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指定保育士養成施設とは卒業で保育士資格を得る仕組みと、大学・短大・専修学校・通信制のちがい

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

指定保育士養成施設の法的な根拠(児童福祉法第18条の6)と、指定するのは誰か、卒業すると試験を受けずに保育士となる資格を得られる仕組みを整理します。大学・短期大学・専修学校・通信制の施設数と基準、通信制でも保育実習が必要かどうか、試験ルートとの比べ方、公式の施設一覧の見方まで、出典と確認日つきで解説します。

目次
  1. 指定保育士養成施設とは:法律上の位置づけと、誰が指定するか
  2. 卒業すると、試験なしで資格を得られる仕組み
  3. 養成施設の指定基準:どの学校にも共通する最低ライン
  4. 大学・短期大学・専修学校・通信制:設置区分で比べる
  5. 通信制では、保育実習は必要か
  6. 養成施設ルートと試験ルートを比べる
  7. 公式の施設一覧で、学校が指定を受けているかを確かめる
  8. まとめ:学校を選ぶ前に確認する順番
結論:指定保育士養成施設とは、児童福祉法第18条の6第1号に規定された、都道府県知事が指定する保育士を養成する学校その他の施設です。ここを卒業した人は、保育士試験に合格しなくても「保育士となる資格を有する者」になります。大学・短期大学・専修学校・その他の施設があり、通信制(通信教育部)を置く施設もあります。通信制でも、保育実習(実習の単位数の計6単位以上)が必要です。資格を得たあと、保育士として働くには、別に保育士登録が必要です。

保育士になる資格を得る主な方法は、法律で2つ定められています(このほかに、地域限定保育士登録から切り替える方法があります)。1つは、保育士試験に合格すること。もう1つが、この記事で説明する、指定保育士養成施設を卒業することです。「専門学校」「通信」「大学」「短大」と、検索では学校の種類で調べられていますが、資格の仕組みを決めているのは法令と国の通知です。この記事は、e-Gov 法令検索の児童福祉法・児童福祉法施行令・児童福祉法施行規則・学校教育法の現行条文、こども家庭庁が掲載する通知と施設一覧、協議会のQ&Aだけを根拠にしています。特定の学校名や学校の評価は書きません。合格ナビは、協議会や行政機関とは関係のないサイトです。

指定保育士養成施設とは:法律上の位置づけと、誰が指定するか

児童福祉法第18条の6は、次のいずれかに当たる者を、保育士となる資格を有する者としています(2026年10月12日確認の現行条文)。

  • 第1号:都道府県知事の指定する保育士を養成する学校その他の施設(指定保育士養成施設)を卒業した者(学校教育法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む)
  • 第2号:保育士試験に合格した者
  • 第3号:地域限定保育士登録を受けた日から3年を経過し、かつ、内閣府令で定める期間以上、地域限定保育士の業務に従事した者

協議会のQ&Aは、指定保育士養成施設を、都道府県知事が指定する保育士を養成する学校その他の施設で、児童福祉法第18条の6第1号に規定されていると説明しています。

指定するのは、都道府県知事です。指定の手続きは、児童福祉法施行令第5条が定めています。

  • 指定は、内閣府令で定める基準に適合する施設について行う(第1項)。
  • 指定を受けようとする施設の設置者は、申請書を、施設の所在地の都道府県知事に提出する(第2項)。
  • 施設の長は、毎学年開始後3か月以内に、内閣府令で定める事項を、所在地の都道府県知事に報告する(第5項)。
  • 都道府県知事は、施設が基準に該当しなくなったと認めるとき、法第18条の7第1項に規定する指導に従わないとき、又は設置者から指定の取消しを求める申請があったときは、その指定を取り消すことができる(第6項)。

都道府県知事は、児童福祉法第18条の7第1項により、教育方法・設備などについて、施設の長に報告を求めたり指導したりでき、職員に帳簿書類を検査させることもできます。「指定を受けている」ことは、一度受ければ終わりではなく、基準を満たし続けることが前提です。

卒業すると、試験なしで資格を得られる仕組み

養成施設ルートでは、保育士試験の筆記9科目・実技試験を受けません。指定保育士養成施設が所定の課程を履修させて卒業させる、という仕組みで資格が与えられるためです。

児童福祉法施行規則第6条の6は、指定保育士養成施設の長は、こども家庭庁長官の定める修業教科目及び単位数を、定める方法により履修して卒業する者に対し、指定保育士養成施設卒業証明書を交付しなければならないと定めています。この卒業証明書が、保育士となる資格を証明する書類になります。

