問題
次の事例を読んで,問題46 から問題48 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Aさん(50 歳,男性)は,20 代後半に幻聴に悩まされるようになった。そのため,精神科を受診したところ,統合失調症と診断された。その後,勤務先を退職して両親の暮らす実家でひきこもる生活となった。服薬に抵抗感のあったAさんは,やがて「両親が自分のことを生きていても意味がないと思っている」と信じ込むようになった。 その影響から自宅で暴力的な言動が現れるようになり,通院先の病院で親の同意により入院することとなった。それ以降もAさんは怠薬により入退院を繰り返し,40 代半ばに再び入院したが「今度はしっかり治してほしい」という両親の強い意向もあり,入院が約5 年続いている。入院当初,Aさんは周囲の言動に敏感に反応し,被害的となり暴言を吐くことも多かった。しかし最近では職員の話に耳を傾けるようになり,これまで避けてきたプログラムに参加し始めた。そこで,自分の病気と向き合い,次第に服薬の必要性を理解するようになると穏やかに過ごせる日が増えてきた。 そのため,入院形態がAさんの意思による入院に変更された。(問題46)ある日,Aさんは担当のB精神保健福祉士に「これ以上親に迷惑をかけたくない。 だからこのまま入院する」と話した。このため,B精神保健福祉士はAさんの思いに寄り添いつつ,主治医と相談し,入院中から住居の確保など退院の準備を行う「障害者総合支援法」に基づくサービスをAさんに紹介した。初めは利用を拒んでいたAさんも,面談を繰り返すうちに気持ちが前向きになっていき,そのサービスの利用に同意した。(問題47)支給決定後,施設見学などが行われていくと,病院の外に出ることが不安だったAさんも「少しずつ慣れていきたい」と語るようになっていた。そうした中,Aさんは「アパートでの一人暮らしに自信がない。相談できる人がすぐ近くに居ないのは心細い」と具体的な不安を口にした。そこで,B精神保健福祉士から,日常生活の支援が受けられる住居を提供する障害福祉サービスがあると伝えると,Aさんは「興味がある」と関心を示した。(問題48)
この時点の入院形態に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題46(精神保健福祉制度論)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 1
Aさんは親の同意で入院していましたが、病気と向き合い服薬の必要性を理解できるようになり、「Aさんの意思による入院」、つまり任意入院に変わりました。
任意入院の人が退院を希望したら、病院は原則として退院させなければなりません。ただし、精神保健指定医が診察して入院を続ける必要があると認めたときは、72時間に限り退院させないことができます(肢1)。任意入院の人も処遇改善の請求ができます。6か月ごとの同意確認を義務づける規定はなく、退院後生活環境相談員は措置入院・医療保護入院の人に選任されるものです。任意入院に指定医の診察は必須ではありません。
正解は 1
事例では、入院形態が「Aさんの意思による入院」に変更されたので、この時点の入院形態は任意入院(精神保健福祉法第20条・第21条)です。
- 肢1(正しい): 任意入院者から退院の申出があった場合でも、指定医の診察の結果、医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、72時間を限り退院させないことができます(第21条第3項)。
- 肢2(誤り): 退院等の請求・処遇改善の請求は、「精神科病院に入院中の者又はその家族等」が行えます(第38条の4)。任意入院者も対象です。
- 肢3(誤り): 管理者に「入院後6か月ごとの入院継続の同意確認」を義務づける法律の規定はありません。
- 肢4(誤り): 退院後生活環境相談員の選任が義務づけられているのは、措置入院者(第29条の6)と医療保護入院者(第33条の4で準用)を入院させている病院の管理者です。
- 肢5(誤り): 任意入院は本人の同意に基づく入院で、入院に当たって指定医の診察は要件ではありません。
正解は 1
事例の読み取り
入院当初:両親の同意による入院=医療保護入院。
その後:服薬の必要性を理解し穏やかに過ごせる日が増え、「入院形態がAさんの意思による入院に変更された」=任意入院。第20条は、管理者は本人の同意に基づいて入院が行われるよう努めなければならないとしており、病状の改善に応じて任意入院へ切り替えることはこの趣旨に沿うものです。
根拠条文(第21条)
- 第1項:本人が自ら入院する場合、管理者は退院等の請求に関することなどを書面で知らせ、本人から自ら入院する旨を記載した書面を受ける。
- 第2項:任意入院者から退院の申出があれば退院させなければならない。
- 第3項:指定医の診察の結果、入院継続が必要と認めたときは、72時間を限り退院させないことができる。
- 第4項:一定の基準を満たす病院で、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定医師の診察により12時間を限り退院させないことができる。
誤りの肢の掘り下げ
- 肢2: 第38条の4は入院形態を限定していません。任意入院者でも、知事に対して退院や処遇改善の命令を求める請求ができ、精神医療審査会が審査します(第38条の5)。
- 肢3: 任意入院者の処遇の細目は、厚生労働大臣が定める処遇の基準(第37条第1項)に委ねられており、法律が管理者に「6か月ごとの同意確認」を義務づける規定はありません。法律上の「期間」で混同しやすいのは、2024年4月施行の改正で導入された医療保護入院の入院期間(入院から6か月までは3か月、その後は6か月ごとに更新)です。
- 肢4: 現行法では、第29条の6が措置入院者について、第33条の4が第29条の6を医療保護入院者に準用する形で、精神保健福祉士その他の資格を有する者から退院後生活環境相談員を選任することを定めています。2024年4月施行の改正で、医療保護入院者に加えて措置入院者も選任の対象になりました。任意入院者は法律上の選任対象ではありません。
- 肢5: 指定医の診察が必須なのは、措置入院(2人以上)、医療保護入院、応急入院、任意入院者の退院制限などの場面です。
関連して出る論点
任意入院でも、管理者は医療又は保護に欠くことのできない限度で行動制限を行うことができます(第36条第1項)が、信書の発受の制限や行政機関の職員との面会の制限などはできません(同条第2項)。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律e-Govで原文を読む
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第20条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題46(精神保健福祉制度論)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

