行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 憲法 問52|人身の自由・拷問・自白法則・黙秘権・38条

問題

行政書士 | 憲法

人身の自由(憲法38条・自白に関する規定)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

憲法38条は、①黙秘権(1項「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」)、②任意性のない自白の証拠能力の否定(2項)、③補強証拠の法則(3項)を定めています。ウは3項「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」を正確に表現しており正答です。アは誤りで、1項の主体は「何人も」であり、捜査段階の被疑者にも及びます。イ・エ・オも誤りです。2項は「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」と定め、これらの自白の証拠能力そのものを否定しています。長期拘禁後の自白も対象であり(エ)、他の証拠で裏付けても証拠にはできません(オ)。

憲法38条の3つの規定を整理します。①黙秘権(1項):「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」。主体は「何人も」であり、公判段階の被告人に限られません。刑事訴訟法198条2項も、取調べに際し被疑者に「あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」と定めています(アが誤りである根拠)。②自白の証拠能力(2項):「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」。「証拠とすることができない」とは証拠能力の否定であり、証明力の評価で足りるとするイは誤りです。対象には「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」も明記されており、これを除外するエは誤りです。また、証拠能力のない自白は、他の証拠で内容が裏付けられても証拠として用いることはできず、オも誤りです。③補強証拠の法則(3項):「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」。自白だけを唯一の証拠として有罪とすることを禁じ、別に補強証拠が必要です(ウが正答の根拠)。

【理論的背景】

憲法38条は、自己負罪拒否特権(nemo tenetur se ipsum accusare・英米法に由来する原則)を日本憲法が採用したものです。この原則は、国家が個人に対して自分が犯罪を行ったことを証言させることはできないという考え方に基づき、拷問・強制捜査による「自白」に依存した捜査・訴訟を防止し、無実の者が誤った自白によって処罰されるリスクを回避します。日本の歴史的な背景(戦前の自白重視捜査・拷問)を踏まえて、憲法制定過程で明示的に規定されました。38条の3項(補強証拠の法則)は、「自白は証拠の女王」として自白を唯一の有罪根拠とした誤判防止のために特に重要な規定です。

【実務・条文構造】

38条3項(補強証拠の法則)の実務上の意義を整理します。

  • 要件: 「自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合」
  • 効果: 「有罪とされ、又は刑罰を科せられない」
  • 意義: 本人の自白だけでは有罪にできない。別の証拠(目撃証言・物証等)が必要
  • 法律による具体化: 刑事訴訟法319条2項は「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない」と定める

38条2項(自白の証拠能力)は、「強制、拷問若しくは脅迫による自白」と「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」の二類型を挙げ、いずれも「これを証拠とすることができない」としています。これは信用性(証明力)の問題ではなく、証拠として用いること自体を禁じる証拠能力の問題です(イが誤りである根拠)。条文は二類型を「又は」で並べており、長期拘禁後の自白だけを許容する余地はありません(エが誤りである根拠)。証拠能力が否定された自白は、他の証拠によって内容の正しさが裏付けられたとしても、有罪の証拠として用いることはできません。裏付けがあれば使えるとすれば、強制によって自白を得ようとする動機を残すことになり、2項の趣旨が失われます(オが誤りである根拠)。刑事訴訟法319条1項は、これらに加えて「その他任意にされたものでない疑のある自白」も証拠とすることができないと定め、憲法の保障を法律で具体化しています。

38条1項の黙秘権と捜査段階の関係について:刑事訴訟法198条2項は、取調べに際し被疑者に「あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」と規定しており、捜査段階(逮捕後の取調べ)においても黙秘権が保障されます(アが「公判段階のみ」とする点が誤りの根拠)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での38条の出題ポイントは次の4つです。①黙秘権(1項):逮捕・捜査段階から公判段階まで一貫して保障。②任意性を欠く自白の排除(2項):強制・拷問・脅迫による自白や不当な長期拘禁後の自白は証拠能力なし。③補強証拠の法則(3項):本人の自白が唯一の証拠である場合は有罪不可。④これら3原則の条番号(38条1・2・3項)と内容の対応。特に「補強証拠の法則」は頻出論点で「自白のみで有罪は不可→別の証拠が必要」という原則を正確に覚えること。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。38条1項の主体は「何人も」であり、黙秘権は逮捕・取調べ段階(捜査段階)から保障される。刑訴法198条2項の告知義務も捜査段階のものであり、「公判段階のみ」という断定は誤り。
  • イ: 誤り。38条2項は「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」と定め、これらの自白の証拠能力そのものを否定する(証拠排除)。イは「証拠能力そのものは否定されず、証拠として用いた上で証明力を自由に評価すれば足りる」とするが、これは2項が証拠能力を否定している点に正反対であり誤り。
  • ウ: 正答。38条3項「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」(補強証拠の法則)を正確に表現している。
  • エ: 誤り。38条2項は「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」についても「これを証拠とすることができない」と明記している。
  • オ: 誤り。38条2項は対象となる自白について「これを証拠とすることができない」と定めており、他の証拠による裏付けがあっても証拠能力は回復しない。

【根拠条文】

日本国憲法 第38条第1項(黙秘権)、第38条第2項(任意性を欠く自白の排除)、第38条第3項(補強証拠の法則)

刑事訴訟法 第198条第2項(被疑者への黙秘権告知義務)、第319条第1項(自白の証拠能力)、第319条第2項(補強証拠)

【補足】

38条1項(黙秘権・捜査段階から)・2項(任意性欠く自白の排除)・3項(補強証拠の法則)の三規定の内容と条番号の対応を正確に覚えること。補強証拠の法則は「自白のみで有罪は不可」という端的な命題で整理する。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第38条(黙秘権・自白の証拠能力・補強証拠の法則) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 人身の自由・拷問・自白法則・黙秘権・38条
  • 頻出度B

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