養成施設ルートの流れを、順に整理します。

1. 指定保育士養成施設に入学し、必修科目・選択必修科目などを履修する(保育実習を含む)。

2. 卒業する。卒業すると、児童福祉法第18条の6第1号により、保育士となる資格を有する者になる。

3. 保育士として働く前に、都道府県の保育士登録簿への登録を受ける(児童福祉法第18条の18)。

登録事務処理センターは、養成施設の事務局向けに、3月に卒業(修了)見込みの申請者の保育士登録について、とりまとめの案内を出しています。在学中の方は、登録の手続きを学校に確認してください。登録の手続きは、保育士資格の取り方と受験資格・登録の記事で説明しています。

養成施設の指定基準:どの学校にも共通する最低ライン

養成施設の指定基準は、児童福祉法施行規則第6条の2の3が定めています。さらに、こども家庭庁が掲載する通知「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」(雇児発第1209001号・平成15年12月9日、令和6年9月27日付けこ成基第182号による最終の一部改正)が、運営の細目を示しています。この通知は、地方自治法第245条の4第1項に規定する技術的助言として発出されたものです。

指定保育士養成施設の指定基準:入所資格は、高等学校・中等教育学校の卒業者等(施行規則第6条の2の3第1項第1号)。修業年限は2年以上(同項第2号)。学生の定員は100人以上(同項第5号)で、通知は一定の要件を満たす場合に100人未満とすることを認めている。一学級の学生数は50人以下(同項第6号)。専任の教員は、おおむね学生数40人につき1人以上(同項第7号)。通知は、授業の開設方法を昼間・昼夜開講制・夜間・昼間定時制・通信制のいずれかとし、夜間部・昼間定時制部・通信教育部の修業年限を3年以上とする。最終確認日:2026-10-12。出典:e-Gov 法令検索 児童福祉法施行規則・こども家庭庁 指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について(PDF)。

この基準は、大学でも短期大学でも専修学校でも、共通です。つまり、設置する学校の種類によって、保育士の資格を得るために必要な課程の基準が変わるわけではありません。種類によって違うのは、学校の制度(修業年限など)と、学校ごとの学則・カリキュラムです。

大学・短期大学・専修学校・通信制:設置区分で比べる

こども家庭庁の資料は、指定保育士養成施設を、大学・短期大学・専修学校・その他施設の4区分で数えています。

指定保育士養成施設の数:令和7年4月1日現在、指定保育士養成施設は合計667か所(大学284か所・短期大学219か所・専修学校153か所・その他施設11か所)。最終確認日:2026-10-12。出典:こども家庭庁 保育士資格取得方法(PDF)。

区分ごとに、法令から確認できる違いを表にします。

区分学校の制度(学校教育法)保育士養成施設としての扱い
大学修業年限は原則として4年(第87条第1項)修業年限2年以上などの指定基準は共通。通知は、大学・短期大学・専修学校の専門課程で、すでに指定を受けている施設に通信教育部を置けるとしている
短期大学修業年限は2年又は3年(第108条第2項)同上
専修学校(専門学校)専門課程を置く専修学校は、専門学校と称することができる(第126条第2項)。専修学校の修業年限は1年以上であること(第124条第1号)保育士養成施設としては、修業年限2年以上の基準を満たすことが必要(施行規則第6条の2の3)
その他施設こども家庭庁の資料は、区分名と数(11か所)だけを載せている内訳は、公式の施設一覧で確認する

専修学校のうち、専門課程を置くものが「専門学校」と呼ばれます。協議会のQ&Aも、専門学校の最終学歴については、学校教育法に基づく専修学校であることが条件と案内しています(受験資格の説明)。養成施設の場合も、学校名ではなく、指定を受けているかどうかで確かめます。

通信制(通信教育部)は、学校の種類ではなく、授業の開設方法の区分です。こども家庭庁の施設一覧には「開講形態」の欄があり、その内訳は次のとおりです。

開講形態の内訳:こども家庭庁の「指定保育士養成施設一覧(令和7年4月1日現在)」の開講形態欄を当サイトで集計すると、667施設のうち、昼間部626、通信教育制23、夜間部10、昼夜開講制8。最終確認日:2026-10-12。出典:こども家庭庁 指定保育士養成施設一覧(R7.4.1現在・Excel)。

