危険物乙四

危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問97|第4類共通性状・蒸気比重の計算検証・分子量との関係・換気の必要性

問題

危険物乙四 | 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法

第4類危険物の蒸気比重に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

誤っているのはオです。蒸気比重>1の蒸気は低所にとどまり続け、自然に天井に上昇して消散するわけではありません。換気(低所換気)などの積極的な対策が必要です。

  • ア(正): 蒸気比重=分子量÷29。分子量>29→蒸気比重>1。
  • イ(正): 二硫化炭素:76÷29≒2.6。低所滞留。確定値。
  • ウ(正): ガソリン(混合物)の蒸気比重は3〜4程度。低所滞留。
  • エ(正): メタノール32・エタノール46・ジエチルエーテル74はいずれも分子量>29→蒸気比重>1→低所滞留。
  • オ(誤): 蒸気比重>1の蒸気は自然に消散しない。換気等の対策が必要。

「蒸気比重>1→低所滞留→自然には消散しない→換気が必要」を押さえます。

第4類危険物の蒸気比重と滞留の特性:

  • ア(正): 蒸気比重=分子量÷29(空気の見かけ分子量29)は確立した計算式。分子量>29→蒸気比重>1(空気より重い)。第4類の代表物質はメタノール(分子量32)・エタノール(46)・ジエチルエーテル(74)など分子量が29より大きいものがほとんどで、蒸気比重>1となる。正しい。
  • イ(正): 二硫化炭素(CS₂・分子量76):76÷29≒2.6(設計書§1-2確定値)。蒸気は空気の2.6倍重く低所に沈んで滞留する。正しい。
  • ウ(正): ガソリンは多成分炭化水素の混合物ですが、平均的な蒸気比重は3〜4程度(設計書§1-2確定値)として知られ、蒸気が低所に滞留する危険がある。混合物でも実用上この範囲が使われる。正しい。
  • エ(正): メタノール(32÷29≒1.1)・エタノール(46÷29≒1.59)・ジエチルエーテル(74÷29≒2.55)はいずれも分子量が29を超え、蒸気比重>1となる。これらの蒸気は低所(床・地下・くぼみ)に滞留する性質を持つ。正しい。なお、分子量が29未満の物質は蒸気比重が1未満になる(例: シアン化水素は分子量27.03・相対蒸気密度0.94)ため、「どの物質でも必ず1より大きい」とは言い切れません。
  • オ(誤): 蒸気比重>1の蒸気は空気より重いため、重力によって低所に沈んで滞留し続けます。「自然に天井へ上昇して消散する」のは蒸気比重<1(空気より軽い)のガス(アンモニア・水素等)の挙動であり、第4類危険物の蒸気には当てはまりません。蒸気比重>1の蒸気を排除するには低所換気・強制換気等の積極的な対策が必要です。「対策不要」は誤り。

引っかけパターン: 蒸気比重>1でも自然に消散するとする(オ)。第4類危険物の蒸気は低所に滞留し積極的換気が必要。

【理論的背景】

蒸気比重(相対蒸気密度)は「気体状物質が空気と比べてどれだけ重いか」を示す無次元数です。蒸気比重>1の蒸気は重力によって低所に沈み滞留し、燃焼範囲の濃度に達すると点火源で引火する危険があります。この特性が第4類危険物の火災予防(低所換気・低所点火源排除)の根幹にあります。

【蒸気比重の計算(分子量÷29)の根拠】

空気の見かけ分子量は約29(N₂約78%・O₂約21%の混合として計算:28×0.78+32×0.21≒29)です。

  • 蒸気比重=分子量 ÷ 29
  • 分子量>29 → 蒸気比重>1 → 空気より重い → 低所滞留
  • 分子量<29 → 蒸気比重<1 → 空気より軽い → 上方拡散

第4類各物質の蒸気比重計算例(設計書§1-2との照合):

