行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 民法 問50|請負・完成前の解除・請負人の担保責任

問題

行政書士 | 民法

AはBに対し、甲建物の建築工事を請け負わせる請負契約を締結した(請負代金2,000万円)。この請負契約に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか(現行民法に基づいて答えること)。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

オが誤りです。民法634条は、注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき(1号)などに、既にした仕事の可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できると定めます。「報酬を一切請求することができない」とするオは誤りです。ウは正しい記述です。Aが受領を拒んでも受領遅滞(413条)となるだけで、民法に引渡しがあったとみなす規定はありません。アは641条の完成前解除として正しい。イは637条・636条の担保責任の追及として正しい。エは637条1項の通知期間制限として正しい。

オが誤りである根拠を確認します。民法634条は「次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる」として、(1)注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき(1号)、(2)請負が仕事の完成前に解除されたとき(2号)を規定しています。オの場面は1号にあたり、Aが利益を受けるときはBは割合に応じた報酬を請求できるので、「一切請求することができない」は誤り。ウについて、注文者が受領を拒んだ場合は413条の受領遅滞となり、保存義務の軽減(1項)・増加費用の債権者負担(2項)や、提供後に当事者双方の責めに帰することができない事由で履行不能となったときに債権者の帰責とみなす扱い(413条の2第2項)が生じますが、引渡しがあったとみなす規定はないため、ウは正しい。アについて、641条「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」として正しい。イについて、636条・637条・請負の契約不適合責任として正しい。エについて、637条1項「注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しなければならない」として正しい(売買566条と同様の構造)。

【理論的背景】

請負(民法632条〜642条)は、仕事の完成を目的とする契約であり、売買・賃貸借と並んで民法の典型契約の中でも重要な地位を占めます。2020年改正で重要な変更点は、(1)請負人の担保責任が「瑕疵担保責任(旧634条〜636条)」から「契約不適合責任(636条〜637条)」に統一された点、(2)請負の特則として「注文者の任意解除(641条・損害賠償が要件)」が維持された点、(3)仕事完成前の解除や不能時の割合報酬(634条)が明文化された点です。建物建築請負は特に「完成後の不適合(耐震不足・構造欠陥等)」の場合の担保責任追及が実務上重要であり、売買の契約不適合責任(562条〜566条)とほぼ平行する構造で規律されています。

【条文構造の精密な理解】

  • 632条: 請負の定義(仕事の完成・報酬の支払い)。
  • 633条: 報酬の支払時期(目的物引渡し時が原則)。
  • 634条: 注文者が受ける利益の割合に応じた報酬→(1)注文者の責めに帰することができない事由による完成不能、(2)仕事完成前の解除の場合に、既にした仕事の可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、利益の割合に応じた報酬請求可→オの誤りの根拠。
  • 413条・413条の2第2項: 受領遅滞の効果(保存義務の軽減・増加費用の債権者負担・提供後の双方無責の履行不能は債権者の帰責とみなす)。引渡しがあったとみなす規定ではない→ウの根拠。
  • 636条: 請負の契約不適合責任の特則(注文者の提供した材料・指示による不適合は責任なし・但し悪意を除く)。
  • 637条1項: 通知期間制限(「知った時から1年以内」の通知・売買566条と同様)。
  • 637条2項: 請負人が不適合を知っていた(悪意)・重過失で知らなかった場合は637条1項不適用。
  • 641条: 注文者の任意解除権(仕事完成前のみ・損害賠償の要件)→アの根拠。
  • 642条: 注文者の破産による解除。

【試験での位置づけ】

行政書士試験における請負の典型的な出題パターンは、(a)任意解除(641条・完成前・損害賠償が条件・アのような正しい記述)、(b)担保責任の種類と通知期間制限(637条・イ・エのような問題)、(c)注文者が材料・指示を提供した場合の特則(636条)、(d)仕事完成前解除・割合報酬(634条・オのような問題)の4パターンです。本問ではウの「受領拒否と引渡し」の関係が試験上やや発展的です(受領遅滞の効果は413条・413条の2に定められ、引渡しの擬制はない)。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。641条の注文者の任意解除権(完成前のみ・損害賠償が条件)。Aは「損害を賠償して」契約を解除することができる(損害の賠償が解除の条件)。損害賠償額は仕事の出来高に応じたBの既発生費用・逸失利益等。
  • イ: 正しい。636条・637条の契約不適合責任(請負)。売買の562条〜564条と同様、追完・代金減額・損害賠償・解除が認められる。ただし636条により、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由とする請求はできない(請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときを除く)。
  • ウ: 正しい。Aが受領を拒否した場合は受領遅滞(413条)となり、Bは自己の財産に対するのと同一の注意をもって保存すれば足り(1項)、増加した履行の費用はAの負担となり(2項)、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由で履行不能となればAの責めに帰すべき事由によるものとみなされる(413条の2第2項)。しかし、受領拒絶によって引渡しがあったとみなす規定は民法にないため、「引渡しがあったとはみなされない」は正しい。
  • エ: 正しい。637条1項の通知期間制限(売買566条と同様の構造)。「知った時から1年以内」の通知が権利保存の要件。
  • オ: 誤り(正答)。634条1号により、注文者(A)の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合でも、既にした仕事の可分な部分の給付によってAが利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、BはAが受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。「報酬を一切請求することができない」は634条に反する。

【根拠条文】

民法 第634条(仕事完成前の終了と割合報酬)

民法 第636条(請負の契約不適合責任の特則)

民法 第637条第1項(通知期間制限・知った時から1年以内)

民法 第641条(注文者の任意解除権)

民法 第413条・第413条の2第2項(受領遅滞)

【参照判例】

(受領遅滞〔413条〕・請負の割合報酬〔634条〕は条文問題として整理。特定の判例名は付さない)

【補足】

請負の任意解除(641条)は「完成前のみ」という限定と「損害賠償が条件」の二点が重要。完成後の解除は担保責任(契約不適合)または合意解除による。担保責任の通知期間(637条1項・1年以内)は売買566条と平行する構造。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第634条・第636条・第637条・第641条(旧第635条=仕事の目的物に瑕疵がある場合の解除は、2020年4月施行の債権法改正で削除され、契約不適合の解除は第564条が準用する第541条・第542条による) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。