学費と、学校ごとの入学条件・カリキュラムは、法令・通知・こども家庭庁の一覧のいずれにも定めがありません(2026年10月12日時点)。学校の募集要項で、1校ずつ確かめます。学校の種類で、学費や期間を一律に比べることは、この記事ではしません。

通信制では、保育実習は必要か

通信制の養成施設について、「実習がない」という情報を目にします。公的な基準では、そうではありません。

通知の「通信教育部の教育課程」は、通信教育部における授業は、教材を送付又は指定して主としてこれにより学習させる授業(通信授業)、指定保育士養成施設の校舎等における講義・演習・実験・実習又は実技による授業(面接授業)、並びに保育実習により行う、と定めています。

そのうえで、通信教育部における面接授業等の実施基準(別表②)が、次の実習を掲げています。

通信教育部の保育実習の単位数:保育実習Ⅰ(実習)は、告示による単位数4単位。保育実習Ⅱ又はⅢ(実習)は、2単位以上。実習の単位数の計は、6単位以上。通信教育部の修業年限は、3年以上。最終確認日:2026-10-12。出典:こども家庭庁 指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について(PDF)。

実習の実施基準(別紙2)では、保育実習Ⅰ(必修科目)の4単位は、保育所又は幼保連携型認定こども園などでの実習2単位と、それ以外の児童福祉施設等での実習2単位とされています。実習を行う施設と配当単位数は、指定保育士養成施設の所長が定めます。

ただし、通知の備考には、家庭的保育事業などで一定の従事経験がある場合に、保育実習Ⅰの一部などを履修したものとすることができる扱いが書かれています。また、介護福祉士養成施設の卒業者などには、一部の教科目の履修を免除できる規定があります。自分が該当するかどうかは、学校に確認してください。

確認できたことをまとめると、次のとおりです。

  • 通信制でも、保育実習は必要です。
  • 通信制の授業は、通信授業、面接授業、保育実習で構成されます。
  • 通信教育部を置けるのは、大学・短期大学・専修学校の専門課程で、すでに指定保育士養成施設として指定されている施設です。
  • 実習の免除や、履修したものとみなす例外があります。

確認できなかったことは、実習先を学生が自分で探すのか、学校が手配するのかです。通知は、実習施設の選定や実習計画の策定を施設の所長の役割として定めていますが、学生が実習先を探すかどうかには触れていません(2026年10月12日時点)。募集要項や説明会で確認してください。

養成施設ルートと試験ルートを比べる

2つのルートを、法令と公的な資料で比べます。

比べる点養成施設ルート試験ルート
資格の根拠児童福祉法第18条の6第1号同条第2号
資格を得る条件指定保育士養成施設を卒業する保育士試験に合格する(筆記9科目と実技)
入るための条件入所資格(高校卒業者など)が必要受験資格(学歴・児童福祉施設での勤務経験など)が必要
実習保育実習が必修(通信制も同じ)受験資格に、実習の履修は含まれない
時期学校の入学・卒業の時期による児童福祉法第18条の8第2項により、毎年一回以上、都道府県知事が行う
登録どちらも、保育士として働くには保育士登録が必要同左

養成施設ルートの規模について、こども家庭庁の資料には次の数字があります。

指定保育士養成施設の資格取得者数:指定保育士養成施設の令和6年度の資格取得者は29,432人。最終確認日:2026-10-12。出典:こども家庭庁 保育士資格取得方法(PDF)。

保育士試験の申請者数・合格者数は、集計の年度も範囲も違う資料に載っているため、この数字と並べて比べることはしません。試験の公表値と、その読み方(受験者数が公表されていないこと)は、合格率の公表値の読み方の記事にまとめています。

養成施設と試験は、二者択一とは限りません。協議会のQ&Aは、幼稚園教諭免許状の所有者と、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格所有者について、指定保育士養成施設で筆記試験に対応する教科目を修得すると、筆記試験科目が免除されると案内しています。試験を受けながら、一部の科目を養成施設で履修する方法です。詳しくは、筆記9科目・科目免除・合格科目の有効期間・地域限定の記事で説明しています。

