社会福祉士の受験資格に関わるソーシャルワーク実習は、省令で実習240時間・実習指導90時間と定められています。実習が必要になる道、指定施設での相談援助の実務1年以上で実習の履修を免除できる場合、実習施設と実習指導者の決まりを、e-Gov の省令とセンターのページで整理します。
目次
結論:社会福祉士の受験資格に関わる「ソーシャルワーク実習」は、省令の別表で、実習指導が90時間、実習が240時間と定められています(短期養成施設も一般養成施設も同じ)。実習が必要になるのは、指定科目を修める道と、養成施設等で学ぶ道です。ただし、指定施設において1年以上相談援助の業務に従事した後に入る人には、実習指導と実習の履修を免除することができる、という定めがあります。免除を認めるかどうかは学校・養成施設が決めるため、実際の扱いは入学前に必ず確認します。
この記事は、e-Gov 法令検索の社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則、社会福祉士介護福祉士学校指定規則、社会福祉に関する科目を定める省令、社会福祉士及び介護福祉士法(以下「法」)、同法施行規則と、社会福祉振興・試験センター(以下「センター」)の受験資格(資格取得ルート図)・指定科目のページの2026年10月7日時点の内容だけをもとにしています。受験資格12区分の全体は社会福祉士の受験資格、立場別の道筋は社会福祉士になるにはで扱っています。本サイトはセンターとも養成施設とも関係がなく、個別の学校の実習の進め方や免除の扱いは、その学校の案内が正本です。
社会福祉士の実習とは:実習指導と実習の2科目
社会福祉士の養成課程にある実習は、1つの科目ではありません。省令の科目の一覧には、次の2科目が並んでいます。
- ソーシャルワーク実習指導:実習の前後に学校で行う指導の科目
- ソーシャルワーク実習:実習施設等で行う実習の科目
センターの指定科目のページ(令和3年4月入学者から適用される23科目)でも、22番がソーシャルワーク実習指導、23番がソーシャルワーク実習です。センターは、この2科目を「実習科目」として扱っています。
科目の名前は、入学した年度で変わります。センターのページには、平成21年4月から令和3年3月までの入学者に適用される旧い指定科目の一覧があり、そこでは「相談援助実習指導」「相談援助実習」という名前です。この記事の時間数は、令和3年4月入学者から適用される現行の科目についてのものです。
実習の時間数:実習指導90時間・実習240時間
時間数は、省令に数字で書かれています。養成施設指定規則の別表第一は、教育の内容の時間数を、短期養成施設と一般養成施設の列に分けて定めています。
ソーシャルワーク実習指導と実習の時間数:ソーシャルワーク実習指導は短期・一般とも90時間、ソーシャルワーク実習は短期・一般とも240時間。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov法令検索 社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 別表第一。
| 科目(別表第一) | 短期養成施設 | 一般養成施設 |
|---|---|---|
| ソーシャルワーク演習 | 定めなし | 30時間 |
| ソーシャルワーク演習(専門) | 120時間 | 120時間 |
| ソーシャルワーク実習指導 | 90時間 | 90時間 |
| ソーシャルワーク実習 | 240時間 | 240時間 |
| 全科目の合計 | 690時間 | 1,200時間 |
表のとおり、実習と実習指導の時間数は、短期と一般で同じです。短期と一般で違うのは、ほかの科目をどれだけ学ぶかです。
通信課程にも定めがあります。別表第三は、通信課程の科目ごとの時間数を、印刷教材による授業・面接授業・実習の3つに分けて書いています。ソーシャルワーク実習は、短期・一般とも実習の欄に240時間です。実習指導は、印刷教材による授業243時間と面接授業27時間に分かれ、合わせて270時間です。
通信課程のソーシャルワーク実習の時間数:別表第三で、ソーシャルワーク実習は短期・一般とも実習の欄が240時間。ソーシャルワーク実習指導は印刷教材による授業243時間と面接授業27時間。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov法令検索 社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 別表第三。
大学等で指定科目を修める場合も、時間数は同じ水準です。社会福祉に関する科目を定める省令の第4条は、実習演習科目の時間数として、ソーシャルワーク実習指導は90時間以上、ソーシャルワーク実習は240時間以上と定めています。
大学等の実習演習科目の時間数:ソーシャルワーク演習は30時間以上、ソーシャルワーク演習(専門)は120時間以上、ソーシャルワーク実習指導は90時間以上、ソーシャルワーク実習は240時間以上(第4条第1項第1号)。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov法令検索 社会福祉に関する科目を定める省令。
「以上」と書かれているため、240時間は最低の水準です。学校が実際にどう組むか(何週間・どの施設で何回に分けるか)は、省令には書かれておらず、学校の案内で確認することになります。
実習が必要になる道と、必要にならない道
法第7条の12区分のうち、実習が関わるのは、実習科目を含む指定科目を修める道と、養成施設等で学ぶ道です。各号を実習との関係で分けると、次のとおりです。