物質分子量蒸気比重(計算)設計書値
メタノール(CH₃OH)3232÷29≒1.11.1
エタノール(C₂H₅OH)4646÷29≒1.591.59
ジエチルエーテル(C₄H₁₀O)7474÷29≒2.552.55
二硫化炭素(CS₂)7676÷29≒2.62.6
ガソリン(混合物)——3〜4

表の物質はすべて蒸気比重>1で低所滞留が確認されます。

【蒸気比重>1の蒸気が滞留し続ける物理的理由】

蒸気比重>1の蒸気は以下の理由で低所に滞留します:

1. 重力による沈降: 密度が高い(重い)ため重力によって下方に沈む

2. 熱対流の少ない状態(静穏時)では散逸しない: 外部から風がない・強制換気がない状況では低所に留まり続ける

3. 濃度拡散は遅い: 分子拡散だけでは低所の蒸気は長時間(分〜時間単位)留まる

「自然に天井に上昇して消散する」のは、蒸気比重<1の軽いガス(アンモニア・水素等)の挙動です。第4類危険物の蒸気には当てはまりません。

【実際の危険事例(「這う火」)】

蒸気比重>1の第4類危険物の蒸気が引き起こす典型事故は「這う火(creeping fire)」です:

1. ガソリン等が床面に漏出

2. 蒸気が床面付近を這うように広がり(滞留)

3. 離れた位置(数m〜数十m)の点火源(電気スイッチ・喫煙等)まで到達

4. 点火→蒸気の引火→漏出元まで火が逆走

この危険を防ぐために低所換気・低所の点火源排除が必要です。

【試験での位置づけ】

蒸気比重の論点は(1)蒸気比重=分子量÷29で計算可能(分子量>29→蒸気比重>1)、(2)第4類の蒸気はほとんどが蒸気比重>1で低所滞留、(3)二硫化炭素の蒸気比重約2.6・ガソリン3〜4(確定値)、(4)蒸気比重>1の蒸気は自然に消散しない→換気が必要(本問オ)です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(正): 蒸気比重=分子量÷29。分子量>29→蒸気比重>1。確立した計算法。
  • イ(正): 二硫化炭素の蒸気比重76÷29≒2.6(設計書§1-2確定値)。低所滞留。
  • ウ(正): ガソリンの蒸気比重は混合物だが3〜4程度(設計書§1-2確定値範囲)。低所滞留。
  • エ(正): メタノール・エタノール・ジエチルエーテル等の代表物質は分子量29超→蒸気比重>1→低所滞留。
  • オ(誤): 蒸気比重>1→低所に沈んで滞留し続ける(自然消散しない)。換気等の積極的対策が必要。「対策不要」は誤り。

【根拠】確立した物理学・設計書§1-2・§2-3(S1)。

【補足】蒸気比重=分子量÷29。第4類のほとんどは分子量>29→蒸気比重>1→低所滞留→換気が必要(自然消散しない)。二硫化炭素蒸気比重≒2.6・ガソリン3〜4・メタノール約1.1(設計書§1-2確定値)。

この問題の根拠根拠: 確立した物理学・設計書§1-2・§2-3(S1)。蒸気比重=分子量÷29で概算可能。第4類の代表物質(メタノール32・エタノール46・ジエチルエーテル74)は分子量>29のため蒸気比重>1(低所滞留)。ガソリンは混合物だが平均蒸気比重3〜4程度(設計書§1-2確定値範囲)。蒸気比重>1の蒸気は自然に天井へ上昇して消散するのではなく低所に滞留し続けるため換気等の積極的対策が必要(オが誤り)。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学・設計書§1-2・§2-3(S1)。蒸気比重=分子量÷29で概算可能。第4類の代表物質(メタノール32・エタノール46・ジエチルエーテル74)は分子量>29のため蒸気比重>1(低所滞留)。ガソリンは混合物だが平均蒸気比重3〜4程度(設計書§1-2確定値範囲)。蒸気比重>1の蒸気は自然に天井へ上昇して消散するのではなく低所に滞留し続けるため換気等の積極的対策が必要(オが誤り)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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