試験ルートを選ぶ場合の勉強の進め方は、独学の勉強法の記事にあります。受験資格は、保育士資格の取り方と受験資格・登録の記事で確認できます。

公式の施設一覧で、学校が指定を受けているかを確かめる

指定保育士養成施設の一覧は、次の2か所で公表されています。

こども家庭庁の一覧には、自治体、施設の名称、経営主体、所在地、電話番号、入学定員、学生定員、指定年月日、幼稚園教諭免許状の取得(幼免取得)、提携先で取得可能かどうか、開講形態の欄があります。

一覧は、公表の時点の情報です。指定は取り消されることがあり、新しく指定される施設もあるため、入学を考える学校については、学校と所在地の都道府県に、最新の状況を確認してください。

まとめ:学校を選ぶ前に確認する順番

1. 資格を得る主な方法は、指定保育士養成施設を卒業する方法と、保育士試験に合格する方法の2つ(児童福祉法第18条の6第1号・第2号)。

2. 養成施設を選ぶときは、まず、その学校が指定保育士養成施設かどうかを、こども家庭庁の一覧と学校で確認する。

3. 通信制でも、保育実習は必要。実習の単位数は計6単位以上で、修業年限は3年以上。例外の扱いは、学校に確認する。

4. 学費・入学条件・カリキュラムは、学校ごとに違うので、募集要項で確かめる。

5. 卒業しても、保育士として働くには、保育士登録が必要。

迷ったときは、試験ルートの条件も確かめてください。受験資格は保育士資格の取り方と受験資格・登録の記事に、科目の免除は科目免除の記事に、試験の準備は独学の勉強法の記事にあります。保育士資格の名称や登録の仕組みは、保育士資格とはの記事で整理しています。

試験ルートを選ぶ方は、合格ナビの「オリジナル問題」で、筆記9科目を科目別に解けます。各問に初級・標準・上級の3段階の解説がつき、登録は不要です。

よくある質問

Q指定保育士養成施設を卒業すれば、保育士試験を受けなくても保育士になれますか?

児童福祉法第18条の6第1号は、指定保育士養成施設を卒業した者を「保育士となる資格を有する者」の一つとしています。保育士試験に合格する必要はありません。ただし、資格を得ることと保育士になることは別で、保育士として働くには、同法第18条の18に基づく保育士登録を受ける必要があります(e-Gov 法令検索・2026年10月12日確認)。登録の手続きは、保育士資格の取り方と受験資格・登録の記事で説明しています。

Q通信制の指定保育士養成施設でも、保育実習は必要ですか?

必要です。指定保育士養成施設の基準を示した通知(こども家庭庁が掲載する「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」)は、通信教育部の授業を、通信授業・面接授業と保育実習により行うと定めています。同じ通知の別表は、保育実習Ⅰ(実習)4単位と、保育実習Ⅱ又はⅢ(実習)2単位以上を掲げ、実習の単位数の計を6単位以上としています(2026年10月12日確認)。実習の免除や、履修したものとみなす例外もあるため、自分が該当するかは学校に確認してください。

Q自分が入る(または卒業した)学校が、指定保育士養成施設かどうかは、どう調べますか?

協議会(全国保育士養成協議会)のQ&Aは、卒業した学校が指定保育士養成施設かどうか分からない場合は、卒業した学校に確認するよう案内しています。そのうえで、こども家庭庁が「指定保育士養成施設一覧(令和7年4月1日現在)」を公表しています。指定は、施設が基準に該当しなくなったときなどに取り消されることがあるため(児童福祉法施行令第5条)、入学前に最新の状況を学校に確認すると確実です(2026年10月12日確認)。

Q高校を卒業していなくても、指定保育士養成施設に入れますか?

児童福祉法施行規則第6条の2の3は、入所資格を、高等学校・中等教育学校の卒業者、通常の課程による12年の学校教育の修了者、文部科学大臣が同等以上と認定した者などとしています。さらに、満18歳以上で児童福祉施設において2年以上児童の保護に従事した者などに入所資格を与える施設も、都道府県知事が指定できるとしています(同条第2項)。個々の施設がどの入所資格を設けているかは、学校の募集要項で確認してください(e-Gov 法令検索・2026年10月12日確認)。

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