問題
次の a 〜 e の文は,公共測量における河川測量について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 a. 水準基標測量とは,定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業をいう。 b. 距離標の設置間隔は,起点から河心に沿って,原則として 2 km とする。 c. 深浅測量とは,河川などにおいて水深及び測深位置を測定し,縦断面図データファイルを作成する作業をいう。 d. 深浅測量において,水深が浅い場合は,ロッド又はレッドを用いて直接水深を測定する。 e. 定期横断測量の測量範囲は,堤内地も一部含んでいる。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
河川測量に関する問題です。正答は「3(b,c)」で,b と c が誤りです。
bが誤りの理由:距離標の設置間隔は「起点から河心に沿って,原則として200 m」です。「2 km」は桁違いに長く,誤りです。
cが誤りの理由:深浅測量の成果品は「縦断面図データファイル」ではなく,「横断面図データファイル(または深浅データ)」です。深浅測量は川底の断面形状を横断的に測定する測量であり,縦断面図ではありません。
選択肢a・d・eはすべて正しい記述です。aは水準基標測量の正しい定義,dは浅水深でのロッド(測量棒)またはレッド(鉛直鎖)使用は正しい,eは定期横断測量が堤内地の一部(堤防〜宅地側数十m等)を含むことは正しい規定です。
【河川測量の各工程の規定(公共測量作業規程の準則 河川測量編)】
b(誤り):距離標の設置間隔
準則の規定:距離標の設置間隔は「起点から河心に沿って,原則として 200 m」。
「2 km」は誤りで,桁が1桁大きすぎます。実際の大河川では,200 m間隔で設置された距離標(標柱)が河川管理の基準となります。
距離標の用途:縦断測量・横断測量・深浅測量の基準点,洪水時の水位観測基準,河川工事の位置管理。
c(誤り):深浅測量の成果品
深浅測量の定義(準則):河川などにおいて水深及び測深位置を測定し,横断面図データファイル(深浅データ)を作成する作業。
「縦断面図データファイル」は,縦断測量(川の流下方向の標高変化を測定)の成果品。深浅測量は川の幅方向(横断方向)の水深を測定するため,成果品は「横断面図データファイル(または深浅図)」となります。
正しい選択肢の確認:
a(正):水準基標測量の定義(縦断測量の基準となる水準基標の標高決定)は正しい。
d(正):浅水深(目安:水深3 m未満)での測深方法:
- ロッド(測量用ポール):直接水底まで差し込んで水深を読む
- レッド(lead line):鉛錘を紐で垂らして水深を測定
深水では音響測深機(超音波)を使用。
e(正):定期横断測量の範囲は,堤外地(河川側)だけでなく,堤防・堤内地(宅地・農地側)の一部を含む。具体的には,堤内地の「計画高水位の水面幅の1/4」または「堤防法尻から20 m(最低)」等の範囲が含まれます。
【河川測量の深層:河川管理・堤内外の定義・ICT測量の最新動向】
河川測量の体系(準則 第7編 河川測量):
| 工程 | 作業内容 | 主な成果品 |
|---|---|---|
| 水準基標測量 | 水準基標の標高決定 | 水準基標成果表 |
| 距離標設置測量 | 200 m間隔の距離標設置 | 距離標位置図 |
| 縦断測量 | 河川沿いの縦断面高さ測量 | 縦断面図データ |
| 横断測量 | 横断面の地形測量 | 横断面図データ |
| 深浅測量 | 水深・測深位置の測定 | 横断面図データ(水中部)|
| 流量測量 | 流速・断面積から流量算定 | 流量データ |
堤外地・堤内地の定義(河川法):
- 堤外地:堤防から川側(水際)の区域。洪水時に水が流れる領域
- 堤内地:堤防から陸側(宅地・農地側)の区域
測量士補試験での混同注意:「堤の外」=「外側(川側)」ではなく,「堤防の内側(保護される側)=宅地側」が「堤内」という慣行的逆転があります。
定期横断測量の範囲:
準則では,堤内地の横断測量範囲:
- 旧堤・旧河道等がある場合はその外側まで
- 最低:堤内法尻から20 m(地形条件による拡大あり)
この範囲を測量することで,堤防の安定性(法面状況)・宅地側の地形変化を継続的に把握します。
深浅測量の最新技術(シングルビーム→マルチビーム):
従来の深浅測量は,シングルビーム音響測深機(単一の超音波パルス)を使い,1回の測定で船直下の水深のみを測定していました。
近年はマルチビーム測深機(MBES: Multibeam Echo Sounder)が普及:
- 扇形に複数の超音波ビームを発射(横方向に最大150°をカバー)
- 1回の航行で広範囲の水底地形を面的に取得
- 点群密度:数点/m²〜数十点/m²
令和5年改正の準則では,マルチビーム深浅測量の規程が整備されました。ICT施工(浚渫工事の自動化)との組み合わせで,河川工事の効率化が進んでいます。
測量士試験への接続:
測量士試験では,「流量測量(流速計・ADCP)の原理」「水位観測と標高の関係」「河川横断測量からの流量計算(面積×流速)」「河床変動の長期モニタリング方法」が出題されます。また,気候変動を踏まえた治水計画(1/100年確率洪水への対応)と河川測量の関係も今後の重要テーマです。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和8年度 測量士補試験 問28(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

