判要旨は、憲法14条や19条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではないとしたうえで、企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないとしています。この論点は、憲法の私人間効力と呼ばれます。要旨の言い回し(「直接」私人相互間に適用されない)を、そのまま押さえます。
Q猿払事件で、最高裁判所は公務員の政治的な文書の配布の禁止を違憲としましたか?
違憲とはしていません。昭和49年11月6日の最高裁判所大法廷判決(昭和44(あ)1501)の裁判要旨は、国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による、特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しないとしています。裁判所の判例ページの結果欄は「破棄自判」、原審裁判所は札幌高等裁判所です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