| 道(法第7条の号) | 実習との関係 |
|---|---|
| 福祉系の4年制大学等で指定科目を修めて卒業(第1号) | 指定科目23科目に、実習指導と実習が含まれます |
| 短大等で指定科目を修めて卒業し、指定施設で実務を積む道(第4号は3年制の短大等で実務1年以上、第7号は実務2年以上) | 同じ指定科目を修めます。養成施設等には進みません |
| 基礎科目を修めて卒業し、短期養成施設等で6月以上学ぶ(第2号・第5号・第8号) | 基礎科目16科目には、実習指導と実習が入っていません。実習は短期養成施設等で学びます |
| 大学等を卒業し、一般養成施設等で1年以上学ぶ(第3号)。短大等・高専卒や実務4年以上の人が一般養成施設等で学ぶ道(第6号・第10号・第11号) | 実習は一般養成施設等で学びます |
| 社会福祉主事養成機関の課程を修了し、実務のあと短期養成施設等で学ぶ(第9号)。福祉司等の職歴が4年以上になったあと短期養成施設等で学ぶ(第12号) | 実習は短期養成施設等で学びます |
基礎科目が16科目で、その中に実習指導と実習がないことは、科目を定める省令の第2条の一覧に書かれています。センターの基礎科目のページを見ても、実習科目は含まれません。
実習を履修しないで大学を卒業した人のために、センターは「科目等履修制度」を案内しています。大学、大学院、短期大学、専修学校(修業年限2年以上の専門課程)で実習指導と実習を修めれば、指定科目を履修したものと扱われます。聴講生など単位を取得できないものは認められません。
すでに受験資格を得ている人については、センターのルート図のページに次の注意があります。
- 過去に受験資格を得ている方は、カリキュラムの改正を問わず受験できます
- 「改めて現行のカリキュラム(実習科目含む)を履修する必要はありません」と、同じページに書かれています
カリキュラムが改正されたからといって、すでに受験資格を得た人が実習をやり直す必要はない、ということです。
実習が免除される場合:指定施設での相談援助の実務1年以上
実習の免除は、省令に定めがあります。養成施設指定規則の別表第一の備考は、次のように書いています。
「指定施設において一年以上相談援助の業務に従事した後、入所する者については、ソーシャルワーク実習指導及びソーシャルワーク実習の履修を免除することができる。」
学校指定規則の別表第一にも同じ備考があり、こちらは「入所する者」が「入学する者」になっています。
大学等で指定科目を修める場合も、同じ考え方の定めがあります。社会福祉に関する科目を定める省令の第1条は、科目を第1号から第23号まで並べたうえで、ただし書で、指定施設において1年以上相談援助の業務に従事した後に入学する者については、第1号から第21号までの科目とする、と定めています。第22号がソーシャルワーク実習指導、第23号がソーシャルワーク実習なので、この2科目が外れた21科目になります。
実習の履修を免除できる実務の条件:指定施設において1年以上相談援助の業務に従事した後に入学・入所する者は、ソーシャルワーク実習指導とソーシャルワーク実習の履修を免除することができる。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov法令検索 社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 別表第一。
この免除について、押さえておく点は次の3つです。
- 「免除することができる」という書き方です。免除を認めるかどうかは、学校・養成施設が決めます。センターのルート図のページも、「実習科目免除についても各養成施設等にお問い合わせください」と案内しています
- 条件は「入学・入所する前に」、指定施設で相談援助の業務に1年以上従事していることです。入ってから積んだ経験は、この条件の対象になりません
- 「指定施設」は、法第7条第4号が、厚生労働省令で定める施設としています。法の施行規則の第2条が、保健所、児童相談所などの児童福祉法に規定する施設、病院及び診療所、福祉に関する事務所、介護保険施設及び地域包括支援センターなどを挙げています。最後の第14号は、これらに準ずる施設として厚生労働大臣が認める施設です。自分の職場が指定施設に当たるかは、センターの実務経験のページと学校の確認が必要です。数え方は社会福祉士の受験資格の記事で整理しています
もう1つ、大学等の科目については、精神保健福祉士の実習を修めた人の一部免除があります。科目を定める省令の第4条第3項は、精神障害者の保健及び福祉に関する科目を定める省令に規定するソーシャルワーク実習を履修した者について、実習の実施の時間数のうち、60時間を超えない範囲で免除することができると書いています。精神保健福祉士との違いは社会福祉士と精神保健福祉士の違いで比べています。
実習施設と実習指導者の決まり
実習をどこでどう行うかも、省令に基準があります。養成施設指定規則と学校指定規則の指定基準は、次のとおりです。
- 実習施設等:厚生労働大臣が別に定める施設又は事業のうち、ソーシャルワーク実習を行うのに適当なものを、実習に利用できること。実習の一部は、実習に適当な市町村(特別区を含む)で行うことができます
- 実習指導者:実習施設等で実習を指導する人は、社会福祉士の資格を取得した後、相談援助の業務に3年以上従事した経験があり、かつ、実習指導者を養成する講習会(厚生労働大臣が別に定める基準を満たすものとして、あらかじめ届け出られたもの)を修了した人であること
- 実習生の数:1つの実習施設等でソーシャルワーク実習について同時に授業を行う学生の数は、指導する実習指導者の人数に5を掛けた数が上限です
実習指導者の経験年数と実習生の上限:実習指導者は、社会福祉士の資格を取得した後に相談援助の業務に3年以上の経験があり、実習指導者講習会を修了した者。同時に実習を行う学生は、実習指導者の員数×5が上限。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov法令検索 社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 第3条第1号。
実習施設等になる施設や事業の種類は、「厚生労働大臣が別に定める」ものです。実習先の決まり方(学校が決めるのか、学生が探すのか)は、省令には書かれていません。学校の実習の案内で確認してください。
実習の教育内容と担当教員の基準も、省令に書かれています。たとえば、学生20人につき1人以上の教員をそれぞれの科目に置くこと、学生20人につき1室の割合で演習室と実習指導室を確保すること、などです。これらは学校側が満たす基準で、実習を受ける学生が何かを用意する必要はありません。
実習を終えたあと:受験と登録へ
実習を含む課程を修了すると、法第7条の受験資格の1つを満たしたことになります。ただし、受験資格は入り口です。社会福祉士になるには、国家試験に合格し、登録を受ける必要があります。試験の日程や申込は社会福祉士国家試験 第39回の日程・時間割・申込、合格後の手続きは社会福祉士の登録手続きで確認できます。
実習で経験する相談援助の考え方は、試験でも問われます。センターが公表した過去の試験問題では、ソーシャルワークの理論と方法に関する問題が出題されています。問題を解いて、実習で学ぶ内容と試験の科目のつながりを確かめることもできます。
この論点の問題を解く
まとめ
- 現行の省令で、ソーシャルワーク実習指導は90時間、ソーシャルワーク実習は240時間(短期・一般の養成施設とも同じ)。大学等の科目では、90時間以上と240時間以上
- 実習が必要になるのは、指定科目を修める道と、養成施設等で学ぶ道。基礎科目の16科目には実習指導と実習が入っていない
- 指定施設において1年以上相談援助の業務に従事した後に入学・入所する人は、実習指導と実習の履修を免除することができる。免除を認めるかは学校・養成施設が決めるため、入学前に確認する
- 大学等の科目では、精神保健福祉士の実習を履修した人に、60時間を超えない範囲の一部免除がある
- 実習指導者は、社会福祉士の資格を取得したあとに相談援助の業務に3年以上従事し、講習会を修了した人。同時に実習する学生は、実習指導者の人数×5が上限
- 過去に受験資格を得ている人は、カリキュラムが改正されても、改めて現行の実習科目を履修する必要はない
本サイトは社会福祉振興・試験センターとも養成施設・学校とも関係ありません。省令の数字は e-Gov 法令検索の現行条文(2026年10月7日確認)にもとづきます。実習の進め方・免除の扱い・入学の条件は、必ず入学を考えている学校・養成施設の案内とセンターの案内で確認してください。
よくある質問
Q養成施設の通信課程でも、社会福祉士の実習は必要ですか?
実習の時間数の定めは、通信課程にもあります。社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則の別表第三は、通信課程について、ソーシャルワーク実習の欄に240時間を置いています。通信課程の基準を定める条文にも「実習の内容は、別表第三に定めるもの以上であること」とあり、通信だからといって実習の定めがなくなるわけではありません。ただし、実習をどのように行うか、免除を受けられるかは養成施設ごとに異なります。センターのルート図のページも、実習科目の免除は各養成施設等に問い合わせるよう案内しています。
Q実習の免除は、条件を満たせば必ず受けられますか?
必ず受けられるとは、省令からは言えません。養成施設指定規則の別表第一の備考は、指定施設において一年以上相談援助の業務に従事した後に入所する者について、実習指導と実習の履修を「免除することができる」と書いています。「できる」という書き方なので、免除を認めるかどうかを決めるのは養成施設や学校です。入学の条件や実習の免除の扱いは、入所を考えている養成施設等の案内で確認します。
Q精神保健福祉士の実習をした人は、社会福祉士の実習が短くなりますか?
大学などで修める科目については、短くできる定めがあります。社会福祉に関する科目を定める省令の第4条第3項は、精神障害者の保健及び福祉に関する科目を定める省令に規定するソーシャルワーク実習を履修した者について、実習の時間数の一部を、60時間を超えない範囲で免除することができると定めています。この定めは大学等の科目の省令に書かれたものです。養成施設で学ぶ場合の扱いは、養成施設の案内で確認してください。
Q社会福祉士の実習指導者には、どのような経験が必要ですか?
省令は、実習施設等で実習を指導する実習指導者について、社会福祉士の資格を取得した後に相談援助の業務に3年以上従事した経験があり、かつ、実習指導者を養成するための講習会(厚生労働大臣が別に定める基準を満たすものとして、あらかじめ届け出られたもの)を修了した者であることを求めています。実習生の側が満たす条件ではなく、実習を受け入れる側と学校が満たす基準です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

